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隔壁

作者: 葉沢敬一

毎週日曜日午後11時にショートショート1、2編投稿中。

Kindle Unlimitedでショートショート集を出版中(葉沢敬一で検索)

 私は研究員だ。ブラックホールX4-3の近くにある研究ステーションで深宇宙で出会った異生物を観察し、コミュニケーションできるか、利用できるか観察している。


 1メートルの厚さの壁を隔てた向こうにカメラとロボットを使って観察している。

 分かったのは彼らは凶暴で何体のロボットが破壊されてしまい、コミュニケーション不可能ではないかと判断するしかない。


 牙がずらりと並んだタコのような触手を持つ巨大な生き物。別に捕獲するつもりは無かったが探査船に侵入して乗務員達を皆殺しにして冬眠しているところを発見された。眠っている間は安全だった。


 通称クトゥルフと命名されたそれは、クマムシ並の強靱さで、異星人の攻撃用生物兵器の疑いが濃い。

 気づかなかったが、彼らはテレパシーみたいな物で相互通信しているらしく、研究ステーションが深宇宙に潜んでいた同類のクトゥルフ数体に侵入されてしまった。同僚達は皆死んでしまった。


 隔離していたのに隔離されてしまった。

 攻守交代。


 もちろん、地球に連絡した。でも、殺す方法がわからない。核でも死なない。

――すまないが、君にも死んで貰う。ブラックホールに落とすことにした。生命維持サイクルが動いていれば君は寿命を全うできるはずだ。もしクトゥルフが生き延びて、ホワイトホールから出てきたら大変だが、その可能性はかなり低い。


 地球側のコメントは冷徹だ。だが、救出するにはリスクが高すぎる。私はステーションの中心部にいるのだ。


 冬眠に入ったところを見計らって救出すれば良いって? 調査の結果、空腹期が長すぎて冬眠に入った模様で、餌を与えた現在いつまで覚錘状態なのか検討も付かない。

 こんな仕事に高給だからと言って志願してしまった自分を呪う

 隔壁の向こうからクトゥルフたちの咆吼が聞こえてくる。

 誰か助けてくれ。気が狂ったときに、拳銃で自殺することは可能だろうか?


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