第50話 騒動の終わり
霊廟の中はとても広い空間が広がっていた
「神霊だらけだな……」
「神秘的と言えば神秘的な場所ね。神霊が星のように輝いてるし……」
俺は取り合えず霊廟の中を突き進んでいた。
すると声がした。
「貴方の行動、全て見させて貰いました」
「何者だ。姿を見せて貰おう」
俺は槍を構えた。
真っ正面から杓を持った人が来た。
「おや? 貴方には欲望が2つ足りませんね。生と死に対する欲望が」
「俺は既に死とは無縁だからな。死には興味のカケラも無い。ついでに生きる事もな」
俺は不老では無いが、死なないのだ。
ただ、歳をとる速度は遅い。
理由はしばらくしたら話そう。
「もう一人は……いたって普通ですね」
「普通で悪かったわね!! 世の中普通が一番なのよ!!」
柚希ねぇが突っ込んだ。
なんか霊夢っぽいなぁ。
「……男の方は私と同朋ですね?」
「は?」
「不老不死を最終目標とする道士でしょう?」
訳がわからない……。
「いや、もう仙人なのかもしれないけど」
「無い、それは無い。ってかもう少しわかりやすく説明してくれ。色々わからん」
「隠す必要も説明する必要も無いわ。貴方は全て知っているのだから」
なんかこの人勘違いしてる!?
「私には全て判る。人間の欲を見れば判るもの。あいにく、君の欲が不足しているので完全ではないんだけど……」
こいつ……布都と似たような事を言ってるな。
「とりあえず名前を名乗って貰っていいか?」
「私は豊聡耳神子。人は私の事を"聖徳王"と呼びます。」
聖徳王……?
まさか……聖徳太子!?
「響ちゃん!? この人ってもしかして!?」
「もしかしなくてもそうだろう。昔、聖徳太子のお札あったよなぁ……懐かしい」
「いつの時代の話かしら? ………でも同朋ならば、これから何が起こるか判るわよね?」
同朋では無い……と言う訳で返答はもちろん、
「……判らん!!」
「不老不死として蘇った者同士、相手と競い合い、道を学び合うのだ!!」
戦うと言う事か……。
「さぁ!! 私を倒して見せよ!! そして不老不死の為政者として復活して見せよう!!」
「仕方ないな……お望み通りやってやるぜ!!」
「響ちゃん。私、さっきのせりふでイラッときたの。だから響ちゃんの赤眼の力を解放しておいたからよろしくね」
「一言でどうぞ」
「思いっきり殺っちゃって~♪」
「ははっ。わかったよ」
俺は槍を構えた。
するとすぐに神子はスペルを発動させた。
「名誉『十二階の冠位』!!」
俺の後ろに中くらいの弾が右に3個、左に3個、合計6個の弾が配置された。
そして神子が合図を出すと中弾が割れて、6色の鱗弾が出た。
ただ6色といっても1色の中でも少し濃さの違うのがあるから正式には12色だね。
「……本当に見たまんまの冠位十二階だな」
俺は避け続けて、弾幕を撃ち込みまくる。
流石、聖徳太子と言ったところか。
体力が多いのか、中々スペルが終わらない。
「仕方ないか……あとで隙を見つけて神化するか。」
俺は力を溜めつつ、回避に徹していく。
「くらえ!! 充填砲!!」
「くっ!!」
そして思いっきり撃ち込む。
神子はスペルを終わらせて、少し呼吸を整え、少し間を置き次のスペルを発動させる。
「仙符『日出ずる処の天子』」
今度は有名な手紙の一文か。
確か……隋の皇帝に宛てて書いた手紙で、自らと皇帝を対等に書いた為に皇帝の怒りをかったんだっけ?
