表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この世界がボクから独立するまで  作者: 月 千颯(つき ちはや)
第一章 惑星カティアスの誕生
8/22

第7話 「惑星エムラへ降臨」

テューゲンリン王国という国の王都フルトエアにある姉さまの屋敷は、貯水池に面していて、王城が良く見える場所にあった。貯水池に面した場所には高位の貴族の館が並んでいるんだって。

ぼくが行った時にはいなかったけれど、ここには水鳥が多く住んでいて、春先になると、親鳥の後を必死についていく雛鳥が数多く見えるらしく、姉さまも好きな景色の一つなんだって。春が楽しみだ。


降臨した公園は本当に広くて、ワゴンスウィーツ店も多かったから、全部制覇予定!

あ、その前にこの惑星のお金、勉強しなきゃ。値段とかの下調べも必要だよね。お小遣いの範囲内でなんとかしないといけないし。

 エムラカディアが惑星エムラへ(つな)がったドアを開いた。


 ドアの先に見えたのは、1辺が10mほどの四角い部屋で、中央で仕切られており、窓口が3つほどある所だった。

 エムラカディアが部屋に入った。

 「おかえりなさいませ、エムラカディア創造神様。」

女性の声が二人分聞こえた。

「ありがとう、戻りました。」

エムラカディアはルウィージェスとカリンに部屋に入るよう手招いた。


 「ルウィージェス様、カリン殿、ようこそ惑星エムラへお越しくださいました。」

一人は天界・神界共通の連絡ゲートの管理者と同じ制服を、もう一人は副管理者と同じ制服を着ていた。

「私は惑星エムラの連絡ゲートの管理者のクラウディアと申します。」

「私は副管理者のドロシーと申します。」

ルウィージェスとカリンも挨拶をした。


 管理者クラウディアの案内で空いている窓口に移動し、入惑星手続きを始めた。

 クラウディアはカウンター奥に入り、四角い箱のようなものを持ってきた。表面はタッチパネルのようなものと、その横にキーボードのようにボタンが並んでいる。

 エムラカディアが許可証をパネルの上に置き、ボタンの操作を始めた。

 「これで準備完了。クラウディア、手続きをお願い。」

「ありがとうございます。」

クラウディアはルウィージェスとカリンに説明を始めた。


 「これから入惑星手続きを行います。お二人は、一般ゲートと関係者ゲート両方に使用者登録をいたします。一般ゲートの横にもパネルが設置されており、天界・神界共通の連絡ゲートで登録した出口へつながります。それ以外の場所へ行く時は、予め天界・神界共通の連絡ゲートで登録する必要があります。お二人の許可証には既にこの惑星に存在する全てのゲートの登録がされておりますので、表示された中から行き先を選んでセットする形になります。関係者ゲートは許可証が発行された時点で使用許可の登録がされますので、世界創造神様より許可を得た者のみが使用できるゲートとなります。お二人の許可証には、エムラカディア創造神様のお屋敷が登録されております。」

 副管理者のドロシーがルウィージェスとカリンに降臨許可証を窓口に設置されているパネルの上に置くよう指示し、ルウィージェスには留学許可証の提出も求めた。

 クラウディアは留学許可証を受け取ると、先ほどエムラカディアが操作したパネルの上に置きボタン操作をし、続いてエムラカディアもボタン操作をし、最後にエムラカディアの許可証をパネルの上に置いた。これで入惑星手続き及び留学許可登録が完了だ。


 「お疲れ様です。これで入惑星手続きはすべて完了です。今後は、この窓口のパネルに降臨許可証を、ルウィージェス様は留学許可証も一緒に乗せるだけで手続き完了となります。」


 エムラアディアはクラウディアとドロシーに礼を言うと、ルウィージェスとカリンを一般ゲートの方へ案内した。ゲートの奥には大きな白いドアが3つ並んでいた。

「転移術は連絡ゲート施設内では使えないから、必ずいったん施設から出る必要がある。」

そういうと、ルウィージェスに降臨許可証をドアに横に設置されているパネルに触れさせるよう言った。

 ルウィージェスが降臨許可証をパネルに当てると、目の前に透明のモニター画面のようなものが現れた。

 「まずは、東の大地にあるテューゲンリン王国の王都フルトエアにつなげよう。ルウィージェスが通う学校があるところだよ。」

 ルウィージェスは言われた通り、東の大地→テューゲンリン王国→王都フルトエアの順に選んだ。するとドアが一瞬光った。

「開けてごらん。」

ルウィージェスはゆっくりとドアを開いた。


 目の前に大きな噴水が見えた。大きな公園のようだ。道の部分と芝の部分に分かれており、芝の上で寝転んでいる人、ベンチに座って軽食を食べている人、多くの人が思い思いに過ごしていた。

