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生まれ変わったら天才少年? 〜いいえ、中身は普通のオバサンなんで過度な期待は困ります  作者: 藤村 紫貴
第三章

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第六十一話 それは言わぬが花というものです。


 別の問題と聞いて嫌な予感はした。

 だが直接生命の危険に関わるわけではないと聞き、ホッと胸を撫でおろす。


 早い話が例の二人の研究者が死亡したことについての責任追及だ。

「名門侯爵家の次男と伯爵家の長男の死亡ですからね。彼等の勝手な行動を指摘して今回の責任を取らせようとしたのですが」

「大方連隊長達が御主人様贔屓なんで庇っているとでも言われたんだろ。

 それで逆に賠償金か慰謝料でも要求してきたんじゃないか? さもなきゃ責任取って爵位降格しろとでも言ってきたか」

 言い淀む連隊長にガイが突っ込んだ。

 どうやら当たっているらしい。連隊長が悔しそうに歯を食い縛って拳を握りしめた。

 まあね。

 ある程度は予想してましたよ?

 自分の地位権力で勝手を押し通し、罷り通ってきた輩が簡単に自分の息子の非を認めるわけもないですよね。今更驚くほどのことでもない。

 

「其奴ら馬鹿であろう?

 近衛達から聞いた話からすればハルトに自分達の息子の犯した過ちを尻拭いをしてもらったといっても過言ではない。息子を亡くしたのだ、感謝しろとまでは言わんが責めるのは明らかに違うであろう」

 呆れたような閣下の言葉にイシュカが激しく同意する。

「そうですよっ、ハルト様は即座に対応なされたからこそ被害が最小に抑えられたのですからっ」

 だから死んで良いというわけではない。

 だが、近衛の監視を掻い潜り、忠告無視した行動まで道案内人の私に責任取れと言われましてもこちらとしても、辺境伯が言うように明らかに違うと思うのだ。それとも貴方の御子息はこちらの忠告を聞かなさそうだと判断した時点で縛って地面に転がしておくべきだったとでも?

 そしたらそれはそれで貴方達、文句言いますよね?

 これだから権力馬鹿は嫌いなのだ。

 自分達の責任を他人に押し付け、なすりつけ、何が悪いと踏ん反り返る。

 排除しても排除してもそういう方々は後から後からウジ虫のように湧いてくる。

 それはわかっているし、全てを否定するつもりはないですよ?

 世の中には必要悪というものもある。格式ばった四角四面のことばかりでは息も詰まるし真実を公表することが良いことばかりだとは限らない。今回の件ついても陛下を含めた私達は真実を誤魔化して小さくするつもりでいるのだし。

 でもね。罪を隠蔽しようというのならそこに確固たる理由や信念がないならば、それは単なる愚か者の所業。自分の身が可愛いだけの腐った権力者の我が儘の犠牲になるつもりは毛頭ない。

 大事な仲間のためならば濡れ衣でも泥でも被りましょう。

 だけどなんで敵対者の罪を被る必要がある?

 その見返りは?

 私に何か得になることでもあるのでしょうか?

 ありませんよね、そんなもの。


「それにハルト様が陛下から承ったのはあくまでも道案内と監視。文句を言われる筋合いではありませんよっ」

「それを捻じ曲げてくる馬鹿だからこそ厄介なんだろ?」

 ブツブツと文句を言ったライオネルにガイがボソリと呟く。

 腹が立つのには変わりはない。

 馬鹿らしいと唾棄すれば済むのなら話は簡単だ。

 だがそれが出来ないのであればこっちまで感情的になっては負けだ。

「それでどうなったんだ?」

 尋ねたガイに忌々しそうに連隊長が答える。

「裁判を起こして責任を追及してやると喚いています」

 そりゃまたそういうヤツらがやりそうなことではあるよねえ。

 でも責任って何の?

 私は何の罪を犯しましたかね?

