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第四十四話 私一人では何もできません。


 おおよその説明が終わったところで私達はさっさと休んで休息を取ることにした。

 出陣前に最終確認としてもう一度話をするということで三刻前に改めて私の部屋の応接室に集合することになった。


 マルビスは解散した後もソファに座り込んで色々と考え込んでいたようだが、暫くすると自分の寝室に向かって行った。

 多分、少しでも体を休めておこうと思ったからであろうが、きっと眠れないに違いない。

 大丈夫? と、そう声をかけることは簡単だ。

 だが、こんな状況で大丈夫であるはずもない。かえって私に気を遣わせるだけだろう。大事な人や仲間だと思っていた人に裏切られる辛さは慣れるものではない。それに慣れてしまったら終わりなのだ。私達がいるでしょうと声をかけたところでその人の抜けた穴が埋まるわけではない。結局私も寝付けなくなって気分を落ち着けるために紅茶でも入れようかとベッドを抜け出した。

 ここのホテルの最上階の部屋は三つ。

 どこのホテルも特別室の作りはそう変わらない。

 大きな一つの部屋の中に応接室と主人の主寝室、従者と護衛の部屋が三つから五つ、それに荷物を収納するクローゼットと小さなキッチンが備え付けられている。この部屋には三つついているのでロイとイシュカがいる。私はキッチンに入ると小さな鍋に水を入れてお湯を沸かし、ポットに茶葉を入れると応接室の方から小さな音が聞こえた。他にも眠れない人が起きてきたか、私が起き出したのに気がついて誰かが起きてきたかのどちらか、多分ロイかマルビスだろう。私は二人分のカップを盆にセットして応接室に戻ると案の定、そこにはマルビスがソファに座ってぼんやりとカーテンの掛かった窓を眺めていた。


「マルビス、お茶入れたけど飲む?」

 驚かせない様に小さな声をかけるとビクリと反応した。 

「すみません、ありがとうございます、頂きます」

 テーブルに置いてポットからお茶を注いだ後、少しだけ逡巡して前にではなくマルビスの横に座った。

 こんな時、あんまり顔をじろじろ覗き込むような正面はあんまりよろしくないだろうと考えたからだ。

 マルビスはお茶の入ったカップを持ち上げると立ち上る湯気にほっと小さく息を吐くと一口だけ飲んでテーブルにそれを置いた。私は特に声をかける必要も感じられなかったので無言でゆっくりとお茶を飲んだ。こう言う時、他人が何かを言って判断を迷わせるべきではないと考えたからだ。側に誰かがいることで一人じゃないと感じてくれたらそれだけで充分だと思うのだ。

 別に沈黙は嫌いではない。

 言葉では伝えられない何かが伝わるはずだ。

 一人でいたいのなら寝室に戻ればいい。

 それでもここにいるのならそれは誰かに側にいて欲しいという合図。

 人は口だけでものを語らない。仕草や行動にも表れる。

 私はそう言うのを読むのは苦手なので極力相手が何か言い出すのを待つようにしている。相手の望む言葉をかける自信がないと言うのもあるけれど相手の意志をできるなら尊重したい。それが余計なお世話になって拗れることもあるけれど私に気の利いた言葉は無理だ。つい思ったことをそのまま口にしてしまう。自分が体験してきたことならある程度の察しはついても空気の読めない私には至難の業だ。それにどんなに言葉を尽くしても伝わらない時は伝わらない。全く同じ体験をしたとしても人によって感じ方も違う。

 全部を理解することなんてできないのだから。

 カップの中が空になったのでもう一杯だけ注ぐと時間が経っていただけあって少し苦くなっていたのでひと匙だけ砂糖を入れかき混ぜる。この一杯を飲み終えたら寝室に戻ろうと決めて口をつけると頭の上に視線を感じた。まだ子供の体格の私は大概視線を感じるのは首から上だ。それも仕方ないのだが最近人に見られることが多いので気のせいであろうがそのうちハゲそうな気もしないでもない。それならそれでハゲてもカッコいい男を目指すだけだ。

