模擬空戦とその後
今回の模擬空戦は全員が敵のバトルロワイヤル形式で、既に空中では幾つかの機体が撃墜判定を受けていた。
「すげー性能だなこいつ、チャフもフレアも使わずに単純な機動性だけでミサイル全部避けれちゃうよ。」
如月軍の空戦では各機のコンピュータが連動し、射撃のタイミングやその時の機体の位置などをもとにHUDにミサイルや機関砲の映像を映し出し、それらをもとに撃墜判定を下すことによって実戦的な訓練が行えるようになっている。
そして、彩刃の操る閃電はその圧倒的な機動性をもって迫りくるミサイルを軒並み回避し、返す刀で次々と
相手を撃墜していた。
「チッ、ミサイルが切れたか。」
現代の戦闘機における空中戦は基本的レーダーとミサイルを使った有視界外戦闘である。
そのため、敵に見つからないステルス性と敵を確実に見つけ出すレーダー技術が必要になってくる。
だがもちろんミサイルも無限ではない。
ミサイルが切れたら基本的には離脱するのだが、
「これは模擬戦だ、機関砲でやってやらぁ。」
彩刃は機体を急旋回させ、一番近くにいた陽炎へ機銃を発射、
『撃墜判定。』
「よーし落ちたか。」
『いやぁーやってるね紅叉。』
『ああ、鍾馗か、なかなか撃墜できたんじゃないの?
残りはどのくらい?』
『残りは紫電だけだ。』
『あいつも生き残ってたのか。』
『キル数は…0?』
『あの野郎今の今まで逃げ回ってやがったな。
いかにもあいつがやりそうなことだ。』
『どういうこと?』
『あいつはなるべく楽に、かつ相手を完全に打ち負かすことが好きなやつだ、卑怯な手段も平気で使う。』
『あぁ…なんかわかる気がする。』
『となればどこからか奇襲をしかけてくるはずだが…』
ビーッビーッビーッビーッ
『ミサイル接近、ミサイル接近。』
『仕掛けてきやがったか。』
まっすぐ飛行する閃電に対し、前後左右を囲むようにミサイルが接近、紅叉は何とか回避をしようとするが、
「振り切れない。こうなったら。」
彩刃は今まで一度も使わなかったチャフとフレアを放出し、間一髪で回避した。
「よし、何とかなったか。一体どっから狙ってきたんだ?ん?」
ミサイルで見えなかったが、レーダーに1つ、まだ落ちてない光点が自分と重なるように映っていた。
「ッ!不味い!」
ダダダダダダダダダダダダ
次の瞬間、ミサイルの光点に紛れて接近してきていた
紫電の刹那が、ミサイルを回避し、速度が落ちていた閃電に対し急降下、機銃掃射を仕掛けたのである。
『機体損傷、ダメージ60%可変装置動作不能。燃料漏れ発生。』
「不味い不味い。」
次の攻撃に備え、急旋回する閃電、だが、可変翼を封じられ、旋回速度が落ちている閃電に対し、刹那は容赦なく向かってくる。
『さて紅叉、大人しく落とされてくれ。』
『こうなったら。』
刹那が閃電の後ろにつき、発砲する瞬間、
「上がれぇぇぇ!」
彩刃は機首を一気に上に向け、急減速を行った。
『なっ、コブラ軌道だと!?』
『形勢逆転だ。』
『ッ、しまっ…』
ダダダダダダダダダ
『撃墜判定。』
『よっしゃぁ!』
『くそっ、あと少しだったのに。』
『二人共おつかれさん。それじゃぁ基地に帰投しようか。』
「あーあ、一撃離脱を徹底すればよかった。」
「惜しかったな。」
「無茶苦茶な動きを封じるために可変機構破壊したのに、普通にコブラ軌道しやがって。」
「よっ二人共、さっきのはなかなかすごかったな。
で、二人の戦い方見てたんだが、紫電、お前前線じゃなくて司令部にこい。」
「え?」
「お前どっちかって言うと実際に闘うよりも戦術や戦略立てて指揮するほうが向いてると思うよ。」
「あぁ、確かにそれはあるかもな。」
「ということで、紫電は指揮官ルートに来てもらいつつ、ついでだし次に行おうか。」
「次?」
「あぁ、次は如月海軍に来てもらおう。」
如月空軍が置かれているこの琥珀島の反対側には如月海軍の泊地と鎮守府が置かれている。
「これが如月海軍第一艦隊の旗艦、戦艦長門だ。」
「戦艦長門、写真で見たのとまんまだな、よく再現したな。」
「再現じゃないぞ。表向きにはクロスロード作戦で沈んだことになっているが、ひいひいじいちゃんがアメリカとの交渉の末、実験直前の長門を手に入れたらしい。」
「もうどっから突っ込んだらいいかわかんないな。」
「ほんとは酒匂も欲しかったらしいけど流石に2隻は無理だったみたいだね。
とまあわざわざ紹介したけど、紅叉は空軍にいたほうが良いだろうから海軍は紹介だけにしておこう。」
如月邸
「それじゃぁ今日は一旦この辺にして、君達の部屋を案内しようか。」
彩刃と風崎は、アパートに住んでいたのだが、如月化学に入るにあたってアパートよりもはるかに環境がいい如月邸の部屋を貸してもらえることとなっていた。
「君たちの部屋は2階にある。部屋の前にネームプレートつけてるから、あと部屋は自由に使ってくれて構わないよ。」
「広っ!?」
「もともとは大人数の客をもてなすために使ってた部屋だからね。
あとトイレと風呂は各部屋に一つずつと風呂に関しては3階に大浴場をつけてるからそっち使ってくれてもいいよ。」
「ここは一体何なんだよ…」
「如月邸だよ。」
「そういうことじゃねぇよ。」
やけに待遇のいい如月に不気味さを覚えながらも貰えるもんは全部貰っとく精神の彩刃と風崎はまぁいっかとばかりに部屋に入っていった。
海軍が雑なのは単純に書くの飽きたからです。
気が向いたらまた詳細に書きます。
読んでいただきありがとうございます。