 まずはそれを問いたいところだが、

「私、降格くらいなら別に全然構わないけど?」

 むしろそれで済むのなら願ったり叶ったりだ。

 面倒な権力争いから遠ざかれる。

 しかしながら、

「でもまあ向こうの落ち度をこっちに押し付けられるのは本意じゃないよねえ」

「そうですよっ」

 イシュカとライオネルだけではなく、ガイ以外の全員にそう返された。

 ニヤニヤとこちらを見て笑っているガイのその顔は完全に面白がっているのだろう。すっかり高みの見物と洒落込んでいるようだ。

 化物素材の倉庫番をしている近衛はともかくとして同行した研究員は置いておいても面倒なのでとっくに王都に帰している。

 集落の生き残り達はウチの警備を見張りに置いた上でリステル達に最低限の日常会話を教育してもらっている。その貴族に引き取らせるにしろ、閣下か辺境伯に引き取ってもらうにしろ意思疎通ができなければ始まらない。


「でも他にも証人がいるでしょう? 

 研究員達はなんと言っているのですか?」

「既に城に戻った研究員には買収が入っているとリディの報告が上がっています。

 何人がそれに頷くかはわかりませんが」

 マルビスの疑問に連隊長の言葉尻が濁る。

 要するにそれなりの数が偽証するとみているわけか。

「でも簡単な調書はもう既に取っているんでしょう?

 極端な改竄は厳しいんじゃないの?」

 となると、やっぱりサイラスの忠告通り、近衛のみんなに滞在してもらっておいたのは正解かな。言葉や会話の揚げ足取って難癖つけるくらいしかできないんじゃないかと思うのは私の考えが甘過ぎるかな。 

「ですがあの男は私の部下も買収するつもりです。私がこちらに戻ってくる時には既に手の者はこちらに向かってました。あちらは馬車ですから検問所で確認したところ途中で私達が獣馬で追い抜いたようですけど明日朝には到着するでしょう。

 ハルトに責任追及する前に会わせろ、事実を捻じ曲げられては敵わないからと息巻いてましたから」

 いやいやいや、金と権力にモノを言わせて事実を捻じ曲げようとしているのはそちらでしょ?

「あの男は人事にも口出しが出来るからな」

 それはまた面倒そうなポジションに。

 連隊長とか閣下の口調からすると、要するにここにまだ滞在している近衛のみんなのクビが飛ぶ可能性があるってことか。既にフィアの貿易センターが管理している地方監査からは近衛に聞き取りが入っているはずだけど、どうやって誤魔化す気なのかな?

 定番の『記憶に御座いません』だろうか?

 動揺してて記憶が混乱してましたとか?

 それにしたって大幅に最初の証言と変わるのは無理があるでしょうよ。


「良いんじゃないですか? 会わせて差し上げれば。

 但し、誰か信用できる第三者を複数、監視に置いた上で。こちら側の人間ばかりでは文句も出るでしょうからあちらの陣営の人間の同席も許可すれば」


 どうこじつけ、言い訳するつもりなのか知らないが、墓穴を掘るだけだと思いますけどね。

「それに責任というならば、あるのは部隊を率いた私にであってハルトではない」

「いや、双方の間を取り持つ役目を負った私にも責任がある。

 アインツ一人の責任ではない」

 連隊長とフリード様のような方達ばかりなら問題なんて起きなかったでしょうけどそれは違うと思いますよ?

 化物に美味しく召し上がられてしまった方々がお二人の忠告を聞いた上でのことならば責任もあるでしょう。だけど、見張りと警備の目を掻い潜って勝手をした輩の責任まで取る必要はないと私は思うのですよ。だってそれは命令違反、処罰対象だと思うのですが。

 隊を率いている以上、責任皆無とはいかないでしょうが、それを許せばこれから困ったことになりますよ?

 そういう方々は上手くいったと味をしめればまた同じことを繰り返す。

 責任は取るべき方々に負って頂くべきです。


 裁判を起こしてやる?

