第四十八話 手綱を握るのは一人だけではないのです。
そうして御飯を食べ終わり、みんなが後片付けを、私が明日の食事の下拵えをしていると連隊長とフリード様が揃って近づいてきた。
このタイミングで来るってことは同意は得られたのか?
また厄介事の臭いがしないでもなかったが仕方ない。
「同意は得てきた。申し訳ないが協力してもらえるかい?」
やはりこうなったか。
こういう場合において、私がそれに巻き込まれずに済んだ覚えはない。陛下が絡んできた時点で逃れられなかったのは判っていましたけどね。
「わかりました。但し、読めるかどうかは保証致しかねますよ?」
多分読めるけど。
「勿論だ」
連隊長が大きく頷いた。
問題はマルビスやサキアス叔父さんの知らない言語の場合にどう誤魔化すか、なのだが。大勢の前ではイシュカに相談も出来ない。どうすべきかと悩んでいる私の横にイシュカが並ぼうとして、連隊長がそれを止めた。
「すまないがイシュカはここに」
私の行くところには護衛として付いてくのが当然としているイシュカがそれに納得できるわけもなく。
「何故ですかっ」
「必要以上の人間は関わって欲しくないという者がいてね」
「それは了承致しかねますっ」
こう、なるよね。
私も屋敷の外で一人になることは殆どない。
安全面以外にもその他諸々の理由で。要するに、側近達がよく言うように私は手間が掛かるというわけで。面倒な私を一人にしてくのは別の意味でも心配だということなのだ。本当に御世話をおかけしますってなもんで、頭が上がらないのですよ。
調査員からすればただでさえ魔王降臨という非常事態。
その護衛という名の国内屈指の実力者が加わって、更にはウォーグという脅威のオマケ付き。怯えないわけもない。だから自分達のところに寄って来る時は引き離しておきたいところなのだろうが、協力要請しておいて随分と勝手なことだ。私達の目的は既に達成しているし、陛下から頼まれた仕事さえなければ早々に帰りたいところではある。いくら侯爵の位を賜ったとしても所詮私は成り上がりの田舎者。というか、私が侯爵なこと自体、気に食わないというか、目障りなんだろうな。
本当に面倒臭いと思う。
魔王が怖いなら突っかかって来なきゃいいのに。
「心配いらないよ、イシュカ。非戦闘員の方々なんでしょ?」
「何かあったらどうするのですかっ」
叫ぶイシュカにフリード様が答えた。
「その責任は私が取ろう。私が必ずハルトを守る。約束を違えたその時は、君がハルトを傷付けた者と私の首を刎ねなさい。仲間との約束を破る男に生きる価値はない」
その言葉が意味することに私は息を呑む。
「何故、そこまでする必要があるのですか?」
普通であるならば命まで賭ける必要はない。
つまりそうまでして私の協力を得たい理由があるということだ。
尋ねた私にフリード様がその見つかったという地下へと続く階段についてより詳しく話してくれた。
神殿の祭壇と思わしき瓦礫の、更にその床下の石を退けてから出てきた地下階段へと続く扉はひんやりと空気も冷たく、澱んでいたという。
魔素が溜まっているというわけではない。
しかしながら不気味さを感じて慎重に歩みを進めたが、空気が重く感じるのは研究者達は密閉されていたからだろうと言ったらしい。一応心配だったのでフリード様が浄化魔法をかけつつ進んだらしいのだが、階段の降りた先には三つの部屋があり、一つはほぼ空の状態、一つはガラクタが積み上げられた物置と思わしき部屋、そして最後、一番奥の部屋へと続く扉が押しても引いてもどうしても開けられないのだという。なんらかの細工か魔術が組み込まれているのではないかと言う。
そしてその扉に刻まれているのが学者達が読めないという文字。
そこまで話し終えたところでフリード様が深い溜め息を吐く。
「なんとなく、なのだが、嫌な予感がするのだよ。
根拠は何だと聞かれても答えられないのだが。
判らないのであればどうせ塞ぐ予定の二度と来られぬ場所、扉をブチ破って強引に壊してしまえば良いと言う者がいてね。私達は止めているのだが、危険だと決まっているわけではないだろう、何百年も前のものだ、生き物であれば閉じ込められていて生きていられるわけもなかろうと」
出た。
お馬鹿発言が。
フリード様の心配も至極もっともだ。
祭壇の下に隠すように作られた地下への階段。
重く澱んだ空気。
閉ざされた扉に刻まれた意味不明な文字。
不気味さ満点、怪しいことこの上ない。
それが何故お宝発見的発想になるのだろう。
むしろ逆、どうして危険ではないのかと考えない?
