生きてて欲しいと願ってしまう
クラスメイトが死にました
自殺だそうです
しばらく学校に来ていなかったのですが、今日の朝、ホームルームで担任の先生から知らされました
別に、特段私と仲が良かったという訳ではなかったのですが実際に亡くなると悲しいものがあります
彼の名前は天導ソルと言います
少しおかしい名前ですよね、ソルだなんて彼の親は何を考えたのでしょうか
ソルの意味は太陽だそうです
中国語での、太陽
そのまま太陽でも良いんじゃないかとも思いますが...いえ脱線しすぎましたね
何で自殺したのかは大体見当がつきます
そのことについて説明する前に彼の人となりについて紹介します
彼は少し、いえだいぶ変わっていました
オタクというのでしょうか、彼はいつもアニメや漫画のことについてばかり話していました
そこだけなら特に変わりはないのですが彼は小説の作成を行っていました
『小説家になろう』というサイトで行っていたらしいのですが詳しいことはあまり分かりません
ある日、そのサイトで執筆していた作品が何かの賞を獲ったとか書籍化するとかで
彼はクラスメイトに、先生に、関わりのない多学年生徒にすら報告して回っていました
この学校から有名人が出るかもしれないということで学校中が彼に注目していました
きっと、その態度が気に入らなかったんでしょう
程なくして彼へのイジメが起き始めました
机に落書きされるのは当たり前として、毎日殴られ蹴られ、みんなから無視され、時にはトイレからびしょびしょになって出てきたこともありました
先生は見てみぬふりをし続けていました
私は彼を守れませんでした
庇ったら次は自分がイジメの標的になってしまうのではないかと思うと怖くて動くことができませんでした
いえ、もしかしたら私も心のどこかで彼のことを妬ましく思ってたのかも知れません
それからしばらくは彼も耐えれていたのですが一ヶ月とちょっともすれば学校に来なくなってしまいました
彼の助けを叫ぶ声と眼差しはいまでも忘れることができません
そして彼が不登校になってから二週間たった今日の朝、先生から彼が自殺したと言われました
とてつもなく悲しかったです
イジメを庇えなかった罪滅ぼしという訳ではないのですが私は彼が不登校になってから毎日彼の家に行って授業のノートやプリントを渡していました
そして先生は彼の遺書を私たちの前で読み始めました
遺書
この遺書を書くのは他でもなく俺にイジメをしてきたクラスメイトどもに復讐するためだ
無視されたり、殴られたり蹴られたり
毎日死にたいと思ったし学校に行くのは本当に辛かった
誰もイジメを止めないし庇ってくれない
本当はイジメを止めるべき立場の先生ですら見るだけで止めようとすらしない
何なら先生すら介入していじめてくる
いつでもどこにいても俺は一人だった
何しても否定された
休み時間、放課後そこにはいつも通りイジメられる俺がいた
こんな世界クソ食らえだと心底思った
イジメが始まってから丁度一ヶ月ぐらい経ったころ父さんが死んだ
車に轢かれて死んだらしい
知らされて病院行った時そこにはもう遺体になって原型も無くした父さんがいた
結局、何もなかったんだ
俺を救ってくれるような神とやらも全員救うヒーローも
そっからしばらくは頑張って学校に行ったけどもう何も考えられなかった
母さんが鬱状態になって、段々弱っていくのを見るのは辛かった
この時以上に己の無力さを恨んだことはなかった
賞をとって書籍化しただけでどれだけ俺は調子に乗っていたんだ?と思った
そんな時だお前がきたのは
そいつがいじめられるのを留意して名前は伏せておく
そいつは俺が不登校になってから毎日家に来た
初めはただの罪滅ぼしかと思ったけどあまりにも毎日来るから俺の気分も少しずつ晴れてきて
そいつが持ってくるノートがすごい分かりやすくて
何なら不登校になる前より頭良くなったんじゃないかって思った
でも学校に行くには一歩がとてつもなくデカかった
そいつも学校に来いとは一言も言わなかった
だから書いたよ俺が描きたいもの全部を
編集さんが困らないようになるべく分かりやすく
そうすれば自分が生きた痕跡をこの世に残せると思ったから
お前がきた時は平然を装って
覚悟を決めた
俺の要望は一つ
そいつを除いたクラスの奴らを全員徹底的に地獄に叩き落とすこと
だから頼むぞ司法
そんだけだ
一応書いとくけどなこの遺書は俺が知りうるあらゆるSNSにアップする
じゃあな せいぜいくたばれや
天道 ソル
私は涙が止まりませんでした
でも私以外は青ざめた顔をしていました
放課後私は彼が書いた小説を全て読みました
それが本当に面白くて楽しくて自分でも信じられないくらい熱中しました
読み終わった後、私は涙が止まりませんでした
本当に本当に止まりませんでした
拭っても拭っても止まらなくて
大切なものは失って初めて気付くんだなと思って
もし私があの時、彼へのイジメを庇うことが出来ていたなら
なんて考えて
なので私は、彼の意思を思いを
一生、考えていこうと思いました
このことを彼の、天道ソウのアカウントを通じて報告させていただきます