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第十五話 余計なお世話というものです。


「王都に、ですか?」


 結局、妙な胸騒ぎの予感は外れることはなかった。

 使者がやってきたのは夕方だったし、そうなればウチに泊まることも想定内、夕食を供することになるだろうことも予想の範囲内、だがその席に呼ばれることは想定外だ。

 通常、貴族の集う席に私みたいな子供が呼ばれることは稀だ。

 呼ばれるとしても相手に失礼がないようマナーを叩き込まれた後、兄様達くらいの年齢になってから。流石に妹達は席に呼ばれていないがこのメンツからして何か意味があるのだろうと。

 夕食が済み、食器が下げられると食後のワインが大人達の前に、私達子供の前には紅茶が運ばれてくるとロイを残し、使用人達が退室する。

 そして切り出されたのはこの間のワイバーン討伐の報奨についてだった。

 偵察個体の早期撃破と緑と赤の両騎士団が取り逃がした九匹、全十匹の討伐について王様直々にお言葉と褒美を下さるので王都まで来いということらしい。あまり目立ちたくない私にとってはありがたくもなんともない、むしろ全力で御断り申し上げたいのだが、どうせまた拒否権はないんだろうなあ。


「一週間後、席を用意するので直接褒美を取らせるから是非とも来城するようにと」

 いや、いらないから。ホント、御遠慮したいのだ。

 王様の前だなんて無理、絶対無理!

「私はまだこのような子供ですのでお恥ずかしながらマナーもなっておりません。御前に拝謁するにはいささか不安がありますので父様に・・・」

「それは承知しているので問題ないと。子供にそのようなことまで要求することは無き故に安心してお父上と一緒に参られるようにと」

 に、逃げ道塞がれた・・・ 

 助けてくれとばかりに父様を見たが無理だとばかりに首を振られた。

 話は終わったとばかりにワインに口を付けた使者は機嫌よく口を開いた。

「しかし、羨ましい限りですなあ。このような素晴らしい跡取りに恵まれて」

 その言葉にピクッと動いたのは私だけではない。

 父様がそれに気が付いて咄嗟に言葉を遮ろうとする。

「いえ、この子は三男ですので跡取りでは・・・」

「優秀な子を跡取りに据えるのは当然のことではありませんか」

 兄様達がグッと唇を噛み締めたのがわかった。

 最近私が目立っているので兄様達が劣等感を抱き始めているのには気がついていた。

 だが私と兄様達とは立場も得意分野も違う、兄様達には兄様達の良いところがある。私は猪突猛進、暴れ馬だ。上手く乗りこなせる人がいなければ傍迷惑な存在。

 好き嫌いも激しいし、兄様のように広い視野は持っていない。

 領地を治めるのに必要なのは兄様達のような堅実さで私の様な性格では無理だ。


 私はこういう人が嫌いだ。

 人の気持ちも考えず踏み付けるようなことを平気でする人。

 息を吸い込むと私は大きな声で言った。

「そうですね、確かにその通りだと思います。

 その点については私は大変恵まれているので感謝しています。

 跡継ぎに相応しい、優秀な兄が二人もいて下さるので」

 もとから父様の後を継ぐ気はない。

 少なくとも一生懸命父様について勉強し、日々努力を重ねている兄様達を押し退けてまで当主の座につく情熱はないし、面倒そうなことは極力避けておきたい。

 こういうことはハッキリさせておいたほうがいい。

 特に口が軽そうで噂好きな人間なら喜んで話を広めてくれることだろうから手間が省けるというものだ。

 俯いていた兄様達が驚いた様に顔を上げた。

「私が好きなことを出来るのも、無茶が許されるのも素晴らしい兄様達がいてくださってこそ。有り難いことだと常日頃思っているのですよ」

 言葉をなくした使者殿が唖然としているところにニッコリと微笑みかけて畳みこむ。

「人には向き、不向きが御座います。

 私のような者を領主などに据えた暁には我が領は一年と持たずして潰れてしまうことでしょう。お前を跡継ぎにする気はないと父様が私に仰せになられた時、流石よく見ていらっしゃると改めて尊敬致しました。

