氷の夢
「氷の夢って、何だろ」
おいおい、どうした。
「どこにいても溶けない。
それとも
溶けないところに一生いられる」
……はは〜ん。
二択で悩んでるな。
別れるか、別れないか。
辞めるか、辞めないか。
だいたいそんなところだろ。
「なんだか妙に冷静で、冷たい夢だよな」
「氷の夢ねぇ。
もしかしたら、
水割りの中で静かに溶けていくのが
夢なのかもよ」
「でもそれって、自分がなくなっていく夢じゃないか」
「夢なんだから、自由でいいだろ」
「そうだけどさ」
「せっかくなら、前向きな夢のほうがよくない?」
「溶けることで、新しい氷がグラスに入るんだぜ。
もし自分のやりたいことに二百年かかるなら、
次の世代に引き継ぐってのも、立派な夢だと思うけどな」
「確かにそうだけど…」
「もっと言えば
氷は窮屈なグラスの中でも
溶けて形を変えながら居場所を見つけて
生きてるようにも見えるけどな〜」
「でもやっぱり、
白か黒か、はっきりさせたいんだよ」
「オレは思うんだけどさ。
白黒はっきりさせるって、ある意味損してないか?」
「なんで?」
「白を0、黒を10だとしたら、
白黒はっきりさせたいってのは、
0か10しか選べないってことだろ。
でも白黒にこだわらなければ、
0から10まで、11個も選択肢がある」
「……なんか屁理屈に聞こえるな〜。
白黒はっきりさせたい人間が聞いたら、
「なるほど!」とはならない気がする。
「そういう考えもあるか」くらいで。
それにさ、そんなに選択肢があったら、迷うだろ」
「迷うから楽しいんじゃないか。
人生なんて、
巨大な『あみだくじ』みたいなもんだ。
とにかく、選択肢を最初から減らすな、ってことだ」
白黒はっきりさせたい人間には、
なかなか納得できない話だろうな。
「……そうだな」
(はぁ〜)
あ〜あ〜
デカイため息ついちゃって。
で、
何を悩んでる?