 上等ですよ。

 どんな罪状で私を吊るし上げるつもりなのか、とっくと拝見させて頂いて、法廷でしっかりと返り討ちにさせてもらいましょう。

 ではまずこちらの一手、取らせて頂きましょうか。


「連隊長、御相談があるのですけど」


 私はにっこりと微笑んで口を開いた。

 その喧嘩、是非とも高価買取させて頂きます。

 そして私と私達ハルウェルト商会を敵に回したこと、

 たっぷり後悔すれば良い。



 そして彼等が裁判準備に気を取られている隙にもう一つの計画を準備する。

 違法奴隷所持の一斉摘発と奴隷の解放だ。

 連隊長が陛下から預かってきた手紙は全部で四通。

 閣下と辺境伯、そして私への協力要請だ。

 残るもう一通は・・・

「今回はフィガロスティア第一王子殿下に取り仕切らせると陛下が仰いました。夜の闇に紛れて一度フィガロスティア殿下を一度こちらにお連れします」

 差し出された王家の紋章の封蝋で閉じられたそれをそれぞれ受け取る。

 つまりコレは陛下から私達への指示書みたいなものか。

 貿易センターから人目を避けて時々フィアが遊びに来るのは別に珍しいことではないけれど。

「私がフィアのところに行ってもいいけど?」

「いえ、向こうではどこから話が漏れるかわかりませんし、侯爵と辺境伯は目立ちます。それに今回は規模も大きくなりますから陛下がハルウェルト商会の協力を仰ぎたいとのことですので」

 そういえば違法奴隷所持で今回引っ張る予定は貴族が七件、大地主で九件、合計十六件だ。もっと少なかった筈なのだがグレーで怪しかったヤツらが複数クロになったということだろう。それだけの数ともなれば確かに一斉検挙するなら国の監査局だけでは厳しいかもしれない。一つ一つ潰していては他に情報が回って証拠隠滅を計られる。一気に叩かないとダメだ。

 そこで閣下と辺境伯、ウチにも協力依頼が来たってことか。

 依頼は違反者捕縛と監査員警護だ。

 閣下と辺境伯は抱えている兵の数も多いが実力的にも屈指。国が関する荒事案件であれば駆り出されることも多いので特に動じた様子もない。むしろ楽しそうな顔をしているように見えるのは決して気のせいではないなずだ。


「僕はどうすればいい?」

 レインはまだ学院生だ。

 成り行き上、無関係でもないので同席しているが、デカイ図体の割には人見知り気味のレインは大抵こういう時は一歩引いて後ろで見ている。今回は閣下も出張るのでどうするべきかといったところか。年齢も既に十二歳、この世界では成人扱いされないけれど一人前とされる歳だ。平民ならば見習いか働きに出るか、貴族であれば親に領地経営を学んだり、騎士団に所属したり、どこかの屋敷に奉公に出る年齢ではあるけれど。

「レインは学院の授業がもうすぐ始まるでしょう?」

 勉強はいつでも出来るけど、出来る時にはしておくべきだ。

 学生時代というのは短くも貴重な時間だ。

 人員が足りてないというならまだしも、閣下と辺境伯が出張るなら戦力的には充分だ。魔獣討伐とは訳が違う、むしろコレは過剰戦力だろう。

 そう思った私に対して連隊長は首を横に振った。

「いえ、陛下がレイオット侯爵閣下の御子息がこちらにいらっしゃるのであれば学院高等部の方には一報入れておくので是非ともハルトと一緒にお手伝い願えと」


 どういうことだ?

 私はまだしも何故レインまで?

 あの腹黒陛下はいったい何を企んでいる?

