今度こそ、魔王様を守り抜きます!
「分かりました。では、引き続き捜索をお願いします」
私が竜族の長に依頼をすると、10メートルを超えるの竜となり空へと飛び立っていった。
「メイド長……」
そして、振り替えれば不安で押し潰されそうな表情のメイド見習い達。
彼女らが採用されたのは、たった1ヶ月前のこと。
それなのに、いきなり仕える主人が行方不明になるとは……
「心配要りません。……それよりも、各自持ち場の清掃をしてください」
「メイド長……それ、1時間ほど前に終わらせましたよ」
「………………そうでしたか」
……どうやら冷静でないのは、私の方かもしれません。
「ならば、各自部屋で体を休めてください。ここが安全だとは言い切れませんが……私が居る限り、あなた達に怪我をさせることはないでしょう」
「…………はい。そうします」
彼女達も、なにかの役に立ちたかったのでしょう。肩を落として歩く後ろ姿は、不安と悔しさに震えています。
それにしても……本当に困った方です。
なによりも、魔力による探査が全く出来ないのが困ります!
初代様の時はまだ良かったです! あんな、化け物のような魔力。探ろうとしなくても勝手に割り込んでくるんですから!!
「はぁ~……」
無事……なのですよね? リョウ様。
「なぁ? クロノワール?」
『はい。なにようでございますか?』
俺は頭の後ろで両手を組んで、湖面のようにユラユラ揺れている葉っぱを眺めていた。
そして、ふと思ったことを口にする。
「このまま城下町を失踪しても、誰にも見付からないんじゃねぇかな?」
城下町の人達は、ほとんどの人が魔界へと避難している。
この、「ほとんど」ってのは、どうしても魔王の役に立ちたい! と、志願してくれた人達だ。
それでも、兵士ではなく、雑用係りとしてなんだけどな。
食料の調達や調理、怪我人の手当てとかが、この人達の役割だ。
そして、それらをしている場所は、魔王城であって、城下町ではない。つまり、もぬけの殻ってやつだ。
『そう……でしょうか?』
でも、クロノワールには引っ掛かるところがあるらしい。
『逃げ遅れも考えられますが、敵の伏兵も考えられます。もし、伏兵であれば……相当惨めな戦闘になると思いますが……』
「………………」
確かに、全裸でヌルヌルの状態は……嫌だな。敵でも味方でも。
「分かったよ。もう少し待つよ」
『申し訳ございませんが、そうしてください。あのゲス……ただじゃ済まさんぞ……!』
こりゃあ、服が届いても1波乱有りそうだなぁ~。