弾幕は神子の周りを中弾がグルグルと回っている。
眩しい光を放っている弾は日を象っているのだろう。
「おっと、そんな事を考えてる場合じゃないな」
取り合えず低速移動で回避しながら力を溜める。
そして弾幕を放ちまくる。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
充填砲を連射しまくる。
もう少し早く連射出来たらなぁ………とか考えている内にスペルが終わってしまった。
「意外と力使うんだよなぁ……これ」
連射はやっぱりきつい。
マシンガンとかの連射はフルオートだから楽なんだけど、充填砲の構えをいちいち構え直すから辛い……。
まだ改良の余地ありだな。
家に帰ったら考えようっと。
「流石、仙人ね。本当に強いわ」
まだ仙人だと思ってるのかよ……。
「仙人じゃないんだが……」
「隠さなくても良いと思うんだけど……」
神子はそう呟きスペルを構えた。
「召喚『豪族乱舞』」
確か聖徳太子に縁があったのは蘇我に物部………。
……あれ? ……まさか!?
「やってやんよ!!」
「我にお任せを!!」
予想通り。
蘇我屠自古と物部布都が出てきた。
「……やっぱり」
そして二人は俺に向かって弾幕を放つ。
神子は後ろで弾幕を撃たないで、動いている。
「しょうがないか……」
俺は青龍鱗とは違う構えをして、力を込める。
それまではグレイズして耐える。
「神子を貫け!! 貫通衝撃弾!!」
俺は腕を芳香のように構えて、腕から超威力の弾を放つ。
衝撃貫通弾は屠自古と布都を避けて神子に向かって飛ぶ。
そして思いっ切り当たる。
まぁ威力は充填砲と同等くらいかな?
地味に結構痛いらしい。
「正直、柚希ねぇの頼みだから本来の姿になっても良いんだが………最初は神化で良いか」
取り合えず屠自古と布都が一瞬だけ戻る隙を狙った。
ヒュン!
屠自古と布都が戻った。
「はぁぁぁぁぁ!!」
俺は赤い霧を纏い、神化を始めた。
「はぁぁぁぁぁ……」
俺は赤い霧を消して、姿を現した。
まぁこの姿なら仙人とか言われるかもしれないが気にしない。
「愚か者め!!」
「やれやれ……」
屠自古と布都は俺に向かって弾幕を撃ちまくる。
だが、全て避ける。
そのまま神子に向かって、
「魂断」
剣で衝撃波を放った。
屠自古と布都を吹き飛ばして、神子に当たる。
威力は……充填砲の倍くらいかな?
そんな技でスペルは終わった。
「秘宝『聖徳太子のオーパーツ』!!」
まず時計周りに神子の周りを回る薄白い弾が現れた。
そして合図を出すと弾幕となり、回るのだ。
そして弾は消えて反時計周りに回る弾が現れ、合図を出すと弾幕となりまた消える。
これを繰り返すのだ。
何に因んでるかは知らない。
斑鳩寺にある聖徳太子の天球儀とか思ってないから問題無い。
まぁそんな話は置いておき、弾幕は避けまくる。
「来迎会」
右腕、左腕、右脚、左脚の鬼の目からレーザーが二本ずつ出る。
これは1本……さっきの2分の1ぐらいだな。
4本が直撃でHPが結構減っている。
しかし、まだ攻撃は続ける。
「風刃閃」
剣を素早く振り、竜巻状にした斬撃を飛ばす。
突風並の風を持つ斬撃だ。
そういえば昔、この技でスカートめくりしようとした馬鹿が居たな。
やったら脚が無くなるから……良い子は絶対に真似しないでね!!
