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第14話 賭けと狂気と魂

パリィィィィン!!


空間の裂け目を刺し貫いた俺はそのまま抜け出した。


「ヤッパリキョウスケハツヨイナァ!! コノスペルマデコウリャクスルナンテサ!!」


「まぁな。あんなところに一人で居るよりフラン居た方が楽しいから頑張ったんだ」


「キョウスケ……コンナワタシトイテタノシイノ? ドウシテ、コンナワタシノタメニガンバレルノ?」


「もちろんフランと居ると楽しいよ。それにフランと俺は友達だろ? だから俺は頑張れるんだ」


「キョウスケ………」


フランは涙を流していた。


「ほら、泣くなよ。フラン、まだ遊んでる途中だろ? 泣くのは遊び終わってからだ」


「ワ、ワカラナイ……ワカラナイヨ……ウ、ウゥ!!」


フランは頭を抱えて、苦しんでいた。


「フラン!!」


「ウ、ウァァァァァァァァァァァァァ!!」


「QED『495年の波紋』!!」


フランは叫んだ後、スペルを掲げた。


フランから弾幕が波紋状に放たれ、跳ね返ってくる。


「ヤバいな………フランを止めないと!!」


「ワカラナイ!! ワカラナイヨォォォォォォ!!」


フランがそう叫ぶ度に波紋が広がっていく。


「どうにかしてフランを止めないと…………」


「ワカラナイ!! ワカラナイトキッテ、ドウスレバイイノォ!!」


フランは頭を抱え、叫んでいた。


しかしフランばかりを見ていると、波紋に当たってしまう。


「とりあえず少しずつ近づくしかないか……」


「ウァァァァァァァァァァ!!」


「かなり辛いな……上手く避けないと到達出来ない……」


俺はなんとか間を抜い、フランに近づくが、近づくにつれ、弾幕の密度が高くなっていく。


しかし俺はその中を進んでいった。


そしてフランに刀が届くぐらいまで近づいた時、


「アァァァァァァ…………」


フランの声が収まった。


それと同時に弾幕も収まる。


「フラン? 大丈夫か?」


「…………フフフ」


「おい、どうしたんだ?」


「アハハハハハ!! ワカッタヨ!! ワカラナイナラコワシチャエバイインダ!!」


フランは俺の方を向き、対峙する。


「サァ!! キョウスケヲコワシテアゲルヨ!!」


「わからない物を壊したって根本的な解決にはならない!! 知る事も大切なんだ!! それをフラン!! お前にわからせる!!」


俺は日本刀を構え直して、少しだけ離れた。


「ソレジャア、アラタメテイクヨ!!」


また波紋が広がってきた。


しかし量がさっきより増えている。


「もうフラン………やけくそじゃないか? だが、やけくそな分……弾の量がヤバいな……」


「アハハハハハハ!! コワレチャエェェェェェェ!!」


「こうなったら分の悪い博打だ…………即興でスペルを作るしかないな」


「博打『貫け!奴よりも速く』」


俺は刀を構えて、動きを止めた。


そして力を溜める。


「ナニ? モウアキラメタノ?」


「いや、諦めてなんかいないさ。フランを助け出せるか否かの博打をしてるんだ」


「ワタシヲ……タスケダス? ナンデ? ドウシテ?」


「俺はフランと一緒にやりたい事があるからだ。あとで昼飯をフランと一緒に食べたいからね」


俺がこう言うとフランは少し考えて、喋りだした。


「……オヒルゴハン? デモ、キョウスケハオヒルゴハンヲタベレナイヨ?」


「いや、意地でも食べるさ。フランと一緒にな」


「ドウシテ……ドウシテソコマデワタシニカマッテクレルノ?」


「友達だからさ」


俺はフランの質問に即答すると、フランは条件のようなものを出してきた。


「ソレジャア……ワタシヲタオセタラ、イッショニオヒルゴハンヲタベテアゲル」


「よし、さらにやる気が出た。……さぁ、来い!!」


俺がそう言った途端、弾幕が大量に放たれた。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………!!」


俺はさらに力を高めた。


(はぁ……本来の力を解放したって……俺のリミッターを解放しなきゃ大差ないよ……)


