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第35話 空間の歪む無縁塚

俺達が彼岸花の道を進むと不思議な場所に出た。


森のようなところに紫の花びらが大地に落ちていて、何かの石が一つあるだけの場所だ。


「………ここは一体?」


「何か……不思議な感覚が致しますわね……」


ウィルが何かを感じとったようだ。


感じ取った物は違うかもしれないが、俺も感じ取っている。


「主、ここが何か調べてみますか?」


「いや、やめといた方が良い。…………空間が歪んでる」


空間が歪んでいる………簡単に言えば空間と別の空間が不安定な状況で繋がっているのだ。


この状態な場所に長い時間居ると別の空間、もしくは空間の狭間に飛ばされて帰ってこれなくなる。


俺と師匠の場合は帰ってこれる……空間転移能力持ってるからね。


水姫が何かの気配を感じ取り、俺に報告してきた。


「主……誰かが隠れています…………数は2」


「わかった。ウィルと一緒に少し下がってくれ」


「かしこまっちゃいました…………ウィル殿……下がりますよ?」


「は、はい。わかりました」


水姫はウィルと共に少し離れたところへ移動してくれた。


俺は星穿の神槍を構えて、言い放つ。


「………さてと、……俺は風戸響介。隠れてるお二人さん、出てきたらどうだい?」


すると赤い髪をして鎌を持った死神的服装の奴と緑の髪をして棒を持った少女が出てきた。


「映姫様。あっさりとバレてましたよ?」


「問題は無いでしょう。相手は普通じゃないのですから」


どうやら緑髪の少女の方が上の立場らしいな…………少女が上の立場とは中々珍しい。


「とりあえず…………名前を名乗ってもらいたい」


「私は小野塚小町。三途の川で船頭をやってる詩がない死神さ」


「私は四季映姫・ヤマザナドゥ。ヤマザナドゥは本名では無いので四季映姫の方で呼んで下さい」


二人が自己紹介した後、俺の事を観察するような視線を感じた。


「………どうやら名前を言う前から俺の事は知っているみたいだな」


「えぇまぁ。彼岸の方まで噂が届いてます。"人知を超越した人間が幻想郷にやってきた"と」


映姫はそういった。


彼岸……という事はあの世って事…………死神の上司であの世に住むって事は………もしかして閻魔?


俺が確認で尋ねようとしたら、ウィルが先に尋ねた。


「とりあえず尋ねますけど…………閻魔なのですか?」


「そうです。私は幻想郷を担当する閻魔なのです? 異端の魔女さん」


「い、異端の魔女? 私の事ですよね?」


どうやらウィルの事もわかっているようだ…………だが何故異端の魔女?


「転生の時に不具合が起きた魔女がいると他の閻魔から聞きました。転生後の名はウィル……貴方達の会話から推測しました」


「…………正解ですわ。私は転生前の人格が残っています」


ウィルが見破られたのを一瞬嫌そうな表情を見せた。


まぁ自分の事を見透かされるのは気分が良いものではない。


話を反らすか……。


「…………で、何故隠れた? 俺の事知ってるなら隠れなくてもいいじゃないか」


「私達が知ってるのは名前と能力のみ…………貴方の姿や力は知らないのです」


俺の能力は知っていても力は知らない?


……なるほど。


ようは俺が持つ4つの力の事を知らないって事か。


「……あぁ、霊、妖、魔、神の事か。確かにこんなに持ってたら様子見で隠れるよな」


「その通りです、もう少し力を抑えてほしいものです」


なんか怒られてない?


まぁ、抑えておけば何かと便利だし…………試しに抑えてみようか。


心で力を抑える事を念じる。


すると体の中で鍵がかかった感じがした。


「………ふぅ……これで力は気づかれない程度になったはずだ」


「……これじゃ気づけないですわ。魔力も妖力も捕らえられません」


ウィルがそう呟いて


「妖力、魔力、霊力、神力、念動力……全ての力の放出量の減少を確認しました。放出される力のレベルはそこら辺の妖怪と同等でやがります」


水姫が俺の変化を報告してくれた。


「で、映姫……だっけ? 質問していいか?」


「いいですよ」


「何故ここだけ空間が歪んでいるんだ?」


俺が疑問をぶつけると映姫がすぐに答えた。


「ここの結界が緩いからです。空間を仕切る結界………それが緩むと空間を分け目があやふやになり空間が歪むのは必然でしょう?」


「なるほど………結界が原因なのか」


俺が少し考え事をしていると彼岸花が大量に植えられていた道の方面から声がした。


「おや。君はもしかして響介君かい?」


聞き覚えのある声がしたので振り向いてみるとそこには魔法の森の前に道具店を構える霖之助がいた。


なにやら大きな籠を背負っている。


「なんで霖之助がここにいるんだ?」


「だって僕の店の商品(もの)はここ………無縁塚で仕入れてるからね」


そう言って霖之助は背中の籠を見せてきた。


どうやら背中の籠は外の世界から落ちてきたものを拾うために持ってきたらしい。


「空間の歪みで外の世界から物が落ちてきてるのか………」


「もしかして最新式とか落ちてきたり……」


ウィルはなんかすごく期待をしたような瞳をしていたが………


「それは無いですね」


映姫に突っ込まれた。


「何故でしょう?」


「響介と水姫は紫から説明を受けているでしょう?」


「水姫。説明を頼む」


「かしこまっちゃいました」


水姫は一旦目を閉じた後、目を開き説明を始めてくれた。


「ここ、幻想郷に辿り着く物は"全て忘れ去られたもの"。なので最新式は忘れられる事が無いので当分、来ることは無いのです」


「その通りです。的確な説明ですね」


「そうでもないのでございます」


説明が終わった後、ウィルを見るとなんか少し怯えていた。


「ウィル? 大丈夫か?」


「あの……響介様。幻想郷には……忘れ去られたものが行き着くのですよね?」


「あぁ」


「では……私達は忘れ去られてしまったのですか?」


どうやらウィルは家族に忘れ去られたと思っているようだ。


「いや、それは無い。だってウィルは先に幻想入りした俺の事、忘れてたか?」


「いえ、一時たりとも忘れたりしませんでしたわ」


「だろ? だからウィルの家族は忘れたりしてないだろ。あれだけ大切にされていたんだからな」


そういうとウィルの表情が少し明るくなった。


「そうだよ………きっと覚えてくれてるよね」


なんか口調が戻ってる……。


「とりあえず口調……戻ってるぜ?」


「うん……え? 口調戻ってましたか?」


「あぁ、思いっきり戻ってた」


俺がそう返すとウィルは顔を赤くしてうずくまった。


「は……恥ずかしいです」


「まぁ俺と水姫は知ってるからいいけどな………さてそろそろ行こうか?」


「主、次はどこへ?」


「風の向くまま、気の向くままに行って着いた場所だな」


俺がそういうと水姫は少し呆れたように肩を竦めた。


「はぁ……何かっこつけやがってるんですか?」


「それは言っちゃおしまいだろ……まぁウィル、行くぞ」


「ひゃい!? ……はい、わかりました」


ウィルは立ち上がり、俺の近くに来た。


「それじゃ、お二人さんと霖之助。またな」


「えぇ、またいつか」


「私の舟に乗る事が無いようにしなよ?」


「また店にしてくれよ」


三人は俺達を笑顔で送ってくれた。


「じゃ気ままにいくか」


「「はい」」


「瞬間移動」


俺は魔法の森の入り口へ飛んだ。


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