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閑話 テスラ・ウェイントンの謀略 (2)


 だがそんな二人だけの秘密を共有できたのも、残念ながらたった二月にも満たない時間だった。

 

 ハルト様と休暇で来ていたルストウェルで、またもや問題が発生した。

 新たな洞窟、それも今までとは違う人の手が入ったと思われるものが発見されたのだ。

 思い立ったらすぐ実行のハルト様は即座にその洞窟の調査を決定し、イシュカ達を伴い、出発した。ガイが先に偵察に行き、そんなに危険はないだろうとの判断だったのだが、結局、洞窟を抜けた先の先住民の集落でグリズリー三匹と相対し、討伐、そこで虐げられていた子供達を連れて帰って来た。

 そこまでは毎度のことだ。特筆するほどもない。

 だが、問題はその子供が話していた言語にあった。

 珍しい、消滅寸前の知る者の殆どいない言葉。

 それはハルト様が知り得るはずのないもの。

 

 俺は心が揺れた。

 この人にはまだ隠されていた秘密があったのかと。

 そしてロイ、マルビス、イシュカ、ガイ、キール、サキアスの前でハルト様は秘密にして欲しいと言い置いた上で語り出した。

 理由はわからないが、生まれてすぐに言語が理解できていたこと、前世の記憶があったこと、今までの発明品はそれらの記憶をもとに考案されてきたことを簡潔に。

 そして俺が気づかなかったもう一つの真実に気が付いたのはロイだった。

 ハルト様は以前は女性だったというのだ。

 つまり少年の身体に女性の魂が宿っていたということだ。

 俺は当たり前のように男だと疑いもしなかった。

 この国の誰よりも勇ましく、雄々しく、男らしいと称されているハルト様がまさかのもと女性だとは、意外すぎて頭の中が混乱した。

 だが、ロイやマルビスにそう言われてみれば確かに女性だったからこその行動、反応や言動とも思えるし、ガイが言うように異様に男にモテている理由にも説明がついた。女性であったからこそ男にはない、包み込むような温かい優しさ。

 以前マリンジェイド連隊長が田舎の母親を思い出すと言っていたあの言葉。

 今思えば流石の洞察力だったということか。

 一番最後に陥ちた俺が動じなかったのだ。

 他の、ロイやイシュカ達が動じるはずもなく、責められたのはハルト様ではなく、それを逸早く知り、秘密を共有していた俺だった。

 そうなるだろうなとは思っていたので、別にそれ自体は驚くほどでもない。

 キールに女性のはずがないと言われた時のハルト様の顔。

 身を縮こませ、言い難そうにしていたあの表情。

 可笑しかった。

 以前女性だったという事実より俺にはその方が面白くて吹き出しそうになった。

 なんというか、その、すごく可愛いらしかったのだ。

 俺が好きになったのは今のハルト様。

 男も女も関係ない。


 それは大概俺もベタ惚れなのだという証明なのだろう。

 


 そうしてその夜。

 私達はもう少し晩酌をしてから眠ると告げ、態度の変わらぬ私達にホッとした顔でハルト様が寝室で眠りについた後、俺達は蔵から引っ張り出して来たマルビス秘蔵の酒をスルメをツマミにテーブルを囲む。