心の中でそんな事を呟きつつ、腰を落とす。


フランの弾幕がどんどん飛んできて、俺を倒そうとする。


「この一撃……絶対フランに届かせる!!」


俺は刃を横にして構えた。


そしてフランの弾幕が目の前にくる。


だがその前に、俺のスペルが発動した。


「この博打……俺の勝ちだ!!」


フランの密度が高い弾幕の中を俺は掠りながら進む。


「エ!? ナンデダンマクガアタラナイノ!?」


フランは驚き、さらに波紋を作り出した。


俺のスペル「博打『貫け!奴よりも速く』」は、いわゆる確率で決まるカウンタースペルだ。


実際は格闘戦で使うものだが、今回は弾幕で使ってみた。


カウンターが成功すると、ありとあらゆる弾幕を避けて相手へと近づく。


ちなみに今回の成功確率は39%だった。


しかし問題なのは近づいたらどうするかだ。


(フランを傷つける訳にはいかないし、どうしよう…………)


そんな事を考えている内にフランの目の前に来てしまった。


(仕方ない……あれをやるか)


「まずは痺れろ!!」


「念雷『サイコプラズマ』!!」


俺はまず念雷でフランを痺れさせる。


力を解放したおかげで電圧はかなり上がっている。


「ウゥ………サッキヨリシビレテルヨ………」


俺はフランの腹に日本刀の先端を向ける。


「苦しいかもしれないが我慢してくれよ!! フランの(まぶい)から狂気をえぐり出す!!」


そう言って俺はスペルを構えた。


「魂斬『マブイエグリ』!!」


この技は実際、相手の体に日本刀を突き刺して"肉"と"魂"をえぐる技なのだが……手加減すると、"魂"の一部分だけをえぐったり、妖力等の力を流れだせる事が出来る。


今回はフランを狂気から救い出すためにこの技を使った。


手加減して狂気を魂からえぐり出し、体から抜き出すつもりだ。


「フランの(まぶい)を……救い出す!!」


まず、フランの腹に日本刀の刃で円を描く。


黒い円が出来るが、フランにも服にも傷はついていない。


これには目印とか、特殊な仕掛けがある。


特殊な仕掛けというのは、"刀が触れなくても魂がえぐれるようになる"という事。


そして"魂から切り離した物を引き抜く事が出来る"ようになる。


傷つけないためには絶対必要不可欠だ。


次に狂気を魂から切り離すため、日本刀でえぐる真似をする。


えぐって無いように見えるかもしれないが、思いっきりえぐっている。


すると魂をえぐられているフランはやはり痛いのか、


「クッ……ウァァァァァァァ!!」


フランが叫んだ。


「やっぱり魂を弄られるっていうのはキツイよな……でも我慢してくれ!! ……………よし、切除完了」


次はフランの体の中から切り離した狂気を取り出す。


腹に描いた円に手を翳す。


そして手に力を込めて念じる。


(フランの狂気を……俺の手に)


すると俺の手に赤い霧のような物が現れた。


どうやらフランの狂気なのだろう。


「何か狂気を込める物は……黒龍の宝珠で問題ないな」


俺はポケットに入っていた赤い宝珠を取り出す。


そして狂気をその珠の中に入れていく。


「アァァァァぁぁぁ……」


フランから狂気がどんどん抜けていき、宝珠の中に全て入った。


「とりあえず保険で、封印……っと」


少し封印を施して宝珠を回収した後、フランをお姫様抱っこした。


「フラン。大丈夫か?」


「……うん。痛かったけど大丈夫だよ」


「そうか。そいつは良かった………さてと、フラン。昼飯を食べに行くか?」


「うん!! 行く行く!!」


俺はフランをお姫様抱っこしたまま、扉へ向かって歩きだした。



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