表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
148/179

初めての反乱に挑戦!

「では、彼女が来るまでの間に出来ることを進めていこうか」

「出来ることって……何をするんだ?」

 聖女との通信を切った俺は、国王にそう言われ首をかしげる。

 門を潜れば10分足らずで到着できるんだが……人間によって、使用できる出来ないに分かれるらしい。

 聖女と国王は出来ないらしいから、どっちにしろ片方を待つ必要が出てくる。

「まぁ……ココだけの話だね」

 なんだそれ?


 疑問しか募らない俺は、国王の指示で部屋の四隅に拳サイズの石を置いていく。

 この石は、盗聴や盗撮を防ぐ役割を果たしてくれるらしい。ジャミング……だったかな? そんなようなもんだ。

「それで? ここまでの事をした上での話ってなんだよ?」

 国王は表情を強ばらせて口にする。

「……魔王領が分断されるかもしれない」

「……………………はぁ?」

 突然、何を言い出したんだ? このバカ王は?

「……ここ最近。オルちゃんの姿が見えないようだが?」

「あ……あぁ。ガスターが連れ回してると思うぞ?」

 俺が魔王城を出発してから戻って来るまでの間に、他のメイドさんから聞いた。クサリさんとは、まだ会話してないからな。

「なら……もう手遅れかもしれない」

 国王はどんどん表情を曇らせていく。

「手遅れ……って、そもそも、なんで分断されるんだよ? それにガスターが関連してるのか?」

 意味が分からず、俺はイライラしながら国王へと問う。確かに役立たずな人間だけど、仲間なんだ。それなのに、堂々と裏切るかもしれねぇ……なんて。

 その問いに、国王は真面目な顔をして(うなず)く。

「恐らく、彼が先導しているのだろう。……それだけじゃないのが、また厄介なところなのだがね」

「……全部、推測で言ってるのか?」

「………………あぁ」

 なんだよ……それ…………

「だが、可能性は十分にある」

 そんな可能性……

「何が動機なのかが分かれば、納得のいく説明が出来るんだがね……」

「納得いく、いかねぇの問題じゃねぇだろっ!?」

 俺はかっとなり、国王の胸ぐらを掴む。

「今がどういう状況かっ! 知ってるだろっ!!」

 そんな俺の手を外そうと、国王が俺の手を握る。

「あぁ。……だからこそだ」

 無理矢理、外された手を宙に浮かせたまま。俺は国王の言葉に耳を貸してやる。

「この戦争に乗じれば、魔王領を簡単に落とせる」

「魔王領を落としてどうするんだよ? 同じ領土を落とす必要なんか! どこにもねぇだろ?」

 怒りしか湧かない俺に、国王は言葉を紡いでくる。

「確かに分からない。彼……いや、彼らがなにをしたいのか。それさえハッキリすれば」


「ならハッキリさせてやるよ」


 国王の言葉が遮られ、その直後に壁が爆破される。

「っ!?」

「ガスター……」

 砂埃が舞っている中。

 その灰色の煙幕の中に居たのは、オルの手を握っている二代目魔王(ガスター)だった。


「おい、そこのバカ。悪いが、魔界に来て貰うぞ?」

 魔界? 今がどういう状況か分かって言っているのか?

「それは無理な相談だ」

 俺が返答に迷っていると、隣にいた国王が代弁をする。俺の意思はガン無視だ。

「……俺はそこのバカに聞いてるんだが? 化け物は引っ込んでろよ」

「おい、ガスター。今がどういう状況か分かってるのか?」

 俺は返答の代わりに質問を投げる。

「あぁ。今はなーー」


 ガスターは、自分の手の血管が浮き出るほど、オルの手を強く握りーー


「初代魔王を復活させるための下準備だろ?」


 と。答えた。


「『アンリミテッド』!」

 ガスターが言うと、オルの姿が煙のように消える。

「させないっ!」

 飛び掛かってきたガスターに対して、腰に下げていた剣で応戦する国王。

 2人はそのまま、斬り合いを続けながら、部屋の外へと出ていく。

「…………どういうことなんですか? シェリーさん」

 俺は部屋の外に居るシェリーさんへと問う。

 もう、何もかもが分からない。

 ……なんで、シェリーさんは……いや、シェリーさんだけじゃない。

「なんで……メイド隊の皆が…………臨戦態勢なんですかっ!?」

「魔王様……いいえ、棚部。貴方を拘束指せていただきます!」

 シェリーさんだけでなく、レムちゃんまで居る。他にも、鎌を持っているメイドに杖を持っているメイドもだ。

 ……共通しているのは、オルが全部出せるモノーー魔王七つ道具を持っているってことだ。

 ここに居る4人にクサリさんと太刀のメイドさん。それから、オル自身で七つ道具が全て揃うってことかよ。

「無駄な抵抗はしないでください」

「………………………………」


 俺は無言のまま。身体中の魔力を高めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