太古の魔獣に挑戦!
クサリさんと別れてから森の中を疾走しまくる俺。
「コイツら、マジで邪魔くさいぞ……」
殴れば殴っただけ、魔力を吸いとられるし、なにより数が多い。1匹一匹は弱いくせによっ!
「あぁ! この野郎っ!!」
「おい」
「なんだよっ!?」
イライラを隠さずにトーテムポールへとぶつける。
「別に全部を倒す必要ねぇだろ?」
「……………………………………」
確かにそうだな。
強いて言うなら、もう少し早く言ってほしかった。まぁ、自分も気付いていなかったから、なんにも言えねぇけど。
「……で、どの辺にいるんだ?」
俺はごまかすように、話題を元に戻す。
「もう少し奥だな。うち1人は木の上にいるぞ」
「……何人も居るのか?」
「分かるのは2人だ。もう1人は、木の回りをうろちょろしているぞ」
それって、どういう状況だよ。
「……本当にどういう状況だよ」
言われた木の側まで来たのだが……1人が木の回りを無心でグルグル走っている。もう1人は、その木の上で、両手を挙げている。何かの儀式をしているみたいだ。
「とりあえず、回っている方を捕まえるか……」
俺は、裏側に回って行ったところで、両手を広げて待ち構える。
案の定、グルグル走っていたオルは、俺の体にぶつかってくる。これでやっと2人目だ。
残りの1人も、木によじ登ってなんとか捕まえる。
「これで3人だな」
3人目を捕まえたところで、トーテムポールの真ん中が声をあげる。
「この記憶には、もう居なさそうね」
「そうだな。次に行くとしよう」
「…………そんじゃ、次に案内してくれ」
昔のクサリさんの姿を、もう少し見てたかったが……今はオルを元に戻す方が先決だな。
内心で残念がっていたその時ーー
「ガルルゥゥ」
低い唸り声が、俺の腹を振るわせた。
声の方を向けば、そこには今までよりも巨大なライオンみたいなのが立っていた。
「こいつって……!」
俺の体が乗っ取られる直前で見た化け物じゃねぇか!?
「……こいつは不味いな」
トーテムポールの1番下の奴が、険しい声で言う。他の2つも、どことなく険しい顔つきに見える。
「何が不味いんだよ? どうせこの場から離れるなら、戦う必要もねぇだろ?」
だが、俺の予想は少し甘かったようだ。
「いや……こいつは、ここで倒さなければならない」
「どうし「こいつは、オルの記憶に居ない奴だからだ」…………」
マジでかぁ……。
クロノワールでも苦労した……というか、負けた相手に、俺が勝てるのか? しかも結構、疲れてるんだけど。今の俺。
「死物狂いで勝て! じゃなきゃ、歴史が大きく変わるぞ!?」
「無茶苦茶だなっ!?」
だな、歴史が大きく変わるのは困る。
「全力で行くぞ……! 『炎の鎧』!!」
全身を炎で包んだ俺は、金色のライオンに殴りかかった。




