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第三十話 毎度お馴染みのトラブルで御座います。


 結局スピーチは私が適当に書いたものをロイとイシュカが手直ししてくれてなんとかなった。

 騒ぎになるのを見越して私は職員用の通用門から出入りすることにした。


 本日は新入生の入学式ということで、王族からもライナレース様が、この国の中枢機関を担う代表として宰相が、高等部代表としてフィア、その護衛として連隊長以下十名の近衛が貴賓席にお見えになる。

 私はといえばその端っこの、教員席にほど近い位置に着席している。

 講堂を見渡してみると新入生の席の四分の三ほどは同じ制服を着て並んで座っているが残り四分の一は服装も年齢もバラバラだ。勿論制服を着ている人もいるけれどそれだけではない、この辺りに多い比較的白人系の肌の色をしているのに対して有色人種っていうか、肌の色が小麦色だったり、限りなく黒かったり、前世で黄色人種と言われていた日本人みたいな肌の色の人もいる。年齢もまちまちだ、下は私達と同じくらいの子供から上は父様や団長達と同じくらいの人もいる。


 うわああっ!

 あのブロックって多分、私の短期集中特別講習を受けに来た人達だよね?

 陛下達、年齢制限設けなかったんだ。

 そういえばベラスミからゴードンも来るって言ってたっけ。

 目立つんじゃないのってあの時言ったけど普通に結構いるよ、大人が。

 私の講義は週四日×四週間の計十六時間がワンセット。一クラス四十人、午前中三時間、午後三時間の六グループに分けられている。つまり二百四十人が私の第一回目の講習の生徒となる。

 私の講義は選択科目。ある程度の基礎知識や理解力も必要だろうと本来の学院生が受けられるのは三学年からとなっているという話なので事実上、私の講義の受講生は全て私より年上ということになる。

 これをある程度の年代、学力、知識、実力、経験等によりAからFまでクラスわけされているという話だ。要するに戦いの基礎から教えねばならない本来の学院生から団員班長クラスの人達までいるということで、クラスによって授業内容を変える必要も出てくるということだ。彼らは私の授業以外はどの講義を選択しようと自由だ。Aクラスが団員班長クラスで徐々にレベルを下げた授業が必要になり、Fクラスは初歩の初歩からとなる。初の講義がAクラスからとなる理由は一般生徒の必須科目がほぼ一日の授業前半、午前中に割り当てられているからという理由と受講生の理解力の差を修正するため。それよりも下のクラスの授業をその後に見学できるようにするためだ。

 理解及ばぬ説明をされたところで身にならなければ仕方がない、理解力の高い人間に初歩の話をしても意味がない。但し、本来のクラスではないので座る席の優先権はなく、立って聞かなければならなくなる。そして自らそれを申請してもらうことで妥当と思われるクラスへの移動が可能となる。

 本来六十人収容できる講義室の生徒数を四十人に絞ったのはこのせいだ。受講生にはそれぞれ最初に札が配られていて最初に講義室に入れるのは本来の受講生、そして彼らが入ったところで講義開始前に並んでいる順番に入室可能となる。このルールが最初の二日間採用され、三日目からはクラス分けが確定し、そのクラスに合った講義をすることになる。見栄を張ってAクラスの授業を受けたところで基礎を知らなければ話にはならないが、おそらくそういう人間もある程度いるだろうと予測している。

 今回が最初になるわけで、手探り状態。順次より良い方法を模索していくしかないだろう。全てが順調に行くとは私も思ってはいない。この一年半、団員達相手に講義してきたイシュカも一緒だしなんとかなるだろう。

 新入生の座学は一般的に午前中、残り三時間は選択科目となるので最初の一週間は自分に向いている科目を選ぶための時間に割り当てられているので私はこの期間にダンス、マナー、芸術関係の講義で恥を晒しにいけば他教科の出席の必要もなくなる。

 週七日のうち本来の学院生の休みは一日だけ。

 一応購買部みたいなものはあるが基本的に貴族御用達なため割高で、寮生も申請すれば必要な日用品を買い出しに行くための外出許可も出る。学院前には休日専用の乗合馬車の停留所もあるから特に困ることもないようだが不便ではあるようだ。学院は選択科目によって騎士の養成所も兼ねているので王都の端に位置していて、半刻ほど馬で走れば森もあり、学院生の実習場所として管理されているそうだ。とはいえ森は柵で囲われ、定期的に高ランクの魔獣が住み着いていないか見回りも行われ、その出入口には警備員の近衛も配備されている。

