表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
14/179

初めての大きな仕事に挑戦!

「その、やってほしいことってのは?」

現在、俺 棚部(たなべ) (りょう)は、国王と同盟交渉をしていた。俺から持ち掛けたのではなく、向こうから持ち掛けてきた話なので、何かあると聞いたら、お願いをされた。

『ペルン』の館のリビングで、テーブルをはさんで各領土のトップが会談していた。


真顔の国王が、かなりの間を空けて言い放つ。

「…………『勇者領』の領土を一部、落としてほしい。」

「「「「…………。」」」」

同じ部屋にいた4人が、「何言ってんだ、こいつ」って目で国王を見ていた。

ってか、そっちの二人までそんな目で見ちゃダメでしょ!


「ここに落としてほしい領土のリストがある。」

そういいながら、国王は、1束の紙を渡してくる。

「…………かなりの数あるけど、これを全部か?」

ざっと見て70くらいの領土が書かれている。

「『同盟』を組む前に力試しとして、1ヶ月で5ヶ所以上の領土を落としてほしい。」

「なぜですか?」

一緒に聞いていたクサリさんが、疑問を口にする。

「……理由を知りたいかい?」

さっきまでの国王とは思えないくらい、声のトーンが下がる。

「…………はい。」

緊張しながらも俺が、口にする。

すると、少し思案した国王は、3つの理由を口にした。


「一つは、君たち『魔王領』の力を知るため。一つは、私の領土管理では、現状の領土数は多すぎるため、そして、これが一番重要だが、」

あまりのために、ゴクリと、生唾を飲み込む。

「……『姫騎士領』に対抗するため……。」


ここで、簡単にこの世界につての説明をしようと思う。……俺の復習を兼ねてのものだ。

まず、この大陸は、たくさんの国に分かれている。そんなたくさんある中でも、特に大きな国が3つある。『勇者領』の本領でもある大国『アペンクス大国』。『魔王領』の本領でもある『デ・アモン国』(そんな名前だったんだ……)。『姫騎士領』の本領である『聖都フィノ・ベルン』。この3つと同盟だとか友好関係だとかでできた連合国のことを『領土』という単位で呼ぶ。この領土を3つの勢力のどこに属するかで例えば『魔王領』の『ペルン』なんて呼ばれ方をすることになる。そして、さっきも上げた3つの領土でせめぎあいが発生しているということだ。

『勇者領』、『魔王領』、『姫騎士領』。もともとは、『勇者領』と『魔王領』の二つだけだったが、『魔王領』の縮小と『勇者領』内部での『領土の分離』により、新興勢力として『姫騎士領』が誕生した。

現在のパワーバランスは、『勇者領』と『姫騎士領』が五分五分で、『魔王領』は、魔王城のある領土一つだけとなっていた。


……ここまでが、俺が召喚される前の状況。

そして、召喚されてから、『勇者領』の一つ『ペルン』が、弱小の『魔王領』に落とされた。

落とした領土も落としたタイミングもまずかったらしい。

領土のレベルは、『勇者領』の中でも中の下くらいで、新領主の様子を伺っているタイミングだったため『勇者』が派遣されていたらしい。

しかも、5千人の兵士をたった17人のメイドと魔王で倒したため、よけいに状況が悪くなったとか……。


「これを聞いた『姫騎士領』が、『魔王領』と同盟を結ぶ前にこちらが先に同盟を結ぼうと考えたわけさ。これが、3つ目の理由だ。」

理由は、分かったが、それでも腑に落ちない点がある。

「『姫騎士領』に直接同盟を結ぶことは、できないのか?」

「残念だけど、それは難しい。」

「『姫騎士領』は、もともと我々『勇者領』の領土であったのだけど、思想の違いにより、『領土の分離』を起こしたのよ。」

近衛兵の女性が、しぶしぶ自領のと『姫騎士領』との関係をいう。

「分離したなら、また元の戻せないのか?」

「どちらかの思想を変えなければ、元に戻ってもまた分離するだけだ。悪戯にそんなことをするよりも、『魔王領』と同盟を結んで少しでも脅威を減らした方が得だと思うんだ。」


「……ちょっとタイム。」

また、クサリさんを呼ぶ。勇者領の3人が、「またかい?」といった目線で見てくる。……そうだよ、まただよ。こうなったら何回でもとってやるよコンチクショー!!

