第三十一話 欲しいのは芸術家ではありません。
最上階が私達のために貸切られたホテルに到着すると部屋には洋服の仕立て屋が待ち構えていた。
何事かと思ったが、これも王室御用達の者達で謁見に着ていく服を用意するために呼びつけられたようだ。
王様に会うのに下手な格好をしてもらっては困るということか。
明らかに上等な色とりどりの絹の布を代わる代わる当てられ、ロイとマルビス、それにイシュカが加わりデザイン画を並べて話し合っている。
ちなみに私の意見は一切聞かれていない。
自分の服選びのセンスに自信はないのでこの際おとなしくお任せする事にしたがどんどん派手になっているような気がしないでもない。
できるだけシンプルにと一応はお願いしておいたが彼等が話し合っている間、私はあちこちの寸法を測られ、ついでに靴も色々と履かされ、二時間ほど拘束された後、やっと解放された。
ホテルで用意してくれた昼食を取った後、ようやく王都観光に繰り出す事が出来た。
まずは売れない画家やタマゴ達が並ぶという通りにやってきた。
服はあまり浮かないようにイシュカにも着替えて貰ったもののあまり意味がなかったかもしれない。
大勢の護衛を引き連れて歩く子供の姿はどうやっても目立つこと間違いなしだ。
とりあえずゆっくりと歩きながら売られている絵に目を向ける。
見ているとどうにも写実的な物が圧倒的に多い。
絵画にも流行りがあるのでそのせいかもしれない。
それなりに綺麗だし、私にこんなふうに描けと言われても到底無理だが、個性もないのでさして興味も惹かれない。私には商品価値という点では見る目がないのでマルビスにも聞いてみるが首を横に振るばかり。
これは別の視点か、もっと幅広く募集でもかけて募るべきかと悩み始めた。
並ぶ人影も減り、通りを抜けてしまうかと思われる所、一番端の目立たない場所で一際質素な商品を並べている一番若そうな人影が目に入った。恐らく年は十歳前後、茶色のボサボサの髪に痩せギスの身体、見窄らしいゴザのようなものの上に並ぶのは単純で質素なものが多い。手作りらしい木製の小物やアクセサリーに描かれたそれらは他の美しく着色された絵画達とは違う、シンプルな線。それでいてしっくりと素朴なそれに合っている絵柄。
求めているイメージにはかなり近い。
「どう思う? マルビス」
「他よりは、可能性があるかと」
小声でボソボソと相談していると鋭い目つきで睨みあげられた。
「買う気がないなら営業妨害です、すみませんが移動していただけませんか」
確かにそうだ。私を入れて総勢八人。
前に陣取っていては他の客が寄りつけない。
当初の予定通り、判断するためにもまずは試しに描いてもらうのが一番だ。
私はゴザに座る彼と話をしやすいようにその場に腰を屈めて視線を合わせた。
「一つ、お願いがあるのだけれど、聞いてもらえるかな?
