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わたしはチャムケア! -光の少女戦士伝説的なやつ希望-  作者: 虎竜王NV
第二章:のこちゃんの怪人生、黎明編
19/21

04 のこちゃんと森の武神様?


保存食(ほぞんしょく)を食べ終わり、のこちゃんが()んできた水筒(すいとう)をあおって一息つくと、(おさな)い少女シマユリは落ち着きを取り(もど)した。


取り(もど)したは良いのだが、眠気(ねむけ)も同時に(おそ)ってきた模様(もよう)で、そのままコテンと()てしまった。


岩と岩の間にできた場所でも、シマユリの小さな身体が横たわるには、十分なスペースがある。


水辺(みずべ)(がわ)からの視線を制限(せいげん)できるとは言え、天よりそそぐ陽光(ようこう)(さえぎ)るものは無く、文字通り空からは丸見えの場所である。


その分、ぽかぽかして、安心感があるのだろう。


(みずうみ)(わた)る風が、広がる水面(みなも)をざっと波立(なみだ)てる。


明るい所で見ればやはり()(ちゃ)っぽいシマユリのざん切り(かみ)も、ここまで(とど)いた空気の()らぎに(こた)えて、そよそよとなびく。


確かに、寝台(しんだい)()わりの岩が(いか)つい事をのぞけば、お昼寝(ひるね)したくなる要素(ようそ)はそろっていた。



「ありゃりゃ、(つか)れちゃってたかぁ」


『ふむ、まだ(くわ)しい事情(じじょう)(わか)らぬものの、あのような奥地(おくち)(ひと)りで辿(たど)り着いたのならば無理もあるまい…のこ』


間もなく寝息(ねいき)を立て始めたシマユリを見守りつつ、のこちゃんは(まわ)りを警戒(けいかい)するために、ティハラザンバーの感覚(かんかく)()()ます。


シマユリの言っていた"白い人"とやらが、ずっと気に()かっているからだ。


水を()んでいる時も、よくあるシチュエーションとして(みずうみ)から何か出てきそうだったので、周囲(しゅうい)への注意を(おこた)らなかったのこちゃんである。


ただ、浅瀬(あさせ)付近(ふきん)には、不振(ふしん)なものどころか小魚(こざかな)一匹(いっぴき)すら見かけなかった。


(どく)を持つ生き物は、警戒色(けいかいしょく)と言われる派手(はで)なカラーリングをその身に(まと)(れい)が多いため、見た目で他の生き物から敬遠(けいえん)され(やす)い。


もしかすると、キラキラと目立つティハラザンバーにも、そんな効果(こうか)があったのかも知れない。


しかし、目的を持って動く知性(ちせい)のある(てき)が相手となれば、かえって良い目標になるとのこちゃんは思う。


「やっぱり、追われてるんですかね?」


シマユリの寝顔(ねがお)を見ながら、のこちゃんは、(つぶや)く様に言った。


年端(としは)もゆかぬ者が家族と別行動(べつこうどう)している時点で、それに近い状況(じょうきょう)なのだろうよ…のこ』


思いがけず、家族や友人たちと楽しく()らす世界から()(はな)されてしまった(おのれ)の立場に()らし合わせて、のこちゃんには、その(つら)さがよく分かった。


ましてや、(おさな)いシマユリである。


いかにティハラザンバーの姿が目立つのだとしても、このまま放っておく事などできない。


「そうですよねぇ………」


のこちゃんは、"魔刃殿(まじんでん)本拠地(ほんきょち)にある装置(そうち)とティハラザンバーとの相性(あいしょう)が悪いらしい"という、(おのれ)生存戦略(せいぞんせんりゃく)にとって緊急(きんきゅう)かつ最重要(さいじゅうよう)そうなトレーナーからの話を、まだしっかり()けていないままであった。


大事な話だからこそ、話す事に夢中(むちゅう)となれば、(まわ)りへの意識(いしき)散漫(さんまん)になる。


その結果、致命的(ちめいてき)(おく)れを取ってしまう可能性くらいは、容易(ようい)想像(そうぞう)できた。


犠牲(ぎせい)になるのはシマユリなのだ。


あんな深い森の中で不意に矢を射掛(いか)けられたらならば、ティハラザンバーの目を(もっ)て攻撃の予兆(よちょう)に気がつく様な(すべ)がない限り、それは現実のものとなっていただろう。


本当に(てき)だったのか、あの射手(いて)たちの思惑(おもわく)こそ確認できなかったものの、考慮(こうりょ)しておくべきなのは間違(まちが)いない。


今は、シマユリを武神様(ぶしんさま)に引き合わせるのが先決(せんけつ)だった。



けれど、そうなればそうなったで、余計(よけい)具体的(ぐたいてき)対策(たいさく)は欲しい所である。


「あの、見ただけじゃ分からない(てき)の場合なんですけど、(おそ)われてからやっつける以外で事前(じぜん)正体(しょうたい)が分かる方法(ほうほう)とかって、本当に何かありません?」