 このままあの陛下の目論見に誘導されるのもどうかと思うのでレインの意志をまず確認だ。

「どうする? 強制ではないみたいだし学業優先でも全然大丈夫だと思うけど」

 暗に断って欲しいという意味を込めて尋ねたのだがレインはキリリと目を釣り上げて断言した。

「手伝う。僕もハルトの婚約者で学院卒業後はハルウェルト商会の一員になるんだから」

 ・・・・・。

 こういう目をしたレインは頑固だ。

 絶対に自分の意志を曲げようとしない。

 ならば反対するだけ無駄。

 陛下の計画通りにコト運んでいるような気がしてかなり癪ではあるけれど、まあいいや。別に本人が嫌でないのなら反対する理由もない。それにレインの言うように二年後にはこのままいけばハルウェルト商会に就職するのだ、ウチのやり方を知ってもらうのにはいい機会だろう。いつまでも部外者である『お客様』でいるのが嫌なのもわからないではない。

 となれば、まず片付けるべき案件は、

「連隊長、裁判の日程は決まってるの?」

 言い掛かりも甚だしい貴族達(ヤツら)と御対面、直接対決だ。

「その前に五日後に審問会を開くのでそれに出席してほしいと。裁判に持ち込むか否かはそこで決まります。閣下と辺境伯も宜しければ出席なさって下さい。

 私がこのままこちらに残ってそれに同行し、ハルトをお連れします」

 状況的には同行というより連行だ。

 いいですけどね、別に。任意同行みたいなものだろう。

 法律違反も、悪いこともした覚えはないので堂々と出席させて頂きますとも。

「呼ばれているのは私だけ? 一緒に行けるのは何人?」

「イシュカとライオネルならば調査団に同行しているので連れて来ても構わないと。審問会の現場に同行が許されているのはハルトを除いて三人です」

 まあ妥当なところか。

 他にも付いて来ていたウチのメンバーはいるけれど、彼等は平民、引き連れて行ってたところで向こうでまともに意見を聞いて貰えるとは思えない。イシュカとライオネルならもと貴族で私の側近という肩書きがあるから幾分かマシだろう。

 私はライオネルの方を向いてその意志を確認する。

「どうする? イシュカには来てもらうとしても審問会なんて私を吊るし上げたいだけの胸糞悪い輩が大勢いるだろうからライオネルが嫌ならどちらでも構わないよ」

 無理強いする気はない。

 私だってバックれて何事もなく済むのなら出たくないくらいだし。だけど出なかったら好き勝手に事実を改竄されるだろうことがわかっていて出ないという選択肢はない。反論できる場を用意してくれるとならしっかり出席させて頂きますとも。

 あくまでも強気の私を見てライオネルは笑う。

「俺も行きますよ。貴方の側にいてイシュカが見ていない、調査時や避難時の調査員の不審な動きや行動も俺ならわかることもありますから。悪いことは何もしてないんですから堂々と出席してやります。

 貴方がソイツらをやり込めるところが見られる折角の機会ですし」

 そう言ってニヤリと唇の端を上げたライオネルにロイやマルビス達の鋭い視線が集中した。

「弁護人は連れて行っていいの?」

 法律的観点から反論できる人間は必要だろう。

 そうでなくては説得力にも欠ける。

「大丈夫ですよ。審問会で発言するには陛下の許可が必要になる場合はありますが」

「陛下が出席するの?」

「はい。今回は大きな案件になりますからね」

 それが良いのか、悪いのか。

 いや、今回の場合に限っていえば陛下がこちら側であるならばこの国の最高権力者だ。影響力は強いだろう。

「サイラス、一緒に行って貰える?」

「それが私の仕事です」

 ならばそう心配もあるまい。

「でも五日後って結構早いね」

「記憶の新しい内にということと、向こうに時間の猶予を与えれば裏工作をされるでしょう? 出来る限りそれを防ぐためですよ。裁判となれば二ヶ月は向こうに延びるでしょうけど」

