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第二十六話 勝利を得たい理由とは?


 午後から再び開始された試験だが見ていると武術受験者は似たり寄ったり。

 子供の頃から習わされている貴族子息の方が剣筋は良いようだが反射神経は平民に軍配が上がるようだ。


 その中でも特に群を抜いていたのはレインだ。

 ついていけていないとはいえ、ここ半年余りの団員達との朝練は伊達ではない。

 まだまだ試験官達には及ばないものの明らかに他の子供とレベルが違う。

 体格も同世代の子供と比べても明らかに頭一つ分飛び出ている。

 つまりは私は標準的な身長ということになるのだが、レインに横に立たれると比較対象されて低く見られがちだ。

 私は少し離れたところに座っている閣下をそっと見上げる。

 醸し出す圧倒的な存在感で背の高いテスラよりもかなり大きく見える。

 レインもこのくらいの体格になるのかなあと思いつつ眺めていると不意に目が合った。

「何か言いたいことがありそうだな」

 げっ、バレた。

 まあ疾しいことはないんだけど。

「いえ、そういうわけでは」

「視線を感じていたのは気のせいか?」

 やはり名の知れた武人というだけあって鋭い。

 それは確かに気のせいではないんですけど深い意味があったわけではなく。

「ただ、レインも閣下と同じくらいに育つのかなあと、つい」

 素直に理由を白状した私に閣下が笑う。

「多分な。レイオット家の男は殆どがこのような体格だ。騎士や武人の多い家系ということもあるのだろうが、それがどうかしたのか?」

 やはりか。

「いえ、別にたいしたことでは・・・」

「大丈夫だ、其方もそのうち大きくなる。まだまだ八歳だろう?」

 確かにそれも少しは気にしているんですけどね。

 私としては大きくなり過ぎると圧迫感がチョット、とは流石にいえない。

「その辺りは個人差というものもありますから、あまり心配はしていないんですけど。小さければ小さいなりの戦い方もありますし、便利な点がないわけでもありませんから」

「では何が気になると?」

 そこはできれば流してほしかった。

 レインのことは嫌いではない、嫌いではないのだ。

 だが貴方の御子息は私の好みから大きく外れているんですよとは流石に言い難い。大型の子犬みたいなところは可愛いとも思うし、一生懸命に私の後を追いかけてこようとするところなんて健気で放っておけない。嫌なところはどこなのだと聞かれれば無いというのが実情で。

「閣下はいいんですか? 私は既に五人の婚約者持ちなんですよ?」

 聞いて良いものかどうか迷ったが今のレインをどう思っているのか一度聞いてみたかった。私にフラれてもフラれても諦めようとしない息子と、その息子をフリ続けている私を。

「ああ、そのことか。仕方あるまい。実際パーティや夜会に連れ出したところでアヤツはどんな令嬢にも興味の欠片も示さない。あの体格で無愛想に対応されては興味を持って近づいてきた令嬢達も軒並逃げていく。其方に断られ続けても一向に諦めない。もっとイイ男になって必ず振り向かせるのだと言っている」

 無愛想? そんなことないと思うんだけど。

 人見知りはまだ完全に治っているわけでじゃないのか。でも、

「レインは充分イイ男ですよ」

「だが其方を振り向かせることはまだ出来ていない」

 だって対象外だもの。

 閣下はじっと私を見つめて再び口を開いた。

「どうしても諦めきれないというなら私はとことん追い掛ければ良いと思っている。其方に嫌われて顔も見たく無いと言われるまでな。迷惑をかけるようなら私が責任を持って力尽くでも連れて帰る。だがそうでないなら悪いがそれまで付き合ってやってくれ」

「私がずっとこのまま受け入れなかったとしても、ですか?」

 この人の立場からすれば私に強制できないこともないはずなのだ。

 だが閣下はレインを煽りはしても全くその気配がない。

 それが不思議だったのだ。

 すると静かに閣下は語り出した。


「私はな、あの子が折角自分の足で立ち上がったその歩みを容易く止めるような男にしたくないのだよ。

 本当に欲しいと思ったものを簡単に諦めるような男にも、な。

 さっきも言ったようにレイオット家は武人の家系だ。

 おそらく其方に入婿せぬならアレは騎士の道を歩むことになるだろう。

 そうなれば、いつかは戦場に立たねばならない時が必ず来る。

 どうしようもない戦況に立たされる未来もあるだろう。

 そんな岐路に立たされた時、簡単に負けを認め、勝つことを諦めて仲間や部下の命を無駄に犠牲にするようでは困る。

 レイオット家の男は何事も容易く諦めるような者であってはならないのだよ。

 だから安心して良い。其方に無理強いする気は毛頭ない」

 言われて気がついた。

 そうか、これはこの人なりの教育なのだ。

 息子を立派な男に育てるための。

 ならば口を出し過ぎてはいけない。

 私には拒否権が与えられ、レインの意志も尊重されているのだ。

「駄目な情け無い男に育っているというなら止めもする。

 だが会うたびに見違えるほどの良い男に育っているのだ。

 父親として止める理由がどこにある?

