第15話 ドッキリ大作戦
「さてと……部屋を出るとしようか」
俺は自らの姿を戻して、フランをお姫様抱っこしたまま扉の前に立った。
「でもどうやって扉を開けるの? 私を抱えてたら開けられないよ?」
「いや、扉は開けないよ。瞬間移動するんだ」
「え? 瞬間移動?」
「あぁ。扉を飛び越えるのさ。……今回は特別でフランも一緒にな」
「本当!?」
「もちろん」
「やったぁ!! 早く!! 早く!!」
フランが大はしゃぎした。
でもフランにとっても、俺にとっても所要時間は1秒も無い。
「それじゃフラン。しっかり掴まってろよ?」
「はーい!!」
フランは俺の首に腕を絡ませていた。
まぁ掴まってる事には変わり無いけどさ……普通、フランぐらいの子って俺の予想は服を掴むと思ってた。
俺は少し遅れてるのかなぁ?
「瞬間移動」
俺とフランは扉の向こうへ飛んだ。
そして一瞬で扉の向こうに着いた。
「という訳で移動完了っと」
「いいなぁ……。私もそんな力が欲しいなぁ……」
「まぁ、フランも成長すれば努力次第で手に入るんじゃないか? まだまだ長い人生なんだし」
「頑張ってみようかな? その技を習得したら、私と戦ってね? 響介」
「あぁ、俺が生きてたらな」
俺とフランが会話していると
「妹様、ご無事ですか?」
咲夜が話しかけてきた。
「うん、大丈夫だよ」
「これでしばらくは大丈夫だ」
「それは良いのだけど…………なんで貴方は妹様をお姫様抱っこしてるのかしら?」
「いや、なんとなく……と言うかなんと言うか…………」
「響介〜。また瞬間移動してよ〜」
フランが俺の首に腕を絡めたまま言った。
「咲夜でも出来るから咲夜で良いんじゃないか?」
「咲夜はお姉様のメイドだもん。だから私は響介にやってもらいたいんだよ? やって?」
上目遣いで言われた。
やべぇ、破壊力高過ぎだろ。
ロリコンで無くとも、屈するな、絶対。
「仕方ない……咲夜、それで構わないか?」
「…………えぇ、妹様がそれで良いなら」
「で、どこまで飛ぶんだ?」
「お姉様のところ!! 急に出てきて驚かしたいの!!」
「わかった。咲夜も瞬間移動で来てくれ」
「えぇ、わかったわ」
「瞬間移動」
俺はレミリアのところまで飛んだ。
「はい、到着っと」
「同時に着いたわね」
「本当に速いなぁ〜」
俺達はレミリアの元に着いた。
そしてレミリアを探してみると、
「ゴホッ!! ゴホッ!!」
手に紅茶を持ってむせていた。
「だ、大丈夫ですか!? お嬢様!!」
「……どうやら驚いた……みたいだな」
「作戦大〜成〜功〜!!」
そんな事をものともせずレミリアはフランを見て驚いた顔をした。
そして紅茶を置き、フランに近づいて言った。
「フラン……今までごめんなさい……。私のせいで……」
「…………ううん、良いの。もう過ぎた事だから」
レミリアとフランはお互いに抱きしめ合った。
俺はそんな光景を見て、
「いやぁ、良かったなぁ」
と呟いた。
俺はこの雰囲気を壊さないように脱出しようとした。
しかしそんな良い雰囲気をぶち壊す出来事が起きた。
それは…………
グゥ〜〜〜〜。
俺の腹が鳴ったのだ。
「やっちまったな……俺」
「なら昼食にしましょうか。咲夜、お願いね」
「畏まりました」
咲夜は部屋から出ていった。
「レミリア。少し来てくれ」
「何?」
俺はレミリアを呼んだ。
「フランの狂気だが、俺が持ってていいか?」
「え? どういう事?」
「フランの狂気はこの宝珠の中に入ってるんだ。で、フランに破壊されないように俺が持ってていいか? って事」
「持ってて良いわ。あの子に狂気を近づける訳にいかないもの」
「了解だ」
そんな話をしてるとフランが近づいて来て、
「何〜? 内緒話? 何話してたの?」
と言った。
「あぁ、少しな。ちなみに内容は秘密だ」
「え〜、良いじゃん。教えてくれたって〜」
「ま、聞かれちゃ駄目だから内緒話をしてたんだ。許してくれ」
俺がそう言うとフランが考えた後に言った。
「う〜ん……わかった。でもそのかわりに条件を出していい?」
「なんだ?」
「……また紅魔館に来てくれるよね?」
「なんだ……そんな事ならOKだ。その時はまたご飯をいただきに来るかもな」
「じゃあ約束だよ? 絶対だからね?」
「あぁ、絶対来るからな」
フランが俺に抱き着いてきた。
そんな事をしていると扉が開いた。
「ねぇ、レミィ。色々と混ざり合った強い力を感じるのだけど…………」
入って来たのは紫色の服を着て、長い髪をした少女だった。
「あぁ、そこの客人の事ね」
「客人? その客人がフランに懐かれてるのは一体どういう事?」
「簡単に言うならフランと戦って、狂気から解放してくれたのよ」
「あの狂気に飲まれたフランに勝つなんて……彼は何者なの?」
なんか二人で話してるなぁ…………。
ま、聞こえる限りでは俺についてみたいだが……気にしないでおこう。
と考えていたが、レミリアがその少女を連れて来た。
「響介。貴方に紹介しておきたい人がいるの」
「私はパチュリー・ノーレッジ。レミィの友人よ」
「俺は風戸 響介。色々と力を取り込んでいる者だ」
「パチェは紅魔館の図書館に居るのよ」
「へぇ〜。ここには図書館もあるのか」
「そんな事より響介。………とても興味深いわ」
パチュリーは俺を観察しながら言った。
「興味深いって言われても困るんだが…………」
「まぁ響介は色々な力を取り込んでるから興味を持たれても仕方ないよ」
「そんなものなのか……」
「そういえば力を使って出来る事とか無いのかしら?」
「力を使って………か。今わかるのはこれぐらいだな」
俺は念じて銀狼の姿になる。
「まさか……変化?」
「恐らくその部類だろう。ただしこの姿の時は妖力しか使えないデメリットがある」
「でもメリットとしては相手をしっかり騙せる……とかかしら?」
「俺もあまり理解出来ていないからな……メリットは模索中だ……ってフラン。尻尾はやめてくれ」
パチュリーと話していたが、フランが俺の尻尾で遊び始めていた。
「はーい………ふみゅぅ〜」
フランは尻尾を弄るのはやめてくれたが、今度は抱き着いてきた。
「いや、何故抱き着いた?」
「ん〜…………なんとなくかな?」
「それで良いのか…………」
「良いんじゃない?」
フランって大雑把なんだなぁ……
「まぁ今度、ここに来たら図書館に来なさい。色々と役に立つかもしれないから」
「あぁ、わかった」
そう言うとパチュリーは部屋から出た。
「フラ〜ン。姿戻すぞ〜」
「え〜。もう少しだけ〜」
「今度、やってあげるから今日は我慢するんだ」
「はーい……う〜」
フランは渋々と離れた後、俺は姿を戻した。
その時、また部屋の扉が開いた。
「お昼をお持ちしました」
「それじゃ響介、食べましょうか」
「おぅ。わかった」
「私も食べる〜」
俺とフランとレミリアは一緒にお昼ご飯を食べ始めた。