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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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初代魔王に挑戦!

 縛られて動けない魔王様が、突然膝を着く。

「魔王様っ!? おい、いい加減にしろ!」

 リリアーデを突き飛ばし、倒れた魔王様の側へと近寄る。

「魔王様! ただいま解放いたします!!」

 私はそう告げ、魔王様を縛っている縄へと魔剣を当てるーーはずだった。


「なにを……」


 縛られていたはずの……魔王様の腕が、……私の脇腹へと突き刺さっていなければ…………。




 私自身。なにが起きているのか全く分からなかった。

 突き飛ばされた私は、魔王の側にいるクロノワールへと視線を向けーー脇腹から大量の鮮血を噴き出していたのだから。

「クロノワールっ!?」


 ーーバキバキバキっ!!


 私が叫ぶのとほぼ同時に、今まで聞いたことのない騒音が後から、体を叩き付けるように襲い掛かってくる。

 振り向けば、1面の壁が無くなっていた。


「ったく。起きるのが遅いんだよ……『魔王様』はよぉ…………」


 続いて聞こえてくるのは、呆れたように溜め息と愚痴をこぼすガスターの声。

 旦那の事を『魔王様』だなんて……呼んだことがないのに。

「……ってか、誰よっ!?」

 恐らく……というより、喋り方や両手に持っている武器から、ガスターだとは思う。

 だけど、容姿が全然違う。

 耳にかかる事もなかった白髪は、腰の辺りまで伸びている。

 耳は以前よりも酷く尖り、頭部からは角が生えている。


 なによりも…………私より魔力が高い。


「無理を言うな。それに、お前が下手を打たなければ、我の眠りが延びることは無かったのだぞ?」

「それこそ無茶を言うなっての……」


 ガスターと魔王ちゃんが話をしている。

 ただ……それだけのことなのに…………


「なんなのよっ!?」


「うるさい小娘が……」

「あぐっ!!?」

 私は、両手で首の辺りを触りながら、無理矢理立たされる。

 近づくどころか、手を上げる素振りすらしていないのにっ!?

「おいおい、こんなのを殺すなら、俺に任せてくれよ?」

「なに。この者も、我の復活に協力したのだろう? ならば、『初代魔王』である我が、褒美代わりに殺してやるだけだ」


 誰が…………

「「誰が初代魔王様ですかっ!」……え?」

 誰かが後ろにいる。その人影に気付いた時には、私は地面へと倒れこみ、酷く咳き込んでいた。

「…………誰よ?」

 またもや知らない人物。着ている服は、私も着たことのあるメイド服ーーあの人が恥ずかしいと言いながらも、どこか嬉しそうな笑みを浮かべていたーー魔王メイド隊の制服である。

 それを着ている女は、私の方へと視線を向けずに話し掛けてくる。


「大丈夫ですか? 奥方様」


 この呼び方。声色(こわね)は少し違うものの、冷たく切り離したような呼び方は、1人の人物をすぐに連想させた。

「クサリ……なの…………?」

「はい、そうでございます。詳しい説明は、後程させていただきます」

 それだけ言うと、私より大人びたクサリは、両手の握り拳を豊満な胸の前で構える。

「誰かと思えば……裏切り者じゃねぇか…………まさか、パチもんのメイドになってるとは思ってもなかったぞ?」

「黙れ、ガキ。魔王様を侮辱するのは、例え魔王様ご自身でも許さんぞ?」

 身体中の魔力を高める2人。『サーチ』を使わなくても、ここに居るのは躊躇うほどの魔力だわ。

「ガスター……下がるぞ」

「おいっ!? なに言ってやがるんだっ!? 絶好の「我に逆らうのか?」……ちっ」

 舌打ちすると、ガスターは床を拳銃で撃ち抜く。

 着弾した地点から魔王ちゃんの居るところまで、紫色の光で包み込まれ、……その場から消え去った。

 私は、その様子をただ眺める事しか出来なかった。


「そ、そうよっ! クロちゃんっ!!」

「私……ならば…………はぁはぁ……」

 全然大丈夫じゃないじゃないっ!?

「待ってなさい! 今、治癒魔法をかけるから!!」

 死にそうなクロノワールを黙らせて、私は黙々と治癒魔法を使用し続けた。


 これから、どうなるのよ………………。

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