「驚きました。ハルト様にそんな記憶があったなんて」

 ポツリと言ったのはキール。

 まあ普通そうだよなとは思う。

 だがそれを知ったからと言って何か大きな隠し事があると思っていた俺達からすれば、『なるほど、そういうことだったのか』という程度。

 いつもハルト様には驚かされているのだ。

 今更その程度で怖れはしない。

 何故ならハルト様は俺達が出逢った頃から変わらない同じ人間、黙っていただけで騙されていたわけでもない。なのに何故それがどうして嫌う理由になると思うのか。

 多分、彼の方は俺達が思う以上に繊細なところがあるのだろう。


「つまり、今まで作られた様々なものの殆どはハルト様の前世の記憶が基になっていた、と、こういうことですか」

 マルビスに問い掛けられて俺は頷く。

「まあな。だが技術力が違うんで全く同じとはいかなかったらしい」

「そうだとしても、ものすごい知識量ですね。

 前世でも今のような読書家だったのでしょうか」

 イシュカが感心したように呟く。

 確かに俺もそう思った。

「多分。魂が同じというなら性格も好みもそう変わらないだろう。

 以前の世界は魔法が存在しない代わりに様々な技術が発達し、機械で走る馬車のようなものや大勢の人を乗せて空を飛ぶ乗り物があったらしいぞ」

「すごいな、それは」

 それに反応したのはサキアス。

 魔道具開発担当のサキアスからすれば大いに興味深いところなのだろう。

「ああ。だが構造が複雑過ぎて専門知識は無いから再現は無理だそうだ」

 期待満々のサキアスは俺の言葉に肩を落とした。

 これは間違いなく下手なことを口にすればハルト様の不安通り、開発に乗りださないとも限らない。話を聞いた四つの方法の内、おそらく二つは魔道具と掛け合わせることで大空を飛び回ることが実現可能そうな物もある。風魔法とその動力補助、大型船舶に使われている魔道具を簡素化、改造出来ればある程度自由に、手軽に上空を移動出来るんじゃないかと俺は思っている。

「それであの空に浮かぶ乗り物、熱気球の提案か」

 納得したように考え込むサキアス。

「そういう乗り物が登場してくる遥か昔の乗り物だったらしぞ? 魔法が存在しないので一概には比べられないと言っていたが、この世界はハルト様が以前いた世界より技術的には何百年か、もっと前と同じらしい」

 遠回しに実現は無理だと言っておく。

 実際、その機械仕掛けの乗り物は実現できたとしても動力確保と整備して動かすだけでも何百、何千単位の人間が必要だろうとも言っていた。

 それでも諦めきれないのかサキアスは唸っている。

 つまりそれは魔法を使わずともそういったものを人の手で作ることが可能であるということに他ならない。


「まあそれにも驚きはしたが、俺は御主人様がもと女だったっていう方が衝撃デカかったぜ」

 ガイがため息混じりにそう漏らす。

 それもわからなくはない。

 そんなことを考えもしなかった俺にもそれは驚きの事実だった。

「あの男前な性格ですからね。吃驚しました。

 ロイ、よく気がつきましたね」

 イシュカが驚き醒めやらぬ様子でロイに尋ねた。

「なんとなく、ですけど、初めて相乗りして遠乗りに行った時の表情と、最初、一緒に温泉に入った際に深くて座れなかったのですよ。それで膝に抱えさせて頂いたのですけど、その時の反応が、そういえば、と」

 俺はどちらもその現場に居合わせていなかったが真っ赤になって明らかに狼狽えていたらしい。普通同性の男であるのに何故そんな反応をしたのかと疑問だったのだと。

「ですがなんとなく納得出来るところもありましたよ」

「ですよね。あの言い方からすればそれなりの年齢の女性だったのでしょうから、一緒の風呂に浸かるのも、ベッドでの添い寝も意識が女性であったなら時々焦って赤くなっていた理由がわかりました」

「男らし過ぎて想像つきませんでしたけど」

 マルビスとロイの意見にキールがツッ込んだ。

 キールにとって、どうやら青天の霹靂だったようで、いまだに信じられないという顔をしている。ハルト様と知り合った頃からずっと、凄い、カッコイイ、あれこそ男の中の男だと感心しきり、憧れ、尊敬、心酔しきっていたのだ。


 それがまさかの中身は女。

 わからなくもない。

 一足早く知っていた俺でさえそんなこと考えもしなかったのだから。

 マルビスが少し間を空けて呟く。

「ですが言われてみれば妙齢の女性の心の機微に聡かったり、料理や裁縫が得意だったり、子供は苦手と言いつつ扱いが上手かったり。女性の心理に詳しいわりには男心に鈍いところがありましたからね」

