転機1
橋を作る、と言ってもこの丘の向こうの森にある丸太を数本伐り出して、川のこちらと対岸。
と、言ってもそんなに川幅は無いのだが、深さは人二人分だろうか、切り立った、崖のようになっていて、向こう側に渡すだけといったごく単純な工事。
合わせて害獣が出てくるので、その対策として、獣道に柵を作ることになった。
工具とかその他、諸々を運搬車に乗せ出発した。
運搬車と言っても荷台に車輪がついているといった、簡単なもので当然人力、力仕事を任されている僕しかできない状態だ。
蒸気機関の運搬車は納屋の隅に埃をかぶっている。
最初に蒸気機械の修理をしたが、その機械とは全く規模や、重量が違うので到底自分には歯が立たない。
薬草も採れるようだったら、採ることになった。召喚するための大事なアイテムだ。
もうじきその定期便と呼ばれる飛行船が飛来する、時期だという。
その時期に合わせて、薬草の補充だという。
運搬車の荷物が小気味良い音を鳴らしながら、畑までの道を進む。
母さんを乗せて。
いつも、僕ばかり、畑仕事や、力仕事ばかり申し訳ないと、今回は、色々手伝いたいと、たってのお願いだった。
まあ、怪我されても困るから、草抜きや、お昼ご飯の用意をお願いしようと思う。
そういえば、と運搬車を引きながら母さんに話しかけた。
目的地まで、あと少しのところだ。
あまりにも無言に若干耐えられなかったところもある。
父さんは、どんな人だった。
ウーンとっても素敵な人。
とはにかみながら答え、あなたにとってもよく似ている。と続けた。
その笑顔に少し、ドキッとして、そこから、何を話そうか思いあぐねているうちに、畑に到着した。
じゃあ、母さんは、畑の草を抜いていて、と言い残し。
斧を持って森の中に分け入った。
まずはとりあえず。
取りやすい薬草を籠一杯摘みつつ、手頃の樹木の下見をした。
籠を運搬車に戻し再び、森の中に入ろうと、母がうつむいて草を抜いているのを、横目で見ながら。
下見をしていた木を切り倒し、小川に渡し、荒縄でまとめ上げ、ずれない様、杭で固定した。
人一人通れる程度の簡易な物だ。
そこで、お昼ご飯の用意が出来たと、遠くで、何か鳴らしながら僕を呼んでいた。
近付くと、鍋をひっくり返して叩いて僕を呼んでいた。
僕が近づくのを認めると、無邪気に笑って。
さあ召し上がれ、と簡易なテーブルの上に、いつの間にこれだけの食材を仕込んでいたのか不思議なくらいの、所狭しと食べ物が鎮座していた。
お昼の作業もあるのに、お腹いっぱいだと大変だ、と。
内心思ってはいるが、向かいで、ドキッとするような笑顔で、僕を見ているものだから食べざる終えない。
何とか最後の一口を口に頬張るのを見届けた彼女は、お粗末様、と言って。僕の口の周りに付いている、食べ跡を自分の持っているハンカチを取り出しおもむろに拭き出した。
ハンカチは、ずっとポケットかどこか体に接触しているところに直していたんだろう、仄かに体温と、かすかな香りが鼻腔をくすぐり、それが余計に恥ずかしさに拍車をかけた。
思わず、のけぞるが、それを追尾して、ハンカチが追いかけてくる。
傍から見たら、僕がそれなりの年令の外観なら、カップルがイチャイチャしてるだけの恥ずかしい光景だ。
やっとハンカチの追尾が終わり、落ち着いた時。
次の作業、仕事に移ろうとした。
その時。
目を通していただき誠にありがとうございます、お時間頂戴いたしました分、満足していただけてますでしょうか。より、良く物語を紡いでまいりたいと思います。