やはり、豪快聖女(トレーナー)危機対処術(ききたいしょじゅつ)を参考にするのは、のこちゃんでは()()ちすぎる。


できれば、教えてもらった攻撃の軌道(きどう)予測(よそく)できる"()らめきの流れ"の様な、分かり(やす)くそれでいて特殊(とくしゅ)目安(めやす)などがあると正直(しょうじき)ありがたいのだが。


『ふむ、()いて言うのなら、(あや)しいとにらんだ相手を油断(ゆだん)せずに徹底的(てっていてき)(うたが)い続ける事くらいだろうか…のこ』


一瞬(いっしゅん)、ああそれネットで炎上(えんじょう)するヤツと思ったものの、何より聖女(せいじょ)と呼ばれる人の姿勢(しせい)としてそれはどうなの?と、真顔(まがお)になってしまったのこちゃんである。


()経験上(けいけんじょう)、そうして特定(とくてい)した者が(おそ)って来なかった(ため)しは一度たりとも無かったのだから、この上なく確実(かくじつ)方法(ほうほう)であろうよ…のこ』


かつての聖女(せいじょ)様は、偏見(へんけん)勝手(かって)な決めつけなどではなく、その(するど)才覚(さいかく)から巧妙(こうみょう)(かく)された敵意(てきい)無意識(むいしき)感知(かんち)していたらしい。


(よう)は、分かっちゃうんだからしょうがないである。


のこちゃんは、それが余人(よじん)が決してマネできない(はな)(わざ)である事と同時に、どうやらこの(けん)(かん)してトレーナーからの解決案(かいけつあん)期待(きたい)できそうにないと、すぐに得心(とくしん)がいった。


「あっ、はい………(だったら、できるだけ早く武神様(ぶしんさま)を見つけるしかないのかなぁ)」


とは言え、ティハラザンバーの目が()らめきの流れを(とら)えられるのならば、(いず)れのこちゃん自身にも(かく)された見えないものの気配を分かる時が来るのかも知れない。


そうなってくれれば本当に助かるのにと思いつつ、()ずはシマユリが目をさますのを待って、知っている事を聞き出す所から始めるしかないのだろう。


(さいわ)い、睡眠欲(すいみんよく)の無いのこちゃんは、もらいお昼寝(ひるね)の危険も無いままティハラザンバーの感覚(かんかく)意識(いしき)を集中させた。



――――――――――――――――



しばらく()っての事である。


寝台(しんだい)()わりの岩の上でシマユリが何度か小さく寝返(ねがえ)りを()った(ころ)、のこちゃんは"それ"に気がついた。


ティハラザンバーの感覚(かんかく)で何かを(つか)んだらしく、警戒心(けいかいしん)が胸でざわめくのを自覚(じかく)する。


集中するために閉じていた目がカッと開き、ピンと立った(ひげ)微妙(びみょう)にふるえ、耳がハタハタと動く。


感じたものを(さぐ)ろうとして意識(いしき)をそちらの方向へやると、のこちゃんにもティハラザンバーを通じて、ぼんやりと何かがこちらへ近づいてくる様子が分かった。


「ん?」


その数は(ひと)つ。


それほど(はや)いスピードで移動してはいない。


(みずうみ)の方向からかと思えば、()(えが)いて大回りしているらしいため、(きし)沿()っての事なのだろう。


時々(ときどき)停止したりもしている模様(もよう)で、緩慢(かんまん)な動きだ。


ちょっとしたレーダーみたいだなとティハラザンバーの感知能力(かんちのうりょく)に感心しつつも、のこちゃんは、その何者かに(いぶか)しむ。


「何だろう、コレ………」


『ふむ、向こうもこちらを(さぐ)りつつ、正体(しょうたい)見極(みきわ)めようとしているといった所であろうよ…のこ』


トレーナーの解説(かいせつ)にそうなんですねと納得(なっとく)したのこちゃんであるのだが、いや、それだとここの位置がバレている事じゃないですかと、一転(いってん)(あわ)てふためいてしまった。


