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退屈な世界

 山頂に座るある青年がいた。涼しいそよ風を当てながらカーテンのような青空と絵に描かれるような風景を目にしても彼は気にしていない。この絶景も何度も見ているのだから。


 何せ、世界一の景色と十本指入りしそうな高さで有名になったこの場所も、他人ができなくても彼であれば歩いて二十秒あれば山頂に着くのだ。好きだからではないが、唯一登り切れる人間であるゆえ考え事をしたい時に絶好なスポットとなっている。


 この山以外にも、世界で人間だとたどり着かない場所がたくさんある。火を噴くドラゴンの生息する崖。人食いモンスターの巣食う森。目潰す魚の泳ぐ池。上げたらキリがない。だがどれもこれも飽きたから、次の新しい場所を探した。


 ここも飽きてきた。世界を探索し尽くしてもう知らない場所がない。

 一体どうすればこのような退屈な世界を抜け出せるのか。

 青年は綿あめを思い出させる雲をぼーっと見つめる。


「ああ……今日もつまらない空……青紫オレンジ赤黒しかならないのかよ。緑色にもなればよかったのに。そんなにつまらないならいっそのこと穴を開けないかな……あっ」


 彼はふと立ち上がる。世界を歩き回っていた頃の彼であれば思いつかないことである。まず果てしない長さのアビリティが並ぶステータス画面を召喚して、ないかないかと唸りながらアビリティリストをスクロールする。


「空に穴……、空の上。作るか、超重力ワープ!」


 手を翳すと黒い粒子が集まる。青年は満足そうに微笑む。セイティ・K・キウリーは人生最高のアイデアを思い付いたのである。それはワープを生み出して空の向こうに行く、ということだ。


「天才だぜ、俺」


 何故飛んでいこうと思い付かないのだろうか。

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