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最後の冬が溶けるまで

 花びらが舞う。

 季節の移り変わりを知らせる風の中、少年が一人佇んでいた。

 夕焼け空のような深紅の髪に、太陽を思わせる金色の瞳。周りを優しい色合いの花々に囲まれて、そこだけ燃えるような存在感を放っていた。


 しかし少年はどこか寂しげで、長い睫毛が目元に影を落とす。

 それでもどこか懐かしむように目を細めて、ゆっくりと春の碧天を見上げた。


 暖かな風が吹き抜ける。少年の足元にあった花びらは、風に乗って飛んでいった。

 

 風に乗り、ひらりひらりと舞い落ちた先は、たくさんの花びらが敷き詰められた池の水面(みなも)

 その隣では、蟻が行列を成して巣穴へと甘い菓子の欠片を運んでいた。


 池のすぐそばには、大きな屋敷。その中の、障子が開け放たれた一室で、空の色を映した銀髪の人物が深く頭を下げている。


 それをゆっくりと持ち上げて、顕になったのは顔のない面。風が吹き、ほんの少しだけ銀色が揺れた。


 揺られた髪がぱさり、静かに面に落ちる。それを合図にその人物は前を見据え、静かに口を開いた。


「――――」

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