やはり、シマユリを追っていると(おぼ)しき者に見つけられたのだろうか。


「シマユリちゃんをおこして、すぐここから(はな)れましょう!」


動揺(どうよう)する前に、相手の様子をよく観察(かんさつ)するのだ。

せっかく向こうの動きが(つか)めていても、(みずか)混乱(こんらん)してしまっては、うまく事を(はこ)べなくなるだけだろうよ…のこ』


もしもそれが(てき)であったならば尚更(なおさら)であろう?と、トレーナーに(たしな)められたのこちゃんである。


(おのれ)の事だけならともかく、シマユリの安全こそが肝心(かんじん)なので、一瞬(いっしゅん)のこちゃんは(まよ)った。


「………それもそうですね」


観察(かんさつ)するって言われてもなぁと、無茶振(むちゃぶ)りされた気分ではある。


しかし、のこちゃんは、まだ視界(しかい)に入ってさえもいない相手へ、すぐに意識(いしき)(もど)す。


(うなが)されるままに"()らめきの流れ"を(とら)えられる様になった、これまでの経緯(けいい)があるからだ。


あれがなければ、ティハラザンバーで戦ってこられなかったのは明白(めいはく)で、矢を射掛(いか)けられた時シマユリを救う事もかなわなかったに(ちが)いない。


ティハラザンバーになってしまったこの現状(げんじょう)()()びるためにも、トレーナーの話は聞いておくに越したことはないという、言ってみれば、のこちゃんの信頼(しんらい)(あかし)なのだろう。


もっとも、天才肌(てんさいはだ)(ゆえ)豪快(ごうかい)さだけは、聞いた所でへーと受け流すしかないのであるが。



(さき)ほど森の中で見た狩人(かりゅうど)(たぐい)なら、人間とさして変わらない大きさだと思うので、ティハラザンバーで直接的(ちょくせつてき)対処(たいしょ)はできるだろう。


しかし、魔刃殿(まじんでん)に攻めてきた(つばさ)の怪物の様な存在だと、のこちゃんの実力でシマユリの安全を守りながら戦うのは不安しかない。


のこちゃんは、近づいてくる相手の気配を追いながら、そんな事を考え始めた。


気のせいかも知れないものの、その相手から伝わって来る存在感が、狩人(かりゅうど)のそれより大きな印象なのである。


「もしかしてトレーナーさんなら、気配だけでこれが人間か怪物かなんて、分かったりは………」


『ふむ、現役(げんえき)当時ならばいざ知らず、しかも初めての地とあっては経験(けいけん)が生かせぬ(ゆえ)に、まるで分からぬな…のこ』


それもそうかと、のこちゃんは思う。


剣持(けんもち)(とら)()であった自分もティハラザンバーとして(いち)から始めているのだから、それは、かつて歴戦の聖女(せいじょ)であったトレーナーであっても同じなのだ。


しかも、放りこまれた現場(げんば)未知(みち)の世界である。


先達(せんだつ)からの情報で知識(ちしき)()判断材料(はんだんざいりょう)とするのも大事だが、(せま)視野(しや)を切り開いて世界を広げるために、行動して経験(けいけん)する事もなおざりにできない状況(じょうきょう)と言えた。


『シュテルン★フンケルトチャムケア』の主人公ケアシュテルンならば、てらスゴ~っ★とか口癖(くちぐせ)を言いながら、興味津々(きょうみしんしん)な前のめりの姿勢(しせい)(のぞ)む所だろう。


となればである。


(まわ)りにはこの気配しかいないみたいだから、いっそシマユリちゃんをここに(かく)して、こっちから見に行こうと思うんですけど…どうですかね?」


のこちゃんは、()って出る事にした。


どうせ観察(かんさつ)するのであれば、直接(ちょくせつ)その姿を視認(しにん)してから、この後どうするのかの判断(はんだん)をつければ良いはずなのだ。


()ず、相手を()る事からか…なるほど、()異存(いぞん)はないぞ…のこ』


トレーナーが反対しなかったので、シマユリをここへ残して行くリスクも少ないのだろうと、のこちゃんの考えに拍車(はくしゃ)がかかる。


(ねむ)っているシマユリをおこさない様に、小さな声で待っててねと(ささや)いた後、ティハラザンバーの身体は音も立てずに岩の上へと跳躍(ちょうやく)した。


かなりの瞬発力(しゅんぱつりょく)で一気に飛び出したにも係わらず、不思議(ふしぎ)風切(かざき)(おん)さえ立たなかった。



――――――――――――――――



のこちゃんが行動を開始すると、相手の気配は、逆に動きが止まった。


目的は、こちらが一方的に、接近(せっきん)して来る相手を視認(しにん)する事である。


なので、さすがに正面から一直線で向かう訳にもいかず、身を(かく)そうと(みずうみ)(かこ)木々(きぎ)の間へ(まぎ)れ込んだのだが。


「………バレてる感じですかね?」


『ふむ、あの様子ではな…のこ』


結局、視認(しにん)そのものは簡単(かんたん)にできた。


気配の相手は、湖畔(こはん)沿()って(ひら)けた土地を堂々(どうどう)と移動していたため、だいぶ遠くからでもその存在が見てとれたのだ。


のこちゃんがイメージで(とら)えた怪物そのままの大きな体で、二本足で歩き、直立した胴体(どうたい)から上に頭が、左右から太い両腕が突き出ている。


それは、所謂(いわゆる)"人型(ひとがた)"であり、文字通りの巨人だった。


身長4メートルくらいはあるであろうティハラザンバーでさえも、近くへ行けば(あお)ぎ見るに(ちが)いない、(そび)え立つその背丈(せたけ)である。


青黒い岩の(よろい)で全身を(おお)い、腰には(さや)(おさ)められた(つるぎ)()くという、(いか)つい武者(むしゃ)の様な風体(ふうてい)となっていた。


とは言え、その(よろい)形作(かたちづく)るついでに(つるぎ)も岩から(けず)りだした感じなので、(たん)なる装飾(そうしょく)意匠(いしょう)なのかも知れない。