あ、真似できる人がいない。
あの時に消えたんだった……。
「くっ!?」
余計な事を考えすぎだな……。
今は戦いに集中集中……。
神子は見事に直撃した。
ついでにスペルも終了。
神子の服が斬撃で結構破れてるのは気にしない。
「光符『グセフラッシュ』!!」
今度は色々な色に輝く弾が沢山飛んできた。
しかも弾速が早いったらありゃしない。
「まぁいっか。水流爪牙」
これは様々な種類の斬撃を飛ばす技だ。
一つ一つの威力は弱いが、連続で撃つ為に総合威力は高い。
まぁ撃ち続けるのはきついが頑張ろう。
「せいっ!! はぁ!!」
何十発も撃ち込んだ。
神子の残りHPはあと少し。
かっこよく居合の構えから衝撃波を放つ。
「うっ!!」
当たった。
神子のスペル終了。
あと少しで終わりのようだ。
「神光『逆らう事なきを宗とせよ』」
神子がやや後ろに下がり、力を溜める。
俺は警戒して剣を構えて力を溜める。
しかし神子はかなりの力を溜めていた。
どうやら……あと少しで終わるようだ。
「はぁ!!」
神子を中心にレーザーが広がる。
そしてそのレーザーから弾幕が出る。
意外と避けるのがつらい……。
レーザーが2本ぐらいなら良いんだが……流石に14本はきついだろ!!
もう消し去るついでに倒してやるか……。
「念砲『サイキック・インパクト・ブラスター』!!」
ドオォォォォン!!
物凄く直撃。
しかし神子のスペルは止まらない。
まだ威力が足りないようだ。
素早い一撃を当てるか・・・。
「舞朱雀」
俺が超高速移動で4人になり、連続斬りをする技だ。
「この切っ先、触れれば斬れるぞ!!」
ズバッ!!
「くっ!?」
綺麗に決まった。
神子のスペルも終わった。
「流石、仙人ですね。道の学び甲斐があります」
「俺は仙人でも何でもないさ。ただの………不幸を齎す化け物さ………」
そう。
俺は不幸を齎す疫病神のような存在だ。
俺は外の世界では……。
いや、別の機会に語るとしよう。
今は決着をつけるのが先決だ。
「これで決着としましょう!!」
「『生まれたての神霊』!!」
神霊達が流星群のように大量に降ってきた。
そして神子が合図を出すと止まり、俺に向かって飛んでくるのだ。
因みに止まっても別の流星群が後から来るから忙しい。
「もう……そろそろ本能でも解放しようかな?」
俺は手っ取り早く終わらせる為に赤眼を発動させた。
俺は両眼が赤く染まり、大剣は日本刀になった。
神化と覚醒を同時にやった訳だが……後が辛いかな?
「行クゾ!! 乱黄龍!!」
この技は構えて、衝撃波を放つ技だ。
蒼い衝撃波が3本に別れる為、相手が複数居ても当たりやすい。
相手が一人の場合は別れた衝撃波が最終的に同じ敵に向かう。
なので威力は通常の3倍。
なんて恐ろしい……。
ザシュ!!
「くっ!?」
3本とも直撃。
だが、スペルは終わらない。
「終ワラナイカ……ナラバコノ技ヲ使ウノミ!! 麒麟・極!!」
俺は超大量に分身した。
そして俺の分身達はそれぞれ攻撃し、相手の動きを封じる。
「マキシマム・ドライブ!! コード麒麟!!」
分身を解除し、俺は突撃する。
ドガァァァッ!!
「コレガ……極ダ……」
「くぅっ!?」
神子は姿を消した。
どうやら倒せたらしい。
「終ワッタナ……」
「響ちゃ~ん。お疲れさま~」
「柚希ネェカ……」
「そろそろ姿を戻したら?」
「ソウダナ………よっと」
俺は神化と赤眼を解除した。
「いやぁ流石は響ちゃんだね。お姉ちゃんの言いつけ通りに太子を吹き飛ばしてくれたから偉い偉い♪」
「頭を撫でるな……くっ!?」
かなりの疲労感と睡魔が俺を襲ってきた。
全身に力が入らなくなり柚希ねぇに寄りかかった。
ただ寄りかかった場所が問題だった。
「あらあら。眠くなっちゃったの? お姉ちゃんの胸に寄りかかっちゃって。ふふっ。可愛いんだからぁ♪」
「そんなつもりは無いんだが……力が入らなくなってもう動けない……。あと……可愛いとか言うな」
「寝ちゃっても良いよ? 家まで運んであげるからね」
これは恐らく覚醒と神化を同時に使った影響かな?
