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第26話 妖怪の新聞記者

「ふう……温かかったな」


俺と水姫は食事を終えて風呂に入った後、部屋に戻って寛ぎ始めた。


あ、別に混浴した訳じゃないから安心してくれ。


「お帰りなさいませ」


「ただいま。いやー入浴中に吐くかと思った」


「夕飯は随分と食べやがりましたものな。主」


「まぁ結構腹減ってたからついがっついちまった」


「で、これからどうしやがりますか?」


「まぁ今日はゆっくりして明日、山を降りる。その後は適当に回るさ」


「相変わらず雑ですね」


「相変わらずって…………ひどいな」


「なんの事でございましょうでやがりますか? 私の記憶にはございませんからわかりませんの事です。おほほほは」


「水姫のキャラ、結構変わってるのは………」


「恐らく、主の気のせいでやがりましょうな」


「……ま、良いや。……さてと、布団を敷こう」


そう言って布団を押し入れから取り出した。


「了解でありんす」


俺と水姫は布団を敷いていくのだが…………。


「なぁ水姫」


「なんでございますか?」


「……布団一枚に枕が二つってどういう事?」


そう。


布団が一枚しか敷かれていないのに、枕が二つあるのだ。


「主の身を護る為、一緒の布団に入るからです」


「せめて隣にしてくれ。寝る時狭い」


「……どうしてもですか?」


「もちろん」


「はぁ………わかりました」


水姫は納得いかない様子で布団を敷く。


仕方ない。


少しだけ水姫の希望に答えてやるか。


「あ、でも布団を密着させるぐらいだったら構わないが……どうする?」


「では密着させていただきます」


水姫は少し機嫌が良くなったようだ。


(それにしても時間が余ったな………なら練習をするとしよう)


俺はゆっくりと立ち上がり障子を開く。


「水姫は先に寝ていてくれ。俺は少し月を眺めてから寝る」


「わかりました。でも余り夜更かしはせんようにして下さいな」


「あぁ、わかった。ちなみに俺の布団を温めてくれても良いぞ」


「それは命令ですか? それとも提案ですか?」


「水姫の意志に任せる」


「かしこまっちゃました」


俺は水姫を部屋に残して外に出た。






















障子を閉めて、靴を履いて森の前に立つ。


「さて………さっさと憑依装術を完全に修得しないと」


俺はもう一回、森の中へと入った。


ガサガサ…………。


「さっきの場所で良いよな…………ここだな。……"星穿の神槍"」


さっきの場所に立ち、槍を出現させる。


「さっきの感覚を思い出せば多分行けるはず…………」


目を閉じて神経を集中する。


「『霊』…………はぁぁぁ…………」


体の中心から全身に広がるように力を操作する。


モヤモヤした物が体の周りに漂い始めた。


そして纏うように力をゆっくりと物質化して装着していく。


「……『憑依装術・霊』」


そう宣言して目を開くと俺の服装が変化していた。


盾を持ち、槍が両刃の剣に変わっていた。


そして手から肘、膝からつま先に鎧のようなものが装着されている。


俺は試しに少し跳ねてみた。


「見た目よりも体が少し軽いな。まるで背中に翼があるみたいに…………」


とりあえず自分の背中を触ってみた。


う〜ん……。


なんかフワフワした物が背中にあるようだ。


「とりあえず引き寄せてみるか………………え? 純白の……翼?」


引き寄せてみたら大きな白い翼があった。


どうやら俺の背中から翼が生えたようだ。


「……って、えぇ!? 翼が生えたぁ!? ……でもなんで?」


(霊力は確か天星の力で…………天星は天使の姿していたんだよな…………という事は?)


俺は翼が生えた理由を整理していった。


すると答えが意外と早く見つかった。


「……もしかして元々の力の持ち主の姿に似るのか?」


そう。


多分、憑依装術は元々の力の持ち主の姿に似るのだ。


霊力は元々天星の力。


だから天星に似たのだろう。


という事は、妖力では銀狼になり、魔力では黒龍、神力では鳳凰の姿に似る事になる。


「よし、試してみよう」


俺はまた神経を集中させる。


今度は霊力を魔力に変換させる。


「……『憑依装術・魔』」


するとまた姿が変わった。


二刀流になり、頭に龍の兜がついた。


そして鎧の色が黒くなっている。


だが翼は消えていた。


「次は妖力だな………………『憑依装術・妖』」


今度は妖力に変換した。


すると腕の鎧に日本刀が獣の爪のように装着されていた。


右手に3本、左手にも3本。


そして髪が肩甲骨辺りまで伸びて、尻尾が生えた。


それに鎧とかの色が銀色に変わっていた。


だが頭の兜は消えていた。


「次が最後だな…………………『憑依装術・神』」


最後に神力に変換した。


今度は天星より大きい翼が生えた。


そして両刃の大剣を持ち、鳳凰の象徴とも言えるような赤い尻尾が生えた。


そのおかげで結構強そうに見える。


きっと強いんだろうな。


「中々変わるもんなんだな。あとは変化させるスピードを早くさせないと……」


俺がそう呟いた時、木が揺れた。


俺は姿を戻して揺れた木に向き合う。


「……何者だ? 姿を現して貰おう」


「あややや。見つかっていましたか」


木から降りてきたのはカメラを持った翼を持つ少女だった。


「カメラマンか………。場合によっては木っ端みじんに切り裂くぞ?」


「怪しい者じゃありませんよ。私、文々。新聞を書いています射命丸文と申します」


「こんな夜分遅くにいる時点でかなり怪しいぞ…………って新聞?」


「はい。新聞で貴方が霊夢さん達に勝った事を記事にしたのです」


「なるほどな。で、その記者が何故こんな夜分遅くにここにいるんだ?」


「椛から貴方が山に入ったと情報がありましたので、守矢神社で張っていたんです」


「お前、ストーカーって言われても批判出来ないタイプだろうな」


「貴方って地味にひどいですね」


なんか一瞬だけデジャビュを感じたが気のせいだろう。


だが、そんな事は置いといて……っと。


記者が来たって事で張っていた理由は大体分かった。


「で、取材にやりに来たんだろう?」


「やっぱりばれてましたか」


「だが今回は断る。新聞の契約はしても良いがな」


「何故駄目なんですか?」


「夜だから。あと色々とまだ不完全だからな」


「不完全とは一体どういう…………」


「ま、気にするな。次の満月の夜を過ぎたら答えてやるからそれまで待てよ」


「わかりました。で、今のも記事にして良いですか?」


「やめておけ。怪我をしたくないならな」


「仕方ないですね。それでは満月まで待つとしましょう。あ、新聞は契約で良いですか?」


射命丸は飛び上がった。


「あぁ、頼む。それと新聞は俺を見つけて渡してくれ」


「わかりました。それでは失礼します」


「あぁ」


射命丸は飛んでいった。


「………さてと程々に練習してから神社に戻るとするか」


俺は射命丸を見送った後、憑依装術のスピードを上げる為の練習を始めた。


ちなみに戻ったら水姫に少し怒られたのは余談だ。



【今日の反省】



生きていく中でやっぱり時間の管理はとても大切だ。



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