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第16話 冥界の白玉楼

昼食も食べ終わり、俺は紅魔館の門にいる。


「それじゃ、また来なさい」


「言われなくても来るさ。フランとの約束でもあるしな」


「そう。わかったわ」


「それじゃあな」


「えぇ、またいつかね」


俺は紅魔館を後にした。


ちなみに門番は寝ていたため、咲夜にナイフで刺されていた。














「ん〜………まだ正午にはなってなさそうだな」


俺は人里に向かって歩いていた。


まぁ理由も何も無いけどな。


「グルルルル………」


そんな時、目の前に妖怪が現れた。


見た目は角の生えた狼で体長は3mを超している。


「お、妖怪か。何だ? 妖怪も昼飯の時間か?」


「グァァァ!!」


妖怪は俺の質問に答えるかわりに襲い掛かってきた。


そして鋭い爪で俺を引き裂こうとする。


「余り怪我をさせたくないんだけどなぁ………瞬間移動っと」


俺はその攻撃を避け、妖怪の横に立った。


そして槍を取り出し、地面に突き刺して力を込める。


すると……


バキッ!!


地面に皹が入った。


皹というか……地割れか?


どちらにしろ妖怪はそれを見て逃げ出した。


「さてと……先に進むとしようか」


俺は人里に向かって歩きだそうとした。


しかし、目の前で妖怪と戦っている少女がいた。


「せいっ!! はぁ!!」


少女は日本刀を振るいながら戦っているが、巨大な荷物により行動が制限されているため、じり貧だ。


それに数的不利もある。


少女に対して、妖怪は武器付きで5体。


俺から見て、縦一列で味方を援護出来る隊列を組んでいる。


イジメみたいだな。


「くっ!!」


少女はかなりまずい感じだ。


「とりあえず助けるとしようか……。撃符『究極!ゲシュペンストキック』」


俺は空高く飛び上がった。


「究ぅぅ極!! ゲシュペンストォォォォ!!」


叫んだ後、膝を曲げて蹴りの構えをした。


そして妖怪に向かって加速する。


「キィィィィィック!!」


俺の蹴りは手前の妖怪に直撃した。


さらに次々と妖怪を巻き込んで突き進む。


そして妖怪5体全てを巻き込んだ後、曲げた膝を伸ばして蹴り飛ばした。


妖怪達は全て森の方向へ吹き飛んだのを見た後、俺は着地した。


「どんな妖怪であろうと………蹴り飛ばすのみ」


「………………」


少女の方を見ると呆然としていた。


まぁいきなり目の前の敵が吹き飛ばされたから当たり前だと思う。


「お〜い……大丈夫か〜?」


「……はっ!? だ、大丈夫です!!」


「なら良かった。それじゃ……」


俺はとりあえずその場を去ろうとした。


しかし、


「待って下さい!!」


呼び止められた。


「ん? 何?」


「あの……お礼がしたいので屋敷まで来て頂けませんか?」


「いや……お礼なんてそんな」


「お願いします!!」


深々とお辞儀された。


少女にここまでさせて断ったりしたら失礼だろう。


「仕方ない……そのお屋敷とやらに行こうじゃないか」


「あ、ありがとうございます!! それじゃ付いてきて下さい。ご案内します」


俺は少女の後ろについて行った。














空を飛んでいる時、一つ気がついた事があった。


「あ、そういえば名前は?」


名前を聞いてなかったのだ。


「私の名前は魂魄 妖夢と申します。屋敷で庭師と世話係をしています」


「俺の名前は風戸 響介だ。よろしくな」


「ん? 風戸……響介?」


妖夢は少し考えた後、口を開いた。


「もしかして……霊夢さんと魔理沙さんを倒した人……ですか?」


「まぁ……そうだけど。…………ってなんでこんなに広まってるんだ?」


「だって新聞に載ってますよ? 大々的に」


