異世界へ2
まさか、外の景色を見て、信じられなかった。
草原。
そんなはずはない、町のど真ん中で暮らしていた、はず。
いや、記憶が混濁している、この草原も見覚えがある。
振り返ると、今まであった布団、テーブル、家具、電化製品はすべてなくなっていた。
その代わり、気でできたテーブル、暖炉、床は石畳、天井は板葺きそして、今まで除いていたドアは板張りのそれになっていた。
全ては初めて見るものだ、と言うより今の現状を認識するのに頭が混乱している。
振り返れば世界が一変している。今も熱でうなされている夢の中なのか。
改めて周りを見ても、不思議とここがどこだか、初めてなのに分かる。
初めて見る部屋なのに今まで、自分が、もっと幼いころから、この部屋、この寝具、テーブル、この暖炉、全て分かる。
部屋中を自分の記憶を手繰り寄せながら見ていた。
すると、
起きて大丈夫?と声を掛けてきたものがいた。
そしてこの目の覚めるような美しい透き通るような頬、キラキラと輝く長い髪、そして、心の奥底まで、見透かされそうな吸い込まれるような瞳。
声を掛けてきたその声の持ち主だった。
その瞳の持ち主は、まぎれもなく自分の母だという記憶がちゃんとある、いま 初めて、見るのだが、記憶はちゃんとある。そしてこの見慣れない女性との今までの事も、彼女の息子として、ずっと育てられたという記憶が。
だが自分自身の視線がおかしい、おれは大体身長が170オーバーのはずだ、なのにこの女性のおなか辺りに視線が行くのはこの女性が大柄なのか、いや、全体的にパースがおかしい、まるで膝を付いて下から見上げている風だ。
自分の顔を触ってみる、結構髭とかが一切ない、ツルツルの口回りこんな感覚久しぶりだけっこう毎日髭剃りを当てないと髭が大変なことになっていて、子供の頃依頼口の周りや顎なんか一日も髭をそらなければ、ゴマをまぶした様になってしまう。
彼女越しに壁に掛けてある鏡がその低い視線の範囲に入った。
そこには、子供が映っていた。
彼女、つまり母の背中越しに映っているのが見えた。そしてそれが自分自身だと分かるのにそんなに時間はかからなかった。
どうしたの、と言って、グイッと顔を近づけてきた。その綺麗なひとみが迫って来て、思わず後ずさりして、クスクス笑いながら、どうしたの真っ赤な顔して、何お母さんに、恥ずかしがってるの。
昨日まで、熱でうなされてたから、一時はどうなるか、お医者様は、遠い街にしかいないから、妹や、姉さんにあなたの面倒見てもらうことにしていたのに、もう大丈夫みたいね。
と、後ずさりした俺を、お彼女の額が追いかけてきて、俺の額に当て、うーんと言いながら、自分の額と俺の額を交互に掌で当てて熱の具合をみて、もう大丈夫かしらと俺から離れ、その距離が離れることで鼓動も落ち着き始めた。
引き続き目を通していただき、感謝いたします。




