初めての魔王様に挑戦します
大陸が産み出される前の事だ。
私は、『閻魔大王』が率いていた魔王軍の小隊長として日々、獣達と戦闘を繰り広げていた。
「火球が来ます! 防御障壁を!!」
2つの世界が衝突した結果。
触れただけで魔力を吸い尽くす生物達は、どちらの世界にとっても驚異でしかなかった。
「隊長! もちません!!」
「砲撃準備! 出来次第、発砲しなさい!! 足止めの間に魔法部隊は大魔法陣の準備を!!!」
「はっ!!」
何が的確なのか……それすら分からないのに、無理矢理指示を跳ばす。
「た、隊長っ! 新手ですっ!!」
「っ! 数は!?」
「3頭です!」
完全に詰みだった。
ただでさえ、獣1頭に100人ほどの人材を必要とするのに……こちらは80人。かなりギリギリの状態で遣り繰りしているのだ。
「仕方がないですね……全員撤退します! 負傷者を優先して、速やかに戦況を放棄しなさい!!」
「はっ!」
伝令は、私の指示を危機終えると即座に前線へと伝えに戻っていった。
これで残すは首都のみ。
最近製造された武具を用いれば、奴等を倒すことは用意だろう。
ただ……扱える人間も武具の数も圧倒的に足りない。
「た、隊長!」
これからどうするべきかを考えていると、先行していた歩兵が呼び掛ける。
「どうし……っ!?」
なんて事だ。
「囲まれている……!」
先ほど戦っていた獣達よりも一回り小さいが……数は圧倒的だった。1人1殺でも、向こうの方が優位な数だ。
「……ふふっ…………ふははっ」
「隊長!?」
心配する歩兵には悪いが……もう笑うしかなかった。
抵抗することすら出来ず、無惨に蹂躙されるしか……そのような未来しか見えなかった。
目の前の獣が宙に舞うまでは。
「『轟打』!!!」
「ガルラァァッ!!?」
森を震わせるほどの爆音と共に、獣の1頭が私達の頭上を越えていく。
「な、なんだっ!? アイツはっ!!?」
触れれば魔力を吸い取られるというのに……
「素手で殴り飛ばしているじゃないかっ!!?」
その男の様子を不可思議に見ていると……
「おいっ! 10匹くらいって言ってたよなっ!? どう見ても30匹は居るぞっ!? ……あっ? 細かくねぇだろっ!? 10と30は、どう考えても細かくねぇ!!」
独り言とは思えない声量で怒鳴り散らしていた。
恐らく、魔力の吸われ過ぎで頭がイカれてしまったのだろう。
「クサリさん! 早く城の方へ!!」
今度は私の方へと怒鳴る青年。……クサリさんとは、いったい誰の事だ?
誰に指示を飛ばしているか、分からず呆けていると、青年は顔を赤らめて再び独り言を怒鳴る。
「……そういうのは、もっと早く言ってくれねぇかな!? 頭のおかしい人間って思われるだろっ!?」
その点は心配ない。すでにオカシイと思っているぞ?
「スクスさん! 早く城の方へ!!」
「あ、あぁ……君はどうするんだ?」
返答に詰まった私が問うと、青年はニッと笑顔を見せて言う。
「こいつらを退治したら、城に向かう!」
それだけを言い残して、青年は森へと走っていった。
いったい、彼は何者なんだ……。
暑い……ワンルームでヘバッてます。
更新速度かつ、内容が酷くならないように、気合いを入れ直したいところです。
暑い……