 確かに。

 女性は苦手だと言いつつ、女性の扱いが妙に上手かった。その心の機微に聡いくせに男心には相当鈍いところは言われてみれば女と言えなくもない。

 そのマルビスの言葉にイシュカがある事実に気付く。


「つまり私達は意識的には年頃の女性である御方の前で平気で素っ裸で彷徨き、ベッドに潜り込み、あまつさえ戦場に立たせていたと?」


 そのイシュカの言葉にそこにいた全員が一瞬凍りついた。

 ・・・言われてみればその通りだ。

 いったいどんな気分でそんな俺達をハルト様は見ていたんだろう。

 そういえば時折居心地悪そうに下を向いていたような。

 暫くの沈黙が続いた後、マルビスが大きな溜め息を吐いた。


「ですがまあ今は男ですしね」


 それはそうなんだが、もう、そう言うしかないのだ。

 知らなかったとはいえ、今までの自分達の行動を振り返り、ハルト様を女性に置き換えて考えたところで再び声に詰まる。

「道理で男を、しかも親子ほど歳の違う私達を婚約者として受け入れるのに抵抗が低かったはずです」

 ロイのその言葉に俺達は『あっ』と声を上げる。

 言われてみればそれもそうだ。

 その言動の端々に確かに女性であった証拠がある。

「でもあの婦人は別だったろ?」

 ガイが指しているのは辺境伯婦人、ミレーヌ様のことか。

「アレは多分、ああいう女性になりたかったということなのかもしれませんね。好意はあっても恋とは呼べない態度でしたから。

 そういう理由があるならレイン様がずっとハルト様の恋愛対象から外れていたのも説明がつきます。向こうの世界で亡くなる前が今の私達より歳上だったというなら、ハルト様にとってレイン様は幼い子供でしかなかったでしょうからね」

「要するに中身が大人の女だったから俺達は御主人様の恋愛対象に成り得たわけだ」

 マルビスの推測にガイは納得してそう言った。

 それもその通りなのだろう。

 だからこそ成長したレイン様がハルト様の対象圏内に引っ掛かってきたのかもしれない。子供と扱えなくなったからこそ婚約を受け入れる気にもなったのか。つくづく俺はそういうところには察しが悪く、ハルト様と同じく朴念仁としか言いようがないことに改めて気付く。

「となれば、むしろ私達にとっては幸運と言うべきでしょうね。

 その意識がなければ間違いなく私達はハルト様にとってオジサン、対象外もいいところだったでしょうから」

 ロイの言葉ももっともだ。

 その記憶がなかったなら俺達は考えるまでもなく婚約者として受け入れてもらえなかっただろう。伯爵家の令息であれば俺達みたいな歳の離れた同性を婚約者として受け入れようなんて普通考えない。王女との婚約話が出た時点でそれを受けた方が話も早く、簡単だったのだから。

 しかしながらあの時点での王女の年齢は六歳。

 中身が成人女性の彼の方の恋愛対象に入るはずもない。


「そう、ですよね。実際、肉体的にはまだ十二歳にもなっていないわけですから。前世の記憶がなかったなら親子ほど違う年上の同性は普通嫌がられますよね」

 イシュカがそうポツリと言った。

 男児の身体に大人の女の魂。

 俺達がどこかアンバランスだと感じていたのも今思えば当然のことだったわけだ。

「前世で男より男らしいと言われていたとも言ってましたね」

「そのせいで男に縁が無く、モテない女代表だったと」

 マルビスとロイの呟きに暫しの静寂が訪れた。


「ありえませんよね」

「ありえません」

「ありえんだろう」

「あるわけがない」

「アレは絶対気付いて無かっただけです」


 イシュカ、ロイ、ガイ、サキアス、キールが次々とそれを否定した。

「今みたいに送られる秋波に気付かず全部跳ね返していたんでしょう」

「絶対ないですよ。今だって老若男女問わずモテてるんですよ? 

