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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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久しぶりの姉貴に挑戦……!!

「モルモーっ!?」

 驚いた表情のまま、こげ茶色の床へと倒れていく。

 あまりのゆっくりさに、時間が止まろうとしているんじゃないかと思った。それこそ、夢でも見ているんじゃないかと。

「リン…………」

 突然、名前を呼ばれ、視線を姉貴へと向ける。

 しかし、モルモーの隣に居ると思った姉貴の姿は、そこにはなかった。


「呆けている場合じゃないだろう?」


「っ!?」

 視界の外から、ゆっくりと伸びてくる血塗られた太刀。亀よりも鈍い太刀を避けるなんて……いつもなら簡単なはずだ。


 だけど、今のあたしには避けられない。


 真っ赤に染まった刃は、ゆっくりと、確実に、あたしの首へと近づいてくる。


「『チェーンシールド』!!」


 あと数センチというところで、あたしと刃の間に金色の鎖が割り込んでくる。

「メイド……ちょう…………!」

 いつもと変わらない表情のメイド長。しかし、周りに(まと)っている空気は、何もしなくても身体を刺激してくる。

「アカネ……」

「ハハ……あぁー、怖い怖い」

 怒ったメイド長に対しても、飄々(ひょうひょう)と受け流す姉貴。

「私の部下に手を出しましたね……」

 床に倒れ、真っ赤な血を流すモルモー。それを見たメイド長は、更に魔力を上昇させる。

 この一年間。あたしも修行をしていたけど、そんな修業が無意味に思わされてしまう。

「あぁ……モルモーちゃん…………だったっけ? あたしが殺ったよ?」

 この場でただ一人、不気味に笑う姉貴。

 本当にどうしたっていうんだよ……!?


「…………リンさん」

「はい……!」

 あたしは、床に倒れたモルモーを拾い上げると、その部屋から逃げ出そうと入口へと走り込む。

「リン……お姉ちゃんを置いて、どこに行くの?」

 あたしの背中に刃を突き立てようとしてくる姉貴。


 しかし――

「私の目の前で殺らせません!」

 金色の鎖を伸ばし、姉貴の太刀を退ける。


 この場はメイド長に任せて、モルモーの手当てをしなければ……!

「しっかりしろよ! モルモー!!」




 リンさんがモルモーさんを担ぎ上げ、私の横を通り抜けるのを確認する。

「後は任せなさい」

 小さな声で呟き、目の前の女へと視線を向ける。


 怒りで我を忘れるな。常に冷静に。

「はぁー……ふぅー……」

 深呼吸をし、自分を落ち着かせる。

 一番最初に部下たちへと教える教訓を、自分自身にも与える。

「……さて、アカネ。最後に確認です」

 私は両手を砕くつもりで、力強く握りしめる。


「戻る気はないのですか……?」

 甘ったれた質問に、彼女は目を細めて応える。


――弱い奴らとは居られないんだよ――


 声が届くと同時に、斬りつけてくるアカネ。

「本当に――」


 ――残念です。


「「『アンリミテッド』!!!!!」」


 私は、体中を拘束している金色の鎖を解く。

 アカネは、太刀の血を蒸発させる。

 お互いが、本気の本気でぶつかり合う。


 初代魔王様は、このような未来を望まれていないはずだ。


 けれど、私は――


「私の大切な居場所を守るために! アカネ!! あなたを倒します!!!」

「いいぞ! クサリ!! 存分に殺し合おう!!!」

 鈍色(にびいろ)に光る太刀を横になぐアカネ。

「『チェーンシールド』!」

 床を突き抜けながら出現させた鎖により刃を防ぐ。

 防いだ鎖を軸に、回転をしながら再び太刀を振りぬくアカネ。戦っている私ですら、まるで妖精が踊っているかのような剣裁きに見とれてしまいそうだ。


「楽しいな! クサリ!!」


 無邪気に笑うアカネ。


「お前とは、本気で殺し合いがしたかったんだよ!!」


 言いながらも、的確に私の急所を狙ってくる。


「お前は戦いなんてって考えだろうけどな!!!」


 決して軽くない一撃を、金色の鎖で受け止める。


「あたしにとっては、生きることと殺し合いは!!!!」


 さすが『魔王七つ道具』の中で、一番の攻撃力を持つ太刀。

 ピンっと伸びて、彼女の攻撃を支えていた鎖が、あまりの力強さに弛んでしまう。


「同義なんだよっ!!!!!」

「くっ!?」

 強い!

「いつもいつも……妹だけが…………あたしの支えだったんだよ」

 声のトーンは下がったものの、攻撃の速度は変わらない。むしろ、余計な力が抜けたせいで速くなっている。私の鎖も、彼女の攻撃に遅れ始めている。


「それを……オマエが…………マオウガウバッテイクんダ!!!」

「っ!?」

 声の調子とともに、アカネの持っていた太刀が変化を始めた。


 アカネの左腕を飲み込んで成長した禍々しい太刀。


 彼女の左腕と太刀が同化しようとしている……!?

「リン……ドコ? ドコニイッタノ??」

 まるで母親を探す子供のように、手当たり次第に周りを切り刻んでいくアカネ。


 一歩間違えれば、私も彼女のようになっていたのでしょうね……

 だから――


「なにがあっても負けられません……!!」


 強い覚悟を胸に秘め、私は修行で編み出した次の段階へと踏み出す。


「『リ・バース』!!!」


 『限定解除(アンリミテッド)』を超えた私は、彼女(アカネ)を救うために『限界突破(リバース)』する!

 ちょっと空白を多めにしてみました。

 その分内容が……


 次回は、内容と空白の量をいい具合にしたいともいます!

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