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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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久しぶりのメイド達に挑戦

 バカ王を先に行かせた私は、魔王城の庭へと移動しながら先頭を繰り広げていた。

「どうした? その程度か?」

 100人近く居るものの、私の方が優勢である。むろん。1000人だろうが、1万人であろうが、私が負けるつもりはない。

「フォーメーションA!」

「「「はいっ!」」」

 人数にものを言わせたチームプレー。

 確かに出来映えは悪くない。クサリの直属でも、無傷で済むとは思えないほど、絶妙なコンビネーションだ。


 だがーー


「メイドの象徴であるメイド服を着崩すようでは、この私に勝てんっ!!」

「はうっ!?」

 1人のメイドが飛び上がった瞬間に、メイド隊の象徴とも言えるメイド服から、本来ならば見えないはずの肩が見えた。

 普段からきちんと着ていない証拠だろう。

 戦闘用に改良されたメイド服は、鉄の鎧と同程度の強度がある。それを着崩すようでは話にならん!

 肩を露出させたメイドの腕を取り、背後から接近していたメイドへと投げつける。

 残りの1人も、私の動作に戸惑いを覚え立ち止まってしまう。

「仲間がやられているのに傍観(ぼうかん)とは……貴様は何様のつもりだ?」

「きゃあっ!?」

 両肩を上から軽く叩き、首まで地面へと埋める。

「さぁ次っ!!」

 どうやら、私の方もエンジンがかかり始めてきたようだ。


「『フレイム』「詠唱が遅いっ!」ぐふぁ!?」

「『さん』「勇者領の技を使うとは……恥を知れっ!」きゃあぁぁぁ!!?」

 全く。最近のメイド達は、どういう神経でメイド業務に就いているのだ!?

「魔法部隊! 掃射!!」

「「「「「『タイダルウェーブ』!!!」」」」」

 ……ここで上級魔法を放つとはーー

「愚か者どもが!! 『デモンズゲート』!!!」

 私が発動した魔法で、大量の水が飲み込まれていく。

 だが、そんなことはどうでもいい。私が気に入らないのはーー

「仲間を見捨てて大技を放つとは、愚の骨頂もいいところだ!」

「「「「「きゃっ!?」」」」」

「そこで反省文でも考えていろっ!!」

 魔法を放った5人を地面へと埋め込み、そう指示を与える。

 なお、コイツらは口まで地面に埋めているため、詠唱すら出来ない状況だ。

「『スパイラルネット』!」

 その5人に気を取られていると、右側から蜘蛛の糸が絡み付いてくる。……スパインの技か。

「そのまま大人しくしていてください! クロノワールさん!!」

 懐かしい顔触れに、少し涙が流れそうだ。

「クロノワールさんでも、この糸は斬れないですよ!」

 過去を振り返っている間に、糸でドンドン固定していくスパイン。

「ほら! これで終わりです!!」

「相変わらず……昔のままだな」

 嬉しくも、悲しくもあるぞ。私は。

「マミー!」

「『エクスプロージョン』!」

 私を起点に、爆発の魔法を放つ包帯まみれの女。


 しかし。彼女の放った魔法は、私を爆発で吹き飛ばすことはなかった。

「…………うそ!?」

「術は成功してるのよ!?」

 私は魔力だけでスパインの糸を切り裂く。

「糸を……斬った!!?」


 確かに包帯女の魔法は、ちゃんと発動している。

「私の左手の中でなっ! ふんっ!!」

 握ったままの左手を地面へ突っ込み、手を軽く開く。

 すると、地面が少しだけ盛り上がる。左手で圧縮された魔法が爆発した影響だろう。

「「……力業」」

 2人して声を揃え、その場で腰を落とす。

「正しい魔力制御ができれば、この程度のことは誰にでも出来る! 貴様達が精進していないだけだ!!」

 そんな2人に説教をして、私は魔王城の方へと歩き始める。


 その間にも、メイド隊の面々が私へと攻撃を繰り出してくる。

 私は彼女らの攻撃をいなして、前へ前へと進む。


 魔王城へたどり着くまでには、彼女達全員は疲弊して、地面へと倒れ込んでいた。

 それだけ本気だったと言うことだろう。


 私は背よりも遥かに高い扉をくぐる前に立ち止まる。

「確かに……初代魔王様が息を吹き返して頂けるならば、これほど喜ばしいことはないだろう」

 彼女達の方へと向き、聞きたくもないであろう演説を勝手に始める。

「だがな……その代償として、三代目魔王様を差し出すことなど、出来るはずがない!」

 私も……少なくともここに来るまでは、何かを言うつもりはなかった。

 彼女達の気持ちに触発されたのだろう。

「なぜならーー」

 私はありったけの感情を込めて口にする。

「リリアーデと魔王様がイチャイチャしているところを見てられるかっ!!」

「「「「「「「「「「そこっ!?」」」」」」」」」」

 何を驚いているのだ? 十分、重要なことだろうに。


 それを告げた私は、二度と振り向くことなく魔王城へと入った。魔王様を助け出すぞっ!!

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