 まあ出来れば息子の恋を叶えてやりたいとは思っているがね」

 そう言って試験を終えて嬉しそうに手を振って駆け寄ってくるレインを見遣る瞳は間違いなく自慢の息子を見る目だ。


「ハルト、見ててくれた?」

 父親でも、母親にでもなく、真っ直ぐに私のもとに走って来る。

 嬉々とした瞳を見ればわかる。

 魔術試験と違って今回は納得のいく出来だったのだろう。

 だとすれば頑張った子供は誉めなければいけない。

「凄くカッコ良かったよ。剣の腕だけなら私より上じゃない?」

「ううん、まだまだ駄目だよ。剣以外まるで歯が立たないんだから。

 でもそのうちハルトより強くなってみせるよ。絶対にね」

 私より強く?

 それはまたなんと言って良いものか。

 剣術のみなら私もまだ二流にも満たない腕前だけど。

 私がキョトンとしているとレインは続けた。

「だって僕の方が強くなくっちゃハルトを守れないもの」

 そう、当然のことのようにさらりと言った。

 思わずその言葉にドキリとする。

「父様もいつも言ってるよ。自分の大事なものを失くしたくないならそれを護り抜けるくらいに強くなれって。

 だから僕、諦めないから。

 僕がハルトより強くなるまでは絶対諦めないよ」

 ・・・・・。

 私は自分の顔が茹っていくのを感じた。

 確かにレインは言葉数は多くない。

 だけどその分真っ直ぐに飾らない言葉でそれをストレートに口にする。

 護りたいから強くなる。

 失くしたくないから諦めずに頑張るのだと。

 

「ハルトは待たなくてもいいよ。僕はそれでも全力で追いかけるって決めたから。

 初めて会った時にハルトと初めてした約束だもん。絶対に守る」


 そういえば、そんなことを言った覚えがある。

 私は待たないから私が好きになっちゃうくらいイイ男になってからもう一度口説いてくれと。

 頭に過ったのは前世で有名だった古典文学の一つ、『光源氏物語』だ。

 幼い子供を自分好みに教育して、遂には自分の妻とした光る君。

 男の浪漫だと語るヤツもいた。

 私には親子ほど歳の違う子供に懸想したロリコン男にしか思えなかったものだが、まさか私が似たような状況に陥ろうとは。

 いやいや中身はともかく身体的には八歳児。

 私は断じてショタコンではない。

 だが不覚にもときめいてしまったのだ。

 私との約束を守り、私を護れる男になるのだと誓うその姿に。


 それは子供と言って切り捨てることの出来ない男の顔だった。

 

「これは案外脈はありそうかな? では私はせいぜい応援してやるとしよう」

 真っ赤になった私の顔を見てニヤニヤと笑っていた閣下が目に入ったが、最早言い訳は出来なかった。

 


 午後の試験も終盤に差し掛かり、そろそろ私の出番も近い。

 魔術試験前の登場は少々やり過ぎた感はあるが、今更普通に出ていくのもおかしいだろうかと考える。

 しかしながら考えていたところで今回強化魔法の先掛けは有りか無しか聞くのを忘れてたことに気付いて反則を取られるのも馬鹿らしいので普通に出て行けばいいかと思い直した。

 挨拶代わりのパフォーマンスの必要ももうあるまい。

 呼ばれたところで競技場内に飛び降り、悠然と中央に向かって歩いていく。

 会場内の拍手で貴族と平民、大人と子供の反応が実にわかりやすい。

 等しく子供受けはほぼ良い。だが大人は貴族と平民で明らかに違う。

 平民の味方と取られているので彼等の印象は良いが貴族の間では微妙だ。

 別に関わりがない人にどう思われようが私は痛くも痒くもないし、余計なチョッカイや邪魔をされない限りは正直言ってどうでもいい。

 自分の敵であるのか、それとも味方なのか。重要なのはそれだけ。

 第三者を決め込むならそれでもいい、区別がつかないのが一番厄介なのだ。

 私は極力突っ込まれるような弱みは作らないように心掛けているし、陛下が睨みを利かせているので表立って対立姿勢は見せないが急激に名を上げていることを思えばやっかまれて当然なのだ。

 おそらくそういう勢力を抑えるために兄様や姉様の婚約もあるのだと思う。王室及び国の重鎮達の御子息御息女達との婚約、国の上層部との繋がりが強くなればなっただけ表向きでは手を出しにくくなる。裏では色々あるみたいだけどガイやケイがその情報をかき集めてきてくれるのでその都度対策は打っているし、緑の騎士団支部が横にある立地もあって今のところ大事には至っていない。無論父様の屋敷の方も警備には力を入れている。