 私などに振り回されては領民も気の毒というもの。そうは思いませんか?」

 遠回しにお前には見る目がないのだと暗に臭わせた私に使者の後ろでワインを持ち、給仕していたロイが口もとを押さえ、必死に笑いをこらえているのが見えた。

 兄達に至っては想像でもしたのか、すでにクスクスと笑っていた。

 これでいい、兄様達は無能なんかじゃない。

 私は私の家族を絶対にそんな扱いにさせたりしない。

 しっかり者の長男、それを支えられる次男、多少優秀であっても扱いづらい自由人の三男。このスタンスを崩すつもりはないのだから。

「そういうことですので王城にはお伺い致しますがそのように過分なご期待にお応え出来る様な器を生憎私は持ち合わせておりません。

 我が領地を憂えて下さるのであればその話し合いは是非父様と優秀な兄様達で。

 父様、私はもう失礼してもよろしいでしょうか?」

 このような席はさっさと退散するに限る。

 後は父様が上手くまとめてくれるだろう。

 話がややこしくなる前に退場だ。

 私は使者に向かって一礼すると父様の返事を待たずして退室した。


 扉の外には話の内容が気になったのかマルビスがへばりついていた。

「・・・あんまり行儀よろしくないよ」

 扉を閉めた後、小声で言うとマルビスも面白くてたまらないといったように必死に笑いを堪えて応えた。

「そうですね。でも、安心致しました。やはり貴方は貴方ですね」

 扉の前から離れて歩きながら途中になっていたワイバーン素材の確認のために小屋に向かう。

 マルビスやランス達を信用していないわけではないけれど何かあった時、他人のせいにしたくない。高価な物だからしっかり施錠した上から夜はワイバーンの魔石の一つを有効活用して結界魔法をかけることにしたのだ。勿論、見回りも警備にお願いした。

「領主になることを期待していたなら残念だったね」

「まさか、安心したと言ったでしょう? 

 領主になるなんて仰ったらどうしようかと思いましたよ」

 嬉しそうに後を付いてくるマルビスの言葉に嘘はないのだろう。

 そうでなければ父様にグラスフィート領の商業部門担当者に任命されたとき、わざわざ私付きにしてくれと申し出なかったハズだ。

 彼自身がダルメシアに紹介を頼んだのも父様にでなく私にだった。

「そう? 物好きだね」

「はい」

 即答だ。

「だって貴方はそういう『個性的』な者のほうがお好きでしょう?」

 バチンと音がしそうな様になったウィンクをされて私はぐっと息を詰まらせる。

 ジロリと睨み上げたところでこの六歳児の身長では迫力にかける。

 そもそも根っからの商人であるマルビスに口で勝とうと思うのが間違いだ。

「そうだよ、よくわかってるじゃない」

「この私が惚れ込んだ御方のことですから」

 よく存じ上げていますともと、マルビスは胸を張った。

 ホント、物好きなんだから。

「それで王都には私もお連れ下さるので?」

 素材の確認が終わり、倉庫に鍵をかけ、その上から更に扉の把手を鎖でぐるぐると巻きながらマルビスが聞いてくる。そう言えば昨日、そんな話、してたなと思い出す。

 私は彼の巻いた鎖を錠前で繋ぎ、更に倉庫全体に封印の結界を二重に張った。

 こうしておけば一枚目が破られた時に私が気がつくので次の結界が破られる前に駆けつけられるだろう。

 マルビスが触れて弾かれるのを確認した後、私は彼を振り返った。


「案内、してくれるんでしょう?」

「勿論ですとも。ではそれまでに頑張って仕事を片付けておくことに致しましょう」

 明日から忙しくなりますと嬉しそうに付け加えたマルビスに程々にねと釘を刺しておいた。



 翌日、使者が帰った後に父様からは怒られ、呆れられたが兄様達からは称賛された。

 相当にいけ好かない奴だったらしく夕食前にも色々とウチの領地について余計なご配慮、ご講説頂いていたようで辟易していたようだ。他所の領地経営など放っておけば良いものを、口出しなどするから私みたいなのに反撃されるのだ。マルビスに聞いたところ使者殿の実家の領地経営が最近火の車らしく、ウチを上手く利用して最近噂の私を取り込めば甘い汁でも吸えると思っていたのではと聞いて呆れてものが言えなくなった。

 馬鹿だとは思っていたがそこまで馬鹿だったとは。

 近衛第三騎士団とやらは大丈夫なのかと心配になったが多分そういう人間だから手紙代わりのお遣いをさせられたのだろうと。近衛には基本的に貴族しかいないので家柄だけで採用されているものも少数ながら何割かいるそうだ。しかしながら縁故採用枠にはそれなりに寄付金などが必要らしいが実力もないのに入団するので有事の際には大概この面々が真っ先に命を落とすらしい。

 なるほど、ナントカとハサミは使いようということか。

 見栄を張るからそういうことになるのだ。

 同情はしない、死にたくなければ身の丈にあった職につけばいいのだ。

 しかしウチに遣いに出される貴族達はどうしてこうもロクデナシばかりなのか。


 王都までの道程は飛ばせば一日だが馬車を使えば二日ほど。

 宿はあちらで用意してくれるらしいのでとりあえず、父様と私、ロイとマルビス、護衛はランスとシーファを含めた五人と御者の十人で向かうことになった。

 往復で四日、滞在が三日、合計一週間の旅になる。

 何か手土産を持って行く必要があるようで父様が頭を悩ませているとマルビスが丁度良いので宣伝代わりに携帯用バーベキューコンロ野外調理器具セットとブランコを持って行ったらどうかと提案し、採用になった。

