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三代目魔王の挑戦  作者: シバトヨ
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初めての召喚に挑戦!

「さぁーて、宿題も終わったし、そろそろ寝るか」

これが、俺――――棚部(たなべ) (りょう)の日本で発した最後の言葉である。

そこそこの高校を卒業し、そこそこの大学に通っていて、アルバイトをしたり、友人たちと楽しい日々を送っていた。大学生になってから都会に進出し、初めての一人暮らしに胸を躍らせ、彼女いない歴 = 年齢の俺に彼女を作るぞ!と思っていたのに……。

まさか、日本で最後の言葉が、これになるとは思いもよらなかった。


――――――――――


目が覚めるとそこは、いつも見ている天井ではなかった。

むしろ、天井が無かった。

「うぅん……。…………?ここ、どこ??」

朝日が、大樹の葉の隙間から零れ落ち、顔を思いっきり照らされたことで、目が覚めた。

昨日は、確かに自分の部屋のベッドに寝たはずだ。

なのに何で、こんな大自然のど真ん中で寝てるんだ?まだ、夢の中なのか?

そう思ってほっぺたをつねるが、痛い……。どうやら現実のようだ。


今寝転んでいる場所は、日本の風景にないと思う。

少なくとも俺の記憶にこんな風景は、ない。そもそも、俺は、ソコソコの都会に一人暮らしをしていたから、ビル一つ見当たらないなんてことは、ないはずだ。

こんな、大樹がポツンとある草原なんかは、まったく記憶にない。


「お目覚めになられましたか。」


寝起き特有のけだるさの中、声が聞こえるほうを何とか向くと、女性が立っていた。

エプロンの白さと下地の紺色、頭の上には、いかにもメイドですと言わんばかりのフリルがついている。

髪は、黒に近い紺で耳にかかる程度のショートヘア。慎ましやか胸。細りと引き締まった体だ。

「あなたは?」

「はい。私は、メイドをしています。クサリと申します。クサリ・スクスです。」

「俺は、棚部 亮です。」


やっぱりメイドだった。

丁寧にお辞儀をされて、簡単な自己紹介をしてもらった。

「ここは、どこですか?見た感じ、日本のどこかではなさそうですけど?」

俺の疑問ももっともだと、理解のあるメイドが、そっけなく答える。

「ここは、ユーマキラ大陸でございます。」

まるで、『ユーラシア大陸』を彷彿とさせるそんな大陸の名前だが、まったく聞き覚えのない名前に、少しだけワクワクする。

普通ならパニックになる状況なんだろうが、日ごろからファンタジー系の本を好き好んで読んでいるために、憧れているものの一つに自分が選ばれたのではないかと、期待して次の質問をする。

「魔法ってありますか?」

「いきなり、魔法について聞かれますか?」

少し驚いた様子で聞き返された。まぁ、俺が落ち着いていることが、信じられないのだろうなぁ。


「魔法ですが、ございます。」

よっし!と小さくガッツポーズしちまった。

「それよりも、魔王様。今から移動したいと思いますが、いかがいたしますか?」

………………。

俺の聞き間違いだろうか?今、クサリさんの口から『魔王』って聞こえたんだけど……。

「魔王様?」

………………聞き間違いでなかった……。


「クサリさん?……俺って『勇者』じゃないんですか?」

「はぁ?何をおしゃっているのですか?」

「いやいや、異世界に召喚されたなら、『魔王を倒してください』とか、『この世界をお救いください』みたいな展開が待ってるもんじゃないんですか?」

「そんなことをおっしゃられても……。確かに、お救いいただきたい場所があり、魔王様を召喚いたしました。」

へぇっ?魔王なのに『救う』のか?

いったいどこを?よく分からない……。

「魔王様、移動してから詳しい説明をさせていただきます。この辺は、治安があまりよろしくないので。」


俺が返答に困っていると、

「待ちな!そこのお二人さん!!」

追い剥ぎのような連中に囲まれた。

「今持ってる金品を全部よこしな!!そしたら、命まではとらねぇでやるよ。」

テンプレな気がするが、気にしてる場合じゃない。

自慢じゃないが、殴り合いなんて人生で一度もしたことがない。


「クサリさん!何か囲まれちゃってますけど!?」

正直、めちゃくちゃ怖い!だって、全員ナイフ持ってるし!!

殴り合いなんか、一度もしたことないし!!!


「落ち着いてくださいませ、魔王様。この程度、メイドの私にお任せを。」

……すごく、落ち着いているんですね……。取り乱した自分が、すこし恥ずかしい…………。


「なんだぁ?女相手でも、容赦しねぇぞ!!コラァ!!!」

「情け・容赦の必要は、ございません。こちらでいたしますので。」

「なめんじゃねぇぞ!やっちまえ!!」

リーダー格の一声で、追い剥ぎ達が一斉にクサリさんに襲ってきた!!

「危な 「バインドチェーン!」 い…………。」

クサリさんの声と共に、地面から金色の鎖が、追い剥ぎどもを拘束した。

「クロス!!」

止めを指すような声で言うと、人間十字架が6個もできていた。あまりの出来事にすこし驚いた。

メイドさんって、強いんだね…………。


「おまえは、まさか!」

「私は、魔王様直属メイド部隊・メイド長クサリ=スクスです。」

…………メイド部隊って何?

オマケにクサリさんってメイド長だったの。


「魔王様。この者達は、いかがなされますか?」

うーん、どうしよ?別に危害があった訳じゃないし。

「放置でいいんじゃないかな。」

「では、このまま此処に置いていきます。」

追い剥ぎ達がガミガミ煩いけど、まぁいいか。

それよりも、

「ところで、クサリさん。今のが魔法?」

「いいえ。今のは、魔法ではなく、私の所持する『魔王七つ道具』でございます。」

「『魔王七つ道具』?」

「詳しい説明は、後程します。まずは、移動しましょう。」


確かに、また追い剥ぎみたいなのが来たら、面倒だしな。特にクサリさんが…………。

俺は、今後どうなっていくのか、不安ながらもクサリさんの後をついていった。

はじめまして。シバトヨです。処女作品ですので、誤字脱字などがありましたら、遠慮はしなくていいですが、やさしく指摘してほしいです。不定期で更新していきますが、ある程度、まとめて更新していきたいと思います。感想もいただけると嬉しいです。

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