 ただ視線を感じるということは何か言いたいということなのだろう。

 私はゆっくりとマルビスを見た。

 ふと視線が重なったマルビスの顔に思っていたより悲壮感が漂っていないことにホッとする。

 真っ直ぐ見つめてくる視線に特に表情を変えることなく見つめ返す。こういう時は下手にそらすと誤解されることが多い。言い訳が上手くない私にとってそれは悪手だ。睨めっこ状態で暫く沈黙が続いた後、マルビスがふっと笑った。


「貴方は何も言わないんですね」

 ポツリと漏らしたマルビスの言葉に私は尋ねる。

「何か言って欲しい?」

 そうするとマルビスは少しだけ目を見開き、少し間を空けてから大きく首を振った。

「今はまだ、整理がつかないので」

 だよね。簡単に折り合いがつけられるものではない。

 ならば私は待つだけだ。マルビスが答えを出すまで。

「すみません、私が連れて来た中から三人も間者や暗殺者を出してしまって。

 まず最初に謝罪しなければならなかったのに気が動転してしまって」

「気にしてないよ。謝罪の必要もないから。マルビスに責任はないもの」

 全ては未遂だ。たいした被害は受けていない。

「貴方はいつもそうですね。おおらかというか、許容範囲が広いというか」

「はっきり言っていいよ、図太いって」

 もっと気にした方がいいとよく言われたが気にしたところで仕方がない。

 なんでも気にし過ぎてしまったら私の性格では間違いなく胃に穴が空くだろう。

 向こう見ずの負けず嫌い、曲がった事が嫌いなどというような正義感あふれるような性格ではないけれど、自分が正しいと信じる信念までは曲げたくない。

「いえ、貴方のは図太いのとは違います。大人でもなかなかそうはいきません。時折、私よりずっと大人びているように感じます」

 それはそうだろう。この体はまだ六歳だが前世の年齢を足せばマルビスのほぼ倍の年齢なのだから殆ど詐欺に近い。でも最近は考え方が若くなっている気がしないでもない。

 朱に交われば赤くなるという言葉もある。 

 私がいくら頑固とはいえ環境も世界も違うのだ、全く変わらないままでいられるわけもない。実際、男というものにあまり期待をしていなかった私がこうして沢山の男の人に囲まれている現状が何よりもそれを表しているし、自分の周りにいるロイやマルビス、イシュカ達やランスにシーファ、沢山の人を信頼している。

 私も間違いなく変わっているのだ。

 世の中には不変というものはない。


「思い返してみると私はあの三人に久しぶりに会った時、何処か違和感を感じていました。ですが、暫く会っていなかったせいだろうとその感じた違和感に蓋をしてしまった。

 もし貴方がガイを使って調べてくれていなかったら私は貴方を失うところでした。もしそんなことになっていたら私は生涯自分を許すことは出来なかったでしょう。

 それでも貴方は御自分を害そうとしたジェイクを許し、ゲイルをも許容した上で更に救おうとまで手を尽くしてくださった。そして私が望めばゴーシェさえも受け入れて下さるのでしょう。ですが、貴方の御指摘通り、ジェイクとゴーシェでは同じ罪であっても重さが違う。それが私に巻き込まれたせいだとしても私は許すことはできません」

 話をしているうちに少しずつ整理がついたのだろう。

 語る口調にも迷いが少なくなってきたみたいだ。

 マルビスがそう決めたのなら私はそれを尊重するだけだ。

「それでいいと思うよ。同じような環境下にあってもゴーシェの様に安易な道を選ばなかった人達の方が多い。ましてマルビスだって被害者なのに、巻き込んだ人達をただ放っておいたわけじゃない、雇用主としての責任はちゃんと果たし、新たに仕事場も提供しようとした。雇い主は親兄弟とは違う、他人なんだから全ての罪を許す必要はないよ」