 私の講義は週四日、残り三日間は休みなわけだが、この間に図書館の本を読み漁り、王都で買い物をして過ごそうかと考えている。

 現在進行中である入学式なのだが既に新入生の子供達は集中力も欠き、うつらうつらと船を漕ぎ始めている。

 子供というものはじっとしていることが苦手な子も多いので仕方ない。いくら言い聞かせたところで子供がそういったことを本当に理解できるようになるには時間もかかるものだ。平民の子供達は生活環境に於いて子供でいることが許される子ばかりではないので比較的しっかりしていることも多いけれど貴族の子供は甘やかされがち。しっかりと親が教育すれば多少違うだろうが世間に対する認識が甘いのは仕方がない。

 常に傅かれ、人を使うことに慣れているか、自分で判断して動くことを生活の中で身につけているかの違いは結構大きいと思う。

 三つ子の魂百までもという諺もある。

 子供の頃に染み付いた癖や習慣というものはなかなか抜けないものだ。

 自分の力でなんとかしようとする者と常に人の力を頼って生活してきた者の差というのは案外大きい。命令されれば他人が片付けてくれるという認識は甘えだ。勿論、それが悪いとは言わない。人を上手く使うことができるというのは上に立つ者に必要な能力でもあるし、自分の力で常になんとかしようとしてきた者は他者を頼らず一人でなんとかしてしまおうとする癖がつく。どちらが良いのかは与えられた立場によっても、立たされた状況によっても変わる。

 私はどちらかといえば後者、つい自分で片付けてしまいがちだ。

 それを注意してくれるのがロイやテスラであり、私に足りない他者の特性を理解して上手く配分してくれるのがマルビスやイシュカだ。ガイはその中間、一番バランスが良く、要領がいいのは私はガイではないかと思っている。単独でも動けるが他人を上手く使うこともできる。

 しかし人間慣れというものもある。

 自分が自らやるよりも効率よく出来る人にお願いすればより早く物事が片付き、更に私はその先を考えて動くことが出来る。

 私も以前より上手く動くことが出来るようになったと思う。

 みんなの手を借りて。

 私が教えることになるのなら私は一番それを知って欲しい。

 自分に出来ること、自分以外の人が出来ること。

 一人では出来ないことも力を合わせれば出来るってこと。

 力を貸してくれる人がいるからこそ大きなことが出来るのだってこと。

 それはとてもありがたい、感謝すべきことなんだって。

 既にそれを知っている人もいるだろうけどね。


 入学式の大トリはお偉いさんの挨拶と決まっている。

 まずは学院長挨拶から始まり、在学生挨拶と祝辞をフィアが担当して各教員の自己紹介が済んだところで特別講師である私の出番となる。

 人前に出るのは最早慣れた。

 私が苦手なのは演説というものだ。

 しかも私の挨拶は終盤、集中力のない子供なら長い式に眠気も最高MAXになりそうな時間帯の御登場になる。

 さして私の話を聴いてもいないだろうとタカを括っていた。

 ・・・のだが。

 名前を呼ばれて壇上に上がると大人達はまだしも先程までうつらうつらとしていたはずの子供までバッチリと目を覚まし、静かな歓声が上がった。 

 しかも子供達から向けられる熱い視線の意味を考えると恐ろしい。

 私はひょっとしてイタイケな子供を誑かしている詐欺師に近いのでは?

 キラキラと輝く瞳が眩し過ぎる。

 私はゴクリと唾を飲んだ。

 仕方ない。ここまできたら逃げ場はないのだ、腹を括るしかない。

 この後は新入生代表の挨拶と感謝の言葉、さらにはライナレース様の演説が待っている。

 サッサと済ませて退場しよう。

 そう思って顔を上げた時だった。

 新入生の子供とほぼ同じ高さの壇上から見えた窓の外の景色に私は一瞬にして固まった。

 

 何、アレ?

 雲? じゃないよね。

 森のある方角から一斉に広がったのは黒い影。

 角度的に言ってそれが見えているのはおそらくこの会場で私だけ。

 近衛は来賓と新入生の警備に注意を払い、外に意識は向いていない。

 外にいる警備も門へと続く並木道の枝に視界を遮られ、気が付いていないだろう。

 私は目を見開いて換気のため開けられているガラス窓を指差した。


「・・・窓」

 私の様子が変だと真っ先に気がついた連隊長が駆け上がってくるより早く私は叫んだ。

「窓を閉めてっ、早くっ」

 会場内も私の緊迫した雰囲気を感じてかざわめき出す。

 異常事態を察したらしい近衛達が慌ててガラス窓を閉じる。


「連隊長、アレッ」


 あの独特の飛行形態。おそらくあれはベルドアトリの大群、一匹一匹のランクはFランクにも満たないカラスくらいの大きさの魔鳥。細長いストローにような舌を持ち、通常十匹前後で群れを作り、行動し、家畜や人の生き血を吸う吸血種。

