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第17話 半人半霊の庭師

「でも余り庭では戦いたくないなぁ……」


俺は庭で体を動かしながらそう呟いた。


「なんで庭で戦いたくないの?」


「ここまで綺麗に手入れされてる庭なんて久々に見たからさ。それを壊したくないんだよ」


「なんか誉め過ぎじゃないですか? そこまで凄い事はしてないんですけど……」


「外の世界では珍しいからな。俺の過大評価かもしれないが、それ無しでも凄いと思う」


「でも、戦いによってまた美しくなるんじゃないかしら? 普通じゃ表せない何かが出来たりね」


「それもそうだな………。よし、始めるか」


俺は武器をださずに構える。


「あれ? 響介さんは武器は無いんですか?」


「ん? 武器? あるけど…………あった方が良いのか?」


「その方が思いっきり出来ますので」


「わかった………"星穿の神槍"!!」


俺は槍を出現させて、構えた。


「それじゃ行きますよ」


「おう。いつでも良いよ」


妖夢は長い刀を取り出し、斬りかかってきた。


俺はそれを避け、槍を横に振った。


しかしそれは刀に防がれ、競り合う。


「さて、どう攻めるかな?」


「考えてる暇なんてありませんし、与えませんよ? はぁっ!!」


妖夢が受け流して、背中を蹴ろうとした。


俺はそれを伏せて避ける。


しかし妖夢は攻めを続ける。


伏せた俺を叩き斬るために刀を振り下ろしてきた。


「やばっ!! ……なんちゃってな」


俺はその一振りを、左腕を捻って体を回して避けた。


そして右腕を地につけて捻り、妖夢の横っ腹を蹴る。


「くっ!?」


妖夢は少し吹き飛ばされる。


「瞬間移動」


俺はさらに追撃するために、瞬間移動した。


妖夢の後ろに回り、蹴ろうとする。


「なっ!?」


妖夢は俺がいつの間にか後ろにいた事に驚いていた。


そしてすぐに日本刀を振ってくる。


「残念っ!!」


俺はさらに瞬間移動で妖夢の裏に回り、槍を振った。


「またですか!?」


当たるかと思ったが、短刀で防がれた。


そしてまた競り合う。


「へぇ〜。二刀流なのか」


「えぇ。……それにしても不思議な技を使いますね。まるで紅魔館のメイド長のような……」


「ま、咲夜と似たような技だな」


「私もそんな技が欲しいなぁ……」


「ま、話は後でしよう。今は………戦いに集中しよう」


「もちろん………そのつもりです!!」


妖夢は俺に向かった日本刀を振ってきた。


俺はそれ避けて、間合いを取る。


そして槍を消してスペルを構えた。


「念剣『サイコソード』!!」


このスペルは念動力を剣の形で固形化させるスペルだ。


木の棒とかあれば、それを軸として刀を作れたりする。


ただしスペルだから時間制限付きだ。


「二本で行く!!」


俺は二本、念剣を作りだした。


「こちらも行きます!! 断命剣『冥想斬』」


妖夢もスペルを掲げた。


すると妖夢の刀が緑の光を帯びて長くなった。


どうやら刀が強化されたらしい。


「とりあえず攻める!!」


「負けません!!」


俺と妖夢は刀をぶつけ合い、競り合う。


しかしお互いに決定打が中々出ない。


「仕方ない……スペルを使うか」


俺は一旦間合いを取り、スペルを構えた。


「閃技『一騎当千』!!」


この技は念剣が発動してないと使えないスペルだ。


念剣を振り回し、舞うように動きながら敵を斬り裂く。


舞うように斬るため、後ろから斬り掛かってきた敵を倒してしまったりする。


「喰らえ!!」


俺は妖夢に近づいて、連続攻撃に入った。


右の剣を振ってから、回転するように攻撃する。


「くっ!! 中々攻勢に出れない!!」


妖夢は剣を防ぎながらそう言った。