 ルウィージェスはドアから出て、後ろを見た。そこには「衛兵詰め所」と書かれた門扉(もんぴ)があった。

「今、ここには認識阻害の神術をかけてある。誰からも認識されないから安心していい。」

 カリンも初めての下界の景色に興味津々だ。

「この国には私の使徒がいるから、地上での拠点を置いている。爵位は公爵で、ハインライテル領州という処に領主館があって、ここ王都にも屋敷を持っている。学校が王都にあるから、二人は王都の屋敷に滞在する事になる。街並みを見ながら行こう。興味あるでしょう?」

 ルウィージェスにマントを脱ぐように言い、エムラカディアの案内で街を歩き始めた。


 ここテューゲンリン王国は東の大陸の70%を占める大国で、王都フルトエアに王城を構えている。王城の防衛と貯水を兼ねた貯水池が囲んでおり、王城に行くには貯水池にかかっている橋を渡らなければならない。

 王城を中心に、東~南地区に貴族街、西地区に商業地域、北地区に教育機関や政府の中央機関がある。北地区に面する貯水池の周りは学生が多いこともあり公園が複数あり、学生が好みそうな洒落た飲食店や小物店が多い。

 この東西南北地区を囲っている外堀の向こうに平民街が広がっている。

 

 連絡ゲートをつなげた公園はルウィージェスが今後通う学校に一番近い場所であり、また、中央機関にも面しているため、学校に通う平民たち、堀の内側で働いている商人や平民たちも多く利用している。

 貴族街がある東~南地区以外は比較的自由に出入りすることが出来るが、常に衛兵が警邏(けいら)しており、それによって治安が保たれている。


 「ここ、すごく楽しそう!放課後とか、ぼくもここに立ち寄ってもいい?」

 このような場所をルウィージェスは見たことなかった。多くの店が並んでいるが、建坪(たてつぼ)の小さな店が多い。しかし、外見がおしゃれな店が多く、見ているだけでわくわくしてくる。

 衣料品店も多く、カジュアルな普段着から仕事用まで幅広く揃っている。ルウィージェスは小物を扱う店の窓から中を覗いた。色々な形と大きさのバッグが棚に並べられ、別の棚には帽子、別な棚には小さなアクセサリーがところ狭しと並んでいた。

 「我々神族は全員がアイテムボックスを使えるけど、この惑星の住民でアイテムボックスを使える者は少ないから、こういう店が多い。せっかくだからルウィージェスも、こういうアイテムを使う生活をしてみるといい。きっといい経験になる。もちろん、アイテムボックスは使って構わないよ。その方が安全だしね。」

 カリンは衣料品店の方に興味があるようだ。ルウィージェスのようにあっちの店、こっちの店と覗いたりはしないが、時々足を止め、窓から見える商品を見ていた。

 「後で二人で街を歩くといい。服装も小物もここの住民たちと合わせた方がいいからね。貴族服は貴族街でしか買えないけど、こういう普段着はこっち方が選択肢も多いし、おしゃれな物が多いよ。」


 三人はルウィージェスが通う学校の前を通り貴族街へ入った。予めエムラカディアが二人の身分証を用意しており、問題なく門を通ることが出来た。

 衛兵にルウィージェスとカリンを紹介し、近日中にルウィージェス専用の馬車を登録する旨を伝えた。

 エムラカディアの王都の屋敷は貴族街の門から徒歩10分程度のところにあり、奥庭が貯水池に面していたが、防犯のためか、少し高めの防壁があり、ガーデンから直接池を見ることはできない。しかし、小さな門が一つあり、そこから外に出ることができ、そこはウッドデッキのような感じで、池から少し高くなっていて、パラソル付きのテーブルと椅子が数脚置いてある。水の上を通り抜けた風は涼しく気持ちが良く、エムラカディアも気に入っている場所だ。

 

