ごばんめ、未知にさ
さっきの根っこを束にしたような目の前にいるそれは、一見、ただの植物のようだが、落ち着いてみると、所謂、正気度が削れるような姿をした生き物だった。
しかし、正気度の元ネタの知識を齧る程度だが知るぼくは、それの姿がそのネタの
者ではないことを把握している。
吊るされるようにぼくはそれと対峙する、正直手が痛い。
「dkdkhんlkさkflじぇぬ?」
「じぇぬ?」
「……」
キラキラする根を揺らし、それは何かぼくに問うてきた。
ただ、やはりそれの言語は理解できなかった。
「……fds、gjくlfふあいうぇに;v」
雑音を発するラジオのようにそれは喋り続ける。
当然、ぼくは理解できない。
ふとぼくは思った。
こいつは、最近よくニュースで出てくる魔物ではないか、と
そう思考した途端、ぼくは恐怖を感じた。
魔物は、当然のように人を襲うようだが、さらに喰うこともあるという。
震えるぼくに気付いたのか、それはまた喋る。
「fkdvbぁ?fdvklkvsばぅkぁsbvぁgぶv…」
そして、今度は根をぼくを支えるように伸ばしてきた。
ようやく手首の負担から解放されたぼくだが、状況的に落ち着いていられない。
「fsd区bvぇsqkf…」
相変わらずそれは喋り続ける。
逃げようにも、どうやらここは、この魔物が作り出した空間のようだ、逃げることは難しいという以前に、反抗したらどうなるか分かったもんじゃない。
「…?」
よく見ると、それの頭部とみられるところを理解できた。
さっきからぼくを見つめていると見られる黒い瞳と雑音を発する霞んだ口。
髪のように根がそこを中心に伸びている。
首をかしげるそれ。
通じてないことに気付いたのだろうか、さっきから黙り込んでいるぼくに疑問を持ったのか
分からないが、ぼくはどうしてもそれに言いたいことがある。
「何言ってるのか分かりません…」