欲に目が眩むとそんなこともわからなくなるのか。ここが単に人が住まなくなったから寂れたというなら問題もないだろう。
だが、放置されたのに理由があったとしたら?
フリード様の心配の理由を理解した。
細工の施された文字の刻まれた開かない扉。これだけ神殿が崩れているのにそこだけ無事ということは、それだけ頑丈に作られているということ。頑丈に作られただけの理由があるのではとフリード様考えた。
だが研究者達は頑丈だからこそ隠し財宝の可能性でも見出したってところか。
確かに食料が必要な魔物や魔獣であれば死んでいるかもしれない。
でもそれが必要ないモノであったら?
リッチやアンデッド、スケルトン。
食事を必要としない化物は他にもまだまだいる。
それともここは神殿、そんな化物いるはずないとでも思っているのかな?
私からすれば嫌な予感しかしないのだけれど。
「ハルトが暫くここまでの道を塞ぐのを待っても良いと言っているというのは伝えたのだが、次の調査団に自分達が加われるかどうかわからないからと」
要するにイシュカが付いて来るのを拒んでいる輩は自分達の手柄を取られたくないと?
まあこんなところだろう。
関わる人数が多ければ分け前も減る。
私が増えても頭数は1人増えるだけ。扉を見つけたのにも関わらず、たいした成果が持ち帰られなかったとなれば自分達の株も下がる。ならば多少気に食わないとはいえ私の力借りた方がマシ、そんなところだろう。
浅ましい下心というのは透けて見えるものだ。
特別驚くほどでもない。
「要するに財宝があるかもしれないのに、折角見つけた、そこに続くかもしれない扉を開けるチャンスを他の人間に譲りたくないと?」
イシュカが目を吊り上げて低い声で言った。
連隊長達は苦笑するだけで否定しない。
つまり概ね私達の推測は間違っていないということか。
私は大きな溜め息を吐く。
本当に昨日から私は溜め息ばかりだ。
信じているわけではないけれど、『溜め息の数だけ幸せが逃げる』と、そう言う友人が前世でいたが、それが本当だとしたら私は今日、いったい幾つの幸せを逃しているのだろう。
「近衛のみんなは賛成しているのですか?」
私は連隊長に問いかけた。
「対面的にはフリード様の意見を尊重している」
「でもお宝発見の可能性に揺らぐ者もいると、そういうことですか?」
団長が以前言っていた。
騎士達に貯蓄の概念はないと。
給料が入るとパーッと散財、後は寮のメシで食い繋いで給料日を待つ者が多いのだと。常に金欠、中には給料前借りする者もいて、しかしながら半月経たなくてはそれも出来ない。そして月半ばで前借りできるのは月給の四分の一まで、以前は日払いをしていたこともあったらしが前借り出来るとわかると尚更金遣いが荒くなる者が一定数出てきたため、今の陛下なってからそういう規則に落ち着いたのだと。
つまり騎士の多くは常に金欠状態。
「面目ない」
そう言って連隊長が頭を下げた。
「私も忠告したのだが、聞く耳をもってもらえなくてね。
魔素や瘴気が漏れ出していないことを考えれば、たいした魔物がいるとも思えない、自分達が退治すれば済む話じゃないかと」
呆れてものも言えないとはこのことだ。
人間と魔物では相手をするにも勝手が違う。
何故安易な方向に舵を切る?