「それじゃ、これはどうだ?」


俺は剣の振り方を加えた。


横だけでは無く、突きを組み込んで攻勢を保つ。


しかし妖夢は見事に防いでいる。


「まだまだ余裕ですね!!」


「なら……少し追加だな」


そんな妖夢を見た俺は、さらに振り方を組み込んだ。


横、突き、縦、斬り上げをランダムで繰り出す。


流石に妖夢は辛そうな表情をするが、なんとか持ちこたえている。


「くぅっ!! まだ行けるっ!!」


「これで追加というか………強化は最後だ」


俺は剣の繰り出す速さは上げた。


多分、少しぐらいは残像が出来るぐらいだろう。


そして白玉楼の庭に刀同士が高速でぶつかり合う音が響く。


ズガガガガガガガガァァァ!!


「っ!? これは!?」


「そろそろ………吹き飛べぇ!!」


俺は二本同時に妖夢に振った。


少し拮抗するが、


「くっ!! うぁっ!?」


妖夢は飛ばされた。


しかし妖夢は空中で態勢を直して、足に力を込めて踏ん張る。


そして少し行ったところで止まった。


「へぇ〜。態勢を直したか」


「中々やりますね………流石、霊夢さんと魔理沙さんを倒しただけあります」


「まぁ、このくらい出来ないと命が危ないからな……っと、念剣が消えたか」


俺の手から念剣が消えた。


どうやらスペルブレイクしたようだ。


俺は星穿の神槍を出現させた。


「響介さんは不思議ですよね。武器を出したり消したりと………」


「俺も不思議に思ってるんだよな。色々と出来るし……」


「え? 響介さん自身わからないんですか?」


「まぁな。ついさっきまで記憶喪失だったし。今もそうだが」


「記憶喪失ですか……大変そうですね」


「ま、記憶を取り戻しながら頑張るさ。…………おしゃべりはここまでだな」


「はい、ここからが本番です」


俺と妖夢は武器を構え、お互いに相手のスキを狙う。


「………………」


「………………」


二人の間に長い沈黙が続く。


「はぁっ!!」


俺はその沈黙を破った。


槍を妖夢目掛けて突いた。


しかしそれはあっさりと避けられ、俺にスキが出来る。


「甘いですよ!!」


「くぅっ!?」


俺は上に吹き飛ばされた。


落ちてきたところを追撃するのか、妖夢は刀を構えて近づいてくる。


「こいつはやばいかな?」


妖夢は俺が落ちる場所の近くで居合斬りの構えをしている。


「これはタイミング次第だな………」


俺は槍を構えて、そのまま落ちていく。


「これで決まりです!!」


妖夢は刀を横に振り、俺を斬り裂こうとする。


しかし、その一振りは当たらなかった。


いや………別の物に当たったのだ。


その別の物を見ると、


「えっ!?」


「危なかったぁ…………」


槍を地に突き刺し、その槍の柄を持って上で逆立ちしている俺の姿があった。


妖夢の刀は地に突き刺さった槍に当たっていたのだ。


「まさか避けられるなんて………」


「とりあえずお返しだ!!」


「うぁっ!!」


俺は妖夢の肩を蹴り、吹き飛ばす。


そして地面に降りて槍を引き抜き、態勢を直そうとしている妖夢に加速して近づく。


「よっと」


「あぁっ!?」


妖夢の足を払い、転ばせる。


そして妖夢に向かって槍を突き付けようとしたら、


ドカッ!!


何かがぶつかってきた。


俺は吹き飛ばされて、妖夢から突き放された。


「痛たた………一体何だ? …………人魂?」


妖夢のところを見ると人魂のような物が浮いていた。


「はい。この人魂は私の半身です」


「人魂が半身ってどういう事だ?」


「私は生まれた時から半人半霊なんですよ」


「なるほどな………」


「それじゃあこれで決めさせて貰います!!」


妖夢はスペルを掲げた。



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