 門には公爵家の騎士四人おり、エムラカディアの姿を確認すると、一人が屋敷へ執事を呼びに行き、二人が門を開き、一人がエムラカディアに敬礼した。

 「おかえりなさいませ、エムラカディア創造神様。ようこそいらっしゃいました、ルウィージェス様、カリン様。私は、リリーエムラ公爵家、王都騎士団長ウィルヘルム・フォン・ケーニッヒと申します。ケーニッヒ伯爵家三男で、エムラカディア様の眷属でございます。」

 ルウィージェスは、騎士たちがエムラカディアが創造神であることを知っていることに驚き、エムラカディアの方を振り向いた。

「隠し通すのは難しいからね。最初から眷属にふさわしい者たちを雇って、加護を与え、眷属になってもらったんだよ。」

「じゃ、ぼくがここに来た目的も?」

「伝えてある。リリーエムラ公爵家騎士団の団員には、武神7柱から加護を受けた者たちもいるから、訓練も護衛も問題なくできるようにしてある。」

 ウィルヘルム王都騎士団長に連れられ玄関までくると、もう一人、別な男性が待っていた。恰好から執事だろう。

 「おかえりなさいませ、エムラカディア創造神様。ようこそいらっしゃいました、ルウィージェス様、カリン様。私は、リリーエムラ公爵家、王都屋敷の執事を任されておりますアーダルベルト・ドレーヘルと申します。ドレーヘル商会の次男です。私もエムラカディア様の眷属でございます。」


 ルウィージェスとカリンも挨拶し、屋敷の中へ入った。広間(サルーン)は広く、天井が高かった。

 シャンデリアが神界の自宅にあるものに非常に似ているだけでなく、微量ながらも神力も感じたため、エムラカディアにこっそり聞いたところ、同じ職人に作ってもらったものだった。

 防犯のため、神力を貯められる神界の水晶を使っており、時間と空間の神ミナーヴァの神力により一定期間水晶に写る景色を記録することが出来るようになっていた。地球で言うと、録画機能付きシャンデリアだ。王都の屋敷と領主館(マナーハウス)にある水晶のシャンデリアは、すべて録画機能付きであるとの説明だった。


 メイドたちに屋敷内を案内してもらい、自分たちが使う部屋を確認した。

 ルウィージェスに与えられた部屋はリビング、ベッドルーム、小さめの部屋とバスルームがあり、リビングにある大きな窓からは広いベランダへ出られるようになっていた。

 着替えや身の回りなどの物などをアイテムボックスから出し、それぞれに仕舞った。そして、エムラカディアが予め用意しておいた、この国の貴族の平服へ着替えたルウィージェスはベランダに出て周りを見渡した。池の向こうには王城が見えた。


 メイドに呼ばれ居間(パーラー)に行くと、エムラカディアとカリンが待っていた。

「まずは、二人の降臨許可証にこの屋敷を登録しよう。今後は関係者ゲートから直接、王都の屋敷につなげることが出来るようになるよ。関係者ゲートのドアとこの屋敷の玄関のドアがつながるようにしておこう。」

そうエムラカディアが言うと、執事が連絡ゲートの窓口でみた箱型の登録機を持ってきた。連絡ゲートでやったように、エムラカディアがボタンを操作して、ルウィージェスとカリンの降臨許可証に書き込みをした。

 その後、ルウィージェスとカリンは街を探索することにした。

第7話で、やっとルウィージェスたちが惑星エムラに降臨しました。リリーエムラ公爵家に従事する人たちは全員エムラカディア、ルウィージェスとカリンが神族であることは知っているので、屋敷の中では普通に神術も使っています。魔術を使っていないので、当然ながら魔術阻害関連の魔術が一切効かないため、屋敷を守っている防犯システムを破れる者はおらず、ものすごく安心して住める所になっています。


眷属を持てるのは中級神以上で、下級神は、加護を与えることはできるが眷属化することはできません。

眷属化すると、全てのステータスに補正がかかるため、中級神でも加護しか与えないという事も多々あります。その為、ステータスに「〇〇の眷属」があるだけで、一目置かれる立場になります。

この設定はすべての惑星で共通です。覚えておいてくれると嬉しいです♪(説明セリフを減らせる。。。)


次の第8話は、王都フルトエア探索の回です。お楽しみに♪


9月いっぱいは、夏スペシャルで毎週金曜日に公開しています。

第一章第8話は、9月12日(金)20:00公開予定です。

また、お会いできるのを楽しみにしております。


(つき) 千颯(ちはや) 拝

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