連隊長が悪いわけではないけれど、一応とはいえフリード様の体面を考えるだけの余裕が残っているだけ良しとするべきか。
男の人でケチでガメついのはカッコ悪いとも思うけど、金の管理もしっかり出来ない、判断能力に欠けて生活能力が皆無なのも如何なものか。瘴気がなんらかの理由で抑えられている可能性だってある。腹が減っているところに出された饅頭に目が眩んでいるのだろうが、安全が確約されていないのにそこに毒が入っているかもしれないと何故疑わない?
その毒が腹を壊す程度で済めば良いが致死量だったらどうするつもりなのだろう。
まあウチの騎士達も似たようなものか。
ウチでは日払いの休日出勤で稼ぐという手段があるだけマシ。お金を得るために働くということは休みも返上になるのだが、その日に手にした日当を酒場で全て呑み尽くすなんてのも少なくない。
「私はお金に困っていないので分け前などいりませんと、そう言っても駄目なんですか?」
イシュカの問いに返答はない。
要するに『否』だ。
「調査員達が君とイシュカが組むと厄介だからと」
ポツリと言ったフリード様の言葉に成程と納得する。
危険が潜んでいるかもしれないのに、そういうところだけはヤケに頭が回る。
馬鹿は馬鹿なりに理解しているということか。
確かに私一人ではたいした力は無い。
案外よく見ているじゃないの。
「仕方、ありませんね」
「ハルト様ッ」
私の返事にイシュカが慌てる。
予定外ではあるものの、これは私がそう付け加えなかったのも悪い。充分想定できることだったのに。
「大丈夫だよ、イシュカ。連隊長もフリード様も約束を破る方ではないし。危ないと思ったらすぐにイシュカのところまで戻って来るから。
その時は助けてくれるでしょう?」
「当然です」
間髪入れずにそんなイシュカの声が返ってくる。
ならば安心。私は逃げ足の速さには自信があるし、歴戦の猛者であるフリード様が自分の命を賭けてまで守ってくれるといっている。フリード様が嫌な予感がするというからには多分多少なりとも何かしらの危険が潜んでいるのではないかと思うのだ。それが前もって少しでもわかるのであれば備えることができる。
情報は少しでも多い方が良い。
となれば、とりあえずやらなければならないのは、
「ケイ、ポチの世話と明日の下拵えの続き、頼んでもいい?」
この条件だと明日の集落行きと調査期間は延長になるかもしれないけど。
「かしこまりました」
即座に頷いて私の仕事を変わってくれる。
「いつも面倒なこと、押し付けてゴメンね」
「いえ、お気になさらず。私は貴方のもの。どうぞ遠慮なく、なんなりとお申し付け下さい。貴方と私は一蓮托生、どこまでも、どこへでも御供するだけですから」
ケイにそう言われて思い出す。
そう言えばそうだよね。
私が命を落とせばケイとビスク、更にはクルトも道連れだ。
簡単に死ねない理由も間違いなくそこにある。
「そうだね。そうだった」
私の命は私だけのものじゃない。
するとイシュカがギュッと私の両手を自分の両手で包み込んだ。
「それは私も同じです。貴方のいる場所であれば、それが死の淵であっても追いかけますからね。貴方を傷付けた者に鉄槌を喰らわせてからにはなりますけど」
本当にやりそうなイシュカが怖い。
「そりゃあ責任重大だ」
益々私の命は重くなる。
ならば尚更危険がないことをしっかりこの目で確かめておかなきゃならない。
本当にただの杞憂かもしれない。
