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第13話 復活と孤立空間

影が鳳凰達に順序を説明している間、暇だった。


俺は焦る気持ちを抑えている。


そして儀式的な何かが本格的に始まった。


俺を囲んで、鳳凰達は力を溜めはじめた。


俺は謎の人影に話し掛けた。


「そういえばさ………この儀式みたいな奴をやると何か変化があるのか?」


「ん〜……記憶が戻るとか、戦いが終わるまで姿が変わるとかあるかもね」


「へぇ〜…………え? 記憶が戻る?」


「うん。完全に戻る訳じゃないけど」


「…………まぁ足りない記憶は自分の力で取り戻すさ」


そんな事を話していると鳳凰が、影に向かって頷いた。


「準備が出来たみたいね。……それじゃ始めて」


「はぁぁぁ!!」


「うぉぉぉ!!」


「…………」


「うぬぅぅ!!」


俺を囲む鳳凰達から力が注ぎ込まれる。


それと同時に記憶が蘇っていった。


楽しい過去から思い出したくない記憶まで。


それと同時に物凄く強い頭痛が走る。


「くっ………うわぁぁぁぁぁぁ!!」


「頑張って耐えて!!」


「そんな事……言われなくても………わかってる……ぐぅっ!!」


俺は頭痛に耐える。


本当に痛みが尋常じゃない。


頭が裂けるような痛み……としか例えようがないぐらいだ。


そしてこの痛みはしばらく続いた。










始まってからどれぐらい経ったのだろう。


やっと頭痛が収まった。


本当は短かったのかもしれないが、俺はとても長く感じた。


「はぁ………はぁ………大体は……思い出した」


長い痛みから解放され、少し膝をついた。


「大丈夫?」


「あぁ、もう大丈夫だ」


「そう……なら早く戻ってあげたら?向こうはヤバいんじゃない?」


「っ!! ……そうだった!! ………でもどうやって戻れば……」


俺は必死に戻る方法を考えた。


急いで戻らないと……咲夜が危ない。


すると影が俺の後ろから話し掛けてきた。


「簡単よ? 念じればいいんだから」


「念じる……?」


「そう、帰りたいって強く願えば良いの」


「わかった…………色々とありがとう……あれ?誰もいない……」


俺が後ろを向くと影が居なかった。


しかし声だけは聞こえた。


「あ、そうそう。今回だけ特別に本来の力を解放しておいたから使うと良いわ……んじゃ、またね」


「お、おい!! …………あれは一体? ………今は早く行かないと!!」


俺は帰りたいと念じ、咲夜達のところへ向かった。










俺が戻ると咲夜とフランが戦っていた。


しかし咲夜はもうボロボロだ。


俺の体は服が裂けているが、体は治っていた。


「あ、体が治ってる……よし……フランと遊んでやるか」


俺は起き上がった。


「くっ……響介を連れて逃げる暇が無いっ!!」


「咲夜、バトンタッチだ。俺が行く」


俺は咲夜の肩を掴み、前に出る。


「え? 大丈夫なの? その左目は?」


「まぁ……色々と後で説明する」


「ア、オキタンダネ。ナラツヅキヲ、ヤロウヨ」


フランがレーヴァテインを構えて言った。


「おう、もちろんだ。ただ、少しだけ待ってくれ」


「イイヨ」


「…………赤眼解放!!」


俺は力を解放した。


すると槍が日本刀に変化した。


「キョウスケノメ……リョウホウトモ、マッカニソマッテルネ」


「へぇ……両目とも染まったのか。…………それじゃフラン。続きをやろうか!!」


「ウン!! コンドハ、キュウケイナシダヨ!!」


「わかってるって!!」


俺とフランはぶつかり合った。


そして何度かぶつかり合った後、競り合う。


「やっぱりフランは強いなぁ!!」


「キョウスケモ、サッキヨリツヨクナッテルヨ!!」


「ふふふ………楽しいなぁ!!」


「アハハハハハ!! ワタシモタノシイヨ!!」


ぶつかり合いながら、喋っていた。


「咲夜!! 今何時かわかる!?」


「え? ………10時38分よ」


「了解!! ……フラン!! 悪いけどさっさと終わらせるからな!! ……あと咲夜は部屋から出ろ!! 危ないぞ!!」


「わ、わかったわ!!」


咲夜は扉へ向かっていった。


「ソノセリフ、コレヲコウリャクシテカライイナ!!」


「秘弾『そして誰もいなくなるか?』」


フランはスペルを構えるとどこかに消えてしまった。


扉に向かっていた咲夜の姿も消えている。


どこかの推理小説で読んだ状況……クローズド・サークル……だっけ?


ここはフランの弾幕と俺だけの空間で、外界との接触を断たれた……こんな感じだな。


「……耐えきってみせれば良いんだな? ……上等!!」


俺は後ろからついて来る物体から放たれる弾をしっかりと避ける。


「キョウスケハヤッパリスゴイナァ!! カンタンニヨケルンダネ!!」


どこからともなくフランの声が聞こえた。


ここは接触を断たれた空間で、ここにいるのは俺だけのはず。


あくまで予想だが、フランはスペルを使ってる側。


だから使用者であるフランは接触を許されるんだろう。


「……覚醒した俺を舐めるなよ?」


「ナメテナンカナイヨ!! マダマダイクカラネ!!」


次々と弾が俺目掛けて飛んでくる。


「まぁ、ランダム弾とかマシンガンよりは簡単だもんな………」


「マシンガン? ナニソレ?」


「まぁこっちの世界で言うと………ただの人間が弾幕を出す為の道具だな」


「ヘェ〜。ソンナノガアルンダネ」


「まぁ俺はマシンガンで狙われた事があって、弾幕を避けるのなら得意なのさ」


なんでマシンガンで狙われたのか、理由はいずれ話すつもりだ。


「デモ、ユダンシナイホウガイイヨ!! ホンバンハコレカラダカラネ!!」


フランがそう言うと弾の動きが変わった。


周りから円の形で弾が集まってきた。


「今度は周りからか……ま、なんとか避けきるさ」


避けきる。


この言葉を言った理由はたった1つだ。


このクローズド・サークルはスペルで作られたもの。


スペルブレイクさえすれば、俺はこの空間からの脱出が出来る。


そして脱出さえすれば、勝機は見えるはず。


だが、この空間でやられてしまえば俺は脱出が出来ずに一人で死を迎える事になる。


死を迎えるにしても孤独死みたいに一人で死ぬのはお断りだ。


それにフランをどうにかしないと昼飯……違った……俺の気が済まない。


「俺はこの孤立空間(クローズド・サークル)から脱出してやる!!」


俺は自らを鼓舞して、脱出した時の為に力を溜めた。


「キョウスケ!! コノスペルヲワタシニコウリャクシテミセテネ!!」


「あぁ、もちろんだ。そしてフラン。……お前を狂気から解放してやるからな!!」


ここからフランの弾幕が激しくなった。


いや……【ループするスピードが速くなった】と言った方が正しいか。


速くなるにつれ、避けるのが大変になる。


一つの輪を避けても、すぐに輪がやってくる。


さらにさっき避けた輪が戻ってきた。


もうかなり面倒だ。


だが、このスペルは空間を制御しているようなもの。


フランはかなりの力を使っているはず。


だからそろそろ空間に裂け目のようなものが出来ても良いと思う。


「あ〜……そろそろ空間の裂け目が出来ても…………。裂け目だ」


俺が少し上に向くと、裂け目のようなものがあった。


「この空間から出て……フランと遊んで……助け出す!!」


俺は全力で空間の裂け目を刺し貫いた。



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