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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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『禁忌の時代』に挑戦

 目の前の生物は、『禁忌の時代』に産み出されたものだ。

 これは偶然なのだが、その時代に産み出したグラム家に伝わる伝書にも、この生物の記載がされていたのを覚えている。

 死ぬほど覚えさせられたからな。忘れたと思っていたが、実物を見て思い出してしまった。

「はははっ!! いいなっ! お前もなかなかの強さじゃねぇかっ!!!」

 咆哮するように言葉を話す金色の獣。

 そして、刃を交えながら、ずっと頭の中で渦巻いている疑問。


 なんで、バカ王の体に宿っていたのだ。


 この獣の特徴は、死なないことだ。

 正確には、死んだ瞬間に別の肉体を求めて移動を始める。

 そして、自分の魔力でも問題ない丈夫な生物を見つけては、体を精神ごと乗っ取る。それをひたすら繰り返す。

 ここでこいつを殺せたとしても、また別の奴に取り付くだけだろう。

 そもそも、実力差の問題で殺せるかどうか。かなり怪しいところだがな。

「『黒龍剣劇(こくりゅうけんげき)』!」

 魔剣グリモワールをレイピアのように細長くし、獣へと不規則な動きで振る。

「はははっ!! もっとだっ!!!」

「ぐっ!」

 全ての剣を両腕で弾き返す獣。化け物にもほどがある。

「リリアーデ! まだかっ!?」

 これ以上は私の方が持たないぞっ!?

「準備オーケーよ! クロノワール!!」

 よしっ!

 リリアーデの返事が来たところで、私はグリモワールをクレイモアのように太くする。

 その幅の広い面の部分で獣を殴り付ける。

「おいおい、戦い方が雑くなってきたぞ?」

 獣は吠える。

 だが……


「これで終わりよっ! 『サタン・ゲート』!!」

 闇属性最上級魔法『サタン・ゲート』を発動するリリアーデ。

 この魔法で逃れられる生命体は、この世に存在しない。現に、獣もゲートの方へと引き寄せられている。


 これで勝った。

 そう……私達は確信していた。


「つまらねぇえ事をしてんじゃねぇぞぉおお!!!」

「「っ!?」」

 まさか……!?


 まさにその一言しか思い浮かばなかった。


 最上級魔法をただの咆哮で掻き消しただと!?

「あ、あり得ん……!」

「さぁて……続きをやろうじゃねぇかっ!!!」

 こんなのに……


「「どうやって勝てばいいのよ!?」のだ!?」


 あまりの力量差に、私の腰はスルリと床に落ちた。

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