 むしろ簡単に許すようでは正直困ると思っていた。

 私が許せるのはせいぜいジェイクまでだ。彼はかなり単純なようだし、想像するに上手く口車に乗せられてその気になっただけだろう。やる気さえ出してくれるなら彼のようなタイプは脇目も振らず目標に向かって突進してくれそうだ。自ら罪を認めさせることで周りの監視の目も強化される。余程の馬鹿でない限り同じ間違いはしないだろう。

 しでかしたとしても宣言通り見捨てて解雇し、追い出すだけのことだが。

 だが同じ考えなしだとしてもへネイギスに取り入るのはあまりにも無神経で安直で罪深過ぎる。許せるものではない。


「私はマルビスの味方だもの。

 マルビスが前に言ってくれた言葉で私が一番嬉しかった言葉、今度は私があげる。

 もっと私達を頼って? マルビスは一人じゃないよ。

 マルビスを必要としている人は沢山いる。一人で背負い込む必要なんかないんだよ。

 私は頼りなくて、みんなの助けが必要で、マルビスを支えるにはまだまだ足りないかもしれない。

 だけどそれでも頼って欲しいって思ってるんだ。

 もっと甘えていいんだ、無理する必要なんかない。

 誰も迷惑だなんて思ってないよ。

 私はマルビスに謝って欲しいわけじゃないんだから」


 少しでもこの思いが伝わればいい。

 私はソファの上に上がるとマルビスの頭を胸に抱え込んだ。

 私の今の小さな身体では丸ごと抱きしめてあげることができない。

 ぎゅっと力を込めると腕の中でマルビスが僅かに震えたのがわかった。


「ありがとう、ございます」


 少しだけ、ほんの少しだけでも心が軽くなってくれればいい。

 私がマルビスにしてあげられるのはこんなことくらいだ。

 抱き締めた腕が涙で濡れているのがわかる。

 私は彼の体の震えが収まるまで、ただ動かずにその頭を胸に抱いていた。



 少しすると我に返ったマルビスが真っ赤になって感謝と謝罪を述べ、慌てて寝室に引っ込んだ。

 男というものは弱味を他人に見せたがらない、意地っ張りが多いものだ。

 多分恥ずかしかったのだろう。

 見られたくなかったであろう姿を見てしまった私としては口を噤んでおくのが最適だ。

 男のプライドやメンツを潰すつもりもない。

 去り際のマルビスの顔から悲壮感が消えていた。それで充分だ。

 さて、私もこれで少しは眠ることができる。

 みんなの足を引っ張らないように休息はなるべく取っておこう。

 私はテーブルのカップをキッチンに片付けるとベッドの中に潜り込んだ。

 後はロイが起こしに来てくれるまで眠るだけだ。

 少しだけ心配事の減った私は直ぐに深い眠りに落ちた。



 ロイが私を起こしに来たのはきっちり出陣三刻前だ。

 私が着替えて応接間に入ると既にそこには全員が揃っていた。

 一番後に登場するこの状況、いかにも指揮官っぽいが子供の身では様にならない。

 私はガイに手伝ってもらってもう一度今回の作戦行動について説明した。

 この捕物において一番問題なのは突然緑の騎士団がへネイギス邸に押しかける理由作りだ。

 本来、貴族屋敷の調査や捕縛は近衛の仕事。

 訳もなく押し入れば越権行為、王室的にも騎士団的にもよろしくない。

 そこで今回利用するのはイビルス半島のスタンピード、魔獣達の襲来だ。

 平民達には伏せられているとはいえ貴族間では周知の事実。

 これを利用しない手はない。

 ガイの調査により実際に地下とはいえ屋敷内に魔獣がいるのも確認されているのだからこの場所まで踏み込んでしまえば問題はない。その先にある子供達を監禁している牢屋と拷問部屋を押さえ、魔獣を討伐し、そこに転がる人骨を証拠としてあげてしまえばそこにいる貴族達は関係者。へネイギスとともに共犯として捕らえてしまえばいい。緑の騎士団に貴族の捕縛は通常であれば越権行為なのだが現行犯であればなんの問題も発生しない。例えば衛兵の役割である強盗をそこに居合わせた近衛兵が逮捕しても問題ないのと一緒。魔獣を追いかけた先に貴族の罪人がいたからついでに捕縛したとしても越権行為には当たらない。