頭部には、中央に岩を左右へ()って()けた所があり、のっぺりとした黄土色(おうどいろ)の顔がのぞいている。


目と口に当たる3箇所(かしょ)には、細く小さく横長に穿(うが)った様な穴があけられていて、いかにも顔といった印象だった。


3つの何かが逆三角形にそろっていると人の顔に見えるシミュラクラ現象(げんしょう)などではなく、意図的(いとてき)造形(ぞうけい)なのだろう。


のこちゃんが社会科の資料集で見た埴輪(はにわ)の写真、"挂甲(けいこう)武人(ぶじん)"だったかが近いかも知れない。


その無機質(むきしつ)な顔が、ティハラザンバーの(ひそ)む、林立(りんりつ)した巨木(きょぼく)の影へ向けられていた。


「こっちを見てますもんね」


『あれは、戦闘巨人(ゴーレム)一種(いっしゅ)であろうかな?…のこ』


そう言えば、この作戦へ参加する前にベニアが読み上げた仕事の依頼(いらい)の中で、戦闘巨人(ゴーレム)排除(はいじょ)作戦みたいな内容があった事を、のこちゃんは思い出した。


戦闘巨人(ゴーレム)について(まわ)りへたずねた所、人工的(じんこうてき)(つく)られた無機物(むきぶつ)の怪物で、剛力無双(ごうりきむそう)(みずか)らの破損(はそん)(いと)わない(あやつ)り人形といった(むね)をザックリ説明された。


トレーナーはその知見(ちけん)から思い当たるものがあった模様(もよう)了解(りょうかい)していたのだが、のこちゃんの場合、ちょっとした巨大ロボくらいの理解に落ち着いている。


中二女子に巨大ロボへの理解はハードルが高そうなものの、日曜日の朝と言えばチャムケアシリーズと同じ放送枠(ほうそうわく)である特撮ヒーロー作品のシュープリム戦団シリーズとフルヘルムナイトシリーズにも造詣(ぞうけい)(ふか)いとあり、さしたる問題はない。


何より、当のチャムケアシリーズには、『TUGって!チャムケア』のケアマハールというアンドロイドのチャムケアも存在している上に、『スワイプチャムケア!』の主人公ケアパピーも敵の魔法アイテムで巨大ロボにされてしまったエピソードがあるくらいなのだ。


人が()()むタイプであろうと、自立しているタイプであろうと、イメージはバッチリである。


多分(たぶん)、そんな感じですね!」


のこちゃんは、確信をもってトレーナーの言葉に相づちを()った。


相手が(つく)られた存在らしいと分かったからだろうか。


その(たたず)まいは確かに機械的で、(まわ)りに人工物(じんこうぶつ)(あふ)れている現代人感覚だと、あまり脅威性(きょういせい)を感じない。


いや、闊歩(かっぽ)する謎の無機物(むきぶつ)(けい)巨大物体が自分をガン見してきたら、脅威(きょうい)以外の何者でもないはずなのだが。


ただ、ジッとこちらを(うかが)っている様子は、獰猛(どうもう)(おそ)ってきた(つばさ)の怪物と(ちが)い、(しず)かすぎて拍子抜(ひょうしぬ)けしてしまうのも事実である。


(いず)れにせよ、この先、シマユリと行動を共にするつもりなので、事を荒立(あらだ)てて敵を増やしたくはない。


パスできるものはパスしたい、それが、のこちゃんの本音(ほんね)であった。



『どうするのだ、一旦(いったん)引くか?…のこ』


すでに、気配の本体を視認(しにん)するという、当初(とうしょ)の目的は達成(たっせい)されている。


トレーナーの提案(ていあん)はもっともな反面、これからも埴輪(はにわ)の巨人が理由が分からないままに追いかけて来るのであれば、どうにかして()いておきたい所でもあった。


「そうですねぇ………」


次の行動で(まよ)ったのこちゃんが無意識(むいしき)にティハラザンバーの身体を(こわ)ばらせると、埴輪(はにわ)の巨人は、片足をズイとすり足で前へ動かし体の方向を変える。


