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第22話 水姫VS哨戒天狗

俺達は冥界と幻想郷を繋ぐ扉を潜り、地上に降り立った。


「よっ……と。地上に戻ってきたなぁ〜」


「そうでございますですね」


「次は適当に山へ行ってみるか? まぁ適当って言っても神力を感じた山に行くんだけどな……」


「私は主についていくだけです」


「水姫はもう少し自分の意見とか言ってもいいのに………」


「いや、今回の場合は主が始めた事なので言わないだけですので気にせんで下さい」


「確かにそうだが…………まぁ、良いか。じゃあ行こうか」


「了解でございましちゃいます」


俺と水姫は神力を感じた山へ歩きだした。
























俺達は巨大な山を見つめて立っている。


「この山のようだな」


「そのようでございますですな。神力を確かに感じます」


「さて進むとしよう」


俺は山に入ろうとした。


「ここから先は立入禁止です!!」


しかし剣と盾を持った妖怪が目の前に立ちはだかった。


「妖怪か………名を名乗って貰おう」


「哨戒天狗の犬走 椛です。ここから先は立入禁止なので引き返して下さい」


「悪いがその気はない」


「ならば力付くで追い返します!!」


椛は剣を構えた。


俺も槍を構えようとしたが、


「主、ここは私がやります」


水姫に遮られた。


「水姫………大丈夫か?」


「もちろんです。それに少し実力を試したいので」


「わかった。そのかわりに絶対に勝てよ?」


「かしこまっちゃいました。捩って、捻って、へし折ってきます」


水姫は恐ろしい事を言って双牙を取り出し、椛と向き合った。




















〜side out〜



主に了承を得た私は双牙を構えて哨戒天狗の椛殿と向き合った。


「どうやら貴方は妖怪のようですね」


「えぇ。私は鼬の妖怪、水姫と申しちゃいます」


「それでは戦いますか?」


「もちろんです。主の道を切り開かせてもらいます!!」


そう言って私は少しずつ力を溜める。


椛殿は盾を前に突き出して間合いを詰めてきた。


「行きます!! 先手必勝!!」


「ほいっ……と」


なので私はその攻撃を上に飛んで避けた。


そのまま飛んだ先にあった木に乗る。


「椛殿。スペルカードを使っても良いですか?」


「構いませんよ」


「ならば行きます!!」


私は木から飛び立ち、スペルカードを構えた。


「神速『紫電一閃』!!」


このスペルは妖力を込めた一を撃ち込む技だ。


私は空中で体を捻り、双牙の片方に妖力を込め始める。


「はぁぁぁぁ!!」


「その一撃、受け止めてみせます!!」


椛殿は盾を構えて、守りの構えをした。


私はそれでも技の構えを崩さないで突っ込む。


そしてある程度近づいたらしっかりと狙いを定めて、


「紫電!! 一閃!!」


思いっ切り一閃する。


ガァァァン!!


その一閃は盾にぶつかり、競り合う。


「この一閃は重いですね…………!?」


「覇ぁぁぁ!!」


椛殿が一瞬崩れたところを見逃さずに力をさらに込めた。


すると椛殿は後ろに吹き飛んだ。


「まだまだ攻めさせてもらいます!!」


私はさらにスペルを構えた。


「連撃『疾風三閃』!!」


このスペルは紫電一閃と似ていて、妖力を込めて相手を斬る技だ。


ただし紫電一閃と違う点は溜める妖力の量が左右で違う事。


双牙は2本だから片方にもう片方の2倍の力を込めるのだが、その妖力の調整が難しい。


しかし今の私なら普通にコントロール出来る。


「まず一閃!!」


「くぅっ!?」


ガァン!!


椛殿はなんとか盾で一回目の斬撃を防いだ。


「二閃目!!」


「あっ!?」


ガァン!!


