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第40話 決着と二人の蓬莱人

深い闇の中……俺は何もせずに漂っている。


「俺は………弱い……。何も出来なかった……」


誰もいない空間の中で呟いてみたが、声は反響する事も無く消えていった。


「……そういや、狂気の俺はどうしてるかな……?」


上下もわからない闇の中で俺にとっての上を向く。


闇の中に一つの光が見えた。


その光は少しずつ近づいてきて、光玉となり、俺の目の前で止まる。


その光玉を覗くと赤い目をした俺があの男と対峙していた。


「あいつ……戦う気か………?」


『ハハハ。サテ、ニカイセントイコウカ』


『……よかろう』


全憑依(フルクロス)赤眼(レッドアイズ)神化(ゴッドフォーム)


狂気の俺は、俺の憑依装術を同時に纏い、神化を発動。


そして俺の知らない形態を使い出した。


『ネェ………モウヒトリノボク。ミテイルンダロ?』


「……狂気の俺の声?」


『ヤツトタタカウキハアルカイ? チチオヤノカタキヲボクニウタレテイイノカイ?』


狂気の俺は当たり前の事を聞いてきた。


「俺が討ちたいさ。でも俺は弱い……」


『ソウダネ。ナラ、タオセルダケノ"チカラ"ガアッタラ?』


「……あるのか?」


『イマノスガタナラタオセルサ。ヤッテミルカイ?』


「でも……」


『シカタナイネ。リョウテヲノバシテクレ』


「なんだよ、いきなり」


『イイカラ、ノバシテ』


「こうか?」


俺は奴の言う通り、両手を伸ばす。


すると何もない空間のはずなのに、手を握られた。


『イマカラ、キミトボクハヒトツトナル』


「え?」


『ヒトツニナルンダヨ』


「なんでだよ」


『イマノキミニタリナイノハ、"ジツリョク"ト"セイシンリョク"ダ』


「なんで精神力なんだよ」


『スグニクジケルカラナ。ソコサエナントカスレバキミハサラニツヨクナル』


「でも鍛えられないだろ」


『ボクハキミノハンシン。キミニナイモノヲモツ』


「持ってるのかよ」


突っ込むが奴は話を続ける。


『ダカラ、ヒトツトナッテ、カンゼンタイミタイナモノニナロウヨ』


「仕方ないな。お前の力、もらうぞ」


『ジャア、ガンバッテネ』


(これで狂気の俺ともおさらばか……)


