第6話
セシリアは夢を見ていた。
鎧を身に纏った女性が剣を振り、魔術を使いながら迫る敵をなぎ倒していく。
そんな様子を見ていてふっと周り見渡すと魔獣はおろか人間すらも倒れており、辺りには肉片が散らばっていた。
おそらく人間であっただろう破片も。
グチャと音が聞こえ音がする方へ振り向く。
誰?と問いかける前に鎧を着た女性は笑みを見せ
またね そう言うとセシリアの意識は現実に戻った
見慣れた天蓋、身体に馴染むようなベッドの柔らかさを感じて視線を横に動かす。
心配そうに覗き込む侍女ハンナと目が合う
おはよう と言う前にハンナが立ち上がる
「お嬢様が目を覚ましました!旦那様と奥様を呼んで来て下さい!」
部屋の前に待機している侍女に伝えると、走り出して行った。
本人は状況が掴めずにポカンとしていたがハンナが急に泣きながら抱き着いてきた。
「お嬢様、、、!気がついて良かったです!」
ハンナの話によると、5日間眠り続けていたそうだ。
通りで身体が重く感じる。
「セシリア!」
バンっと扉が開くとダリルとオリヴィアが入って来た。
急いで来たのであろうか、少し息が上がっている。
大丈夫です と一言セシリアは笑った。
あの夢はなんだったのだろうか。考えるのは後にして今は家族との交流を優先しよう。
目覚めてから2日後、セシリアはまだベッドの上で生活している。しかし本日はそのベッドの横に家族以外の二人の姿があった。幼馴染みのルーファスとステラ兄妹だ。
二人は両家当主の付き合いでよく顔を合わせていて、遊び回った。その二人がセシリアが目覚めたのを聞いて遊びに来ている。
「ルーファスとステラちゃん、何か久しぶりに会う気分で変な感じがします」
「そうだね。5日間寝てたから感覚的には久しぶりになるかもね」
「セシリアさんはもう大丈夫ですの?もう痛くないですの?」
セシリアと会話するのはヴォイド伯爵家の長男ルーファスとその妹ステラであった。
ステラの問いに うん!大丈夫だよ と元気よく返した。
「じゃあ、僕らは帰るから体調には気を付けてね。また3人でピクニックでも行こうよ」
ルーファスがそう言うと立ち上がり、それに続いてステラも立ち上がった。二人は部屋を出る時に またね と手を振り、セシリアも振り返して2人を見送った。