「なら……寝るとするか……」
「ゆっくり休みなさい……」
俺の意識は闇の中に沈んだ。
「う、う〜ん?」
俺は目が覚めた。
「家の中か……そういえば柚希ねぇに運んでもらったんだよな」
俺は周りを見回した。
しかし家には誰も居なかった。
その時、音が聞こえた。
キィン!!
川原の方のようだ。
「……修業中なのかな?」
俺は川原へ向かった。
そして川原の様子を見た。
「水姫さん!! 行きますわよ!?」
「いつでも来ちゃって下さいませ」
「アレイアム・ワスィ!!」
そうウィルが叫ぶと、青紫の霧が彼女を包みこんでいく。
「お、禁能力を纏う練習中か。いつの間に……」
「きゃっ!!」
しかし纏うのに失敗して、体が軽く吹き飛んだ。
とりあえず姿を現すか。
「おいおい、大丈夫か?」
「あ、主。起きやがりましたか」
「!! き、響介様!? おはようございます!!」
いつも通りで良かった……。
「まったく2日間も寝ていやがりましたから少し心配しちゃいました」
「2日間も?」
俺は2日間も寝ていたらしいな……。
「それにしても、疲れてる顔をしてらっしゃいますね」
「まぁ疲れてる。それと腹減ったから飯作ってくれ」
「かしこまりました。とりあえず家に戻りましょう」
俺と水姫とウィルは家に向かって歩きだした。
柚希ねぇが空間の裂け目から出てきた。
「あ、水姫。私の分もよろしくねぇ」
「わかりました。神代様」
「なんで柚希ねぇが来てるんだ?」
「だって~お腹減ったんだもん」
「まぁ良いや。食べる時は人が多い時の方がおいしいからな」
「それではお待ちください」
「あぁ、俺は外で待ってる」
「私も外に居ますわ」
「んじゃ私も~」
みんなついてきた。
「……外で食べるとしましょうか?」
「ナイスアイデアだな。机とかは俺達が出しておこう」
「了解しました。それでは料理を作ってきます」
俺は念動力と星穿の神槍で机を作りだした。
ご飯ができるまで待とうとしたら……。
「出来ました」
「はやっ!?」
「流石水姫ねぇ。行動が迅速だわ」
「それじゃあいただくとしましょうか」
食事も終わり、俺は外に出た。
「「「「いただきます」」」」
「………響介様?」
「ふぁふぃ(何)?」
「そんなに頬張ったら喉に詰まりますよ?」
「ふぁいふぉうふ、ふぁいふぉう………んん!?」
いきなりの喉に詰まった。
それを見透かしていたかのように水姫が飲み物を差し出した。
「言わんこっちゃ無いですな。主、飲み物です」
「……ごく、ごく、ごく……ぷはぁ!! 死ぬかと思ったぜ……」
俺は改めて頬張った。
「そんなに焦らなくても良いのでは?」
「……まぁな。水姫、おかわり」
「少しお待ちください」
「あらあら、まぁまぁ。響ちゃんがこんなにたくさん食べるようになってお姉ちゃん嬉しいわ~」
「柚希ねぇはどこかの保護者か」
「はい、主」
「おぉ、ありがとう」
俺はまた頬張ろうとした。
しかし柚希ねぇの言葉で動きが止まる。
「でもね……これ以上喉詰まらせたらお仕置きとして……"あれ"をやるわよ?」
「!? ……わかった。気をつける」
俺はゆっくり箸を進める。
それを不思議そうな目で見つめる水姫とウィル。
見ないでくれ……。
俺のトラウマなのだから手のスピードが落ちるのは当然だろう……。
「神代様? お代わりしますか?」
「あ、お願いね」
「かしこまりました」
しばらくゆったりとした夕飯の時間を過ごした。
「「「ごちそうさま」」」
「お粗末様でした」
水姫は食器を片付けていく。
