成長したあたしが挑戦なの!!
「ふぅー」
ひとまず片付いたかな?
お爺ちゃんを倒した後。神界の兵士たちが撤退するまでの間。あたしは適当に『デュランダル』を振り回して相手をした。
ただ、ここまでずぅーーーーっと戦っていたから、魔力も体力も使いきっちゃった。
「お疲れさまです、カルラ様」
負傷した兵士達が、あたしの方へと歩いてくる。
「他の人たちは?」
「無事、避難所へとたどり着きました。あとは、私達だけです」
「さぁ、カルラ様。皆にも無事な姿を見せてあげてください」
「うん。分かったの」
兵士のおじさん達に頷いたあたしは、避難所として提供されている魔王城へと足を踏み出した。
その直後――
「カルラ様っ!!」
「きゃっ!?」
突然、あたしの後ろに居たおじさんが、背中を強く押してきたの。体力を消耗していたから、軽く押されただけで倒れてしまった。
「いたたたぁ……なにす……る…………」
起き上がりながら、おじさんの方へと顔を向けると……
「おじさん!!?」
背中をぱっくりと開いて地面に倒れ込むおじさんの姿があった。さっきまで普通にお喋りしていたのに……なんで…………。
「……外してしまいましたか」
「っ!?」
神界の兵士!? それにしても、魔力が多すぎるの。
「おじさんを殺したのは、アンタなのっ!?」
あたしが問うと、カリカリに痩せ細った長身の男は溜め息を吐き出した。
「えぇまぁ。本来ならば、君を殺すつもりだったのですが……まぁいいでしょう」
「…………」
まぁいいでしょう……?
「『デュランダル』!」
人一人殺しておいて……
「『フルプレートモード』!!」
そんな言い草……
「ふざけるんじゃないわよ!!!」
あたしの体が、白金の鎧に包まれたのと同時に地面を蹴る。
宙に浮いたあたしは、太剣をまっすぐ構えて体ごと回転する。
「『龍突』!!!!」
「『鎌鼬』」
無数の無色透明な刃とあたしの新技がぶつかり合う。
「ぐっ!」
しかし、あたしの魔力が劣っていたため、刃の壁に弾き飛ばされてしまった。さらに白金の鎧も消えてしまった。
本調子のあたしなら、なんの障害にもならない中級魔法なのに……!
「疲弊している君には悪いですが、これも我々の目的を達成するためですから」
『デュランダル』が当たれば一撃で死にそうな男は、あたしへと突き出した右手に魔力を注いでいく。
「死んでください」
淡々と告げられ、圧縮した空気の弾丸をあたしへと撃った。
「『ジャッジメント』!」
左側から轟音を響かせながら、見慣れた金色の槍が飛んでくる。
「あたしの娘を傷付ける奴等は、万死に値するわよ!」
「ママ……」
ビリビリに裂けたローブを着ているママの姿を見て、あたしは意識を失った。