 犯罪者を放っておく方が問題視されるからだ。

 そこで私はガイに地下と地上の位置関係をわかる範囲で調べてもらった。

 例えば庭にある木や石畳、手入れされた庭や石像、東屋などの下が地下のどの辺りになるのか。

 作られた地下施設はそれなりに広い。近隣の家屋敷の下に広げれば万が一掘られた時に発見される。そうなると当然作る場所は自分の屋敷の庭下になるわけでへネイギスの庭には大きく根を張るような木々が少ない理由も頷ける。地面としての深さがないからだろう。大きな御屋敷にありがちな大木がほとんど見当たらない。あるのは塀に沿った外周部分に若干あるだけだ。地下施設の存在を知らなければ単なる屋敷の主人の趣味で通ってしまう。綺麗に整え、管理された庭は充分に鑑賞に耐え得るものだ。

 だが今回の場合は実にそれが都合がいい。

 だいたいの場所さえ把握出来れば強引でもなんでも理由をつけて土魔法で掘り下げてしまえば地下施設の天井にぶち当たる。後はどさくさに紛れてそれを一部でもいいから破壊し、突入してしまえばこっちのものだ。出来れば場所は宴の会場付近か魔獣の監禁場所が最適だ。宴が開かれている広間付近ならそこに虫の息のイビルス半島の魔獣を放り込めば避難誘導と称して押し入り、魔獣監禁場所付近なら飼われているそれをある程度まで弱体化させ、そこから逃し、逃げられた魔獣を追いかけるふりをして中まで入り込んでしまってもいい。冒険者達に運搬させるのは檻や網に捕えられた、まだかろうじて息のある魔獣達だ。これを作戦開始の合図とともに全部で四箇所からヤツの屋敷に放り込む手筈になっている。手負いの魔獣が逃げ込んだ設定だ。このうち二匹は広間と魔獣監禁場所から近い場所に放り込むことになっている。それと同時に団長達率いる緑の騎士団の乱入だ。圧倒的パワーを誇る団長には団を率いて地下二階分の天井をぶち抜いてもらう必要があるので魔獣監禁場所からの突入を、広間近くからはこの作戦を知る選抜二十名ほどの団員が魔獣投入後突入する。地下への二つの入り口は封鎖した上で逃げられないように結界とワイヤー網が張られる手筈になっている。

 そして私達が突入するのはここ、レイオット領にあるへネイギスしか知らないであろう抜け穴からだ。

 ガイの情報によればこの抜け道が繋がっているのは魔獣の飼われている檻近く。つまり団長達が万が一突入に失敗しても中から天井をぶち破り、魔獣を逃してしまえば団長達の再突入が可能になる。噴水の入口には見張りを一人置くか魔獣の死体で塞ぐようにお願いした。話を聞く限り、へネイギスは武闘派ではない。魔獣の死体で出口を封鎖されればそこから出てくることは考えにくい。つまりヤツは屋敷から逃げられないわけだ。万が一逃げられたとしても証拠さえ押さえてしまえばもう誤魔化しようはない。


「何か質問やわからないこと、問題点があれば聞くよ」

 へネイギスの罪状を明らかにした上で説明すれば、これを知っていたイシュカ達だけでなく、他の五人とランス、シーファ達もへネイギスの怒りを露わに、任務への使命感とやる気に満ちていた。