「つまり裁判に持ち込まれる前にある程度ケリをつけたいってことね」

 だからこそ陛下が出てきたってことか。

 この一件は化物退治だけにとどまらない。

 まだその先があるのだ。

「早めにカタはつけときたいところだしね」

「奴隷解放ですか?」

 勿論そっちもだけど、まずは自分達の問題から。

「無罪勝ち取りの方だよ。

 その前に取り締まりと捕縛に押し入ったら、こっちの都合が悪いからだって解釈されても困るしね。なるべく早く助けてあげたいのは山々だけど、こればっかりはね。内輪だけのことなら速攻で動くんだけど」

 助けるまでの間にも何人かが犠牲になってしまうかもしれない。

 だけどこちら側の正当性を失くしたままでは助けても彼等の行き場に困る。それでは意味がない。その先のことまで考えないといけない。守備よく助け出したとしても浮浪者が増えるだけでは駄目だ。

 おそらく彼等の行き先は無い。

 受け入れる母体(わたしたち)がなければスラム行き確定だ。

「貴方はすぐに救出しないとと言い出すかと思ってましたが」

「生憎そこまで正義感強くないよ」

 一人を助けるために百人を率いる正義感は立派だが、それを確実に実行できるほど私の器は広くない。私は百人を助けるためなら一人を犠牲にする方を選ぶタチだ。

 それも私の大事な人でないならば、ですけどね。

 これがロイ達だったなら即座に泥を被ってでも、すぐに助けに飛んでいく。

 そんな私はやっぱり勇者や英雄には程遠いと思うのだ。

 多少の罪悪感はあってもそれには目を瞑る。

 私は所詮その程度の人間だ。


「それに今動けば勘付かれる可能性も高いでしょ。

 すぐに買収要員送って来たくらいだもの、多分密偵とかも付いてくる可能性高いし。屋敷の中までは入って来れないにしてもここは娯楽施設の真ん中、外出を見張るだけなら難しくないからね。

 失敗したらもっと酷い未来が来る。

 それだけは絶対に避けないといけない」


 こうして私達の作戦会議は始まったのだ。



 闘うにはまずは相手の出方をよく見ることだ。

 連隊長達の後を追いかけて、翌日やって来たマイエンツ侯爵家とレッドベイクル伯爵家の遣いを待機中の近衛のみんなのところに丁重にご案内した。

 勿論彼等とは既に話し合いが済んでいる。

 事実を捻じ曲げる必要はなく証言してほしいのは実際にあったこと。

 脅迫されて受けるのも断るのも自由。

 正直に話してもらえるなら家族や恋人その他に危険が及ぶような危険があるなら教えてくれればこちらで保護すること、騎士団をクビになったとしても既に連隊長の紹介状はこちらで預かっているのでウチで雇うつもりがあることを伝えた。

 国家騎士団に所属する名誉、貴族の地位を捨て難い人だっているだろう。

 それを優先したところで責めるわけにもいかない。

 就職先は斡旋できてもその人の人生に私は責任を持てないのだから。

 仮に裁判まで持ち込まれたとしても自分の主張と信念を貫くだけ。

 今までの私と変わらない。


 馬車で王都に向かうとなれば最低でも二日前出発。

 彼等を追い詰める計画は既に立てた。

 審問会の結果次第で決行日は決まるのだ。

 おそらくこちらが優位を取れれば向こうは裁判に持ち込もうと画策するだろう。こちらに目が向き、必死になればフィア達監査部隊の動きに目が行き難くなる可能性がある。


 私の役目は所謂囮。

 せいぜい引っ掻き回して向こうの怒髪天を衝くように煽って差し上げましょう。

 向こうが感情的になればなるほどに、こちらの思うツボということで。

 ここは魔王様(わたし)が降臨すべきだろう。


 悪役上等。

 名誉にも権力にも興味がないこちらとしましては、せいぜい憎たらしくも忌々しい、イケ好かないヤツになりきって魅せましょう。


 それはもとからだって?

 そこは言わぬが花というものです。


 魔王様の恐ろしさをしっかりその身に刻んで頂きましょうとも。



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