 あんなものでいいのかとも思ったが、商業登録が私の名前なので話題にもなる上にブランコは貴族の間でも噂が広まっているし、騎士団遠征に食事の準備は苦労しているらしいので上手くいけば大量注文を取れる可能性もあるとのことだ。

 そうなってくると先ず優先すべきはレジャー施設建設予定地の選定だ。

 土地の開拓などの手配も必要になってくるのでこれを決めないことには予定が更に延びてしまう。

 そこで翌日から残っている三つの候補地を回ることになった。

 今回は朝に出発して途中の村に一泊することになる。

 昼食は弁当を持参して荷物を減らすことにした。完成間近の倉庫の建設作業の監督と素材管理、夜の鍵と建物の結界は父様がやってくれるそうだ。

 ワイバーンの加工素材の引取は王都から帰ってからになったのでとりあえず二階の倉庫は私が結界を張った上で鍵を掛け、二階への階段は一旦取り外し、屋敷の中に置いて上れないようにしておくことにした。ついでに木札を沢山吊るして置いて侵入したら派手に音がなるようにしておこう。

 泥棒というものはどこの世界でも大きな音というものは嫌がるハズだ。

 こうして出発前の日を各々忙しく過ごすこととなった。

 

 翌日、久しぶりにロイに起こされて目が覚めた。

 今日からリゾート施設候補地まわりの強行軍なので二日限定のロイのお目付け役復活だ。

 運ばれてきた朝食を食べて着替えてから階段を降りていくと既に出発の準備は出来ていた。

 相変わらずのロイのお忍び仕様にはクラクラするが少しだけ慣れた。 誰が死んだ?

 所詮今の私は六歳児、ここにいる全員の守備範囲から大きく外れているはずなのでコチラばかり意識したところで対象外、無駄なのだ。

 ならば無駄なことは考えず、今は目的を遂行すべきだろう。

 今日最初に向かうのは候補地の中でも一番遠いところ、途中で休憩を挟みつつ領地の南端に近いライナスの森の東の端にあたる場所だ。ローレルズ領の関所も近いのでこちらからの集客も見込めるのが強みだがウチの町から向うにはちょっと遠い、半日以上の道程だ。そこから西に向かい第四候補地、シェリフ湖の畔を視察後、近くの村で宿泊、翌日湖畔沿いに西に上がり、最終候補地に向かうことになる。

 移動の多い、なかなかハードな日程だ。

 もっとも誕生日以降のんびりと過ごせたことの方が少ない気がする。

 視察から帰ったとしても二日後には今度は王都に向かわねばならないので、その準備と留守中の仕事の手配がロイやマルビス達にはあるのだから大変だ。父様にしてもロイをお目付け役から外してまで早急に書類仕事を終わらせようとしたのに王都呼び出しのおかげでそれも後回しにせざるをえない。

 どちらにしても今後、リゾート計画が進んでいけばそういった事務処理が増えてくるのは明らかなので新たにロイの他に秘書と執事を雇うことにしたようだ。もともとロイは執事のみの仕事をしていたのだが人員削減の際、秘書の仕事と兼ねるようになったらしい。財政が落ち着いたら人手は増やすつもりではいたらしいのでいい機会なのでギリギリの数だった使用人を増員することにしたのだ。秘書の人選は既に済んでいてロイと同じ年くらいの二番目の母様の弟がくるらしい。それなりに優秀ではあるのだが一年前に最愛の奥さんを亡くして暫く仕事もせずに塞ぎ込んでいたがようやく働く気になったので勤め先を探していたので丁度良いと王都にも秘書見習いで御者としてついてくることになったのだ。


「ロイは知ってるの? 明日やってくるサキアス叔父さんのこと」

 目的地到着前、昼休憩のため止まったのは街道沿いの川に掛かる橋の横。

 気になったので尋ねてみると昼食の準備をしていた手を止めてロイは私を振り返った。

「ええ、二度ほどお会いしたことがあります」

「どんな人なの?」

「聡明で奥様によく似たお顔立ちの御方ですよ。少し変わっていらっしゃいますが」

 あまり物事に動じないロイに変わっていると言わせるあたり、多分少しどころじゃないよね。

 いったいどんな人だろう。

 なんか奥歯にものが挟まった様な言い方。なんか言いにくそう。

 聡明というからには頭は良いのだろうけど。

「サキアス・ラ・フェイドル男爵、魔素研究の権威ですよ。

 ただし、もと、とつきますが」

 後ろから馬に水を飲ませに行っていたマルビスの声が聞こえた。

 因みにランスとシーファの二人は周辺の見回りをしてくれている。

「マルビス、知ってるの?」

「有名な方ですからね。魔力量こそ人並みですが王国内でも貴重な五属性持ち、学園生活時代は容姿端麗なのにその外見には無頓着、研究以外の生活能力は皆無で奥方様に出逢うまではゴミの山となった研究室に住み着いてボサボサの髪にヨレた白衣で学園内を闊歩していたので誰も寄り付かなかったと」