顔だけに(とど)まらず、ティハラザンバーへと正面から全身を()(なお)らせた形だ。


(いか)つい姿から()(はか)れる体重に加え、(ちから)が下半身へ供給(きょうきゅう)されたのだろう、ズシンと足下(あしもと)地面(じめん)()れた。


どう見ても、臨戦態勢(りんせんたいせい)を取っている。


「え?!急にどうしたんだろ…」


突然の異変(いへん)としか言えない状況(じょうきょう)に不意を突かれたのこちゃんは、むしろ()()()()()()()()()()()()気がして、(さら)に身体を(こわ)ばらせた。


すると、埴輪(はにわ)の巨人もそれに合わせる様に、腰に下げていた(つるぎ)()く。


彫刻(ちょうこく)された(かざ)りの(つるぎ)かと思っていたので、抜剣(ばっけん)そのものにも(おどろ)いたのだが、この(あきら)かな敵対行動(てきたいこうどう)に、のこちゃんは動揺(どうよう)した。


様子を(うかが)っていただけで、こちらからは何も仕掛(しか)けていない。


それなのに、どんどん状況(じょうきょう)が悪くなってしまう様なのだ。


もしかすると、ティハラザンバーとは別の何かがあるのかも知れない。


こうなれば事の推移(すいい)見極(みきわ)める必要があり、原因がハッキリするまで、無闇矢鱈(むやみやたら)に動く訳にはいかないだろう。


のこちゃんは、うっかりティハラザンバーを誤動作(ごどうさ)させまいとして、全身(ぜんしん)必死(ひっし)(ちから)()めた。


『ふむ、この身体(ティハラザンバー)には、(りき)ませる事で、かつての(おお)ティハラが敵を威嚇(いかく)していた様な圧力(プレッシャー)を発する構造(こうぞう)があるらしいな…のこ』


「へ?」


(つい)に、(つるぎ)をかまえた埴輪(はにわ)の巨人が、鬼気(きき)(せま)雰囲気(ふんいき)でジリジリと前進を開始ししてた。


(おお)ティハラは、圧力(プレッシャー)(あやつ)って萎縮(いしゅく)させるなり、敵への牽制(けんせい)をしていたと記憶(きおく)している。

そんなものを不躾(ぶしつけ)に当てられれば、何者であろうと、警戒(けいかい)されるのは当然であろうよ…のこ』


ここへ来て、新しいティハラザンバーの怪人(かいじん)能力(のうりょく)的なものが発覚(はっかく)した。


ただでさえ凶悪(きょうあく)な姿にも係わらず、(さら)に攻撃的な雰囲気(ふんいき)を出して、威圧(いあつ)する(ちから)とでも言うのだろうか。


のこちゃんは、()きっ(つら)(はち)という(ことわざ)を思い出していた。


どうやら異変(いへん)()()けは、ティハラザンバーが仕掛(しか)けたものだったらしい。


しかも、のこちゃん(みずか)らが、そんな怪人(かいじん)ムーブを何度もかましてしまったのだ。


またしても、怪人(かいじん)(ライフ)への(わな)が、のこちゃんを取り込もうと触手(しょくしゅ)()ばして(から)め取りにきたと言える。


もはや、それは()(はら)えぬ宿命(しゅくめい)なのかも知れない。


「そういう事は、もっと早く言ってくださいよぉ!」


のこちゃんは、(あわ)てて全身(ぜんしん)の力を()いた。


ティハラザンバーが、ふにゃりと手近(てぢか)巨木(きょぼく)へ寄りかかる。


『もしやと検証(けんしょう)(かさ)ねて、たった今、分かったのだ…のこ』


「………………………………っ」


そこは、(いち)からティハラザンバーをやり始めた、のこちゃんとトレーナーである。


事に当たっている者がそろって手探(てさぐ)りな場合、いざ現場で動き始めてみれば、問題点は相応(そうおう)()かび上がってくるもの。


本当なら、のこちゃんがもう少しお姉さんになってから体験するかも知れなかったオープニングスタッフあるあるとは言え、現時点では一つ一つ問題を解決して前へ進むしかない。


トレーナーも、自分と同様に未知(みち)状況(じょうきょう)で物事へ対応(たいおう)してゆかねばならず、戸惑(とまど)っているのかも知れないと気がついた事をのこちゃんは思い出した。


