表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/67

第67話 対 混沌 戦 Final

「7つ目の大罪……"グラト・フィアスゴッド"」


これは"暴食の鬼神"。


「高ぶる鬼神は、あらゆるものを喰らい尽くす」


響介は己の懐から鬼の面を取り出した。


「ここから先は……何も無い世界でやろうか」


「な、何を言っている?」


鬼の面を空高く投げる。


すると鬼の面が赤く輝き、巨大化した。


「ただ、お前を消し飛ばすだけさ……鬼神を呼び出してなぁ……」


鬼の面から骨が生えてくる。


その骨は人と同じ骨格を形作っていく。


その骨格を守るように赤い武士の鎧が現れた。


大きさは山よりも大きい。


『グォォオ!!』


「ひぃっ!? こいつは!?」


「お前が俺の中で垣間見た"化け物"の使い魔の元さ。……相当強いからな」


「あ……あぁ……」


混沌は更に恐怖する。


「……安心しろ、死ぬわけじゃないからな」


「あ……うぁ……」


「恐怖のあまり、耳に届いていないか………鬼神」


『グルゥ!!』


「……奴を喰え」


『グォォォオ!!』


「うわぁぁぁぁぁぁぁあ!!」


鬼神は口を開き、混沌に近づく。


混沌は"憤怒の拘束"は解除されたが、"悲嘆の孤立"により逃げる事が出来ずにただ、悲鳴を上げた。


そして鬼神は……


『ガブッ!!』


"悲嘆の孤立"ごと喰った。


そして鬼神は消えていった。


その場には響介のみが残る。


響介は自分の面を外して、『殺戮』を解除した。


「主!!」


「響介!!」


「響ちゃん!!」


「……響介」


水姫、アラディア、柚希、華音が彼の元へ近寄る。


「すまねぇ……しばらく戻れそうにもないや」


響介の体が輝き出した。


足元から光の粒が沸き上がり、体が薄くなっていく。


「戻ってくるん……だよね? 響ちゃん」


「あぁ、それについては約束する」


「なら……待ってるね?」


「……お待ちしちゃっております」


「ウィルと一緒に待ってるわよ」


「………早く帰ってきてね」


「おぅ。……それじゃあな」


響介はそう言って、その場から消えた。


これで退魔陰陽連合軍との戦いが幕を引いた。


幻想郷に全く被害は無く、大半の者達はこの出来事に気づく事が無かった。


あの鬼神は山より大きく、誰かが気づくと思うが、実はあらゆるステルスが張られていた。


さらに夜で月は月食で光が全然無かったのだ。


なので気づく事は無かった。


だが、一人だけ気づいていた者がいる。


「……ふぅ。これで滅ぶ事は無い。流石、響介ね」


空に居るのは紫色の服を着た金髪の女性……そう、紫だ。


空高い場所に紫がスキマに腰掛けている。


彼女はこの戦いの一部始終を見届けていたのだ。


「響介は……死んだのかしら? それとも…………いや、時が経てばわかるわよね。戻るとしましょう」


紫はスキマの中へと入っていった。


混沌は死んだわけでは無く、別世界に飛ばされたのだ。


真の決着はついていない。


ここから先は"暴食の鬼神"に喰われた混沌が飛ばされた世界の話。











周囲には闇のみが広がる空間の中に混沌が漂っていた。


「うっ……こ、ここは……? どこだ……?」


『ここは……無の世界。宇宙が存在する前から存在する空間さ』


その空間の中に響介が浮いている。


外したはずの『殺戮』と仮面を装着していた。


『……外界との接点は"悲嘆の孤立"よりも絶たれている』


「俺をどうするつもりだ……?」


『無の世界にて無に()すのさ。無の世界に魂の輪廻は存在しない。……つまり、真の意味で無くなるのさ』


「……て、転生も出来ないのか?」


『……存在すら無かった事になる。転生も何もあったもんじゃないさ』


「そ……そんな……」


『それじゃ……最後の負の衝動で葬ってやるよ』


「……き、消えたくないぃ……」