 周囲の人間全てに見る目が無かったということはあり得ないでしょう」

 イシュカの溜め息混じりの言葉にキールが同意する。

 俺も口にこそ出さなかったがそう思った。

 アレでモテなかったというのはどう考えても信じられない。

 マルビスがふむっと考えて口を開く。

「男らしい女に需要がなかったとも言ってましたね」

 確かに需要は低いかもしれないが、ハルト様は男タラシでも女タラシでもなく、人タラシ。それも大量に団員、騎士達がタラシ込まれている現状を見れば引っ掛かる男が皆無というのは考え難い。

「つまり、土地柄と時代がハルト様の魅力に合っていなかった、ということでしょうか?」

「どういうことだ?」

 マルビスの言葉に俺は意味がわからなくて聞き返した。

「例えば、ですね。戦乱の世なら強靭な肉体を持つ団長みたいな男が女性に人気だったりするでしょう? 魔獣出現率の高い辺境の地などでは特にそういう傾向がありますし、逆に王都や宮廷内など危険が少ない場所であれば甲斐性のある男や見目麗しい男に人気があったりするんですよ」

 そういうものなのかと首を傾げたのだが、その全部を兼ね備えているイシュカがそれに頷いた。

「平和であれば強靭な精神力も鋼のような筋肉も使い所が少ないですからね」

 いや、甲斐性、筋肉、美貌の三揃い、さらには頭脳まで取り揃えたイシュカがそれを言っても説得力に欠けるのだが? 

 要するに実用性重視みたいなもんか?

 俺には理解出来ないが、

「そういえば魔法どころか剣も弓も必要ない生活をする者ばかりだったと言っていたな」

 つまりは平和だったが故にあのハルト様の潔いまでの勇ましさは必要なかったと?

 いや待て。

 つい男基準で考えてしまうが違うだろう。

 ハルト様は女性だったのだ。

 強靭な精神が美徳とされない世の中であるならマルビスが言うように甲斐性や見た目が重視されていた可能性がある。

 だとすれば強い女は確かに倦厭されがちになるかもしれない。

 男はプライドの高い見栄っ張りが多い。

 ふと考えて、果たしてハルト様が女として俺の前に現れたのなら今ほど彼の人に惹かれていただろうか?

 カッコイイ女だと感じても、おそらく近づこうとしなかっただろう。

 成程、平和な世の中だったとするならば、潔いあの性格はさぞかし生き難かったに違いない。余程自分に自信がなければ憧れはしても男は遠巻きに眺めているだけだろう。キッカケでもあればわからないが、そういう時代で女を選びたい放題の男がハルト様みたいな性格の、外見も中見も男顔負けの女を果たして選ぶだろうか?

 モテなかったというのは案外本当だったのかもしれない。

 それは対象外というよりも近寄り難い、高嶺の花という言葉が近い。

 だが彼の方は花で甘んじている性格でなかっただろうことを思えばそれも違う。

 言い表す適当な言葉が見つからない。

 仕事であるならば差し詰め一緒に戦える頼もしい同僚か。

 どちらにしても恋愛対象から弾かれる。

「あんなに素敵な人なのに、生まれる時代と世界を間違えていたのかな」

 小さな声で呟いたキール声に、そういう考え方もあるかと思った。

 彼の方は今の時代、この世界だからこそ輝ける人なのだと。

「そうかもしれませんね。

 ですが、そういう世界にお生まれになって、お聞きしたように過ごしていたからこそあのような御方に育ち、その記憶を持ってこの世界に生まれ変わったからこそのあの知識と性格ですからね。