しかも、それらは(すべ)てのこちゃんのためであり、知らずにとは言え実際やらかしたのも自分なのである。


要するに、のこちゃんは、返す言葉もなかった。


「うぅ、そうでしたかぁ」


巨木(きょぼく)(みき)にふにゃふにゃと寄りかかったまま、ティハラザンバーの目が(うる)んでいた。


何をやっても裏目(うらめ)に出る様な、ダメな感じが()ちてゆく。


しかし、こんな時にでも、()()えていこう、ドンマーイと、脳内では歴代のチャムケアたちが(はげ)ましてくれている。


だからこそ、のこちゃんは何度でも立ち上がり、前を向いて顔を上げられる。


何度でも言おう、チャムケアは絶対に(くじ)けないのだ。



それはそれとして、一応(いちおう)のこちゃんがティハラザンバーを脱力(だつりょく)させたからだろう、埴輪(はにわ)の巨人は動きを止めていた。


だが、その臨戦態勢(りんせんたいせい)維持(いじ)されたままである。


いつでも、まだ見ぬ敵へ()りかからんと、かまえた(つるぎ)(ちから)(みなぎ)っている様子だった。


『それで、どうするのだ…のこ』


(あらた)めてトレーナーに()われ、のこちゃんは、気を取り(なお)して考えを(めぐ)らせる。


埴輪(はにわ)の巨人は、のこちゃんがそうであった様に、ティハラザンバーの動向(どうこう)を最初から感知(かんち)していたらしい。


そして、この場から動いていない所を見ると、どうも積極的(せっきょくてき)にシマユリを(ねら)っている訳ではなさそうである。


それでも、ティハラザンバーがどこへどう動こうと追跡(ついせき)して来そうな気がするため、ここで(もど)るのは、シマユリをかえって危険な目にあわせてしまうかも知れない。


のこちゃんは、もう()って出て来たのだからと、この場で事態(じたい)収拾(しゅうしゅう)させる決心をした。


「えっと、前へ出ますっ」


『分かった…のこ』


()ず、(かくれ)れたままでは、現状(げんじょう)をどうにもできないだろう。


だからと言って、こちらから挑発(ちょうはつ)した形になってしまった以上、埴輪(はにわ)の巨人の前へいきなり飛び出したりすれば戦闘開始まったなしである。


()(かえ)しになるものの、パスできるものはパスしたい、それが本音(ほんね)なのだ。


のこちゃんは、可能ならばここからでも友好的(ゆうこうてき)に、最低でもつけ(ねら)われないていどに(なぎ)の関係性へ持っていきたかった。


もう二度と会う事もないでしょうがこれで失礼しますと、お(たが)いが(おだ)やかに、別の方向へ歩き出す結末がベストである。


そのためには、埴輪(はにわ)の巨人に怒りを(しず)めてもらい、その臨戦態勢(りんせんたいせい)()かねばならない。


そこで思い出したのは、怖がるシマユリを落ち着かせた実績(じっせき)のある、"たまたまそこにいた動物さん"作戦であった。


彼我(ひが)体格差(たいかくさ)を考えてみても、何だ 猫 (特大)だったかで()む可能性は、少なくないのではないだろうか。


そう考えたのこちゃんは、ティハラザンバーの姿勢(しせい)を低くさせ、巨木(きょぼく)の根もとに群生(ぐんせい)する背の高い(やぶ)を利用して、その中からひょっこり顔だけ埴輪(はにわ)の巨人に見せた。


もちろん、あざとく首を(かし)げる仕草(しぐ)も忘れてはいない。


その刹那(せつな)、横なぎの斬撃(ざんげき)がティハラザンバーの顔へめがけて()ける。


埴輪(はにわ)の巨人が、力任(ちからまか)せに(つるぎ)()()いたのだ。


その暴威(ぼうい)に、(やぶ)は丸ごと()()び、巨木(きょぼく)の一部もえぐれてしまった。


命中(めいちゅう)したならば、大ダメージ必至(ひっし)のツッコミだったと言えるだろう。


ただ、ビックリしたのこちゃんは、すんでの所でティハラザンバーを飛び上がらせ、巨木(きょぼく)(みき)に取り付いて(なん)(のが)れていた。


「あ、あれぇ?!?」


『何をしているのだ?…のこ』


確かに、トレーナーの疑問(ぎもん)は、ごもっともである。


まだまだ、ティハラザンバーの凶悪(きょうあく)な姿に自覚(じかく)が足りない、のこちゃんであった。


それでも、そんな些細(ささい)状況判断(じょうきょうはんだん)ミスを反省(はんせい)している(ひま)はない。


(わり)巨木(きょぼく)の高い位置に取り付いたつもりだったのだが、まだまだ埴輪(はにわ)の巨人の攻撃圏内(こうげきけんない)からは(のが)れられておらず、続けて剛腕(ごうわん)から()()される(つるぎ)がティハラザンバーへ(せま)っていたからだ。