勿論手間賃は払うし、それが気に入ればここにあるもの全て買い上げてもいい」
その言葉に彼が反応する。
鞄からマルビスが取り出した紙を受け取り、彼の前に差し出した。
「今から私の言うものを出来るだけ単純に、だけどそれだとわかる特徴を活かしてこの紙に書いて欲しい。お願いできるかな?」
「描いたものが気に入らなくても手間賃はもらえるんだよな?」
なかなかしっかりしてる。
だが問題はない、一緒に仕事をするのならこれくらいでなければ。簡単に騙されるようでは困るのだ。
「勿論。先払いしよう、マルビス」
相場がわからないので話を振るとマルビスは懐から三枚の銀貨を取り出した。
彼の目の色が変わる。
「どうぞ、お受け取り下さい。私共が気に入れば更にこちらを」
そう言ってチラリと彼に金貨の端をマルビスが見せた。
「早く言えっ、何を描けばいい」
すると一気にやる気を出したのか、私の手に持っていた紙をひったくるようにむしり取った。
花や動物、女の子を描いてもらう予定だったが折角だ。目の前に絵描きがいるのだから試してみよう。
「薔薇、蔦、猫、ウサギ、そして私の顔。
ああ、最初に言っておきますが私の顔はお世辞で美しく描く必要はありません。不細工に描いて頂いても大丈夫、怒ることはありません。
私達の判断基準はいかに簡単、単純でありながら特徴を捉え、明らかにそれとわかるかどうかです。早い話、それが私とわかるなら線一本でも構わないわけです。ご理解頂けましたか?」
前世、遊園地とかで時々見かけた似顔絵描き。デザインに才能がなかったとしても活かせる場所があるかもしれないのでついでに描いてみてもらえばちょうどいい。
「わかった」
ペンを走らせ、私が言った素材を次々に描き始める。
どれも確実に特徴を捉えていて、それでいて簡素でわかりやすい。
描いてもらった私の顔は自分では判断しにくいのでみんなに見てもらうと私だと判別は出来るという意見が出た。
つまり、最低ラインはクリアだ。
「悪くはないですね。ですがもう一つ何か足りないというか」
「でもセンスはある」
マルビスが難しい顔唸ったが、これだけ単純化してそれと判るということは評価できる。
「ダメか?」
彼からすれば大金であろう金貨一枚がかかっている、不安そうにこちらを見ている。
私は少し考え、もう一度彼にお願いしてみることにした。
「すみませんが同じ題材で今度は女の子が喜びそうな可愛い感じでアレンジできますか?」
もしかしたら頼み方が悪かったのかもしれない。簡素化にこだわり過ぎて彼の持つ絵の魅力を潰してしまったのかもしれないと思いあたった。
「わからない」
私の説明の仕方が悪いのか、顔を顰める。
う〜ん、どう説明するべきなのか迷う。それは私が最も苦手とするところだ。
「もっと線を丸くしたり、特徴を強調して崩してみたり、女の子が持っている鞄にその絵があったとしても違和感が無い感じとか」
「この方が着ている服にその絵があったとしても気にならない、馴染む感じと言えばわかりますか?」
隣でマルビスが援護射撃をしてくれるとなんとかこちらの意図が伝わったらしい。
「なんとなくわかった、やってみる」
再び彼がペンを走らせ始める。
すると今度は明らかに画風が変わった。
薔薇と蔦はシンプルでありながらドレスの縁にも似合いそうなものに、猫とウサギは特徴的な体のラインや目を活かしてまるまるとカワイイキャラクター風に。
そして私の顔は子供らしいぷっくりとした頬にくりりとした瞳が強調された愛らしい、中性的な顔立ちに。
それを見た護衛のみんなからも似てる、似てると笑って言われた。
マルビスの顔つきが明らかに変わった。
「・・・いいんじゃないですか?」
「そうだね、私もそう思う」
芸術とは違う、商品としてのそれは間違いなく魅力的だ。
美術館の絵とイラストの絵が違うのと一緒、私が探していたのは後者だ。
問題は彼にやる気があるかどうかなのだが。
「あなたは私達と仕事をするつもりはありますか?」