椛殿は二回目の斬撃を防いだが、盾が吹き飛んだ。


「これが三閃目です!!」


「はぁっ!!」


キィィン!!


三回目の斬撃は椛殿の剣に防がれた。


そのまま競り合う。


「中々やりますね………」


「仕留めきれませんでしたの事なのか………」


「さて、ここからは私が攻めます!!」


「狗符『レイビーズバイト』!!」


椛殿は私と間合いを取って、スペルを構えた。


すると前後から狼の牙のように並んだ弾幕が飛んできた。


「一見、隙間は無いが実は牙の後ろにある!!」


私は地味なところの隙間で弾幕を避ける。


「中々の観察力ですね」


「全くそれほどでもございやせん」


「しかし近づけないでしょう? 貴方は格闘戦が得意なようですからこれでダメージは減らせます」


「一応、射撃技も持っとりますよ? 斬波!!」


私は双牙に力を込めて、勢いよく振る。


すると衝撃波が出てきた。


椛殿はそれを盾で防いだ。


「なるほど……ですが手数は少ないようですね」


「それは認めます。覇弾!!」


今度は双牙に力を流さずに拳に力を溜めて右ストレートを放つ。


すると拳からサッカーボール程度の大きさの弾が飛び出す。


「甘いですよ!!」


椛殿は覇弾を斬り裂いた。


(こんな時に主の瞬間移動が出来たらなぁ………)


私は心の中でそう思った。


主の瞬間移動さえあればすぐに近づけるからだ。


なんか忍者って身代わりの術を使うと瞬間移動みたいな事が出来るんでしたっけ?


そんな事を考えているとまた弾幕が迫ってきた。


(当たるかどうか…………一か八かの賭けをしてみるとしましょう)


「反転『身代わり』!!」


私はスペルを掲げた。


そして弾幕に突っ込む。


「自滅するつもりですか!?」


椛殿がそう言ったが、そんなつもりは全く無い。


このスペルは自分の有効範囲内に敵がいる状態で相手の攻撃を喰らったら発動するスペルである。


簡単に言えば博打だ。


有効範囲内に入るか、入らないかのギリギリの位置でスペルが発動させる。


もし失敗すれば私の負け、成功すれば私の勝ち。


「はぁっ!!」


私は思いっ切り弾幕に突っ込んだ。


そして弾と私がぶつかる。


ボォォン!!


しかし弾幕に直撃した瞬間、身代わりが出てきて弾幕とぶつかった。


どうやら成功したようだ。


「私はこの瞬間を待っとったでございます!! さぁ決着をつけましょう!!」


身代わりを踏み台にして椛殿に突っ込む。


そしてスペルを構えた。


「全身全霊で行かせてもらいます!! 双牙『迅雷・時雨の型』!!」


これは家を建てるための木材を作るために使った技をスペルにしたのだ。


ちなみに名前の由来は斬撃が雷のように一瞬、時雨のように多いからこういう名称になったのだ。


「煌めけ!! 双牙!!」


私は特殊な構えをした。


すると斬撃が煌めいて周りを白く照らす。


その一瞬の内に刃を縦と横に振って斬撃を繰り出した。


そして構えを元に戻す。


椛殿は止まったまま、動かない。


「斬!!」


「くぁぁぁぁぁぁ!!」


私が『斬』と叫ぶと椛殿が思いっ切り吹き飛んだ。


私は双牙をしまって椛殿の方を向いた。


「これで決着でございますです」


「私の負けです………どうぞお進み下さい」


剣を地に突き刺して、なんとか立ち上がった椛殿はそう言った。


そこへ主が歩いてきました。


「随分と強いな……」


「そうでも無いのでございましちゃいます」


「さて、水姫が切り開いてくれた道を進むとしようか。椛の傷を癒した後でな」


「かしこまっちゃいました」


「ありがとうございます…………」


私は椛殿の傷を治してから、主と一緒に山の頂上を目指して歩きだした。















〜side out〜





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