 今回の作戦は寸前まで相手に気づかせてはいけないこと以外特に難しいものではない。

「相変わらず、よくもまあこんな手を思いつきますね」

 呆れたようなマルビスの言葉に騎士団のみんなが頷く。

「そんな難しいことしてないよね。今回厄介だったのは用心深いへネイギスをどう油断させるかが一番苦労しただけだもの」

「相手は近衛連隊長でさえ手を焼いていた相手ですよ」

 イシュカに言われて少し考える。

 だが今回は相手が悪過ぎただけだ、近衛連隊長に責任はない。

「それは仕方ないよ。へネイギスは宮廷内に入り込み過ぎてたもの。

 だからこそ団長通して直接陛下に交渉したんだし」

「陛下にですかっ?」

 追加護衛五人の声がハモった。

 確かに普通に考えれば滅多にお目通り出来ない方に間違いないので驚くのも無理はないのだけれど。

「団長が連れてってくれたよ。密偵の目を盗むのはそれなりに苦労したけど」

「そして貴方はその近衛連隊長が苦労していた相手をまんまと出し抜いたという訳ですか」

 ランスがまたかというような声で私に言った。

「そう、なるのかな? でもガイ達に手伝ってもらったからできたことだもの。私だけじゃ無理だったよ?」

「貴方の作戦と機転があってこそでしょう?」

「違うよ。いつも言ってるじゃない、私一人じゃ何も出来ないって。

 みんなが協力してくれたから出来たんだよ」

 助けてくれる人がいてはじめて成功する。

 私がいくら知恵をしぼったところで手を貸してくれる人がいなければどうしようもない。

 それは過大評価というものだ。

「それに本番はこれからだもの。みんなに手伝ってもらわないとまた逃げられて終わり、だから協力お願いします」

 私がぺこりと頭を下げて頼むと一斉にみんなの返事が聞こえた。


「勿論です」


 ここから抜け道までは馬でおおよそ一刻半。

 そろそろ出発の時間だ。

「マルビス、ゲイルの孫娘が捕えられているのはヤツの屋敷の中。地下にはいないから安心して? 団長に一人、救出に向かわせてもらえるように頼んであるから」

「ありがとうございます」

 さすがに利用価値の高いゲイルの孫娘はへネイギスも地下へは閉じ込められなかったようだ。とはいえ、使用人達の暮らす場所近くに監禁していたようだけど。

「助け出したらマルビスがゲイルのところまで連れてってあげて。ランスを護衛に連れて行っていいから慌てて戻って来なくて大丈夫だからね。私は明日ロイと一緒にレイオット侯爵家に行かなきゃならないからもう一泊レイオット領に泊まることになるだろうし」

「貴方は本当に部下思いの方ですね」

「誰にでもじゃないよ。マルビスは私の大事な片腕だもの」

 そう言って笑うとマルビスが真っ赤になった。

 あれ? 

 いつもと少し反応が違うような。

 まあいいや、今はそんなことを気にしている暇はないし、窓際でカーテンの隙間から外の様子を伺っているガイの隣に移動する。

 残っている問題はここまで付いてきている密偵の存在だ。

 出発前にいなくなれば助かるのだがと思っていたけれど。

「密偵はまだいる?」

 私の問いにガイは外に目を向けたまま返事をする。

「ああ、動く気配がないところを見るとこのままグラスフィート領まで付いてくるつもりなのかもな」

 それはマズイ。出発を悟られて報告に走られたら問題だ。それに、

「放っておいて後ろから襲われるのも嫌だしね。ガイ、アレ、捕まえられる?」

 時間的にもう密偵の交代や連絡はないだろう。

 捕まえてしまってもよさそうだ。


 ガイは少し考えて口を開いた。

「出来ないこともない。イシュカ、手伝え。ここで逃げられたら面倒だ。

 確実に捕まえたい。俺がヤツの背後にまわるから逃げ道塞いでくれ」

「わかりました。

 ではヤツを捕らえてその辺にいる衛兵に引き渡したら出発しましょう」



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