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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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再び、機械兵に挑戦!

「『(ごく)剛打(ごうだ)』!」

「『剛打』」

 俺の拳に合わせて、機械兵が拳を放ってくる。

 しかし向こうの拳は、俺の体をすり抜け、俺の拳をもろに喰らう。

 『暗黒の鎧』は、相手の攻撃をすり抜けさせるという特殊能力を兼ね備えてえる。おかげで、機械兵の攻撃は全然効かない。

 こっちの攻撃は防御すら、すり抜けるから常にクリティカルヒットだ。

 どんだけ強いんだよ、この技。

「どんどん、いくぜ! 『獄・剛打連拳(ごうだれんけん)』!!」

「ガード不可、回避優先」

 俺の拳に合わせるようにして、機械とは思えない軽やかなステップで全ての拳を回避される。

「ちっ! オル、た『はい!』ち……ありがとう…………」

 さっさと倒して、おやつタイムに入りたいオルは、俺が何を使いたいかを瞬時に察して、すぐさま出現させる。

 俺の右手には、散々呼んだが出てこなかった太刀が握られていた。

 ……こんなにあっさり出てくると、オルが意図的に妨害をしてたんじゃないかと疑っちまうな。

「よ、よし! いくぞ! 『猪突(ちょとつ)』!!」

 刀を突きだし、一気に距離を詰める。

「回避」

 これも防げないと思ったのか、鋭く突きだした一撃は、右足を軸に回転して簡単にかわされた。

「『火炎・剛脚』」

 さらに続けてカウンターだ。だけど今の俺なら問題

「いっ!?」

 がら空きの背中に重い一撃を喰らった。

 そのせいで、大きくバランスを崩して転ぶ俺。

「ど、どうなってんだ!?」

 さっきまですり抜けていた攻撃が、突然当たるようになった。

『推測ですが……』

 困惑している俺に、クロノワールの推察が頭の中で響く。

『恐らく、属性攻撃あるいは、魔法は防げないのかもしれません』

「……そういや、さっきから打撃ばっかりだったな」

 そうか。そこまで万能じゃねぇよな。いや、十分すげぇけどな。

「属性攻撃有効。魔法の行使・検証を開始する」

 向こうは向こうで1つ学習しちまったようだし……

「次で決めるぞ……!!」

 気合いを入れ直した俺は、魔法を詠唱し始めた機械兵へと距離を詰める。

「せいっ!」

 太刀を両手で持ち、横に大きく()ぐ。

 機械兵は、体を動かさずに後ろへと下がる。よく見れば、足元にはキャタピラが通ったような跡が残っている。

「それなら……これでどうだ! オル!!」

『『バインドチェーン』!』

 地面から金色の鎖を突きだし、機械兵の足を絡めとる。

 身動きはとれなくなったようだが、詠唱は継続している。

 かなり長い詠唱だから、発動されたときのダメージが酷そうだ。早急に片を付けねぇと……!

「『黒龍剣技(こくりゅうけんぎ)』!」

 俺は両手持ちのまま、太刀を上下左右に振る。

 デタラメに振っているような気分だけど、クロノワールから教えられた通りに、規則正しく体を動かしていく。

 『黒龍剣劇(こくりゅうけんげき)』の入門に当たる剣術だ。これを覚えるのにも、かなりの時間がかかった。今ではこうして出来るようになったけどな。

「回避不可。防御します……『硬』」

 両腕をクロスさせ、身体中の魔力を固める機械兵。

 元々の素材が鋼鉄だからか、太刀で斬った部分から火花が飛び散っている。

「これで……どうだ!!」

 最後の一刀を降り下ろし、機械兵を大きく吹き飛ばす。

 機械兵の体からは、ところどころ火花を散らしている。あと一息ってところだろうか。

「損傷率70パーセントを超えました。これより、逃亡を図ります」

 呟いた機械兵は、唐突に右腕を切り離した。

『魔王様、しゃがんで! 盾!!』

「えっ!?」

 いきなりの指示に戸惑いながらも、出現した盾に隠れるようにしゃがむ俺。

 その直後――


 空気を震わせるほどの凄まじい衝撃が、俺に襲い掛かった。




「結局、アイツは何をしてたんだろうな?」

 俺達は、機械兵の戦闘で荒れ地と化した地域に立っていた。

 あの爆発のあと、アンリミテッド状態を解除。その直後に逆らうことが出来ない程の眠気に襲われて気絶。

 起きたときには、俺達が借りている部屋で眠ってたわけだ。

 運んだのはクロノワール。俺の体を使って、オルと一緒に帰ってきてくれたみたいだ。

 そんで、事情を理解した俺とオルは、こうして戦った場所を訪れたわけ。

「う~ん……分かんない」

『魔方陣も消えておりますので、何をしたかったのかは全く分かりかねます』

 そりゃあ、オルもクロノワールも知らないよな。もちろん、俺も。

『ただ、こっちの手の内は、ある程度知られてしまいました。今後の戦闘に影響がなければ宜しいのですが……』

「そこは、しょうがねぇだろ? だいたい、全力を出して勝てるかどうかって所だったんだ。今回は撃退出来たけど、次も出来るとは限らねぇしな」

 もっと鍛えねぇとな。

「当面は、『黒龍剣劇』を独りで使えるようになることかな?」

『……それならば、ビシバシ指導しなければなりませんね』

 えっ?

 顔は見えないけど、頭の中で輝かしいキラキラしたクロノワールの姿が浮かんだ。

『特訓あるのみです!』

「そ、それよりも! 視察進めないとな!!」

 俺はなんとか誤魔化すように、大声を張り上げた。


 機械兵の行動は謎だが、ここでの視察は一通り、終わった。

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