「今日も綺麗な月だな……もうすぐ満月か……」
俺は空を見上げて月を見た。
「そうですわね……」
「響ちゃんと会った時は満月だったっけなぁ~」
「あぁ。親が居なかった時、基本的な作法を俺に教えてくれたの柚希ねぇだったな」
「そうよ~? あの時の響ちゃんは可愛い過ぎて萌え殺されそうだったわね」
「そうなんですか? それ、詳しく聞かせてほしいです!!」
「あの時の響ちゃんはねぇ。とてもとても………」
「正直言わないでほしい……」
「いいじゃない。良い思い出だし、あんな可愛い響ちゃんは伝説よ?」
「俺からしたら恥ずかしい思い出だよ」
「響ちゃんが居ない時に話してあげるから今は言わないでおきましょう」
「そうですか……楽しみに待つとしましょう」
ウィルは少しだけ残念そうな顔をした。
「……あっ、そうだ。柚希ねぇ。久々にあの歌を歌ってくれないか?」
「別に構わないわよ……ラ~ララ~……ってやつよね?」
「あ、その曲なら私も知ってますわ」
「なら一緒に歌いましょ?」
「いいですよ。足を引っ張らないようにがんばりますわ」
しばらく柚希ねぇとウィルの歌を楽しんでいた。
「~♪……ふぅ。終~わり」
「神代さんは歌上手ですね」
「そうウィルちゃんも上手よ?」
「二人とも相変わらずの良い歌声だな。ウィルは歌手になれるだろ?」
「いえ、私は歌いたい時に歌えれば良いんです。貴方の為や私の為に……」
「ははっ。ウィルらしいな」
「あら、響ちゃん? 私にはそういう気の利いた言葉は無いの~?」
「ちょっ!? やめっ!?」
柚希ねぇが抱きついてきた。
普通に抱きつくなら問題ないのだが、柚希ねぇの場合は抱きしめる力が強い上に顔に柚希ねぇの胸が当たるから困る。
恐らくワザとやってるんだろうな……。
とりあえず褒めて離してもらわないと……。
「柚希ねぇは絶対あの山の歌姫でしょ?」
「えへへ~♪ やっぱりそう思う~?」
柚希ねぇが離れてくれた。
こういう子供っぽいところも柚希ねぇの良いところだ。
癒されるし。
「もちろんだ」
「やっぱり響ちゃんは良い子だね~」
そんな会話の中で水姫がやってきた。
「主、ウィル殿、神代様。冷たくて美味しい西瓜はどうですか?」
「おぅ、頂くぜ」
「あ、頂きますわ」
「水姫は気が利くね~」
やっぱりこんな時が平和と感じるな。
俺達は星空を眺めながら食べ始めた。
すると柚希ねぇが西瓜の種を思いっきり飛ばした。
「ふっ!!」
「おっ、柚希ねぇ。中々飛ぶな。なら俺も……ふっ!!」
「……響介様と神代様はいったいに何をされているのですか? 西瓜の種を飛ばしたりして……」
「あぁ。そういえばウィルは知らないんだったな」
「これはねぇ……種飛ばしって言ってね。一番遠くに飛ばした人が勝ちなの」
「結構昔からある遊びで、昔は罰ゲームとかあったんだよなぁ……」
「そうそう。ウィルちゃんもやる?」
「え~……遠慮します……流石にそれは私にはちょっと…………」
若干引いてる感じだ。
子供っぽすぎたかもしれないからかな?
平和なひと時はゆっくりと過ぎていった。
「もうそろそろ寝ようか?」
正直結構眠い…………。
「私も眠いですわ………」
「因みに布団は引いてありますのでご自由に寝ちゃって下さい」
「おぅ、了解した。」
俺は部屋の布団に向かった。
自分の部屋に戻ると確かに新しく布団が引いてあった。
しかも干しておいたと思われる香りがした。
「もう寝ようかな…………」
俺はフカフカの布団の中に入り、眠りについた。