 この世界で暮らす人々の胃袋を満たす糧となる生き物だ。

 大人の力なら女性でもその気になれば木材の棒で叩き殺せる程度。

 一、二匹に吸われたところで致命傷にはならない。

 でもあんな大群、見たことない。

 大人でも多数に取り憑かれれば危険な数。

 蟻が集団で象を倒す力を持つように膨大な数は暴力。

 人間にとって充分な脅威なり得るものだ。

「結界を張って下さいっ、誰か討伐部隊に援軍を・・・」

 いや、それじゃ間に合わない。

 私はキュッと唇を噛み締める。

 学院内(ここ)は守れても王都の人々に被害が及ぶ。

「ハルトッ」

 連隊長が呼ぶ声が聞こえた。

 私は壇上を飛び降りると講堂外にあるグランドに飛び出す。

 異変に気がついたのか門の外で待っていたはずのイシュカが私の剣を抱え、駆け寄ってきた。


「流石私のイシュカ、ピンチには必ず駆けつけてくれるよね」

「当然です。貴方の居られるところでしたら戦場真っ只中でも駆けつけます」


 いや、そんなところに行く予定は今後もないし呼ばないから。

 そうツッコミたいところだが今はそんな暇はない。

 即座に私は思考を巡らせる。

 いつものようにじっくり考えている暇はない。

 そうなるとすぐに思いつく手段といえば・・・

「学院内の警備に当たってる近衛でもあの数は厳しいよね?」

「そうですね。彼らの任務は警護。最優先は学院生達の安全ですから」

 バタバタと駆け回り始めた警備員を眺めると緊急時の行動がしっかり徹底されているのか動きに迷いがない。

「じゃあ守りは任せて良いってことだよね」

「大丈夫だと思います」

 大きく頷いたイシュカに私は名を呼び、問いかける。

「なんでしょう?」

「周辺の消火は任せていいかな?」

 数こそ多いがFランク、対処さえ間違えなければ大丈夫なはず。

 問題はあの空を埋め尽くす数だ。

 討伐に対処できる人数は限られているとなれば魔力量の多い私が最前戦を受け持つべきだろう。初級でも相乗効果の高火力で焼き払える。ただ火力を上げると周囲への燃え広がりの被害が問題になる。そこで水属性持ちのイシュカにそれを防いでもらおうとしたのだが後ろから声が聞こえた。

「それは私が受け持とう。こちらはなんとかなるからと、ライナレース様からハルトを手伝うように命令されている。何をするにしても私よりイシュカの方が連携も取りやすいだろう?」

 連隊長っ!

 強力な援軍はありがたい、私は即座に指示を出す。

「アレは私が片付ける。出来れば速攻で厩舎から藁を、厨房から油をすぐに持って来て。駆け付けてきた警備の人達には合図するまで茂みに隠れ、このグランドに近付かないように伝達を。おそらく取りこぼしも出ると思うからそれの討伐をお願いして手伝ってもらって、早くっ」

「承知しました」

「わかった」

 イシュカと連隊長がすぐに近くにいた騎士を使い持って来させる。

 その間にもベルドアトリの群れが側にまで押し寄せ、速いのはもうすぐ到着する。

 藁と油が届いたところで私はイシュカと私、藁と油の置かれた地面一帯を迫り上げる。ここに私とイシュカ(エモノ)がいるとわかりやすく群れに教えるためだ。

 私は自分の二本の剣を腰に差した。

「団長に連絡は?」

「ライオネルが一緒でしたからすぐに走らせました」

 ガイが幾度も指摘しているようにイシュカの思考は私に似てきたようだ。

「だいたい私のやろうとしていることは理解出来てる?」

「勿論です。巻き上げて焼くんですよね?」

 言葉の短縮の仕方まで似てきた。

 それに気が付いてこの非常事態に私は思わず笑ってしまった。

 だが正解、私の作戦を正しく理解している。

「私は補佐に専念します。どうぞ御存分に」

「ありがとう。任せたよ」

 私は結界を一枚だけ張って首に掛けた魔石で保持をすると呪文を唱え始める。

 一匹、二匹と私達目掛けて体当たりをかましてくる。

 この大群だ、そう長くは持ちはしないし、このサイズの魔石ではどうせ持って五分。

 だが上級魔法一発分の呪文を唱えるには充分。

 張った結界にヒビが入り、割れた瞬間、それを発動させる。


最上級竜巻系攻撃魔法(トルネード)

 

 私とイシュカを台風の目として周囲に風を巻き起こし、飛んできたベルドアトリを吸い込んでいく。傍にあった油と藁をその渦の中に放り込むとイシュカは私を抱え込み、マントに二人包まると私はそこに火を放つ。

 巻き込まれた油と藁にそれは着火し、巨大な火柱となって大量のベルドアトリを焼き尽くす。マントに耐火性が備わっているとはいえ結構熱い。私は周囲に氷の壁を張り巡らし、ジッと耐え、風が収まるのを待つ。

