初めての完全敗北に挑戦!
「なぁ、どういうことか、説明してくれねぇかな? クロノワール?」
俺の隣にいるスレンダーな女性――クロノワールへと説明を求める。
「………………」
しかし、いつもは俺の言うことを進んで聞いてくれる(むしろ、進み過ぎて言ってないことまで実行しようとするけど)クロノワールは、この時ばかりは黙っていた。
俺の聞きたいことは2つ……3つだな。
一つ目は、家ごと爆破された俺は、そのあとどうなったのかだ。
こうして、クロノワールと話し……は、少ししか出来てねぇけど、姿は見えている。天国や地獄じゃないはずだ。つまり、死んでいない。
腕とか足が千切れるような感覚があったけど、それでも生きているわけだ。そう考えると、俺の生命力が人間離れしていると実感させられる。魔力も使いたい放題だし。
二つ目は、一つ目に関連するけど、ここはどこって単純なものだ。
これについても、クロノワールは黙秘権を行使している。ほんの少しだけの会話で、
「これ以上口を開きますと、ペロッと話してしまう可能性があるので口を押えておきます」
その発言を最後に、クロノワールは顔を青くしながらも口を両手で押さえている。
「……もしかして、呼吸できなくて気絶してたりしてな」
ははは。そんな訳……
気になった俺は、クロノワールの肩を軽く揺さぶってみる。
「……マジかよ」
忠義第一なクロノワールは、俺の想像通りに気絶してた。肩を揺らしただけで、バタンと倒れてしまった。通りで顔が青いわけだ。
気絶したクロノワールを横たわらせて、俺は一番気になっていることについて頭を捻り出した。
三つ目の質問であり、一番の疑問だ。
俺の体。今どうなってるの?
というのも、クロノワールの姿が見えているってのは、正確な表現じゃない。
この前の視察の時やデートの時なんかと違って、クロノワールが実体化? して、見えているわけじゃない。
俺の頭の中に『俺』がいる。だから、同じ頭の中にいるクロノワールが見えているってわけだ。分かり辛いかもしれねぇけど、これが一番しっくりくる表現だな。うん。
クロノワールに体を貸しているときと同じ感覚だから、俺が頭の中にいるのは間違いない。
俺の体を唯一使えるクロノワールは横にいるから、誰かが俺の体を使っている……と思う。
そして、こんな簡単な疑問も解決できない原因は、俺の体を見ることが出来ないからだ。
クロノワールと入れ替わっているときは、クロノワールの目を通して物を見たりすることが出来た。だから、出来るはずなんだが……。
今、俺の体を使っている誰かは、瞼を閉じたまま行動しているんだろうか。
「はぁ……」
誰か、俺の質問に答えてくれねぇかなぁ……。
サブタイトルがおかしい?
気にしない、気にしない(一休さん風)