間近(まぢか)で見れば、巨体に相応(ふさわ)しいその大きな(つるぎ)剣身(けんしん)は、しっかり金属製らしく青みがかった光沢(こうたく)(はな)っている。


「わっ」


全身(ぜんしん)の筋肉を瞬時(しゅんじ)にハネさせ、ティハラザンバーは、別の巨木(きょぼく)へと飛び(うつ)った。


その刹那(せつな)背後(はいご)から再び(みき)がえぐられたと(おぼ)しき、強く(にぶ)い音が(ひび)く。


危機感(ききかん)から、飛び(うつ)った先の(みき)()って、もっと高い位置へとティハラザンバーに(さら)なる上昇(じょうしょう)跳躍(ちょうやく)をさせる。


いくら林立(りんりつ)しているからといっても、巨木(きょぼく)巨木(きょぼく)の間は、それなりに(ひら)いていた。


そのため、埴輪(はにわ)の巨人が(つるぎ)()(まわ)す事にさほど支障(ししょう)はなく、いかに()(まわ)ろうと果敢(かかん)(ねら)ってくるのだ。


巨木(きょぼく)から別の巨木(きょぼく)へとジグザグに跳躍(ちょうやく)して()け続けても、(つるぎ)には剛力(ごうりき)()められているとあって、その()(さき)がかすっただけで全身(ぜんしん)を持って行かれそうな(いきお)いである。


()られた(つるぎ)(ちゅう)()風鳴(かざな)りだけで、さながら暴風(ぼうふう)(いき)だった。


ティハラザンバーの動体視力(どうたいしりょく)俊敏性(しゅんびんせい)がなければ、(黒いあいつ)よろしく、早々(そうそう)にスパーンとやられていたかも知れない。


時間にすれば(まばたく)()だったにも係わらず、そんな(はげ)しい攻防(こうぼう)の中で(つるぎ)軌道(きどう)必死(ひっし)見極(みきわ)めながら、のこちゃんは、ようやく埴輪(はにわ)の巨人の攻撃圏内(こうげきけんない)より()っする事ができた。


それでも、まだギリギリの位置である。


なりふり(かま)わなかったからとはいえ、頭を下にして巨木(きょぼく)(みき)にへばりついている姿が本当に(黒いあいつ)ぽいなと、ティハラザンバーの口からは小さく(かわ)いた笑いがこぼれた。


(つるぎ)(とど)かなくなった埴輪(はにわ)の巨人は、それでも(すき)見逃(みのが)すまいと、こちらの様子をジッと(うかが)っている。


「あ、(あぶ)なかった………」


安心するのはまだ早いものの、一息つけた事で、少し冷静に埴輪(はにわ)の巨人を観察(かんさつ)できたのこちゃんである。


そこで、また一つ異変(いへん)に気がついた。


「って、何で?!」


あろう事か、ティハラザンバーが戦わざるを()ない際には、いつも(たよ)りにしていた"()らめきの流れ"が埴輪(はにわ)の巨人から見えなかったのだ。


そう言えば、あれだけ散々(さんざん)攻撃されたのに、まったく視界(しかい)には(とら)えられていなかった。


いや、よく思い返してみれば、のこちゃんのボケに対するツッコミの様だった最初の一撃(いちげき)から無かったのである。


(われ)ながらよく無事(ぶじ)()んだものだと、のこちゃんは、変な感心をした。


もちろん、すわ大問題発生(はっせい)とばかりにトレーナーへ事情を説明する。


『ふむ、戦闘巨人(ゴーレム)といった心を持たない(つく)られた(たぐい)のモノからは、(ちから)道筋(みちすじ)見出(みいだ)す事は(かな)わぬだろうよ…のこ』


「まじですか…」


『あれは、手足を使った攻撃であろうと武器であろうと方術(ほうじゅつ)であろうと、行使(こうし)する者がどうしたいかという意志の(あらわ)れなのだから、決められた動きを(めい)じられたまま(おこな)うだけの存在に(はっ)せられる訳がない…のこ』


だからこそ、戦いに(たく)みな者になれば単純な手数(てかず)に加えて虚偽(きょぎ)の意志を(まぎ)()ませられるという厄介(やっかい)さもあるので、その都度(つど)臨機応変(りんきおうへん)に対するしかないのだとトレーナーは()めくくった。