俺は心の中で呟いた。


『ア、チナミニヒトツニナルッテイッテモ、トキドキデテクルカラヨロシクネ』


「感動を返せよ。あと俺の心を読むんじゃない」


『ボクハキミナンダカラココロガワカッチャウンダ。ジャア、マタイツカ』


そう言って狂気の俺の声は聞こえなくなる。


そしてすぐに周囲に存在した闇が光に変わって俺は反射的に目を閉じた。


「……ここは?」


「……どうした? 来ないのか?」


目を開くと前には男がいた。


どうやら外に出てきたらしいな。


「行くか……"星薙の太刀"!! はぁっ!!」


俺は軽くジャンプしたつもりだった。


しかし、空高く舞い上がってしまう。


「体が軽い!! 軽すぎる!!」


竹林の竹の高さを越え、俺は武器を構えた。


スペルを出そうとポケットを探ると見覚えの無いスペルがある。


「……ん? なんだこれ? 新スペルか?」


「戦いの中でよそ見とは余裕だな」


「とりあえず確実に当てるか………はぁっ!!」


俺は星薙の太刀を振り、男にガードさせる。


「次はこうだ!!」


男に追撃を加えた。


地面に星薙の太刀を突き刺してそのまま斬りあげる。


「予測とは違うだと!? がはぁっ!!」


「スペル!! 秘伝『月架美刃』!!」


斬りあげて、浮いている男にトドメを指すためにスペルを使う。


名は月架美刃(げっかびじん)……。


美しい刃で相手を斬り裂く技だ。


狂気の俺がそう言っていた。


「星をも薙ぎ払う太刀にて、悪しき者を薙ぎ払う!!」


最上段の構えで星薙の太刀を持ち、男に近寄る。


「やぁぁぁぁってやるぜ!!」


「ぐぁぁぁぁぁぁあ!!」


最大限の力を出して、振り下ろした。


その攻撃は男を斬り裂く。


しかし斬った感触が違った。


「お前……機械なのか?」


斬った感触は肉を斬ったというより、金属を斬り裂いた感触だ。


「損傷率89%……任務継続不可……」


影武者は倒れて、ノイズ混じりの声を発する。


俺の姿は元に戻り、影武者に近づく。


「……こいつ。……奴の影武者みたいなものか。とりあえず回収してデータを調べるとしよう」


俺はメモリーがあると思われる頭部に触れた。


その瞬間、


「秘密保護のため機体、及びメモリーを破棄………爆破します」


「なっ!?」


影武者は爆発し、メモリーは失われた。


「やられたな………」


影武者の残骸を見渡してつぶやく。


全てが粉々に砕けちり、修復は不可能だろう。


「水姫達を追わないと……」


「待て。そこの外来人」


水姫達を追うために竹林に入ろうとしたが、誰かに呼び止められた。


俺は振り向き、呼び止めた者を見る。


白髪のもんぺを履いた女子高生ぐらいの女性がいた。


「……お前、以前に頭から血を出して倒れてたやつだな?」


「何故それを?」


「そりゃあ、私が運んだからね」


「それは感謝しないとな。ありがとう」


「どういたしまして」


「じゃあ、仲間を追わないと駄目だから……」


俺は竹林に足を向けた。


「いや待て。……お前、永遠亭を目指しているだろ?」


「まぁな。俺の仲間が向かってるし」


「道はわかるのか?」


「そんなもんは知らん」


「はっきり言ったよ………この外来人」


呆れられた。


……何故?


「まぁ道が無くても大丈夫だろうな。『瞬転』があるし」


「瞬転?」


「移動技な。いわゆる瞬間移動ってやつ」


「お前………本当に外来"人"か?」


「人じゃないからいいと思うぞ?」


会話しながら俺は瞬転の構えをする。


「そういや……名前聞いてなかったな」


「私は藤原妹紅。不老不死の蓬莱人よ」


「俺は風戸響介。霊妖魔神の使い手さ…………また会おう。妹紅」


「あ、ちょっと!!」


妹紅に別れを告げ、永遠亭へと飛んだ。











「よっ……と」


空間を越え、永遠亭の襖に囲まれた一部屋へとやってきた。


「主、お疲れ様です」


「水姫。少女の母親は?」


「今、永琳殿が治療中です」


「永琳……か。懐かしい名前だな」


俺は床に胡座で座る。


「響介様。永琳様とお知り合いですか?」


「俺がここに来たばかりの時に、治療してもらったんだよ。大怪我してたし」


「そうでやがりましたか。貧弱ですな」


「あの時は体を強打したんだから仕方ないだろ」


「貴方が打ったのは頭でしょ?」


いきなり永琳がやって来た。


「久しぶりだな」


「貴方も元気そうで何よりね。響介」


「で、少女の母親はどうだった?」


「もう大丈夫よ」


「あ、ありがとうございます!!」


少女は深々と頭を下げてお礼をした。


「永琳。俺達は帰るから、少女をここの家に止めてやってくれないか?」


「構わないわよ。でも少し待ってくれる?」


「ん? どうした?」


永琳はいきなり襖を開けた。


するとそこには


「きゃあっ!!」


黒長髪の豪華な着物を来た女性がいた。


「紹介しておかないといけないわよね?」


「あ、そうだな」


「ほら、姫。自己紹介して下さい」


「私は蓬莱山輝夜。不老不死の月人よ」


輝夜と名乗った黒長髪の女性は俺に手を伸ばしてきた。



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