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第63話 対 混沌 戦 Ⅱ

「魂斬『マブイエグリ』!!」


響介は左手で日本刀を持ち、独特の構えをする。


右手で混沌の前に円を描く。


すると巨大な紋様が現れる。


「混沌。利柊から出ていくがいい」


『な、なにをする気だぁ!?』


「魂から貴様を切り離す。手加減無しでな」


響介は刀を紋様の中心に突き刺した。


刃は紋様の中へ沈んでいく。


そしてある程度沈むと、


『……!?』


混沌は声にならない悲鳴を上げた。


刃が魂に突き刺さったのだ。


「魂に刃が刺さって声もあげられないか………しばらく苦しむがいいさ」


響介は日本刀を紋様の中へ刀を押し込むと、混沌がさらに苦しむ。


「……苦しそう」


「魂をえぐってるからな。かなり痛い」


「……利柊君は大丈夫かな……?」


「今は混沌が半分以上締めてるから、大丈夫だろ」


華音と会話しながら、刀をゆっくり動かしていく。


様々な方向に刃を動かして、混沌を切り離す行程を進めていった。


その行程が進んでいくにつれ、混沌の皮膚が揺らぎ始める。


だが、揺らぐと同時に……


ブシュ!!


紋様から吹き出してきた黒い液体が響介にかかった。


「……黒い血?」


「いや。この液体は魂の暗黒部分。……簡単に言えば混沌そのものさ」


刀を動かすたびに黒い液体を浴びるが、響介は黒い液体を浴びても嫌がる様子を見せず、作業を続ける。


「……あと少し」


混沌の皮膚は消え、利柊の姿が戻ってきた。


魂の切り離しがもう終わる証拠だ。


「切除完了」


響介は紋様から刀を引き抜き、混沌から解放された利柊に背中を向ける。


マブイエグリを終えた彼は全身の殆どを黒い液体に染めていた。


「さて……次は」


『次なんてないぜぇ!!』


「……ん? 何故だ?」


『貴様の体をいただくからだ!! これだけ俺の体液が貴様の体についていれば奪う事なぞ簡単!!』


「ならやればいい。奪えるものならな」


響介は地面に座り、足元に拳を撃ち込む。


そして精神を高め始めた。


『響介覚悟ぉ!!』


「…………」


混沌は響介の体を奪う為にうごめきはじめる。


黒い液体が皮膚を動きまわり、響介の精神を蝕む。


しかし響介は精神統一で精神を蝕む混沌と戦う。


外からでは何が起きているかわからない戦いだ。


響介の精神力が勝つか、混沌の侵食力が勝つか。


『グゥゥゥ!!』


「…………!!」


互いに一歩も引かず、ぶつかり合う。


このまま、二人のぶつかりあいが続くかと思われたが状況が動いた。


『う、うわぁっ!?』


混沌が響介の体から離れたのだ。


恐怖に歪んだ声を上げて。


「……どうした? 奪うんじゃなかったのか?」


『お前!! あんな見た事もない化け物を中に宿らせていたのか!?』


「妖獣の銀狼、魔物の黒龍、天使の天星、鳳凰……全部、伝承とかに実在するだろ?」


『嘘をつくな!! お前の中に"もう一体"いたぞ!?』


混沌は怯えていた。


かなり強力な化け物だったのだろう。


「ほぅ。"アレ"を見たとは………相当頑張ったな」


『お前と一緒になれるか!! あの化け物に喰われる!!』


「じゃあどうするんだ? もうお前には時間がないぞ?」


『仕方ない……俺は自らを作り出す!!』


混沌は自らの黒い液体を集めて人を形作っていく。


「あと30分………それで貴様は終わりだ」


『何を言っている!? その前にお前が終わるんだよ!!』


「まぁやろうか……来い!! 『業火』!!」


響介は業火を纏い、混沌へと向かう。


『やってやるぜぇ!!』


混沌も響介へと向かっていく。

「よっ……」


『なっ!?』


二人が接触するかと思われた瞬間、響介は後ろへ飛んだ。


混沌は不意をつかれ、転びそうになる。


響介はその両肩を掴み、自ら背中から倒れていく。


「巴投げ!!」


『ぐぅっ!!』


倒れながら蹴飛ばすと混沌は高く打ち上げられた。


「……『刹那』。規格外照射型攻撃兵装『ヴァルキリー・ストライカー』」


それを追撃するように刹那へと換装し、ヴァルキリー・ストライカーを放つ。


『ふんっ!! "霧散"』


混沌は体を霧のようにして、その追撃を避けて集合して元に戻った。


