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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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魔王領の反乱に挑戦するよ

 会議室の窓ガラスを割り、表へと出た僕達は、空中でも斬り合い、撃ち合いを広げていく。

 地面が近づいてくると、彼は左腕を地面に向けて発砲。砂煙が立ち上ぼり、視界が悪くなる。

 僕は、そんな目眩ましに対抗するため、身体ごと回転。鋼鉄製の剣で風を起こし、煙を払う。

「『パレット』!」

 その最中でも、彼は攻撃の手を休めてくれないらしい。

「シッ!!」

 振り上げていた剣を上空へと振り下げ、魔弾を斬る。

 その後ろに連なっていたもう1つの弾丸はーー

「『時渡り』!」

 剣先を滑らせるようにして、弾丸の中心を突き、砕く。

 そのまま、彼の胸を突こうとするが、これを中断。地面間際なので、着地へと切り替える。

 さすがに3階から飛び降りているからね。頭から落ちれば、戦えなくなってしまう。

 彼も転がるように受け身を取り、僕との間合いをあける。

「……エクスカリバーじゃねぇのに、この強さかよ」

 立ち上がり、両手をヒラヒラ振りながら、軽口を開く2代目。

「これでも、かなりカツカツの状態なんだけどね」

 剣を構え直し、2代目の様子を探る。

 『アンリミテッド』状態の誰かと戦うのは、実のところ初めてだ。どんな能力があるのかも、詳しくは知らない。

「ならーー」

 再び口を開いた彼は、その瞬間に姿を消す。

「本気で殺り合えば、俺の勝ちは確実だなっ!!」

 上空からの声に反応して、重心を下げる。

「鎖っ!」

 足元から金色の鎖が延び、僕の右足を縛り上げる。

「しまっ「遅せぇ!」」

 僕が驚くのと同時に、弾丸が降り注がれる。

「『光陣(こうじん)』!」

 剣で上空に半円を描き、空気中で魔力の壁を形成する。簡易な盾だが、魔力の領によっては魔王君の『剛打』も防げるだろう。

 咄嗟に出現させたものの。2代目の放った弾丸は、光の壁に阻まれている。

「太刀っ!」

「っ!?」

 僕の右足を固定したまま、2代目の足元に鈍い光を放つ太刀が出現する。

 魔王七つ道具を複数出せるのか。実に厄介だ。

「『炎天円陣(えんてんえんじん)』!!」

 『光陣』に火属性を付与した、まさしく上位版の技だが、2代目の持つ太刀は、これを切り裂いてくる。

 僕は諦めて、太刀に沿って剣を滑らせる。

「『柳水(りゅうすい)』!」

「あぶねっ!?」

 相手の剣を反らしながら、こっちの剣を相手に当てるカウンターを繰り出す。

 が。2代目は、途中で太刀を蹴りつけて、半歩後ろへ跳ぶ。振り抜いた剣よりも後方へと移動したため、空振りで終わってしまった。

「『パレット』!」

「『光陣』!!」

 振り上げた剣を振り下ろし、光の壁で弾丸を防ぐ。

 光の壁を築いた剣を背中まで振り抜き、反らしたばかりの太刀へとぶつける。

 太刀は僕の剣により、半回転して上空へと鈍色の刃を向ける。ちょうど2代目を指しているかのような向きだ。

「お返しだ!」

 半回転した太刀を左足で蹴り上げ、2代目へと返す。

 肉薄する刃に対して、2代目は避けるそぶりを見せない。

「だから……遅せぇんだよ!!」

 いつの間にか、背後に移動していた彼は、大きな盾を横に振り始めていた。

「『シールドハンマー』!!!」

「ぐっ!!」

 持っていた剣を背中に回し、何とかガードするものの、見事に吹き飛ばされたしまう。右足を固定していた鎖は、その衝撃で断ち切れたようだ。剣も使い物にならなくなってしまったようだ。

「まだやるか? あぁ?」

「……もちろん。『魔法剣』」

 柄だけになった剣を地面へと捨て、魔力による剣を生成する。

 鉄の剣より幾分かマシ。その程度の強度しか持たない。

「……往生際が悪い野郎だな」

「魔王君を狙っていないなら、簡単に身を引くさ」

 今、魔王君が居なくなるのは、魔王領どころか大陸のピンチになるからね。

「そりゃ無理な相談だなっ!」

 言葉と同時に弾丸を放つ2代目。

 僕は、まっすぐ跳んでくる弾をしゃがんで避け、地面を這うように距離を詰めていく。

「『三段突き』!」

 2代目の喉元を狙うが、軽く後ろに下がられて回避される。

「おめぇのは、3じゃなくて9だろうがっ! 『ダブルパレット』!!」

「君のもっ!」

 放たれた4つの弾丸を魔法剣で切り裂いていく。

「2発でなく、4発じゃないか」

「残念!」

「っ!?」

 その声と同時に、背中から突き刺さるような痛みに襲われる。

 後ろを振り向けば、2代目の姿が。……瞬間移動でも出来るのだろうか。

「8発だ! 『アイスパレット』!!」

「『光陣』!」

 体ごと振り向いた僕は、剣を振り下ろし、三度光の壁を築く。

「何度言わせれば分かるんだ?」

 呆れたような声が、僕の後ろから聞こえてくる。目の前に居たはずの2代目は、一瞬のうちに消え去っていた。

「……今度は攻撃してこないのかい?」

「あぁ。そんな見え見えの罠に、誰が引っ掛かるんだよ」

 そんなに分かりやすかっただろうか?

「生身の人間が持つ魔力量じゃねぇぞ? お前」

「なるほど……うっかりしていたよ」

 2代目の言う通り。カウンターを狙うつもりで待っていたのだが、無意識のうちに魔力を高めすぎたようだ。

 反省しつつも、魔力を静めていく。

「ガスター! 引き上げますわよ!!」

 完全に落ち着いたところで、女性の声が響いてくる。

 どうやら、最悪の事態になったようだ。

「……続きは魔界でやってやるよ」

 2代目は、両手の銃で地面を撃ち、砂埃と共に姿を消してしまった。

ゴールデンウィークは、仕事三昧でした。

ということで、久々の更新。

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