 次第に風が弱くなり、そっと薄くなった氷の壁を崩すと勢いを失くした風に真っ黒に焼けたベルドアトリが重力に逆らえず、ボタボタと地面に落下していく。

 まさに焼き鳥だなあと呑気に考えている暇もなく、取りこぼしたベルドアトリが襲い掛かってくる。

「お願いしますっ」

 そう叫ぶと茂みの中から警備の近衛が飛び出して来た。

 イシュカが飛びかかってくるそれらを捌いている間にすぐさま地面を元通りに戻して剣を握り直す。

 空を覆い尽くすほどの数はもういない。かなり減ってもとの一割にも満たない数だ。

 この程度の数、この程度のクラスなら腕が二流半でももう遅れを取ったりしない。

 イシュカと二人、周囲を飛び回るベルドアトリを切り捨てていく。

 私が二本の剣を振い、薙ぎ払い、その刃が切り落とし損ねた個体をイシュカが叩き落としてくれる。

 試験で酷使した身体の筋肉痛がやっと取れたところだったのに。

 仕方ない。黙って見過ごせない自分の性分だ。

 だが、もう然程多くもない個体、ベルドアトリの群れは周囲には見当たらなくなった。

 私はぐるりと辺りを見回すとふうっと大きく息を吐いた。


「相変わらず見事な手並みですね。後は近衛にお任せ下さい」

 ゆっくり歩いて連隊長が近づいてくる。

 面倒な後片付けと事態の収拾は私が手を出すべき分野ではない。

「はい、よろしくお願いします」

 私はペコリと頭を一つ下げて一番最初に目撃した場所を指差した。

「それから団長が到着したらあちらの方向の森を探索してもらって下さい。今ライオネルを団長のところに走らせています。訳もなくこのような事態が起きるとは思えません。偶発的なものならまだ良いのですが意図的なものである可能性も捨てきれません。何か原因か痕跡が残っていれば良いのですが」

 私がそうお願いすると連隊長が苦笑する。

「なんですか?」

 何か言いたげな目。

 言いたいことがあるならハッキリいってほしいのだが。

「そういうところも相変わらずだと。

 貴方は本当に油断というものをなさいませんね」

 当然でしょう。

 偶然とわかれば安心できる。

 だが向けられた悪意なら放っておくのは良策ではない。

 原因がそこにあるならハッキリさせておいて損はないのだ。

 何事も先手必勝、迷うくらいなら行動しろが私の基本方針だ。

 時間があるなら考えるのも迷うのもアリだが、こういうものはのんびりすれば証拠が消される可能性もあるのだ。

 けしかけられたのが故意であるなら即座に対応を、悪戯にしてもタチが悪すぎる。

「バリウスにはしっかりと伝えておきますので、どうぞ講堂にお戻り下さい。

 貴方の挨拶と報告を皆、お待ちしていますよ」

 そう言って連隊長は講堂の方角を指差した。

 そこには張られた結界越しに事の成り行きを見守っていた野次馬がスズナリに並んでいる。


「イシュカ」

 なんですかとばかりにイシュカが首を傾げる。

「ここでバックレるのはマズイよね?」

 後先考えずに飛び出してしまったが出来るならあの場所には戻りたくはない。

 ボソリと漏らした私の言葉にイシュカがクスクスと笑う。

「ホント、変わりませんね、貴方は。

 ですがそんなところも私はお慕いしておりますよ、私は」

 やっぱりイシュカは物好きだ。

 面倒臭がりなこんな私のいったいどこが気に入っているのだろう。

「傲らず、飾らず、楽でない道を自ら進んで歩く貴方を尊敬しています」

「そんな御大層なもんじゃないんだけど。私は寝覚めの悪いことが嫌いなだけ」

 正義感なんてものは持ち合わせちゃいない。

 傲らないのではなく、傲るほどの自信はなく、飾らないのではなく、見栄を張るのが面倒なだけ。

 楽でない道ではなく、後悔しない道を選んでいる利己主義の結果だ。

 私が顔を顰めるとイシュカが私と手を繋ぎ、ぎゅっと握った。

「そうですね。そういうことにしておきましょう。

 理由など私達にはどうでも良いことですから」

「どうでも良いの?」

 私が尋ねるとイシュカが綺麗に微笑んだ。

「ええ。どんな結果、答えであっても私達が貴方の味方であることは変わりませんから」

 私ではなく、私達。

 今側にいるのはイシュカだけだけど、その言葉の意味がわからないほど馬鹿じゃない。


「ありがとう、イシュカ。すごく嬉しい」


 どんな時も迷わず駆けつけてくれる心強い存在に感謝して私は講堂の向かって歩き出す。

 別に悪いことをしたわけではないのだ。

 堂々と前を向けばいい。

 そんな私の肩を抱き、イシュカはそっと押し出してくれた。



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