『これで最後だ…………3つ目の負の衝動……"ディスペア・ロンド"』


これは"絶望の輪舞"。


『絶望の中で無に帰す間、輪舞するがいい』


混沌の周囲に光の球が浮遊しだした。


数は7つ。


『暴食、嫉妬、強欲、傲慢、憤怒、色欲、怠惰………今までの大罪を全て……一度に受けてみろ』


「い、嫌だぁぁあ!!」


混沌は無の空間を移動し始めた。


光の球から逃げるように走り出す。


空間に浮いてるはずだが、走るように足を動かすと光の球から混沌が離れていく。


『逃げ切れると思うなよ………行け』


「こっちへ来るなぁ!!」


混沌は逃げる。


その混沌を追うように光の球が円を描きながら動く。


『囲め』


そう響介が言い放つと光の球は加速して混沌を取り囲む。


「うわぁっ!!」


『大罪の球よ。悪魔の姿となれ』


7つの球は形を変えていく。


暴食は……ハエの羽を生やし、全身を黒き鎧に身を包んだ男形悪魔……ベルゼバブに。


嫉妬は……硬き鱗の肌と鋭き爪を持ち、周囲に水を漂わせる男形悪魔……レヴィアタンに。


強欲は……多くの豪華絢爛な物を身につけ、背中から黒いカラスの翼を生やす女形悪魔……マモンに。


傲慢は……大きな黒き翼と白き翼を持ち、巨大な弓を持つ女形悪魔……ルシファーに。


憤怒は……長い角を頭から生やし、巨大な武器を多く携えている男形悪魔……サタンに。


色欲は……蛇の尾を生やして、軍旗と槍を持って巨大な竜に跨がっている女形悪魔……アスモデウスに。


怠惰は……牛の尾と捻れた角を生やしてる妖艶な女形悪魔……ヴェルフェゴールに。


それぞれ姿を変えた。


「あ、悪魔!?」


『大罪の悪魔達さ……これから、お前を大罪を以って無に帰す!!』


その声と同時に大罪の悪魔達は力を溜めながら混沌に近づいていく。


『この状況で……お前は何を見る?』


「ぜ、"絶望"と"無"しかねぇよ!!」


『一応、その中に"地獄"を付け加えておけよ……絶望に浸りながら地獄のような苦しみを経て、無になるんだからな』


「う……うわぁ!!」


大罪の悪魔達はカゴメカゴメのように混沌を囲んだ。


『逃げ場など無い……刹那に散れ!!』


混沌の周りを回り始めた大罪の悪魔達。


彼らは少しずつ力を解き放っていく。


バリアのような物がそれぞれ展開され、徐々に大きくなっている。


逃げられない混沌にバリアが触れた。


「がぁっ!!」


触れただけで苦しそうな表情を浮かべる。


少しずつバリアの触れる部分が増えていくと、混沌の受ける痛みも増えていく。


「あぁぁぁぁぁぁあ!!」


『大罪に押し潰されろ……』


『怠惰はお前の身体を疲弊させ』


『色欲はお前の精神を混濁させ』


『傲慢はお前の思考を汚し』


『強欲はお前の心を堕とし』


『嫉妬はお前の身体を焼き』


『憤怒はお前の頭脳を焼滅させ』


『暴食はお前の魂を喰らい尽くす』


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!」


混沌は断末魔を上げた直後、一瞬で消し飛ばされた。


大罪に押し潰され、無へと帰したのだ。


それを見届けた悪魔達はゆっくりと消えていった。


本当の決着だ。


『これで決着か………』


無の空間に残された響介は『殺戮』と仮面を消して、空間を見渡す。


『……さて、頑張ってこの空間から出ようか』


響介は力を溜めて、幻想郷への道を作り始めた。


すると無の空間に門が現れて開く。


『無事に帰れるといいがな……』


響介は開いた門の中へ入っていった。







響介編END



響介編完結!!


次話からは戦い要素が少なめな章になりますよー。



ちなみに生活録はAGEみたいな感じで話が進む予定です。


……簡単に言えば響介達は、まだ出るのです。


新主人公達と如何に絡むかはお楽しみに!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