回りくどく言っても仕方がない、ここはストレートに聞いてみよう。
「どう言う事だ?」
怪訝な顔で私達を伺い見る。彼が疑わしい目で見るのも当然だ。
「簡単に言うなら私の仕事の助手というのが近いかもしれませんね。ですから、絵を書いてそれだけで生計を立てたいとか、有名になりたいと思っている方には向かないので断って頂いてもかまいません」
「俺は母ちゃんを養えればそれでいい」
それならば話は早い。
ちゃんと給金は払うし、仕事さえしてくれるならリゾート施設建設予定地の森の入り口にも関係者が住むための寮の建設に着手しているのでそこに住んでもらえば生活に困ることはないはずだ。
「ではお時間があればお茶でも飲みながら仕事のお話し出来ますか?」
「今日は無理だ。この金で早く薬を買って母ちゃんに持って行ってやりたい」
銀貨三枚を握りしめ、彼が言った。
「お母さん、病気なの?」
「半年くらい前に人混みに押されて階段から落ちた。その怪我がなかなか治らなくて」
なるほど。捻挫か、骨折か、理由はわからないが今は働ける状態ではないということか。
「神殿の聖属性の魔法では治らないの?」
「そんな金が払えるくらいならとっくに行ってるよっ」
ポーションは即効性があるぶん上級のものは値段もそれなりに高い。
神殿で聖魔法をかけて貰うにしても怪我の状態に応じてお布施がいる。
話からすると事情はわからないが彼は片親、本来の働き手である母親は怪我のために仕事が出来ず、冒険者ギルドで登録して日銭を稼ごうにも王都では子供の出来そうな仕事の依頼は少ないのだろう。
「私をお母さんのところへ連れて行ってくれるかな?」
状態は診ないとわからないが聖属性なら私も持っているので治せるかもしれない。
安易に期待させても治らなかった場合が困るのでとりあえず彼の母親に会わせてもらうことにした。
彼の名はキール・セイラン。
父親は出稼ぎ先の鉱山で落盤事故に合い、二年ほど前に亡くなったそうだ。
幸いにも家を買うためにと蓄えていた金がそれなりにあったので、母は近くの食堂で皿洗いの仕事をしていたので足りない分は蓄えを切り崩して生活していたが半年前の怪我で働くことが出来なくなり、生活費も底をつき始めたということだ。
「汚ねえとこだけど」
そう言って案内されたのは細い路地の突き当たりのキッチンと寝室しかない小さな家。
「気にしないよ、どこにいらっしゃるのかな?」
掃除が行き届いていない埃っぽいキッチンは八人が入るとギュウギュウ詰め、シエンとダグに家の戸口で待機してもらい、シーファとイシュカ、マルビスをキッチンで待っててもらうことにした。
「ロイ、ランス、一緒についてきて。
他の人達はここで待っててくれる? 部屋に入りきらないから」
あたりの柔らかいロイと万が一のための護衛にランスを連れ、キールに案内され、寝室へと入る。
大勢の客に驚かれても申し訳ないので咄嗟の場合には対処がしやすいように僅かに扉の隙間を開けて完全に閉めずにおき、ベッドに横になっているご婦人に声をかける。
「初めまして、ハルトと申します」
突然の来客に驚いて身体を起こそうとする彼女を手で制し、話しかける。
「そのままで大丈夫です。キールにお母様の具合が良くないとお聞きしまして、私になんとか出来ないかと思い、お邪魔しました」
「そんな、見ず知らずの方にご迷惑をお掛けするわけには」
「下心があってのことですので、お気になさらず」
不安そうに首を傾げた彼女に怪しい者では無いと説明する。
「私達は今、色々な商品の開発をしようとしているのですが、キールにそのお手伝いをして頂けないかとお願いしたところ、あなたが心配なのでと断られましてね。でしたら当方で貴方の怪我の治療が出来たら考え直して頂けるかと。
少し具合を見せて頂いてもよろしいですか?」
了解を取ってから彼女の右脚、ふくらはぎの部分に手を触れると痛むのか顔を顰める。
