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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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初めての国外旅行に挑戦!

国王からの依頼を達成するために姫騎士領に行くことになった俺 棚部(たなべ) (りょう)は、昼前に新領土『ペルン』を出た。


俺とクサリさんは、『聖都フィノ・ベルン』で『聖女』と直接同盟の交渉をするために『姫騎士領』の一領土『カルサス』へと向う。その町で『聖都フィノ・ベルン』までの馬車が出ているらしい。

「クサリさん。馬車なんか使って大丈夫なんですか?」

「と、言いますと?」

「……お金とか。」

『魔王領』の財政は、あまり芳しくない。税金だとかを取っていないからだ。これにはちょっとだけ複雑な理由がるのだが、それは別の機会に……。

「問題ありません。確かに現在の魔王領は、財政難ですが、そこの馬車は、良心設計なので。」

はぁー。そうなんですか。

そもそも、「1Gっ払え」って言われても、どの硬貨を渡せばいいのかいまだに、わからない。

「それにしても、大丈夫だろうか?うまく交渉できるといいのだけど……。」

「問題ないでしょう。魔王様は、いざとなれば出来るお方ですから。」


他愛もない話をしながら歩いていると、昼を少し過ぎたあたりで町に着いた。そこそこの活気にあふれている。ぱっと見た感じは、西部劇に出てきそうな建物と舗装されていない地面だ。

初めての『魔王領』以外の領土についた感想は、

「…………スゲー人ごみだな……。」

……人ごみに圧倒されたものだった。

馬車の交差点と言われてるだけはある……。そこらじゅうに馬みたいなのがいっぱいいる。

さらに、馬の10倍もの人が行きかっている。それでも通れるくらいのスペースがあるので道は、かなり広めに作ってあるのだろう。

「はい、魔王様。ですが、聖都となれば、もっと人が増えることでしょう。」

「マジで!これ以上に多いの!!」

さすが、本領でもあり、ユーマキラ大陸唯一の聖都だ!

魔王領の本領も…………あれっ?『ペルン』と大差ないような気が……。

まぁ、人が多ければ必ずしもいいことがあるわけじゃないだろうし!気にしない、気にしない。

「すみません、魔王様。次の聖都行きの馬車が、もうそろそろ出ますので観光は、帰りにしましょう。」

「了解です!」

ちなみに、これを逃すと、夕方まで出ないらしい。日本の都会と比べると、交通の不便さは、否めない。


馬車には、俺とクサリさんと他に4人ほど乗っていた。4人は、家族で聖都の観光だそうだ。まぁ、俺も観光気分であるけど。気が弱そうな父親と逆に気が強そうな母親、それと、子供が2人。上が女の子で下が男の子。ぱっと見た感じどこにでもいそうな家族だ。そんな家族と旅は道連れ……を習って会話をしていた。

「どこの領土出身なんだい?」

っう!魔王領と本当のことを応えるのは、まずい気がした。仮にも魔王が、聖都に向かうわけだから。

そんな心配をしていると、クサリさんがそっけなく応えた。

「『ペルン』です。そちらは、どちらからでしょうか?」

「あぁ。私たちは、『アルベルク』だよ。聖都もいいけど、『アルベルク』もいいところだよ。自然が豊かで、海が近いから魚料理がおいしいんだ。」

…………魚料理がおいしいのか……。よだれが垂れそうになってしまった。

「そうか、お宅らは『ペルン』からか。勇者領からの聖都の観光とは、結構珍しいね。大概《たいがい》は、王都に行くもんだろ?」

どうとも言えないので、クサリさんに返答を丸投げする。

「そうですね。ですが、最近流行の書物で聖都の話が出てきたので、その観光をと思いまして。」

「あぁ!あれね!あれは、面白いね!!あれを読んでるなんて、同士ね!!もう、あれ同士ね!!」

……「あれ、あれ」言いすぎでしょ!ホントに読んでるの!?話を合わせてるだけなんじゃ……。

そんなふうに考えていると、子供らがこっちによって来た。

「うん?どうした?」

なるべくやさしく声をかける。

「…………。」

「…………。」

「……どうした?」

いきなり黙ったままジーとみられる……。なんだろ、前にもあったような気が……。

「えい!」

男の子がいきなり俺の頭を叩く。どうして叩かれたんだ?

「あぁあ……。逃げちゃった……。」

女の子が残念そうにつぶやくので俺は、何が逃げたのか聞いてみた。

「何が逃げちゃったんだ?」

「虫さん!」

「そうか。虫さんに逃げられちゃったのか。」

元気がいい男の子だなと思いながら話す。

「でっかい蛾みたいなの!」

「蛾かよ!!」

蝶々じゃないのかよ!しかも、区別がついていてなお「蛾」かよ!!

あまりの勢いで驚いてしまったようだ。2人の顔に「絶賛驚き中!」と張り紙でもしてあるかのような顔をしていた。


そんなこんなで一晩あけて、昼頃に『聖都フィノ・ベルン』に着いた。町をぐるりと囲む城壁は、5メートルはあるんじゃないかと思う。町の様子はわからないが、大きな建物がいくつかあり、中央らへんに城が立っている。クサリさんに聞くと、あの城の中に『聖女』がいるらしい。

領土内では、馬車を走らせることが出来ないので、門の近くで降りた。

「「ばいばい!」」

乗合で一緒に来た家族の人たちに別れを告げてから、俺たちは、ここからどうするかを簡単に話し合った。

「で、クサリさん。これからどうします?」

「まずは、宿屋を探しましょう。お昼頃なので昼食をとりながらの作戦会議といたします。」

とりあえず宿屋を探すためにも門をくぐろうとした。


その時、

ウゥゥゥゥゥゥーーーーーー!!

「なっ!なんだ!?」

俺が先に門をくぐり、クサリさんがくぐろうとしたときに、消防車のようなサイレンが鳴り響いた。

「そこの女!止まれ!!」

近くにいた門番2人が、クサリさんをとらえようとした。

クサリさんを助けよと振り返ったら、

!?なんでクサリさんが、俺をぶっ飛ばしたんだ!?

クサリさんに思いっきり飛ばされた。


「……なんで?」

困惑していると、門番達がクサリさんを連行していってしまう。

「ク…………。」

名前を叫ぼうとしたら、睨まれてしまった。

……ひょっとして、俺は助けられたんじゃないか?

俺たちの目的は、姫騎士領と同盟を結び、リストにある勇者領の領土を少しでも多く落とすこと。そして、そのためにも聖女とあって直接交渉しなければならない。今ここで2人ともが捕まるのは、最悪の事態と瞬時に判断したんだろう。

「……とりあえず、宿屋を確保しよう。」

事前に話し合っていた通りに宿屋を探すため、俺は、立ち上がった。


それにしても、俺は情けない。女の子1人すら助けられないばかりか、逆に助けてもらうなんて。汚名返上するためにもまずは、クサリさんを助ける方法を得なければ!


宿屋は、比較的すぐに見つかった。俺は、自分の分ともしかしたら、追加で1人来るかもしれないことを宿屋のおばちゃんに伝えた。部屋を案内されてから、荷物だけを置きすぐに街へと繰り出した。

とりあえず、ここまでです。

誤字脱字などがありましたら、お知らせください。

皆さんからの感想などもお待ちしております(やさしくしてね)。

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