「……遠隔操作武装で敵を追い詰める技術、使ってみるか」


響介は刹那を解除して新たな形態を纏う。


両肩に巨大な円盤を付け、小型のライフルを持った姿へと変わった。


「全方位特殊戦専用装備『乱舞』……乱れ舞って、落ちてくれ! 行け、『ランサービット』!!」


そう響介が叫ぶと肩の円盤が6つずつ、計12個に分離。


分離した物は槍の先端のような形をしていて『ランサービット』と呼ばれている。


ランサービットは方向転換しながら混沌へと向かい、取り囲む。


『なんだこいつは?』


「一斉発射!!」


ランサービットの先端から細い光線が照射された。


『がぁっ!?』


霧散しなかった混沌は、その攻撃が当たる。


「『フォーメーション・R』!」


響介は右手を振った。


すると照射をやめて、響介の周囲に漂う。


『ぐぅっ……おらぁ!!』


混沌は黒い光線を放った。


「防ぐ! 『フォーメーション・DH』」


響介は腕を交差させ、ランサービットを移動させる。


6つのランサービットは刃を内側に向けて合体。


分離前の状態を作り、響介の前に浮遊した。


響介の盾になるのだ。


「『フォーメーション・BH』で待機!」


その盾の裏で残りの6つを別の陣形で待機させる。


槍の先端を外側にして合体した。


盾とは逆の形態だ。


『た、盾だとぉ!?』


「盾だけだと思うなよ? GO!」


盾を作っていたランサービットは分離し、混沌へ向かう。


混沌の周りを高速で飛び回っている。


「くらえ! "アクセル・シュート"!」


フォーメーション・BHで待機していたランサービットは回転し始めた。


その中心に小型ライフルの銃口の標準を合わせる。


「……シュート!」


響介が引き金を引くと、エネルギー弾が放たれた。


BHの中に入ると急加速して、混沌へ向かう。


『防げるさ!』


「リフレクション!」


響介は混沌の周りを飛ぶランサービットを操る。


するとアクセル・シュートが一つのビットに直撃した。


そこから反射し、別の方向へ飛ぶ。


その先にはビットがあり、反射する。


その行程を繰り返していく。


混沌の周りをエネルギー弾が飛び回る状況になった。


『どこから来やがる!!』


「まだ行く! "アクセル・シュート"連射!」


響介は混沌の周囲に連続で射撃を放つ。


その射撃はリフレクションの中へ入り、さらにエネルギー弾が飛び交う。


混沌は檻に閉じ込められたような状態になる。


「行け! 頼んだ!」


『がぁっ!?』


響介の掛け声と共に飛び交うエネルギー弾が混沌を襲った。


全方位からの加速弾を喰らった混沌は全身がボロボロになっている。


「もう終わりか? 弱いな」


『まだだ!! 俺はまだ終わらないぞぉ!!』


混沌は形を崩して液体となった。


そして地面へ染み込む。


「……あ、逃げた」


「奴はどこだ!?」


華音と響介は混沌を捉える為に周囲を見渡す。


だが、見当たらない。


「響ちゃん。こっちは大体終わったよー?」


そこへ神代柚希が響介の元へ歩いてきた。


響介は何かに気がついたような表情を浮かべて叫ぶ。


「……!? 柚希ねぇ!! 危ない!!」


「え? ……きゃっ!?」


神代柚希の足元から黒い液体が湧いてきたのだ。


その黒い液体はジワジワと彼女の体を侵食していく。


柚希は膝を折り、屈み込む。


「な、何これ!? こ、心が……」


「柚希ねぇ!! そいつが連合軍の黒幕だ!!」


「こ、こいつが……?」


『山姫、神代柚希の体を頂く!! こいつは利柊よりも強いからきっと使えるぜ!!』


「あんなに張り付いてたら、剥がそうにも……」


「響ちゃん……こいつを、倒して? 私はどうなってもいいから………」


柚希は笑顔で涙を流しながら響介に言った。


「柚希ねぇ!!」


「頑張って………響ちゃ………」


黒い液体が柚希の体に染み込んでいく。


混沌が彼女の体を乗っ取ったのだ。


そして少ししてから、柚希は立ち上がった。


「ククク……中々良い感触だ。力がみなぎるぞ?」


悪に染まった笑顔を見せながら響介を向く。


「……くっ。柚希ねぇ……」


「さぁ……ここからは俺の反撃だぁ!!」


柚希は矛を構えて、響介へと向かって飛んだ。



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