「新聞か………覚えておこう」


「あ、もうすぐ冥界の入口ですよ」


「え? 冥界の入口?」


俺は冥界と聞いて、一瞬恐怖を感じた。


「? どうかしましたか?」


「いや、生きてる者が冥界に行って問題無いのか?」


「大丈夫ですよ。霊夢さんや魔理沙さんも入った事がありますから」


「なら問題ないか」


「それじゃ行きましょうか」


「あぁ」


俺と妖夢は冥界への扉をくぐった。


そして扉を抜けると雰囲気が変わった。


人魂が所々で飛んでいて、幽玄な景色が広がっているのだ。


「へぇ〜。ここが冥界か」


「この石段の先に私が住む屋敷があります」


妖夢が指を差した方向には、先が見えない石段があった。


「長っ……」


「それでは行きましょうか」


「お、おぅ」


俺と妖夢は石段を歩かず、飛んで屋敷に向かった。


余談だが妖夢が先に屋敷に行って、俺が瞬間移動した方が楽だと思ったのは屋敷の目の前に着いてからである。














日本の屋敷でよくあるような門の前に降り立った。


「よっ……と。屋敷に到着したみたいだな」


「はい。それでは中に入りましょう」


妖夢が門を開けて、中に入ったので俺もその後に続いた。


そして周りを見ると、


「すげぇ…………」


とても綺麗な庭があった。


「ありがとうございます。そう言って下さると嬉しいです」


「妖夢は庭師だもんな。……それにしても綺麗に手入れがされている」


俺は庭に釘付けだった。


そんな時、一つの木が目に入った。


その木は枯れていて、元が何の木なのかわからない。


「響介さん。上がって下さい。幽々子様のところへご案内します」


「ん? ……あぁ」


俺は木の事を気にしつつ、屋敷の中に上がった。












俺は庭が見える客間のような場所に通された。


「それではここでお待ち下さい」


「あぁ、わかった」


妖夢は部屋から出ていった。


「ここの屋敷は中々だな……庭も綺麗だし」


俺は外の景色を見ていた。


さっきとは別角度だが、ここの庭はやはり凄いと思う。


京都のお寺か神社で見た、砂と石の模様も凄かった。


しかしここの庭も負けてはいないだろう。


そんな事を考えていると、襖が開いた。


「お待たせしました」


妖夢がお茶を持っていて、その後ろには外見からして幽霊っぽい人がいた。


二人は部屋に入り、座った。


「あら、貴方が妖夢を助けてくれた人なのね。ようこそ、白玉楼へ」


「へぇ。白玉楼っていうのか、この屋敷」


「とりあえず貴方の名前を聞かせて貰っていいかしら?」


「風戸 響介だ。色々と力を取り込んでいたりする」


「私は西行寺 幽々子。妖夢を助けてくれてありがとう。響介」


笑顔で言われた。


笑顔の破壊力高っ!!


大体の人はこれで落とせるだろ……。


「で、何かお礼をしたいのだけど……」


「いや、困った時はお互い様って訳で気にしないでくれ」


「なんか悪いわね……ご飯でも食べていく?」


「特に腹減って無いしなぁ……」


「ん〜…………ならどうしましょうか……」


幽々子は考え事を始めた。


別にお礼なんていらないんだけどなぁ………。


「あ、なら何かしてほしい事とかあるかしら?」


「え? ……そうだなぁ………」


「例えば……一晩此処に泊まるとかで良いんじゃないかしら」


なんか一晩泊まれって言われてる気が……。


「ん〜……わかった。妖夢と近接戦闘有りの弾幕ごっこで決めよう」


「どういう事かしら?」


「俺が勝ったらお礼無し。妖夢が勝ったら、お礼を受けるって事だ」


「なるほどね。……わかったわ。妖夢、お願いね」


「畏まりました」


「さて、意地を通させてもらおうかな」


俺と妖夢は庭に出た。



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