 ある意味皮肉としか言いようがないでしょう」

 マルビスが感慨深そうにそう言った。

 モテない女が男として生まれ変わったからこそ男社会で男にもモテているわけか。

 まあ今は老若男女問わずモテてるわけなのだが、意識が女性であるからこそ男を恋愛対象として見ることに抵抗も少ないのだろう。

「両親からもあまり愛されることもなく育ち、虐げられ、恋人にも巡り会えず、最期は子供を庇って亡くなり、この世界では貴族の三男として生を受けた、と」

 それは前世で愛情に恵まれず、今世でも殆ど親から構われなく育ったということだ。

 ハルト様が注目を浴びるようになったのは俺達と出逢ったあたりからだ。

 人との繋がりが希薄だったのかもしれない。

 俺達のように。

 いや、記憶だけなら俺達よりももっと長い間。


「なんとなく、ですが。彼の方が自分の好きになった人と一緒になりたいと、こだわった理由が少しだけわかったような気がします」

 イシュカが不意に思い出したように言った。

「そう、だな」

 俺はその言葉に同意した。

 ハルト様が愛情に飢えているように思えたのは、もしかしたらそういう前世からの記憶もあったのかもしれない。


 どんなに望んでも欲しいと思うものが与えられない。

 それが多くの人間が与えられているもので、だが自分には手に出来なかったもの。

 欲しくて、欲しくて、でも与えられなくて。

 焦がれた分だけ貪欲になった?

 愛され慣れていないからこそ自信がなかった? 

 だから自己評価が驚くほど低いのか?

 全ては推測でしかない。

 多分それを尋ねてもおそらく自覚はないだろう。

 だがよくハルト様が口にしていた『私の力じゃない』という言葉の意味。

 それはまるで自分には価値が無いとでも言うかのように。

 否定され続けていたのならば自信がなくても当然だ。

 

「ハルト様の持つ記憶や言語読解能力は、もしかしたら生まれ変わったハルト様への神様からのギフトかもしれませんね」


 キールの口から漏れたその言葉に、俺もそうなのかもしれないと思った。

 前世でそんな人生を歩みながらも、最後の最期まで彼の方は彼の方らしく、自分よりも弱い者を助け、命を落とした。

 多分今と同じように巻き込まれたんだから仕方がないと。

 ならばより良い方をと選び取ったのだろう。

 だとするなら今世は前世の分まで幸せだと感じてほしい。

 キールのそんな言葉にふふっとマルビスが笑う。

「意外にキールはロマンチストですね」

「別にいいだろっ」

「ええ、勿論。芸術家はそうでなくてはいけません」


 でも、そうだな。

 俺達が彼の方に出会えたことが幸運であるように、ハルト様にも俺達がいることで幸せだと思ってもらえたなら良い。

 素直にそう思った。

 これまで殆ど与えられなかった愛情を存分に注いでさしあげたいと思う。

 不器用な俺にそれができるかどうかは謎だが。

 

 『大事な人は笑っていてくれる方がいいでしょう?』


 それでも、そんなふうに語る貴方の強さに憧れた。

 だけどこれからはそんな貴方の裏にある淋しさを俺は埋めたい。

 本当に強い人というのは人の弱さを知っているからこそなのではないかといつか貴方は言っていた。

 それは失う怖さを知っているからだと。

 貴方は本当に護りたいと思うものを手にしたからこそより強く、今まで手に入れられなかったものを、やっと手にできたからこそ何が何でも守ろうと必死になっていたのか?

 それはあくまでも想像でしかない。

 だけど、

 だとしたら・・・・


 俺にはイシュカやガイのように貴方の身を守る武の力はない。

 ならば俺は心の強い男になれるよう努めよう。

 貴方の心を支えられるほど、心の強い男に。

 俺はもう決して揺らいだりしない。 

 貴方の側に変わらず側にいられるように。


 何があろうと貴方の心を護れる、

 心の強い男に。

 それは他の婚約者達のような、様々な力を持たない俺に出来る唯一のこと。

 

 貴方の心に寄り添える、

 心を護れる強い男に。


 

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