この世界1
もう一度、記憶をたどると、この世界とやらには、大災厄最終戦争と言うものがあり、ほとんど、老いも若きも男と言う男は全て兵役に駆り出され、この町里村には自分一人の男子を残し全て行ってしまった。その災厄は一年もの間続き大地を、この星全て、世界を変え、時空や、次元、生きとし生けるもののことわりを根底から変えてしまった。
各家庭では、夫も息子達が帰ってこなくなって何回目の四季を迎えただろうか、幾月日、経ったことだろうか、見上げると小さき月、その形は砕けて無くなり、大いなる月の周りをその輪となりそのすがたを変えて、あの大災厄最終戦争の終わりを告げた。
大地の恵みが、以前のように実り出したのはつい最近の事。
男手が無く、女だけ世界となってしまった、この世界では、旅立った、男たちを呼び戻すことが、この邑、いや、他の地域でも頻繁に行われているという、その呼び方は地域で色々呼び名があるらしい、反魂、黄泉がえり、転生術、転移術、などと呼ばれていた。
小さき月が砕ける前には、術の効果は、ほぼ十分すぎるほどであった。
この世界では、彼の世、と此の世との境目は曖昧で、それは一枚の壁を隔てた、隣同士の部屋を一枚のドアをノックして行き交うようなものだと、術師の熟練者は言う。
召喚の力として、集め、召喚したのだろう。
召喚され、この異世界に転移、何でも男手が必要で何度か試したらしく、月の力が必要であったが、小さき月が砕けその召喚も不十分であったようだった。
何人もの召喚を試したが結局、一人だけしか呼び出すことが出来なかった。
それがこの俺だったらしい。
長いワンピースを翻しながら、彼女はテーブルの上に何かを置きながら、目が覚めたと言って来た。
やっぱりはじめて、会う女性だ。しかし、この人を母と認識している。
寝床に戻っていた俺はゆっくり、寝床から起き上がり、テーブル並べているそれを見てみると食事の用意なのだろう椀のは、湯気の立った、液体、とパンが並べてあった。
銀板写真が暖炉の上に並べられていた、そこにはその時々の思い出となっていた瞬間がその立っている板の数ほどに枚数分詰まっている
母と俺、二人だけ、この屋敷に十人として、永らくすんでいるようだ、先の大戦で、ここの塊村、里には男手が全員居なくなり、女性しかいなくなってしまった。
母には妹と姉がいるようで、先に農作業に出かけたという、その姉には双子の姉妹がいて、離れの村に買出しに言っている。隣の、と言っても歩いて半日もかかるという。
幼馴染が近所に母子で住んでいる。
どうやら、本当に誰もいないらしい。
もし、熱が下がって、体が大丈夫だったら、この蒸気機械を直してくれるかしら。
そう母は、彼女は、俺に笑いかけた、機械いじりは得意な分野だ、エンジンや機械の分解や組立は趣味の範囲以上の自負はあるし、道具らしきものがあるので、多分大丈夫だ、母さんは、壊れたそれを重たそうに引きずって来て。
母さん、手伝わなくていいかしらと、工具片手にやってきた。
その手元は危なっかしく、ケガ人が増えてきそうなので、お引き取り願った。
蒸気機械の壊れたところを分解しつつ、思った。
実際のところ、どうなんだろうか俺自身は、現実世界での記憶の一切はそのまま残っている、しかもこの転移転生した、この体の元々の持ち主の記憶も余すところなく持っている、つまり同じ肉体に二重の記憶が宿っている、魂も。
不思議と、今の状況にたいして、驚きだとか怯えは全くないのは。
この肉体の記憶、魂を同居しているからだろう。
配管を繋いだり、圧力もれの箇所、水漏れの箇所を修理し、壊れた蒸気機械が元の使うことに耐えることが出来るほどになった頃。
お茶にしましょうと、テーブルの上にお茶が湯気を立て置かれていた。
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