「クサリさん。正直なところどうだと思いますか?」

「はい、魔王様。あれらも理由だとは思いますが、それ以外にもある可能性がございます。」

クサリさんも少し怪しいと思っているようだ。


「それと、俺らで最低でも7つは、領土を管理しなければなりませんが、その点は可能かな?」

「……正直、無理ではないかと思います。領土管理能力としては、あと2つか3つが限界でしょう。」

そう、領土が増えた場合はそれを管理するだけの能力がいる。頭数がそろっているならば問題ないだろうが、現状の『魔王領』では、メイド隊15人とクサリさん、それから俺の全員で17人。正直、2つでパンクしそうなくらいなんだから、さらに5つを1ヶ月で増やすとなると管理が難しい。

「……この同盟。けっちまうか?」

「私は、まだ、時期尚早だと思います。」

「よし!作戦会議終了で。」


「それで、同盟の件だけど、どうだろうか?」

余裕綽々(ようゆうしゃくしゃく)といったようすで問われる。

「……いい話だと思うが、無理だ。現状の魔王領では、領土7つの管理は、難しい。」

「……たかだか7つの領土を管理できないのかい?」

そんな安い挑発に乗ってたまるか!

「あぁ。管理できる人数が少ないんだよ。こっちは。」

「ふーん。それは困ったね。…………メイド隊では、管理できないのかい?」

俺は、国王の質問をクサリさんに目で問う。

「現状では、難しいです。管理できても2つか3つでしょう。」

「ということだ。」

クサリさんの説明を聞きながら、思案顔になった国王が、

「ならば、此処にいる二人を一時的に領土管理のため、貸そうじゃないか。」

…………。そんなに自分の領土を落とさせたいのか?

ただ、女性の方がヒステリックになっている。

「国王様!何をバカなことを、言うのですか!!」

「あれ?ブリッドは、管理学でも大変優秀だったときいたのだが?あれは、嘘だったのかな?」

「……いえ、主席で卒業したので間違いではないと思いますが、ですが!」

「なら、失敗を恐れているのかな?勇敢なブリッド君は?」

「…………分かりました!やってやりますよ!!領土の一つや二つ!このブリッドにかかれば、何てことありませんよ!!」

…………扱いがうますぎるだろ!国王!!

惚れ惚れするような説得だった。この場合は、彼女が、チョロいだけだろうが…………。

「……そっちのフードの方は?どうなの?」

正直、ここで領土を増やすより、確実に力をつけたいのでこの話は、断りたい。そのための突破口を探す。

「僕は、かまいません。」

…………どこかで聞いたことのある声だが、思い出せない。


「ところで、話が変わるのだが、魔王君は、昨日の戦争で勇者と戦い勝ったそうだが。」

丁度、今朝話していた内容だ、どうやら、勇者との戦いは、俺が勝ったらしい。だから、疑問に思ったことを聞いた。

「その戦いだが、俺は、気絶してあまり覚えていないから、詳しく知りたいんだけど?」

「あれを覚えていないだと!?」

フードの男が、驚いた様子で机を叩く。あまりの勢いに俺も驚く。

「やめないか、交渉の席だぞ。」

女性の方が止めにはいったらしぶしぶ、男が引き下がった。

「……すまない。」

「いや、少し驚いただけだ。それより、お前は、誰だ?」

俺の質問に対して、フードの男は、国王に小声でなにかを話している。

話が終わったのか、フードの男はその顔を見せた。まさか、2回も同じ相手から驚かされるとは、思っていなかった。

「あんなに激しい戦いだったのに、忘れてしまうなんて。」

「お前!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