一応団長から貰い受けたポーションは持っているがこれはまだ開いた傷などの回復に適しているが既に塞がっているものでは染み込まないぶん、効き目が薄い可能性がある。
そうなるとやはり聖魔法を使ってみたほうが良さそうだ。
私は部屋の外にまで会話が届かないよう、声をひそめた。
「ちょっとばかり事情がありますので、これから私のする事は上手くいったとしても決して他言無用にお願い致しますね」
ロイが言葉の意味に気がつき、部屋の中の様子が見えないように立つ位置を変える。
それを確認すると私は更に声を小さくし、呪文を唱える。
詠唱無しでも発動は可能だが最近詠唱つきの方が僅かばかり効果が上がることがわかった。
私は聖と闇の魔法は他に比べるとあまり使用しないぶん少しだけ発動するのが苦手だ。
魔法は何よりもイメージがしっかりしていることが必要だ。
私は彼女の脚に触れたまま、神経を集中させる。
ゆっくりと静かに私の手のひらが聖属性の淡い白い光に包まれた。生物の授業で見た人体模型図を思い出しながら魔法をかける。
額にじっとりと汗が浮かんだが暫くそれを続け、様子を見るために一時中断する。
「どうですか? 動かせそうですか?」
身体の内側まで力が届いているのかわからない。
確認のためにロイが一言断ってから患部に触れる。
力を入れてはいるようだが上手くそれが伝わっていない様だ。ゆっくりと彼女の脚を曲げたり伸ばしたりしてみると少し考えてから口を開き、小声で答える。
「栄養失調か、長い間体を動かしていなかったためだと思います。命に関わる様な状態は脱したかと思われますが」
「治るのか?」
不安そうなキールの声にロイが確かめる様に所々を軽く押したりして触れてみる。
「保証する事は出来ませんがハルト様が怪我自体は治して下さったようですので、あとは本人の気力と努力次第、そして栄養のある食事が必要かと思います」
「怪我は治ったのか?」
大きく声を上げるキールに唇の前で人差し指指を立て、声をひそめるように指示をすると、慌ててキールが自分の口を両手で防ぐ。
「まだどこか痛いところはありますか?」
「いえ、ありません」
念のため、ポーションも経口投与しておいた方が間違いないかもしれない。
体の内側に問題が残っているなら効き目があるかもしれないし。
一応団長から貰った上級もあるけど効くかどうかは定かじゃないので普通のヤツで試してみよう。
私は懐から持っていた瓶を取り出すと彼女に飲ませた。
うっすらと彼女の身体が光る。
するとほんの少しだけ青白かった頬にうっすら赤みがさしたもののすぐにそれは消えた。
だが体は随分楽になったようで先程まで身体を起こすのも苦労していたのに自分の力でベッドの上に座る。
「あの、ありがとうございます、本当にありがとうございます」
何度も何度も涙を流してお礼を言われた。
私は空になった瓶を受け取る。
「そう、それなら良かった」
役に立てたのなら何よりだ。
私は立ち上がるとマルビス達が待つキッチンへ続く扉を開けた。
苦労してきたのだろう、抱き合って喜ぶ姿を見て、今すぐ欲しい返事でもないのでキールが落ち着いた明日以降にでも聞けばいいかと伝言を残して立ち去ることにした。
「では私はこれで。キール、私のところで働く気になったら私の泊まっているホテルまで・・・」
「行くっ、俺、お前のところに行くよ」
言いかけた私の言葉を遮ったのはキールの返事。
だがそんなに早く答えを決めなくてもと思った私の声を待つ事なく質問してきた。
「母ちゃんも一緒に連れてっていいんだよなっ?」
真剣な表情に私は答える。
「勿論、キールが私の望む仕事をしてくれる限り。
私は厳しいので何度でも気にいるまで書き直させるかもしれないし、空いている時間には他の仕事も頼むかもしれませんが」
無茶をさせるつもりはないが甘い事ばかりではないという事は先に伝えておかなければ。
後で話が違うと言われれも困るのだ。
「でも、俺があんたが気にいるまで何度でも書き直す限りは雇ってくれるんだよな?」
