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時は来た

作者: こうじ

設定緩めですので軽い気持ちで読んでくだされば幸いです。

「あぁ~、今日も疲れた……」


 私、エリアナは仕事を終え家への道をトボトボと歩いていた。


「この生活になってから1年経つけどなかなか慣れないわね……」


 仕事はとある商会の事務だけど伝票とのにらめっこやら書類整理とか細かい仕事が多くて目や肩が疲れる。


 だからと言って冒険者みたいに体力を使う仕事は向いてない。


 1年前では想像付かない事だ。


「ん?何か来てる……」


 ポストに封筒が入っており家に入り中を確認する。


「結婚式の招待状……、あぁついにあの二人が結婚するのね……」


 あの二人というのは私を裏切った元婚約者のアブドラ様と元妹のメアリーだ。


 私は元々ヘリディウス公爵家の長女、所謂公爵令嬢だ。


 アブドラ様とは幼い頃に婚約してから良好な関係を築いていた。


 が、貴族学院に入学してから全てがひっくり返った。


 アブドラ様は悪いお友達と遊ぶようになってから女遊びに目覚めてしまった。


 私が注意しても聞く耳を持たず迷惑がられだんだんと避けられる様になった。


 その間、私はアブドラ様と関係を持った令嬢達に婚約者として謝罪に回った。


 中には肉体関係を結んだ方もおりお金関係でも私は対応する事になりアブドラ様への愛情は0になりつつあった。


 そして、1年前いきなり両親から『婚約を解消する』と言われたのだ。


 理由は事もあろうにメアリーとアブドラ様が関係を持ってしまい妊娠させてしまったのだ。


 だから私に身を引け、と両親は言ったのだ。


 私はその場で了承、ついでに絶縁を宣言し実家を出た。


 勿論2人も許せなかったし両親の態度も許せなかった。


 実家を出た私は知り合いの商会に身を寄せ従業員として働いて現在に至る。


「よく私に招待状なんて送ってくるわね、私への仕打ちを忘れたのかしら……」


 もしくは嫌がらせだろう。

 

 しかし、こちらとしては好都合だ。


 私は机に向かい返事の手紙を書いた。


『ご結婚おめでとうございます。私は平民として生きていますので結婚式には参加する事はご遠慮いたします。お二人の末永い幸せを願っております』


 こう書き封をした。それとは別に私は便箋を取り出し数枚にこう書いた。


『時は来た』と。


 送り先はアブドラ様の被害にあった女性達だ。


 彼女達とは現在も関係を持っていて婚約が無くなった時は集まって飲み会をやってくれた。


 それと同時にアブドラ様、そして実家への復讐を計画した。


 計画とはアブドラ様とメアリーが結婚し幸せの絶頂にいる時に不貞の証拠と同時に慰謝料を請求する事だ。


 勿論、私も請求させてもらう。


 何故結婚した時にしたかと言えば籍を入れさせて逃げ出せないようにする為だ。


 私は元実家と令嬢達に手紙を送った。


 数日後、新聞に『ヘリディウス公爵家爵位返上、お取り潰しへ』と言う記事が載った。


 アブドラ様とメアリーの結婚式に令嬢達が乱入、その場でアブドラ様と関係を持っていた事(勿論証拠付き)を暴露して慰謝料の請求を宣言、会場は大混乱となった。


 アブドラ様は突きつけられた証拠に轟沈、メアリーは泣き叫び、両親は来ていた親戚に問い詰められていた。


 そもそも親戚は私が絶縁した事を知らなかったし私とアブドラ様が結婚するものと思っていたから本当の事を知って激怒したらしい。


 その場で縁切りを宣言して両親達は孤立無援状態に。


 +王族の方も来賓として来ていたので勿論国王にもこの話は届いた。


 国王様はスキャンダルには厳しい方で後日アブドラ様、元家族は呼び出され厳しい叱責を受けた。


 そして実家は慰謝料で借金を抱え爵位を返上、事実上の取り潰しとなった。


 というのを私は令嬢の一人からの手紙で知った。


 勿論、彼女達も無傷ではないけどそれでも一矢報いたい思いの方が強かった。


 女を舐めてもらっちゃ困るのよ。

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