 要は『伯爵位ごとき』がデカい顔をするなってことなんだろうけど。

 それを思えばここで目立つことも案外悪いことではないかもしれない。

 勝てる勝てないは別にして、ここである程度の力を見せつけておくのはこちらの利もある。

 恐怖政治は趣味ではないが力無き者に自分の信念を貫くことは出来ない。どんなに綺麗事を並べたところで肝心な時に相手の暴力に屈しては守れるものも護れない。攻め込まないまでも自己防衛手段はしっかり確保しておくべきなのだ。

 理想だけでは大切なものを守れない。

 犠牲を覚悟する気など私にはないのだから。 

 ここは気合いをいれなければと両頬を掌で叩いて気合いを入れる。

 これは試験だ。命の取り合いでないのだから恐る必要もない。

 使用する木製の武器が数種類運ばれて来たので手に取って確認して良いかの了承を得た上で持って見るといつも使っている金属製の物よりもやはり軽い。長さは多少長いが重さが同じくらいの物を手に取り、両手でクルリと回し、空中へ軽く放り投げ、持ち手を変える事が出来ることを確認する。

 受験者の中に他に双剣遣いはいなかったが体格差を考えればこの方が良い。

 まともに真正面から打ち合ったところで勝てるわけもない。

 私の戦い方はあくまでも変則、策を弄して相手を翻弄するものだ。

 見世物であるからには簡単に負けるわけにもいかない。

 勝てないまでもせめて一本。

 一本も取れないとしてもアッサリ負ける事態は避けなければならない。

 私のことを面白くないと思っている連中に、私と敵対することは得策ではないと思い知らせるためにも。


 私の準備が整ったところで正面ゲートより一人、壮年の紳士が現れた。

 歳の頃はおそらく団長達より十くらい年上といった感じだ。

 今でもお強いというだけあってなかなかの迫力がある。

 イシュカの話によると魔力量はおよそ三千三百。火と土、聖属性持ちの前衛型だと聞いている。つまり負った傷も自ら治して戦い続けられるということなのだろう。体力の衰えを理由に近衛隊長の座は退いたが、大事には要請があれば救護班の一員として駆り出されることもあるという。白髪が混じる髪だけがそれなりの年齢であると知らせる以外かなり若々しく見える。

 真っ直ぐに私の元に歩いてくると彼は右手を差し出した。

「貴方の試験官、フリーディアス・ラ・アストラエルだ。フリードと呼んでくれ」

 私はその手を握り返し、自己紹介する。

「お初目にお目にかかります。ハルスウェルト・ラ・グラスフィートと申します。どうぞハルトとお呼び下さい。本日はお手数をお掛け致しますが、お相手、宜しくお願い申し上げます」

 良かった、案外まともそうな方だ。

 私は笑顔で挨拶した。

 最近変人遭遇率が高いのでどうにも疑り深くなってくる。

「貴方の武勲は王都の学院生達の間でも神話の如く語られているよ。我が国の騎士、団員達の間でもな。今日は手合わせ出来るのを心待ちにしていた。是非とも私を楽しませてくれ」

 フリード様の言葉にまたかと唇を引き攣らせる。

 どうしてこうも私の主張は伝わらない?

 よく考えれば私一人になんとかできるようなものでないことくらいわかるだろうに、私がそれを言うと『御謙遜を』的な言葉が返ってくることが多い。誤解はハッキリと訂正だけはしておかなければ。

「私の功績は全ては私を助け、力を貸してくれる者達があってこそのもの。それがさも私一人の手柄のように語られているだけで御座います。今日はフリード様の御期待にどこまで添えるかわかりませんが」

 過度な期待を寄せられて勝手にがっかりされても困るのだ。

「バリウスのヤツに『全力で』と言われたぞ」

「そうですね。できればそうして頂きたいと思っています」

 頷いた私にフリード様がニヤリと笑う。

「普通のヤツなら手加減してくれというのに本当にハルトは面白い」

 そりゃあ、ね。

 ここが物見高い群衆の前でなければそう言いたいですよ、正直なところ。

 私はチラリと陛下達がいる貴賓席に視線を向ける。

「貴賓席に座る我が国及び各国の重鎮の方々がいらっしゃらなければ私もそうお願いしたと思いますよ」

 全く陛下は面倒事ばかりを押し付けてくれる。

「私は図らずも名を馳せることとなった鳴物入りの見世物ですから」

「だからこそ勝たせてくれとそこは言うところではないのか?」

 納得できないと首を傾げるフリード様に小さく首を振る。

「いいえ。手を抜いて半端なものを見せれば貴賓席にお見えになる目の肥えた諸国の方々はこの国の持つ力をその程度と判断します。他国にナメられ、侮られるのは国土防衛の面に於いて愚策。幸いにも魔術試験は指定された的を全て落とすことには成功致しましたので力を示すのはそれで充分かと。