近衛達が言うようにいたとしてもたいした脅威もない下級の魔物かもしれない。ここでそれを討論しても時間の無駄。そこに危険が潜む可能性があるのならしっかり確認して対策取って、イライラとここで待っているよりマシな気もしてきたし。
とっとと行って、さっさと帰ってこよう。
「イシュカをお尋ね者にするわけにはいかないからね。絶対無事に戻って来るよ。
心配しないで・・・」
と、そう言いかけて、私は言葉を途切らせた。
心配性のイシュカがこの状況で心配せずにいられるわけもない。
ならばむしろ、
「ううん、違う。思いっきり心配して待ってて。
そしたら私はイシュカを安心させるために絶対無事で戻って来るしかなくなるから」
そう私が言うとイシュカは嬉しそうに笑って答えた。
「はい、必ず」
私はイシュカの返事を聞いてくるりと背を向けた。
「では参りましょうか」
私は連隊長とフリード様の後を付いて、廃神殿へと歩き出した。
まるで今生の別れみたいなやりとりに連隊長はクスクスと笑う。
「戦いに行くと決まっているわけではないのだよ?」
そうですね。
でも別れなんてモノはいつ何時やってくるかわからない。
当然何事もなく無事で戻るつもりではありますけどね。
「わかってませんね、連隊長」
イシュカが私の隣にいる。
それはいつも当然としている、当然ではない日常なのだ。
「私が外出する時は殆どイシュカが隣にいます。イシュカがいない時はイシュカの信頼するガイかライオネルが。つまり、今は私を諌める者が側にいないわけです」
イシュカが私の身も案じてくれているのは間違いない。
私の病気といわれる癖がでないかという杞憂もあるだろう。
だけど私がイシュカ達が心配している理由は他にもある。
私は怖ろしく手間が掛かる主人なんですよ?
神経が細くては胃に穴が開き、頭がハゲ上がりそうなほどには。
「私は喧嘩っ早いのですよ。
我がハルウェルト商会に、『喧嘩』という名前の商品の取扱いはございませんのでお売りすることは致しませんが、売られた『喧嘩』であれば相場より高値で買うのが私です。そして買ったからには元をしっかり取るまで回収の手を緩めない。
その私の性格は何故か私の側近や警備達、側にいる者に浸透しています。
まるでタチの悪い伝染病みたいに」
交戦的というわけではない。
だがマルビスも、ロイも、イシュカやテスラ、ガイにキール、サキアス叔父さん、ライオネル、その他大勢も、不条理にやり込められると反骨心がムクリと顔を出す。ソイツらには手酷いしっぺ返しが待っているのだ。
やられっぱなしで引き下がるヤワな性格をしていない。
喧嘩を吹っ掛けるということは反撃に遭う可能性があるということ。負けん気の強いウチのメンバーはやり込められて泣いて帰るほど可愛い性格をしていない。真正面から戦って負けたのなら努力を重ねて再戦を、卑怯な手で陥ちたのなら相応の手段でやり返す。
強かで、しなやかで、踏まれても踏まれても立ち上がる雑草や葦のように。
私自慢のみんなは庭園や温室で栽培される花とは一味も二味も違うのだ。
「私からイシュカ遠ざけた者は、よく解っているようで実は全く判っていない。暴れ馬の手綱握る者を遠ざけて、その人はいったい何を守りたいんでしょうね?」
一緒にしておくと厄介。
確かにそれに間違いはないだろう。
だけどだからって無理に離せば別の問題が発生する。
「私の手綱を握る者達もまた曲者なのですよ。そうでなくては私の暴走は止められません。
そして彼等の手綱を握るのは私の役目。
暴れ馬なのは私だけではありません」
「だから君達は一緒に置いておいた方が安全だと?」
連隊長が疑問を投げ掛けてきた。
「フリード様はよく御存知のようですよ?
