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時の旅人 ~タイム・リープ~  作者: 点城島 玲
1/1

ハジマリ 其の壱

2032年3月2日、この日、転校生が来た。

 豁神村、人口は1900人弱の小さな村。この村には、昔から伝わる言い伝えがある、それは・・・。『間実瑠家の女子は、皆時を繰り返す力を持っている。』というものだ。

 2032年3月2日、豁神村立豁神学校。

 ガラリッ、という音を立てながら扉が開く。

 「おはよー。」

 「センセー、おはようございます。」

 すると、髪の長い女の子が皆に号令をかけた。

 「起立、礼。」

 「おはようございます。」

 『おはようございます。』

 「はい、おはようございます。」

 「着席。」

 「えーと、皆さん。突然ですが、今日から転校生が来ます。」

 「利希君、入ってー。」

 クラスがざわめいている。転校生はそんなに珍しいのだろうか。

 そして、黒板に自分の名前が書かれていく。

 「えーと、豁神利希(かつがみとしき)です。趣味は、読書と釣りです。よろしくお願いします。」

 そもそも、僕が転校してきた理由は前の学校でのトラブルが原因だった。前の学校、それは国立の進学校で、特進クラスという特別クラスがあった。

 僕はその中でも、特に成績が良かったため特進クラスの委員長を勤めていた。

 しかし、中学3年の1月。僕は親や教師からの態度に耐え切れなくなった。

 勉強しても誰も見てくれない、いい点をとっても、悪い点をとっても、いつも反応は一緒。そんな中で、僕の中にある考えが芽生え始めていた。

それは、犯罪を犯せばみんなが振り向く、という単純な考えだった。でも、僕はそれを実行に移した。

そして、ここに至る。

 「・・神さん、か・・神さん、豁神さん?」

 「はっ、はい。」

 「どうかしましたか?」

 「い、いえ。なんでもありません。」

 先生は、空いている席を指差してこう言った。

 「そうですか、では豁神さんはあそこの空いてる席に。」

 その席は、このクラスの委員長と思われる髪の長い女の子の右隣の席だった。

 そして、放課後。

 「ねぇ、利希?利希ってば・・・。」

 誰だ、人のことを呼び捨てにするような奴は。・・・それはあの髪の長い女の子だった。

 「私は、津上佐津子(つがみさつこ)。中学3年。よろしく。」

 彼女は頼んでもいないのに自己紹介をしてきた。

 「こちらこそ、よろしく。」

 言い終わると、横から人が現れた。

 (髪が短く、高校生くらいの・・・。ん?高校生・・・高校生?)

 「ちょっと、サッちゃん。抜けがけはダメって言ったよねぇ?」

 「ごめん、ごめん。」

 「謝って、済むとでも?」 

 「その通りですぅ。」

 「ほんとですわ。」

 僕を置いて話が進んでいる。

 「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺を置いて話を進めないでくれ。」

 「あっ、ゴメンネ。私は、里咲真里(さとざきまり)。高校1年。よろしくね。」

 「凛はぁ、間実瑠凛(まみるりん)なのぉ。小学6年生ぃ。よろしくぅ。」

 「わたくしは、立浪友香(たつなみともか)ですわ。小学6年。よろしくですわ。」

 個性的なメンバーが多いらしい。

 「ところで、利希君・・だっけ?どうして今頃になって転校してきたの?」

 「そ・・それは。」

 「こら、サッちゃん。そういうことは聞かないの。」

 「はーい。」

 「そうですわよ、佐津子さんはデリカシーに欠けてますわ。」

 「そろそろ、帰りなさいよー。」

 『はーい。』

 その帰り道、

 「今度、利希君の歓迎会やろっか。」

 「うわぁ、マジで?ありがとう。」

 「ところでさ、利希君は間実瑠家の秘密知ってる?」

 「凛ちゃん家の秘密?」

 「そう。」

 「いや、知らないよ。」

 「今日時間ある?」

 「あぁ。」

 「じゃあ、近くの喫茶店に行こっか。」

 喫茶店に入るとそこには、楽園が広がっていた。

 「じゃあ、話すね?」

 「お、おう。」

 「昔、まだ戦時中の話。この村には、ある掟があった。それは、『この村の村人は決してこの村を離れ  てはならない。』というもの。」

 「そして、『間実瑠家の女子には近づかないこと。』。」

 「ひでぇ、何で間実瑠家が?」

 「それはね、間実瑠家には時を操る能力があると思われているせいなんだよ。」

 「時を・・・操る?」

 僕は、息を飲んだ。その話は、この村の言い伝えであって本当のことではないと思っていた、それをこんな形で崩されたことがとても悔しかった。

 「そう、詳しいことは知らないけれどね。」

 「こんなところで、何を話してるのかな?」

 「大山さん、どうして今の季節に?」

 (誰だ?この人は。)