 フリード様に完敗したとしても魔術の腕は良くても武術はまだまだ、そこは成長前の発展途上の伸び盛り、御愛嬌で済みますから。私の恥程度で平和が保たれるのであれば全くもって問題ありません」

 私が笑われるだけで済むなら安いもの。

 国内の敵なら私には守ってくれる仲間がたくさんいる。

 国の防衛というのは巨万の資金が必要だし、他国に攻め入られれば犠牲になるのはこの国に住まう国民、主に平民達。つまり私の客層が犠牲になる。戦になれば人々の暮らしから余裕がなくなってしまうのだ。

 私の興した事業は平和であってこそ栄えるもの。

 私の言葉にフリード様は少しだけ目を伏せた。

「なかなか剛気だな。自分の恥を『程度』と切り捨てられるとは。これは確かにネイサンに忠告されていたように手を抜けば負けるのはこちらのようだ」

 ネイサン? ああ、辺境伯の愛称か。

「普通の子供はそんな先のことは考えない。いや、大人でもそこまで先のことを考えて動くヤツは稀だ。つまりそうやって常に先を見据えて考え、戦うことができるということに他ならない」

 また過大評価ですか。

 どうして私のやることなすこと裏目に出る?

「ですから買い被りですよ。私にそこまでの力はありません。

 私に力がなくとも私には私を全力で守ろうとしてくれる者がたくさんいます。ですから安心していられるのですよ。私程度が失敗したところで私の周りにはそれをフォローしてくれる優秀な者達がおりますから何も心配しておりませんよ」

 確かに私は先の先を考えて動くことが多いけど予測は外れることもある。

 そんなに全てが思う通りに行くわけもない。

 だからこそ私は時間があるなら自分の思いつく手段全てを以て策の穴を塞ぐのだ。

 みんなの手を借りて。

「それで、貴方からの試験に際しての要望は開始位置をある程度の距離を置いて欲しいということだったが本当にそれだけで良いのか?」

「はい。フリード様と私では間合いが圧倒的に違います。二、三歩で距離を詰められては私に勝ち目はありませんので」

 詠唱破棄が出来ると隠しておいたままとなれば開始直後に速攻で踏み込まれたら終わり。私に勝てる見込みはない。距離があれば打てる手段も出てくる。

 私の言葉に面白そうにフリード様が唇の端を上げる。

「私に勝つつもりでいると?」

「当然です。タダで負けるつもりは欠片もありません。

 これが戦場であるならそのような条件も付けられませんが、試験である以上、私の力量も判定して貰わねばなりませんし、物見高い観客がいるからには一瞬で終わらせてしまうわけにも参りませんのでその点だけは申し訳ありませんが我儘を言わせて頂きました」

 圧倒的不利を覆し、極力対等に持っていこうとするなら時間がいる。

 その準備すらできないとなればボロ負けは免れない。

「私は今まで、どんな闘いに於いても必ず勝ち目というものはあるのだと信じ、できる限りの万策を整えて臨んできました。戦いというものはどんな状況であっても全力で勝とうと思わなければ勝てるものにも勝てません。油断と驕りは一番の大敵、戦うからにはその時に出来る最善を持って対処すべきと私は考えています」

 逃げられないなら勝ちに行く。

 今までの戦いに於いて殆どの場合、負けるということは即ち誰かが犠牲になるということだった。勝利を手にしたとして、代わりに大事なものを失えばそんな勝利(もの)に価値などない。

 私は真っ直ぐに前を見てそう答えた。

 

「成程。陛下や騎士達が貴方に学院の授業が必要ないというのも道理。

 ハルトは戦いに於いて重要なことが何かを既に知っている。

 潜り抜けた修羅場は伊達ではないということか」

 そりゃあ、ね。

 ガタブルと震えながらも意地だけで立っていたことも多かったですよ。

 だけど、ううん、違う。

 だからこそ今の私と、私を支えてくれる仲間がいる。

 私はいつも一人じゃなかった。

 今日は試験。いつものように隣に心強い味方はいない。

 でも応援していてくれるのだ。

 私の大切な人達が。

 ただ無様に這いつくばって負けるだけの姿は見せたくない。

 私はキュッと唇を噛み締めた。


「では約束通り全力で行かせてもらおう」

 私の覚悟を見てとったのかフリード様が静かにそう言った。

「有難う御座います」

 静かに私は頭を下げた。


 私は勝ちたい。

 ロイやイシュカ、テスラや父様、レイン達にカッコイイと言われたい。

 確かに私はもと女だけど、今はまごうことなき男なのだ。

 そう思って何が悪い。


 そして私は守られるだけの存在ではないのだと。

 そう胸を張って示したいのだ。



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