だからこそ、ああいう言い方をなされたのでしょう?」
フリード様が私の屋敷の敷地内に引っ越して、もう三年。それだけ長い間身近にいれば私達の扱い方にも慣れてくる。もともとあのアクの強いヘンリーを上手く扱っていた人なのだ。それよりもわかりやすい私の側近達の性格をある程度なら読めないわけもない。
ああ言えばイシュカは引き下がるしかないと思ったのだろう。
フリード様は苦笑して『まあね』と言った。
「イシュカは頭は良いのですが私と違ってスレていません。
実直というか、素直なんです。
イシュカの前では言えませんけど、そういうところが可愛いんですよね。私と出会う前までは清廉潔白な魔獣討伐部隊の騎士様でしたから、その名残なのかもしれませんね。本当の人の悪意がどういうものなのか、本質的にわかっていないのでしょう」
人というのは時と場合、状況によって無慈悲にも、残酷にもなる。その人の生まれ持った性質や育った環境というものもあるだろう。
意志が強くなければ流されることもある。
人の正義は立場によっても変わる。
戦時下であれば敵兵を多く倒すほどに讃えられる。
それが人殺しであることに変わりはないのに。
戦争の英雄が敗戦国の侵略者であるように。
「私としてはあのままでいてほしいところなんですけどね。
みんなが私のようにスレて可愛げがなくなってしまったら殺伐としてしまいます。私の側にイシュカしかいないのであれば困るかもしれませんけど、幸いにも私のところには足りないところを補い合える仲間がいますから、別にイシュカはイシュカのままで構わないかなって」
イシュカがイシュカのままでいてくれることで救われるものもあるのではないかと思うのだ。
人は独りでは生きて行けない。
だからこそ支え合い、助け合うことで己の足りない力を補うことができる。
だけどそれは他人である限り、決して無償ではないと思うのだ。
それは地位や名誉、お金だけに限ったことではない。
信頼、心遣い、様々なものを与えられて当然としていれば感謝の心を忘れる。たった一言の『ありがとう』で変わる関係もある。
それらの言葉や心は心の潤滑剤じゃないかと思うのだ。
自分だけではどうしようもない、そんな時、与えられるほんの少しの優しさで救われることもある。その一言が、最後に残ったひと絞りの力で立ち上がれることもあるだろう。
乾いた砂漠で与えられる、コップ一杯の水のように、それは心と身体に沁み渡る。
不安な時には体調を崩したり、楽しい時間を過ごしている時は身体の不調を忘れたりするのだ。身体と心は繋がっている。
この世界に来て、私に最初にそれを与えてくれたのはマルビスだ。
そこから全てが始まった。
「私には相変わらず出来ないことが多いですけど、だからこそみんなの力が必要で、みんなが私を必要としてくれているのがわかるから今の私がある。
私を無敵だという人がいますけど、それは違います。
もし本当に無敵なのだとしたら、それはイシュカが、ロイ、マルビス、ガイ、テスラ、ライオネルやレイン、キールにサキアス叔父さん、シュゼット、ケイやアンディ、ゲイル、ヘンリー、もっともっとたくさんの仲間が支えてくれるからこそですよ。だから私が、ではなく私達が無敵なのかもしれません。
個性的で有能な、それぞれ違う力を持ったみんながいるからこそです。
だからイシュカはイシュカのままでいい。
イシュカに足りない力は私や他のみんなが持っている。
そしてその逆も然りです。
イシュカと私を引き離したその人はそれをわかっていないんです」
私だけではわからないことも、イシュカがいればわかることもあるかもしれない。
同じものを見ても誰もが同じことを考えるわけではない。
「難しい屁理屈を少々並べてみましたけど、要するにわからないことは一人でも多くの人間と一緒に考えた方が良いということですよ。
私に力を貸してくれるかどうかは判りませんが、その文字の書かれた扉の前には私に協力を要請した研究者の方々がおみえになるのでしょう? もしかしたらイシュカが側にいなくても解けるかもしれません。
今はそれに期待しましょう」
私はそんな無駄話をしながら連隊長の後を追い、地下へと続く階段を降りていった。