こうなると、(さき)ほど(いき)いで(かわ)し切ったあの大きな(つるぎ)から、今後も(のが)れ続けられる自信は無い。


現在、のこちゃんの埴輪(はにわ)の巨人に対する率直(そっちょく)な感想は、"係わったらヤバい"である。


「引けば良かった………」


もう、脅威(きょうい)を感じないとか思っていた(ころ)(なつ)かしい、清々(すがすが)しいほどの(あと)(まつ)りであった。


とは言え、係わってしまったからには、何らかの決着が必要だろう。


このまま、巨木(きょぼく)の高い位置を(つた)って()げたとしても、追跡(ついせき)されるのは目に見えている。


それでは、シマユリとの合流も(むずか)しい。


この状況(じょうきょう)打破(だは)するために(のこ)された手段(しゅだん)は、だいぶ(かぎ)られている。


のこちゃんは、今度こそアプローチを間違(まちが)えない様にと、頭をフル回転させた。



「………あっあっ…あのーお!、ちょっと良いーですかー?!」


ティハラザンバーを巨木(きょぼく)(みき)にへばりつかせたまま、のこちゃんは、眼下(がんか)埴輪(はにわ)の巨人へ呼びかけた。


そもそも、こちらには敵意(てきい)が無い上に、意図(いと)していない挑発行為(ちょうはつこうい)が原因での戦闘など不幸な事故である。


そんな()(ちが)いを(ただ)すのであれば、()ずは、やらかしたこちらから(あやま)ってみるしかない。


身体(ティハラザンバー)(りき)ませない様に注意しながら、のこちゃんは、気合いを入れて呼びかけ続けた。


「ちょーっとー、良いーですかー!?!」


埴輪(はにわ)の巨人は、相変(あいか)わらずこちらの様子を(うかが)ったままの姿勢(しせい)で、微動(びどう)だにしていない。


「わーたーしーはー、たーたーかーうーつーもーりーがー、あーりーまーせーんーっ」


のこちゃんの呼びかけも、聞こえているのか不明だ。


こんな事をしても、もし埴輪(はにわ)の巨人が(あらかじ)め一定の動きをインプットされているだけな単純構造(たんじゅんこうぞう)のロボ系だったとしたら、(まった)く意味はないかも知れない。


「…もしかして、言葉が通じないのかな?」


不安が、のこちゃんの弱気の頭をもたげさせる。


『ふむ、神器(じんぎ)である白銀(しろがね)(かぶと)には、意思の疎通(そつう)補完(ほかん)する御力(みちから)(そな)わっているのだ。

生前(せいぜん)()が、天空の女神(リナリーシア)様の天啓(てんけい)(みちび)かれ、その御心(みこころ)のままに地上の安寧(あんねい)(おびや)かすあらゆるモノと戦い()(ほろ)ぼす旅をしていた事は話したであろう?…のこ』


「え?あ、はい、聞きました」


『その行く先々(さきざき)で、現地の者に(こま)かな話を聞かねばならぬし、協力を(あお)がなければなぬ事が(つね)となれば、一々(いちいち)その土地の言葉を習得(しゅうとく)している余裕(よゆう)はない。

事態(じたい)切迫(せっぱく)している場合も、少なくなかったのでな…のこ』


読み書きは()(かく)、言葉を持つ相手ならば人であろうと"ああいったもの"であろうと何とかしてしまう御力(みちから)なのだと、トレーナーは(ほこ)らしげに語った。


言われてみれば、トレーナーはもちろん、魔刃殿(まじんでん)面々(めんめん)と言葉で不自由(ふじゆう)した事がない。


のこちゃんは、少しだけなものの、ティハラザンバーの能力(のうりょく)に希望を(いだ)いた。


「分かりました。

自分を信じて、続けてみますっ」


『失敗を恐れず思いついた事は、(いく)らでも試すが良い。

その助けとして、()は存在しているのだ…のこ』


自分とトレーナーそして天空の女神(リナリーシア)神器(じんぎ)を信じて、のこちゃんは、再び埴輪(はにわ)の巨人へ向き合った。


こちらに戦う意志のない事を(うった)えかけ、この場を何としても(おさ)める覚悟(かくご)を決めたのだ。


のこちゃんは、(たましい)から呼びかけるつもりで、渾身(こんしん)の声を(はっ)した。


「ゴオオオオォォォォアアアアァァァァァァァァァ!!!!」


ティハラザンバーの(さけ)びが空気を(ふる)わせ、巨木(きょぼく)大森林(だいしんりん)(ひび)(わた)り、(みずうみ)水面(みなも)(はげ)しく()らす。


まさしく、伝説にその名を()せし魔に(くみ)する神獣(しんじゅう)(おお)ティハラが()える声、その再現と言えた。


ひろがる鳴動(めいどう)余韻(よいん)が、世界を支配する。


『ふむ、咆吼(ほうこう)してどうするのだ?…のこ』


そりゃそうですよねと、巨木(きょぼく)(みき)からずり落ちそうになるのを身体が(りき)まない様に必死(ひっし)にこらえつつ、のこちゃんは、文字通り開いた口がふさがらないでいた。


もちろん、ティハラザンバーの目も(うる)んでいる。


このタイミングで、(さら)なる怪人(かいじん)能力(のうりょく)的なものが発現(はつげん)するとなると、やはり怪人(かいじん)(ライフ)(いざ)宿命(しゅくめい)が良い仕事をしているのだろう。


のこちゃんがやっぱり何も信じない方が良いかもと思い始めた所、埴輪(はにわ)の巨人に変化が起こった。


その手に持った大きな(つるぎ)をスーッと持ち上げ、頭上のティハラザンバーへ()(さき)を向けると、ピタリと止めた。


何事かと、固唾(かたず)をのんで身構(みがま)えてから、どれくらいの時間が()ったのだろう。


「オマエハ、コドモヲ、サライ、アヤメタ…ケッシテ、ユルセル、モノデハナイ………」


埴輪(はにわ)の巨人がハッキリと(しゃべ)ったのである。


続きます。

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