「はい、もしそれで才能がなければ他の仕事に移って頂く可能性もありますが働く気があって、ちゃんと仕事をしてくれる限りは雇いますよ?」
才能というのは無限ではない、枯れてしまう事だってある。
だからといって追い出すつもりはないがタダ飯食いは困る。
労働意欲さえあればこれから起こす事業を考えれば仕事の選択肢は残っている、要はそれでも耐えられるかという事だ。
だがキールは拳を握り締め、真っ直ぐに私を見て答えた。
「やる。俺は仕事がもらえるなら、絵でも、絵じゃなくてもいい」
ならば話は簡単だ。
私はロイとマルビスを交代させてもう一度、寝室に戻る。
仕事や契約の話ならロイよりもマルビスだ。
自分が一緒にいるところで話をした方が母親も安心するだろう。
キールにやってもらうつもりの仕事の契約内容とその準備について説明する。
自分までお世話になってしまうには申し訳ないという母親にキールに支払われる給料、そこから差し引かれる食費と寮費についてまで仔細に説明する。寮は同じ部屋なら二重にはかからないし、食費は二人分差し引かせてもらうので問題ない。最初は二人の生活費で貯金までは回せないかもしれないが勤続年数が長くなれば給金も上がるし、頑張って認められれば成果報酬が上乗せになる。勿論手を抜けば減給もありえるが真面目に働く限りは最低賃金は保証されるし、母親にも元気になって働く気があれば仕事は用意できるとも付け加える。
すると彼女の目から再び涙が盛り上がり、何度も頷いてそれに答える。
「では一度出発前に様子を見にきますが、五日後朝、迎えを寄越します。お母様と二人、引っ越しの準備を整えておいて下さい」
それほど多くの荷物もなさそうだが手間がかかる場合もあるだろう。王都にいる間ならイシュカ達も護衛してくれる事だし、ランスかシーファあたりに一度様子を見に来てもらってもいい。マルビスは懐から財布を取り出すと三枚金貨を取り出し、その内の一枚をキールに手渡し、続いてニ枚を母親に手渡した。
「これは約束の今日の報酬と、そしてこちらは支度金です。
到着次第、当面の生活費として更に二枚お支払い致します。
向かうのはグラスフィート領、領主邸内になります。ハルト様の部下のための寮の建設も始まっていますので完成すれば邸内から引っ越していただくことになるとは思いますがとりあえずそちらに出入りしても問題ない程度の身なりでお願いします」
二人の表情が固まった。
「・・・まさか」
そう言えばまだちゃんと名乗ってなかったっけ。
仕事の話しかしていないし商人かなんかだと思われていたのかもしれない。
私は二人に向かってにっこりと微笑んだ。
「ハルスウェルト・ラ・グラスフィートと申します。以後よろしくお願い致します」
見事に同時に顔から血の気が引いた二人はその後平伏しそうな勢いで頭を下げてきた。
まさか貴族だとは思っていなかったようでひたすらすみませんと繰り返す二人にとりあえず顔をあげてもらう。確かに貴族だけど三男坊なので跡取りではないし、そこまで畏まる必要はないと説明するとキールが上目遣いに見上げてきたので安心させるために笑って頷いた。
だが貴族様の御屋敷に向かうのに相応しい身なりなどわからないというので引っ越しの荷物だけまとめて貰っておいて、二枚の金貨を返却してもらい、代わりにその一式をランスとシーファに届けてもらう事にした。
三日後は王城行きなのでイシュカ達がいるから二人の仕事はない。ホテル待機予定だったが頼んでいいかと尋ねると二つ返事で引き受けてくれた。今日出会った場所でお昼過ぎの待ち合わせを決めてそこを後にした。
まずは一つ仕事が前に進んで一安心、今日と明日は普通に観光を楽しむとしよう。
マルビスとイシュカ達に王都の名所を案内してもらいながら 食べ歩き、気になる店を見つけると覗いて見たりして二日目の夕方、衣装が出来上がるまでの時間を楽しく過ごした。
そして登城前日、出来上がった衣装合わせでサイズなどの確認を終え、手直しがない事を確認し、仕立て屋は帰って行った。