 それはまた典型的な専門馬鹿、いや、ここは学者肌とでもいっておこう。

 研究者にはさして珍しくもない。

 しかし五属性持ちって貴重なのか。普通は二つか三つって言ってたっけ。

 そう言えばマルビスは私の魔力量と属性知らなかったよね。

 あまり他言しない方がいいということだったから今のところ私が全属性持ちだと知っているのは父様とロイ、それにダルメシアだけだ。

 サキアス叔父さんの奥さんって、どんな人だったのかな。

 生活能力の低い研究者タイプの奥さんって、面倒見がいい姉御肌タイプか、細かいことは気にしないおおらかなタイプのイメージが強いけど。

「以前は、ですよ。奥様に出会ってからは人並みの生活はしていました」

 なるほど、面倒見のいいタイプのようだ。

「でも奥様を事故で亡くされた一年前からパタリと姿を現さなくなりました。

 噂は色々と出回っていますが」

 なんとなく読めてきた。

 ロイのハッキリしない物言いとマルビスの意味深な口調。

 つまりは、

「魔素って死んだ人にも取り付くんだよね?」

 ピタリと動きを止めたロイにそれは確信に変わった。

「やはりあの噂は本当でしたか」

 愛しい人の死を受け入れられなくて燃やす事が出来ずにアンデッド化、そういうことなのだろう。

「あの方の属性は確か、火、水、土、光、聖でしたか」

「御自身の魔力が尽き果てるまで不眠不休で聖魔法をかけ続け、気を失い、旦那様が駆けつけた時には窓の無い薄暗い部屋で奥方様に襲われる寸前でした。

 旦那様は直ぐにあの方を連れ、部屋を出て奥方様を閉じ込めるとあの方を叩き起こし、どうなさりたいか問われました。

 そしてあの方は暫く考えた後に自分の手で奥方様をお送りになったのです。

 半年程は殆ど死人の様な生活を送られていたのですがこのままでは向こうに先に逝った奥方様に怒られるからと少しずつ調子を取り戻されまして」

 自分の手で火葬した時はどんな気持ちだっただろう。

 辛い、離れたくない、側にいたい。

 それでも他人に任せるのではなく、自ら送ることを選んだのか。

「なかなか、情の深い人だね」

 私の感想に二人は目を丸くする。

「それだけ、ですか?」

「少し羨ましいとは思うよ? そんなふうに思われたら奥さんも幸せだろうなって」

「サキアス様はこの件以降、貴族社会で散々叩かれ、学会からは追い出されました」

「犠牲者は出なかったんでしょう? 

 たかが身内の中で片付いた小さい問題に口を出すなんて貴族って暇なんだね。

 優秀な研究者をそんなことくらいで手放すなんて勿体ない」

 犯罪者じゃないんだからそこまでする必要ないでしょう。

 そう返した私の言葉にロイは固まり、マルビスが爆笑する。

 最近、マルビスよく笑うよね。

 っていうか、私、よく笑われてない?

「では旦那様がお気に召さなかったら私達の商業部門にスカウトしましょう。

 丁度人手も増やさなければならなくなってきたところですし、平民にはそんなに噂も広まっていませんから。もと研究者の方ならハルト様の奇想天外な発想を形にするのもお手伝いいただけそうですしね」

「そんなに変わったことしてるつもりないんだけど」

 ムッと唇を尖らせた私にマルビスが嬉しそうに笑う。

「個性的、なのでしょう? だから私は貴方に夢中なのですよ」

「褒め言葉、なんだよね?」

「なんならプロポーズの言葉もおつけしましょうか?」

「マルビスは冗談ばっかり! 爆笑された後に言われたって嬉しくないよっ」

 からかわれてばっかりだ。

 私の外見が子供だから言える冗談なのだろうけど。

「私が本気にしたらどうするんだよっ」

「勿論喜んで伴侶に頂きますよ。頂かれてもいいですけど? 

 ちゃんと成人までお待ち致しますから安心して下さい」

「っもう、知らないっ」

 マルビスは沈んだ雰囲気を変えるのが上手いけどこのからかい癖は本当になんとかしてほしい。

 私はその場から走るように逃げ出すとロイの背中に隠れた。

 そんな私の背中を優しく叩いてロイが仕度の出来た昼食を勧めてくれた。


 この時、私はロイが寂しそうに目を伏せたことには気づくことができなかった。



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