 「こんにちわ、僕は大山龍(おおやまたつ)。フリーライターやってます。」

 「俺は、豁神利希です。」

 「利希君、私ちょっとお手洗いに行ってくるね?」

 そして、真里が席を外したあと、大山さんが言った。

 「君は、この村になぜ来たのかな?」

 「えっ?」

 「あのね、おふざけのつもりで来たんなら、すぐに出てったほうがいい。」

 「どういうことですか?」

 「君はいずれ知ることになるだろうね。この村の本当の姿を。」

 僕は、鳥肌が立った。

 「おまたせー、利希君。」

 「じゃあ、僕はお二人の邪魔にならない内に。」

 「じゃあね。」

 「大山さん、今年の豁神祭も来ますか?」

 「うん、もちろん。」

 その時の真里の顔が笑っているように見えたのは気のせいだと思う。

 そして、2032年9月10日。豁神祭の夜。

 「今日は、1年で特に盛り上がる日だよ。」

 「利希君は今年が初めてだからね。案内してあげるよ。」

 「そうですわね。」

 「レッツゴー、ですぅ。」

 「やぁやぁ、元気だねぇ。」

 「あっ、あなたは。大山さん。」

 「そういうあなたは、利希君。」

 「こんばんわ、大山さん。」

 この瞬間、皆の視線がとても冷たく感じた。

 そして、9月11日。家の前に一台のパトカーが止まっていた。

 「こんにちわぁ、豁神さん。」

 「こんにちわ。」

 この人は、警視庁の成海武(なるみたけし)

 「ちょっと、お話があるのでお時間よろしいですか?」

 「はい。」

 そして、利希はパトカーに乗せられた。

 「豁神さん、唐突ですが、豁神祭の夜に大山さんと会ってましたか?」

 「はい、でもそれが何か?」

 「いえねぇ、その大山さん殺されちゃったんですよ。」

 「えっ?・・・大山さんてあの大山さんですよね?」

 「はい、あの大山さんです。」

 「なぜですか?なぜあの人が?」

 「さぁ?」

 「さぁ?って・・・。」

 「でもね、大山さんのメモ帳からあることが解ったんですよ。」

 「あること?」

 「はい、それは・・・、この大山さんの事件を「壱の事」として、終わりは「七の事」ってことなんで  すよ。」

 「それってつまり・・・。」

 「はい、あと6人が殺されるらしいんですよ。」

 6人か、多いなぁ。

 「わかりました、解いてみましょう。」

 すると、利希は瞑想をし始めた。・・・そう、彼にも時を操る力があった。

 「次の犠牲者は、中町鐸(なかまちたく)。急げ、手遅れになるぞ。」

 「中町ですか。ってことは、病院ですね。」

 20分後、豁神総合病院。

 「先生?センセーーー。」

 『ウー、ウー。』

 サイレンの音が鳴り響く。

 「くそ、手遅れだったか。」

 「次の犠牲者は、明日の午後3時に真里。」

 「なんですって、真里さんが?」

 理由はわからないが、成海はとても驚いていた。

 「分かりました、明日真里さんに一人護衛役をつけさせます。」

 「よろしくお願いします。」

 3日後、3番目の真里は救えた、4番目から6番目までも難なく救えた。

 「最後の犠牲者は、間実瑠凛・・・、既に手遅れだ。」

 すると、成海に異変が起き始めた。

 「うっ、痛い。頭がァー、なんだこれは?」

 「この現象、まさか・・・。」

 次の瞬間、利希は学校にいた。

 その頃、間実瑠家では・・・。

 「また・・・、繰り返されるのね・・。」

 蒸し暑い、今日は何月何日だ?

 「おい、真里?今日は何月何日だ?」

 「えっと、今日は9月3日だけど、どうしたの?」

 「暑さで頭がやられましたの?」

 「そうかもなぁ。」

 と、いうことは。まだ、運命は決まっていない。

 「おはようですぅ、みんな。」

 「おはよう、凛ちゃん。」

 凛ちゃん、なんかつまらなそうだった。

 「どうしたんでございますの?」

 「いえ、どうもしないですぅ。」

 「私が何かつまらなさそうに見えるのだとしたら、それは・・・。」

 凛ちゃんの雰囲気が変わった。

 「それは・・・?」

 「それは、決められた運命に興味が持てないとことが原因だと思うわ。」

 一体凛ちゃんは、何を言ってるんだ?

 間実瑠家のことは、ただの言い伝えだし。僕のことは話してないし。

 まさか・・・、間実瑠家は本当に時を・・・?

 もしかして、言い伝えは本当なんじゃ?

 

 

 

 

 

 

  

 


結構、自信作です。

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